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第2話 街での生活
第2-2話 メイドさんと
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○ メイドさんは、ホムンクルス
「楽しそうですね。」あのう、メイド服の方、冷静な顔の下に見え隠れするその参加したくてうずうずしている感じがします。別に参加してもいいですよ。
「えっと、お名前を・・・」その言葉に騒いでいたモーラとアンジーが同時にこっちを向く。
「私は、」
言いかけたので私は思わず彼女の口を手で塞いでしまった。アンジーはモーラの耳を塞いでいる。ああ、私は本当なら自分の耳を塞げば良いのに何をしているのでしょうか。
相手は、とっさのことで、瞬間移動ができなかったのか、そのまま口を塞がれている。
「ああ、おぬしの魔力量なら隷属させられるのか。大丈夫じゃ、その子は私のものじゃからのう。」
何かを悟ったのでしょう。理解していただいて安心しました。
「すいません、とっさに手を出してしまいまして。」
「いえ、大丈夫です」そこは怒るところですよね、なんで頬を染めていますかね。おかしいですよ反応が。
「へえ、この魔法使いが気に入ったのですか。確かにあなたの反応速度を上回って口を塞ぎましたからねえ、自分より強いと判断したのですか。それで、一目惚れしましたか。」
「はい。びっくりと同時にちょっと惚れました。」なにーーー、いや、腫れましたですよね。
「腫れていませんか?大丈夫ですか?」
口元を見せてもらおうと近づくとなぜか逃げられた。
「本当に惚れっぽいですねえ。私の隷属をはずしたら、一体どうなってしまうのか。好きになったら誰にでもついていきますからねえ、たとえ魔族でも。でも安心して、生娘ですよ。」それで何を安心するというのですか。
「とりあえず名前を教えてください」下を向いて真っ赤になってもじもじしているのですが、お話しするにしても名前を聞かないと。
「メ・・ジス・・ア・・・テ」
「え?もう少し大きい声でお願いします。」
「メアジスト・アスターテです。」
なぜか前に出てスカートの裾をつかみお辞儀をしてから、跪き、私に頭を出しました。
「ああ、それじゃあメアさんですね。これからよろしくお願いします。」
思わず手で頭をなでてしまいました、ああ、髪がさらさらで触り心地が良いです。
「はい、生涯を通して。」
え?何をおっしゃいました?メアさんと呼んだ子の体から見慣れたオーラが発生する。見るとモーラが顎を落として見ている。アンジーもだ。当然耳を塞いでいない。ユーリもきょとんとしている。
「え?隷属の?なんでオーラが」
「あ、ああごめんなさいね、隷属の効果が切れていましたか。最近は近づく男もいないので、隷属が切れていたのを忘れていたわ。大丈夫よ、すぐ解呪しま・・あれ、できませんね」
メアさんが抱きついてくる。とりあえず抱きとめたが、ああ、良い匂い。ってこら私は何を考えている。モーラとアンジーがジト目で見ている。あれ?またシールド外れていました?興奮すると解除されるみたいですね。その冷たい目やめてください。
「そうですか、メア。その男が気に入りましたか?」
抱きつきながらうなずいている。うなずくたびに髪の毛が私の顎にあたって、くすぐったいです。というか離れて。抱きしめられるのは良いのですが、抱きしめる強さが強すぎて、だんだん体からきしみ音がしてます。痛い痛い。
「しようがないですね、解呪できませんし。しばらくそうしていてください。」
メアさんうれしそうにうなずいている。いや、私の意志はどこに。
「とりあえず離れてください。」
私の言葉に頭を横に振っていやいやしないように。ほら、うちの3人の厳しい視線が痛い。
「はい、離れて。離れて。」
ためいきをついてアンジーが間に入ります。意外にあっさり離れてくれました。もちろん名残惜しそうですけど。
「もう、困るんですよ、これ以上人が増えるのは、剣士に天使に竜娘に忍者とか、どこの勇者一行ですか。」
