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第19話 初めてのお使い
第19-3話 それぞれの旅
しおりを挟むアンジー
次に親書を渡したのは、アンジーだった。ある街に近づいた時に、不可視化しているモーラの手から飛び降り、ゆっくりと地上に降りていく。そしてその街の北門の方に歩いて行くとアンジーの前に人影が差す。
「こんにちは。」
そう言って声を掛けてきた男は、確かに以前あったルシフェル様の懐刀の顔をしていた。
「あら、ずいぶん早かったわねえ。」
「早い?そうでしたか。」
「なーんてね。どうして私がここに来るのがわかったのかしらね。」
「ここを指定したのはあなたではないですか。」
「なるほど、確かにそっくりねえ。これなら、さすがにだまされたかもしれないわねえ。」
「なにを言っているのですか。早く親書を渡してくれませんか。」
「何を焦っているのかしら?急いでいるとは聞いていませんよ?」
「いいから早く渡せ」
「もう正体を現しますか。つまらないですね。」
「いいから」
相手はアンジーをつかもうとするがつかめない。そこには実態は無かった。
「レディに対して実力行使は、いけませんねえ」
別の方向から男の声がする。アンジーを捕まえ損ねた男はその方角を見る。そこには、自分と全く同じ顔をした男が笑っている。
「ばれたのか。」
その男は、すかさず逃げようとしたが、後から現れた男に簡単に組み伏せられてしまった。
「あとで誰がリークしたか話してもらいますからね。」
ジタバタもがくその男を押さえ込みながらその男は言った。
「なるほどねえ」
さきほど消えたアンジーが再び実体となって現れてため息をつく。その男は手足を縛りつけた後、アンジーに向かって手を出す。
「親書をいただけますか。」
アンジーは先ほどより、一層深くため息をつく。そして、
「茶番はいいから。さっさと消えなさい。」と冷たく言う。
「私は本物ですよ。」その顔からは焦りが見える。
「だから、消えなさい。」
「何を言っているんですか。偽物はこの通り捕まえたじゃないですか。」
「じゃあ、あなたの後ろに立っている人は一体誰かしらね。」
「あ」
振り向いた後ろには、再び同じ顔の男がいる。その男はあきれた表情で2人の男を見比べている。
「本当にどこから知られたのでしょうか。身内まで疑うことになるのは困りますねえ。この2人をとりあえずどこかに連れて行きますので。」
「お願いするわ。じゃあまた後で。」
「どういうことだ、ここで受け渡しをするんじゃなかったのか。」縛られたうちのひとりの男が叫んだ。
3人目の本物は、どうやって2人を縛ったかわからないが、拘束して2人を立たせ。どこかに連れて行こうとする。
「そうねえ。そうなのよ。でもね、あなた達のような人に知られないで受け渡す方法もあるのよ。わかる?わからなければ、死ぬまでに考えておきなさいね。」
「では、アンジー様また後で、」
「あなた、同族殺しの呪いに気をつけてね。」
「はい、でも殺しませんよ。誰がこのことをリークしたのか情報源を聞き出すまではね。」
「だから、あなたみたいな人は拷問に向かないから手が滑って殺しちゃうかもしれないでしょ。」
「大丈夫ですよ。あと、彼らに種明かしはしないのですか?」
「こんなくだらないことを教えても意味ないでしょ。というか教えないでね。それを知られるとお互いまずいのですから。」
「ああ、そういえばそうでしたねえ。聞かせてから絶望するところを見たかったのですが。」
そう言うとその男は、魔族を呼び、その男達を連れていくように指示した。
「では、親書を渡して、ここからすぐに帰路につきたいのだけれど。」
「おまちください。私が護衛しますので。」
「護衛ってやっぱり何かあるのかしら。」
「ええ、残念ながら。私はルシフェル様から依頼されてあなたを護衛するよう言われております。」
「あなたの役目は、親書を届ける方が優先でしょう。」
「親書は直接お渡しください。ですから私にご同行願います。」
「それはまずいの。私は魔王領に踏み込まず、魔王城にも入らない方がいいの。対魔族的にも対外的にもね。魔王城の場所を憶えた私の頭の中を誰かに覗かれたくはないのよ。」
「なるほど。それは、困りました。では、こうします。」
そう言ってどこから出したのか黒いマントでアンジーを包み、抱え上げて移動を始める。
「ちょっと、やめて。」
「あなたの安全のためです。」
「わかったわ。おとなしくするから。でも、内通者がいるのに、私の身の安全が確保できるのかしら。」
その言葉に返事はなく。しーっと言う声を聞いて、アンジーは沈黙した。以外に雑に魔王城に荷物として届けられたようだ。それでもアンジーは沈黙を保ちつづけた。しばらくの後、アンジーを覆っていたマントがとかれた。
アンジーは、椅子に座らされていて、当然ゆらされていたので、疲れ切った顔をしている。まあ、荷物扱いでぞんざいな扱いだったのかもしれないし、そもそも暗いところが好きではないからなのかもしれない。見渡すと豪華そうな装飾の部屋に、ひとりの男が大きな机に座っていて、アンジーと視線が合うと椅子から立ち上がり、アンジーに近づいた。
「本当に久しぶりですね、アンジー」
「ルシフェル様、手を合わせない私をお許しください。」椅子を降り、床に膝をつき頭を下げるアンジー。
「おいおい、それは、あそこにいた時の話じゃないか。立って顔を見せてくれ。」
「はい」アンジーは、立ち上がり顔を見せる。
「部屋を用意したので、しばらくの間は、この城にいて欲しいのだが、」