そこには、私は入っていなさそうですね。安心しました。
「あなたは魔法使いでしょ。」心読みましたかー
「おもしろそうなことになったのう。」
モーラがうれしそうだ。なぜか困惑しているのは、ユーリだ。それは、言葉の意味がわからないのだから当然だろう。
「どうも先ほどから思っておったがこの子を育てたのはおまえさんではないな。魔法使い」
「やはりわかりますよねえ。そうですよ、預かり物なのよ。見られるなら中身を見てみてくださいね。」
私も見てみる。あ、人間じゃない。
「人ではないのか。」
「ホムンクルス・・・」そんな言葉が口から出てくる。
「ふふ、その言葉を知っているという事は、やはりこの世界に来た者なのですね。」
「じゃあその子は、」
「錬金術師とよばれていた男から預かった物なのよ。」
「他の世界から来た人ですね。」
アンジーの目が鋭くなる。
「ええ、ひょんなことから知り合ってね。その後、預かってくれと言われましてねえ。その後、何度か顔は出していたんですが、結局行方知れずになってしまったのよ、まあ、最後にあった時の雰囲気では二度と戻ってこないという感じでしたけど。でも、そろそろ、他の預かり人を探していたところだったし、これも縁なのでしょうねえ。少し寂しいですけど、しかたありませんね。」
ニヤニヤ笑いながら言っても、全然説得力が無いですよ。
「いや寂しいならそのまま預かっておいてください。ぜひ。」
なんでか、メアさんは悲しそうな顔をする。いや、ホムンクルスですよね。アンドロイドですよね。
「まあしようがなかろう。面倒見てやろう。な。」
そうしてモーラが私の尻をポンポンとたたく。私は、がっくり肩が落ちていますから、肩たたいてください。まあ、届かないですけど。悲しげに視線を上げると、ユーリと視線が合う。
「ど、奴隷商人。」ユーリひどい。他の3人は笑っている。いや、冗談にしては笑えない。
「でも、店長がいないときの店番は誰がやるのですか?」
「不在の札をさげますから、大丈夫ですよ。」
「なるほど。」
「さて、行き遅れの娘も嫁に出したし、肩の荷が下りましたねえ。」
いやいや、嫁に出してどうするんですか。
「とりあえず、解除の術式が見つかれば解呪します。その後は、自分の意志で動いてくださいね。もちろん一緒に来るも自由、ひとりになるも自由ですから。」なんで悲しそうな顔をするのですか。自由ですよ。楽しいですよ。
「そんな先のことはよい、とりあえず、宿に戻るぞ。」
「そうですね。今日は精神的に疲れました。いろいろと」アンジーが肩を落として言う。私もそうですよ。
「では、行きますか。明日、薬草もってまた来ます。」
「はい、あと、ちょっとこっちへいらっしゃい。」
「はい」魔法使いさんは、顔を近づけてこう言った。
「ホムンクルスとはいえ、人間そっくりですからね、言いたいことはわかりますよね、やろうと思えばやれます。でもいいですか、決してあの子の気持ちをないがしろにしないようにお願いします。それと最初が肝心ですから、失敗しないようにしてください。」
うわ、今一番聞きたくない言葉を聞いてしまった。あ、アンジーとモーラがまたジト目で見ています。いや、無理ですって。さすがにストライクゾーンですけど無理ですって。
ほうほうのていでその店を出るとなんだか夕暮れになっていました。
夕焼けに子どもを肩車して手をつないで帰る情景がなぜか浮かんだのですが、それをイメージとして捉えたモーラが肩車をせがみ、アンジーが手をつなげとせがみ、イメージを見ていないユーリが2人につられたのでしょうけど、服の裾を恥ずかしそうにつまんでついてくる。それなら手をつなごうというと、真っ赤な顔をして首を振った。まあ、臭そうなおじさんの手はつなぎたくないでしょうね、と思った途端。モーラからチョップが、アンジーからすね蹴りが飛び出した。痛いですって。ユーリの手を無理矢理つないだらうれしそうにしています。恥ずかしかっただけなんですね。
まあ、その筋の人なら狂喜乱舞なんでしょうけど、子どもの中身が中身ですからねえ。いいとしこいて、肩車せがむとか、幼児化していませんか?
あと、少し離れてうらやましそうに歩いているメアさん。周囲の微笑ましそうなのか、侮蔑の目なのか注目浴びまくりです。私は声に出して叫びたい。どうしてこうなった。どうしてこうなったー。
『やかましいわ、心の中で叫ぶでない』
『そうですよ。叫びたいのはこっちです。』アンジーにつないでいた手を強く握りしめられる。いだだだだ。
宿屋に帰ってくると。宿屋の無愛想な親父が一人増えたのを見てさらに不機嫌になった。いや、私のせいではないと言い訳したいのをぐっと我慢した。事情が事情なだけに惚れられてつい連れてきたとか言えば、本当に言い訳にしか聞こえないですね。手狭なのでもう一部屋お願いしましたが、「おめえみたいな奴に貸す部屋はねえよ」と言われました。とほほ。
「ふーっ」食事の後の風呂は格別です。まあ、もう夜中ですけどね。
交替で入ろうと提案したのですが、なぜか全員で入っています。一番恥ずかしがっているのは、私とユーリですね。あとの3人は気にしていないようです。アンジーやモーラは、しょせんは仮の姿です。ただし、メアさんは、女豹のような目で何かを狙っていますよ。ええ、ある一点に目が集中しています。やめて恥ずかしいから。それにしてもメアさんの製作者の意図がわかりません、もう少しナイスバディにしても良いと思うのですが、けっこうスレンダーなのです。おしい、顔といい背格好といいストライクゾーンなんですが、そこが最大のネックです。貧乳派だったのでしょうか。
「この風呂という文化は一度憶えるとやみつきになるのう。」
「そうですね。やばいです。」めずらしくユーリが言う。女の子なんですからやばいとかあまり使わないように。
「メアは、びっくりしてないわね」アンジーがチラリと胸に目をやりながら言う。
「はい、前のご主人様もこうして入浴されていました。」
「ほう、ということは、こやつと同郷ということか。」
「はい、おそらくは。」
「どんな感じの人でしたか?」
「最後の方は優しい人でした。でも、目的があると言われて、私を置いてどこかへ行かれました。」
「目的・・・ねえ、何か話してくれなかったの?」アンジーが興味を示した。
「この世界の深淵とか秘密とか言っていました。それをはっきりさせると。そうすればもっと人間は住みやすくなるのにと」
「この世界を好きだったのね。」
「そうですね、私に優しく接してくれるようになってからはずっと、私に「私はね、この世界を気に入っているのですよ」と繰り返し言っていましたから。」
「それっていつ頃の話なの」
「ええ、暦ができたのが最近なので、正確ではありませんが季節が100回は変わっていると思いますから100年前くらいかと。」
「え?それって、あのばあさんもそのくらいは生きていると。」
「そうですね、私が預けられてからは、80年くらいですか。」
「魔法使いはなんらかの延命策をもっているらしいぞ。だから長生きなんじゃ。」
「ばばあのかっこしているけど、きっと美肌で若いんだ。くそー」
「アンジーさん、あなたも長命ですよね。」
「まあ、光だから年齢という概念もないけど。モーラだってそうでしょ?」
「まあなあ、わしらの寿命は1000年単位じゃからな」
「一番分が悪いのはわたしとユーリですねえ。普通の人間ですし」
「おぬしとて、やろうと思えば若返られるんじゃないのか?心臓も止めたくらいだし」
「まあ、できそうではありますけど。細胞の活性化なんて、試したことはありませんよ」
「それって、もしできるなら、ほとんど寿命がないのでは、不老不死?」
「いや、不老不死ではありません、細胞を活性化させるためには、意識がないとダメですからね、一瞬で殺されれば、無理でしょう。」
「私が死なせません。」
メアが急に立ち上がって胸の前で強く握りこぶしをつくってきりりと言う。裸で言ってもねえ、見てるこっちが恥ずかしいだけです。まあ、うれしいですけど、とりあえず前を隠して欲しいものです。
「この中では僕ですよ、普通の人間です。」おや僕っこになりましたか。なかなか良いですね。
「そうだね。でも、一番生に満ちあふれているわ特にここが。」アンジーは、そう言って、ユーリのない胸を揉んでいます。だから揉んでも大きくなるわけではないのですよ。
「明日は、薬草を卸して、その後どうしますかねえ。」
「長期に滞在するなら宿屋は不経済じゃろう。」
「ですね、家族が増えたので、どこか借りますか。」
「わかりました。私とユーリで探します。」メアが目を輝かせている。なぜだろう寒気が。
「ふむ、あの男の子のところに行って例の商店の場所を聞いてくるかのう」モーラが言う。
「そうしましょう。子どもなら遊びに行っても怪しまれないですし。」アンジーが同意している。
「私は・・・」どうやら私は取り残されるらしい。ちょっと寂しいです。
「おぬしは、わしらと一緒に例の露天商の大将のところに行って昨日の報告をしてから、領主のところに根回ししてこい。あと、あのえらそうな商人にも情報聞いてこい。へんに勘ぐられないよう気をつけてな。」
「え~、一番それが厳しそうですねえ。逆に情報を搾り取られそうです。」
「おぬしが受けた依頼だろうが。シャキッとせんかシャキッと。」
「なし崩しですねえ。」
「この作戦がうまくいけば、わしらの今後の旅が格段に楽になるのじゃ。必ず成功させるのじゃ。」
胸の前で強く握りこぶしをつくっている。気合い入っていますね。胸が丸見えです。
「つ、強い意志を感じます。」ユーリが何かわからないが賛同しています。
「まあ、あの魔法使いの・・おっと、つい名前を呼びたくなる。エリスと名乗っていたな。今後は、魔女と呼ぶか。魔女はどう考えても数人しか生存していないと言われている最古の魔女の末裔、もしかしたら末裔ではなく最古の魔女かもしれん。なればここで恩を売っておくことは、間違いなく今後の旅に有利に働く。たぶん、わしらの名が各地方に住むと言われている魔法使い達に知られるはずじゃ。そうなれば、決して悪いことにはならん。そうじゃな。」
メアがうなずく。
「だからこの依頼は、完璧に成功させる。完璧にな。」
「はあ。」
「それによって、我々の利用価値があがって、各地でトラブルを押しつけられて小間使いにされそうですけどね。」
アンジーがぼそっと言う。それも一理ありますね、それも今回の件を我々に押しつけた理由かも知れませんね。魔女達のトラブルバスター的な存在にされそうです。
「もちろんそれもあるじゃろうが、それでもこれから行く先々で我々がトラブルに巻き込まれた時や起こしてしまった時に助けてもらえるかもしれんのじゃ。わしが面倒になって都市を滅ぼすよりは、いくぶんかましじゃろう」
「そうですけど。あまり関わりにならないほうが、我々のためだと思うのですけどね。」
アンジーとしては、あまり名前が広まったりする事やこの世界の人の世話になることが嫌なんだと思います。なんとなくわかりますよ。
「一般の人々に迷惑は掛けられませんしね。」
ユーリが言った。あなたは優しいですね。あなたが一番最初に迷惑を掛けられた人かもしれないのですが。
「さて、明日の方針も決まったことじゃし、あがるとするかのう。」
「あ、ユーリがのぼせている。」
「まだ慣れんようじゃのう。メア、体を拭いて服を着せてくれんか。」
「はい、よろしいですかご主人様」
そう言いながら私の顔をうかがう。
「お願いに対しては、私を見ないであなたの判断で決めてください。お願いします。」
「わかりました。」不満そうですねえ。指示して欲しいんですかね。
「これからは、自分の判断というものを意識してください。自分のしたいことしてあげたいことなどを・・ってなにしますか」
「私のしたいことをしています。」ええ、こんなことですか。
「私を抱き上げてどうする気ですか」
「このまま、お部屋にお連れしようかと。」
「ですから、それは、相手の気持ちを考えて。」
「それは、先ほどの指示と矛盾します。」
「確かに自分の判断と言いましたが、相手の気持ちも考えてください。」
「迷惑ですか?」
「気持ちというか状況を考えてください。周囲の視線とか」
「視線は別に気にしません。ご主人様と私の関係が大事です。」
「それではだめなのですよ。というか、タオルで体を拭いて、服を着ましょうね。」
「はい」
「これは、大変だのう。あの魔女はそういうことは教えなかったのか。」
「はい、私のしつけはおまえが気に入った者に習えと、その者のルールがお前のルールになると。」
「なるほどねえ」
「ですから、吊りも縛りもOKです。」ニコッと笑ってすごいことを言う
「そこで、どうしてそういう方向に行きますかねえ。」思わずボンデージファッションにムチを持ったメアさんを想像してしまいました。
「マニアックじゃのう。おぬしの頭の中も」あ、アンジーがジト目で見ています。誤解です。
続く
「楽しそうですね。」あのう、メイド服の方、冷静な顔の下に見え隠れするその参加したくてうずうずしている感じがします。別に参加してもいいですよ。
「えっと、お名前を・・・」その言葉に騒いでいたモーラとアンジーが同時にこっちを向く。
「私は、」
言いかけたので私は思わず彼女の口を手で塞いでしまった。アンジーはモーラの耳を塞いでいる。ああ、私は本当なら自分の耳を塞げば良いのに何をしているのでしょうか。
相手は、とっさのことで、瞬間移動ができなかったのか、そのまま口を塞がれている。
「ああ、おぬしの魔力量なら隷属させられるのか。大丈夫じゃ、その子は私のものじゃからのう。」
何かを悟ったのでしょう。理解していただいて安心しました。
「すいません、とっさに手を出してしまいまして。」
「いえ、大丈夫です」そこは怒るところですよね、なんで頬を染めていますかね。おかしいですよ反応が。
「へえ、この魔法使いが気に入ったのですか。確かにあなたの反応速度を上回って口を塞ぎましたからねえ、自分より強いと判断したのですか。それで、一目惚れしましたか。」
「はい。びっくりと同時にちょっと惚れました。」なにーーー、いや、腫れましたですよね。
「腫れていませんか?大丈夫ですか?」
口元を見せてもらおうと近づくとなぜか逃げられた。
「本当に惚れっぽいですねえ。私の隷属をはずしたら、一体どうなってしまうのか。好きになったら誰にでもついていきますからねえ、たとえ魔族でも。でも安心して、生娘ですよ。」それで何を安心するというのですか。
「とりあえず名前を教えてください」下を向いて真っ赤になってもじもじしているのですが、お話しするにしても名前を聞かないと。
「メ・・ジス・・ア・・・テ」
「え?もう少し大きい声でお願いします。」
「メアジスト・アスターテです。」
なぜか前に出てスカートの裾をつかみお辞儀をしてから、跪き、私に頭を出しました。
「ああ、それじゃあメアさんですね。これからよろしくお願いします。」
思わず手で頭をなでてしまいました、ああ、髪がさらさらで触り心地が良いです。
「はい、生涯を通して。」
え?何をおっしゃいました?メアさんと呼んだ子の体から見慣れたオーラが発生する。見るとモーラが顎を落として見ている。アンジーもだ。当然耳を塞いでいない。ユーリもきょとんとしている。
「え?隷属の?なんでオーラが」
「あ、ああごめんなさいね、隷属の効果が切れていましたか。最近は近づく男もいないので、隷属が切れていたのを忘れていたわ。大丈夫よ、すぐ解呪しま・・あれ、できませんね」
メアさんが抱きついてくる。とりあえず抱きとめたが、ああ、良い匂い。ってこら私は何を考えている。モーラとアンジーがジト目で見ている。あれ?またシールド外れていました?興奮すると解除されるみたいですね。その冷たい目やめてください。
「そうですか、メア。その男が気に入りましたか?」
抱きつきながらうなずいている。うなずくたびに髪の毛が私の顎にあたって、くすぐったいです。というか離れて。抱きしめられるのは良いのですが、抱きしめる強さが強すぎて、だんだん体からきしみ音がしてます。痛い痛い。
「しようがないですね、解呪できませんし。しばらくそうしていてください。」
メアさんうれしそうにうなずいている。いや、私の意志はどこに。
「とりあえず離れてください。」
私の言葉に頭を横に振っていやいやしないように。ほら、うちの3人の厳しい視線が痛い。
「はい、離れて。離れて。」
ためいきをついてアンジーが間に入ります。意外にあっさり離れてくれました。もちろん名残惜しそうですけど。
「もう、困るんですよ、これ以上人が増えるのは、剣士に天使に竜娘に忍者とか、どこの勇者一行ですか。」
そこには、私は入っていなさそうですね。安心しました。
「あなたは魔法使いでしょ。」心読みましたかー
「おもしろそうなことになったのう。」
モーラがうれしそうだ。なぜか困惑しているのは、ユーリだ。それは、言葉の意味がわからないのだから当然だろう。
「どうも先ほどから思っておったがこの子を育てたのはおまえさんではないな。魔法使い」
「やはりわかりますよねえ。そうですよ、預かり物なのよ。見られるなら中身を見てみてくださいね。」
私も見てみる。あ、人間じゃない。
「人ではないのか。」
「ホムンクルス・・・」そんな言葉が口から出てくる。
「ふふ、その言葉を知っているという事は、やはりこの世界に来た者なのですね。」
「じゃあその子は、」
「錬金術師とよばれていた男から預かった物なのよ。」
「他の世界から来た人ですね。」
アンジーの目が鋭くなる。
「ええ、ひょんなことから知り合ってね。その後、預かってくれと言われましてねえ。その後、何度か顔は出していたんですが、結局行方知れずになってしまったのよ、まあ、最後にあった時の雰囲気では二度と戻ってこないという感じでしたけど。でも、そろそろ、他の預かり人を探していたところだったし、これも縁なのでしょうねえ。少し寂しいですけど、しかたありませんね。」
ニヤニヤ笑いながら言っても、全然説得力が無いですよ。
「いや寂しいならそのまま預かっておいてください。ぜひ。」
なんでか、メアさんは悲しそうな顔をする。いや、ホムンクルスですよね。アンドロイドですよね。
「まあしようがなかろう。面倒見てやろう。な。」
そうしてモーラが私の尻をポンポンとたたく。私は、がっくり肩が落ちていますから、肩たたいてください。まあ、届かないですけど。悲しげに視線を上げると、ユーリと視線が合う。
「ど、奴隷商人。」ユーリひどい。他の3人は笑っている。いや、冗談にしては笑えない。
「でも、店長がいないときの店番は誰がやるのですか?」
「不在の札をさげますから、大丈夫ですよ。」
「なるほど。」
「さて、行き遅れの娘も嫁に出したし、肩の荷が下りましたねえ。」
いやいや、嫁に出してどうするんですか。
「とりあえず、解除の術式が見つかれば解呪します。その後は、自分の意志で動いてくださいね。もちろん一緒に来るも自由、ひとりになるも自由ですから。」なんで悲しそうな顔をするのですか。自由ですよ。楽しいですよ。
「そんな先のことはよい、とりあえず、宿に戻るぞ。」
「そうですね。今日は精神的に疲れました。いろいろと」アンジーが肩を落として言う。私もそうですよ。
「では、行きますか。明日、薬草もってまた来ます。」
「はい、あと、ちょっとこっちへいらっしゃい。」
「はい」魔法使いさんは、顔を近づけてこう言った。
「ホムンクルスとはいえ、人間そっくりですからね、言いたいことはわかりますよね、やろうと思えばやれます。でもいいですか、決してあの子の気持ちをないがしろにしないようにお願いします。それと最初が肝心ですから、失敗しないようにしてください。」
うわ、今一番聞きたくない言葉を聞いてしまった。あ、アンジーとモーラがまたジト目で見ています。いや、無理ですって。さすがにストライクゾーンですけど無理ですって。
ほうほうのていでその店を出るとなんだか夕暮れになっていました。
夕焼けに子どもを肩車して手をつないで帰る情景がなぜか浮かんだのですが、それをイメージとして捉えたモーラが肩車をせがみ、アンジーが手をつなげとせがみ、イメージを見ていないユーリが2人につられたのでしょうけど、服の裾を恥ずかしそうにつまんでついてくる。それなら手をつなごうというと、真っ赤な顔をして首を振った。まあ、臭そうなおじさんの手はつなぎたくないでしょうね、と思った途端。モーラからチョップが、アンジーからすね蹴りが飛び出した。痛いですって。ユーリの手を無理矢理つないだらうれしそうにしています。恥ずかしかっただけなんですね。
まあ、その筋の人なら狂喜乱舞なんでしょうけど、子どもの中身が中身ですからねえ。いいとしこいて、肩車せがむとか、幼児化していませんか?
あと、少し離れてうらやましそうに歩いているメアさん。周囲の微笑ましそうなのか、侮蔑の目なのか注目浴びまくりです。私は声に出して叫びたい。どうしてこうなった。どうしてこうなったー。
『やかましいわ、心の中で叫ぶでない』
『そうですよ。叫びたいのはこっちです。』アンジーにつないでいた手を強く握りしめられる。いだだだだ。
宿屋に帰ってくると。宿屋の無愛想な親父が一人増えたのを見てさらに不機嫌になった。いや、私のせいではないと言い訳したいのをぐっと我慢した。事情が事情なだけに惚れられてつい連れてきたとか言えば、本当に言い訳にしか聞こえないですね。手狭なのでもう一部屋お願いしましたが、「おめえみたいな奴に貸す部屋はねえよ」と言われました。とほほ。
「ふーっ」食事の後の風呂は格別です。まあ、もう夜中ですけどね。
交替で入ろうと提案したのですが、なぜか全員で入っています。一番恥ずかしがっているのは、私とユーリですね。あとの3人は気にしていないようです。アンジーやモーラは、しょせんは仮の姿です。ただし、メアさんは、女豹のような目で何かを狙っていますよ。ええ、ある一点に目が集中しています。やめて恥ずかしいから。それにしてもメアさんの製作者の意図がわかりません、もう少しナイスバディにしても良いと思うのですが、けっこうスレンダーなのです。おしい、顔といい背格好といいストライクゾーンなんですが、そこが最大のネックです。貧乳派だったのでしょうか。
「この風呂という文化は一度憶えるとやみつきになるのう。」
「そうですね。やばいです。」めずらしくユーリが言う。女の子なんですからやばいとかあまり使わないように。
「メアは、びっくりしてないわね」アンジーがチラリと胸に目をやりながら言う。
「はい、前のご主人様もこうして入浴されていました。」
「ほう、ということは、こやつと同郷ということか。」
「はい、おそらくは。」
「どんな感じの人でしたか?」
「最後の方は優しい人でした。でも、目的があると言われて、私を置いてどこかへ行かれました。」
「目的・・・ねえ、何か話してくれなかったの?」アンジーが興味を示した。
「この世界の深淵とか秘密とか言っていました。それをはっきりさせると。そうすればもっと人間は住みやすくなるのにと」
「この世界を好きだったのね。」
「そうですね、私に優しく接してくれるようになってからはずっと、私に「私はね、この世界を気に入っているのですよ」と繰り返し言っていましたから。」
「それっていつ頃の話なの」
「ええ、暦ができたのが最近なので、正確ではありませんが季節が100回は変わっていると思いますから100年前くらいかと。」
「え?それって、あのばあさんもそのくらいは生きていると。」
「そうですね、私が預けられてからは、80年くらいですか。」
「魔法使いはなんらかの延命策をもっているらしいぞ。だから長生きなんじゃ。」
「ばばあのかっこしているけど、きっと美肌で若いんだ。くそー」
「アンジーさん、あなたも長命ですよね。」
「まあ、光だから年齢という概念もないけど。モーラだってそうでしょ?」
「まあなあ、わしらの寿命は1000年単位じゃからな」
「一番分が悪いのはわたしとユーリですねえ。普通の人間ですし」
「おぬしとて、やろうと思えば若返られるんじゃないのか?心臓も止めたくらいだし」
「まあ、できそうではありますけど。細胞の活性化なんて、試したことはありませんよ」
「それって、もしできるなら、ほとんど寿命がないのでは、不老不死?」
「いや、不老不死ではありません、細胞を活性化させるためには、意識がないとダメですからね、一瞬で殺されれば、無理でしょう。」
「私が死なせません。」
メアが急に立ち上がって胸の前で強く握りこぶしをつくってきりりと言う。裸で言ってもねえ、見てるこっちが恥ずかしいだけです。まあ、うれしいですけど、とりあえず前を隠して欲しいものです。
「この中では僕ですよ、普通の人間です。」おや僕っこになりましたか。なかなか良いですね。
「そうだね。でも、一番生に満ちあふれているわ特にここが。」アンジーは、そう言って、ユーリのない胸を揉んでいます。だから揉んでも大きくなるわけではないのですよ。
「明日は、薬草を卸して、その後どうしますかねえ。」
「長期に滞在するなら宿屋は不経済じゃろう。」
「ですね、家族が増えたので、どこか借りますか。」
「わかりました。私とユーリで探します。」メアが目を輝かせている。なぜだろう寒気が。
「ふむ、あの男の子のところに行って例の商店の場所を聞いてくるかのう」モーラが言う。
「そうしましょう。子どもなら遊びに行っても怪しまれないですし。」アンジーが同意している。
「私は・・・」どうやら私は取り残されるらしい。ちょっと寂しいです。
「おぬしは、わしらと一緒に例の露天商の大将のところに行って昨日の報告をしてから、領主のところに根回ししてこい。あと、あのえらそうな商人にも情報聞いてこい。へんに勘ぐられないよう気をつけてな。」
「え~、一番それが厳しそうですねえ。逆に情報を搾り取られそうです。」
「おぬしが受けた依頼だろうが。シャキッとせんかシャキッと。」
「なし崩しですねえ。」
「この作戦がうまくいけば、わしらの今後の旅が格段に楽になるのじゃ。必ず成功させるのじゃ。」
胸の前で強く握りこぶしをつくっている。気合い入っていますね。胸が丸見えです。
「つ、強い意志を感じます。」ユーリが何かわからないが賛同しています。
「まあ、あの魔法使いの・・おっと、つい名前を呼びたくなる。エリスと名乗っていたな。今後は、魔女と呼ぶか。魔女はどう考えても数人しか生存していないと言われている最古の魔女の末裔、もしかしたら末裔ではなく最古の魔女かもしれん。なればここで恩を売っておくことは、間違いなく今後の旅に有利に働く。たぶん、わしらの名が各地方に住むと言われている魔法使い達に知られるはずじゃ。そうなれば、決して悪いことにはならん。そうじゃな。」
メアがうなずく。
「だからこの依頼は、完璧に成功させる。完璧にな。」
「はあ。」
「それによって、我々の利用価値があがって、各地でトラブルを押しつけられて小間使いにされそうですけどね。」
アンジーがぼそっと言う。それも一理ありますね、それも今回の件を我々に押しつけた理由かも知れませんね。魔女達のトラブルバスター的な存在にされそうです。
「もちろんそれもあるじゃろうが、それでもこれから行く先々で我々がトラブルに巻き込まれた時や起こしてしまった時に助けてもらえるかもしれんのじゃ。わしが面倒になって都市を滅ぼすよりは、いくぶんかましじゃろう」
「そうですけど。あまり関わりにならないほうが、我々のためだと思うのですけどね。」
アンジーとしては、あまり名前が広まったりする事やこの世界の人の世話になることが嫌なんだと思います。なんとなくわかりますよ。
「一般の人々に迷惑は掛けられませんしね。」
ユーリが言った。あなたは優しいですね。あなたが一番最初に迷惑を掛けられた人かもしれないのですが。
「さて、明日の方針も決まったことじゃし、あがるとするかのう。」
「あ、ユーリがのぼせている。」
「まだ慣れんようじゃのう。メア、体を拭いて服を着せてくれんか。」
「はい、よろしいですかご主人様」
そう言いながら私の顔をうかがう。
「お願いに対しては、私を見ないであなたの判断で決めてください。お願いします。」
「わかりました。」不満そうですねえ。指示して欲しいんですかね。
「これからは、自分の判断というものを意識してください。自分のしたいことしてあげたいことなどを・・ってなにしますか」
「私のしたいことをしています。」ええ、こんなことですか。
「私を抱き上げてどうする気ですか」
「このまま、お部屋にお連れしようかと。」
「ですから、それは、相手の気持ちを考えて。」
「それは、先ほどの指示と矛盾します。」
「確かに自分の判断と言いましたが、相手の気持ちも考えてください。」
「迷惑ですか?」
「気持ちというか状況を考えてください。周囲の視線とか」
「視線は別に気にしません。ご主人様と私の関係が大事です。」
「それではだめなのですよ。というか、タオルで体を拭いて、服を着ましょうね。」
「はい」
「これは、大変だのう。あの魔女はそういうことは教えなかったのか。」
「はい、私のしつけはおまえが気に入った者に習えと、その者のルールがお前のルールになると。」
「なるほどねえ」
「ですから、吊りも縛りもOKです。」ニコッと笑ってすごいことを言う
「そこで、どうしてそういう方向に行きますかねえ。」思わずボンデージファッションにムチを持ったメアさんを想像してしまいました。
「マニアックじゃのう。おぬしの頭の中も」あ、アンジーがジト目で見ています。誤解です。
続く
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強力な呪いに生死の境をさまようが、さすがは異世界転生のチート主人公。どうにか無事に目を覚ます。
ところが、目が覚めて見えた自分の体が何かおかしい。
改めて確認すると、全身が毛むくじゃらの獣人となってしまっていた。
しかも、性別までも変わってしまっていた。
かくして、魔王を打ち倒した俺は死んだこととされ、獣人となった事で僻地へと追放されてしまう。
追放先はなんと、魔王が治めていた土地。
どん底な気分だった俺だが、新たな土地で一念発起する事にしたのだった。
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『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
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『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
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