「なるほど、天使長ガブリエル様とは、連絡済みなのですね。」
「まあそうなるかな、もっとも君から親書の件を聞いてからだけれどね。」
「私が連絡員に親書の件を話した時ですね。その後に家に連絡を入れるだろうと思っていたら、そのとおり連絡が来たので助かりました。」
「ああ、さすがにガブリエルから私に連絡が来た時にはちょっとびっくりしたけれどね。」
「でも、親書を奪われずに済んで良かったです。」
「こちらも内通者が特定できそうだし助かったよ。」
「で、ここにはいつまで居なければなりませんか。」
「親書がドワーフの里に着いて、親書が開封されるまでだな。」
アンジーの手にあったはずがいつの間にかその手には親書があり、手の中でくるくると回している。
「なるほど、届けた後でも何かあるわけですね。」
「それは、たぶん天界の意図ではないと思うけどね。」
「バラバラに動いているので、それを好機とみて動く者がいるという事ですか。」
「そうだよ。特に君は狙われやすい。」
「わかりました。捕らわれてしまったものはしょうがないです。人質として静かにしていましょう。」
「人聞きが悪いなあ。要人警護だと思ってくれないか。」
「わかりました。せっかくですので、何か手伝うことはありませんか。別な部屋に独りでいても暇ですから。」
「一応君は賓客だよ。」
「残念でした。私はあなたの連絡係です。それに部屋にひとりでいたら襲われるかもしれませんでしょう。」
「そんなことまで心配しているのか。じゃあこの部屋で書類整理を手伝ってもらおうか。」
「連れてきたあの人が戻ってきたら手伝わせて欲しいのですけど。仕事を覚えて欲しいので。」
「君は本当に人使いが荒いな。別に事務をやっている者を呼んだ方がいいな。」
「この城の事務は効率が悪そうですからこの際徹底的に見直しましょう。」
「おいおい。」
そうしてアンジーは、魔王城の一室ではなく魔王の部屋にしばらく滞在することになった。
メア
その次に到着したのはエリスさんとメアです。
2人は、ほうきに乗って空中を移動しています。一人乗せているので、かなり速度は遅くなっているようですが。
もちろん魔獣にも盗賊にも会いません。空を飛ぶ魔獣との遭遇率はかなり低く、一応魔獣よけの魔法をかけていみたいです。
一度目にどこかの平原の真ん中に降り立ちます。
「どうしたんですか?」メアがエリスさんに尋ねる。
「後ろ向いていてもらえないかしら」
「はい」
メアが背中を向けている間に、エリスは何か操作をしたようだ。
「では、行きましょう。」
「はい」
同じようにどこかの場所に降りて、その作業を行ったようだ。それを繰り返し何回か行っている。メアは、どこにいるのかわからなくなった。
「これが最後ね」
「そうですか。」
何が起きたのかはわからないが、少しだけ風景が変わったように見えた。
そして、再び空に舞い上がると、少し離れたところの森の中央に集落が見えた。
「はーやっと着いたわ」
エリスは、メアと共に地上に降り、ほうきをマントの中にしまう。そして、メアを促して森の中に入っていく。
「結構つらいですね。」
「馬がいないからしようが無いとは言え、飛行魔法をこんなに長時間使うことになるとはねえ。」
「ご主人様がきっと見たがったでしょう。」
「これ以上あの人に技術提供する気はないわ。」
「その方がよろしいかと。」
「あいつに隷属している割には辛辣ね。」
「はい、ご主人様がこれ以上この世界の脅威となっては、いけないと思っております。」
「確かにねえ。そういえば、空間魔法は使っていないの?」
「はい、封印して使っておりません。」
「意外に律儀なのねえ。」
「この世界の技術体系を変革しては、この世界が狂ってしまうと考えておられます。」
「その割には、レールガンとか出してくるわよね。」
「緊急時は、やむを得ないと言っておりました。もっともあの件については、生死がかかっているにも関わらず、あのようなことをしてしまい、とても反省しているようです。」
「なるほど、良くも悪くも真面目なのねえ。もっとも自分の興味が優先なのでしょうけど。」
「それは、否定しません。」
「さて、里に着いたわ」
そこには、周囲を森に囲まれたかなり広い草原のようなところに家がポツポツと点在している場所だった。町というには、あまりにも寂しく、集落ともいえない場所だった。
「随分と寂しげですね」
「そうね、ここは、魔法使いの里というよりは、魔女の里だからねえ。長年研究を続けて長寿を得てもなお、研究を続けていて、あるていど落ち着いてしまった者達の居場所だから。まあ、ご隠居の集まりみたいなものよ」
「誰が、隠居じゃ。誰が」
エリスさんとメアは後ろからの声に驚いて振り向くと、そこには、小柄な女性が立っていた。
「長老様、お久しぶりです。」
慌ててエリスさんが頭を下げ、それに合わせるようにメアもお辞儀をする。
「今の名前はエリスでよかったかい。久しいのう」
「はい、元魔王の件、いや、天使の件以来ですか。」
「ああ、色々と苦労をかけてすまないねえ。」
「本当ですよ、割に合わない仕事ばかりです。」
「だから、あんな最果ての町で暮らさないで、隠居してここに戻ってくれば良いものを。」
「ご冗談をここに来ても最年少の私が使いっ走りになるのは変わりませんでしょう。」
「ああ、そうか。お前の後、しばらくは、魔女はいないのだったか。」
「だから、早く魔女候補を見つけたいのですよ」
「最近の魔法使いはレベルが低くてねえ。転生者でも無ければ難しいわね。」
「やはりそこまでのレベルには到達できませんか」
「まあ、そんな話はよい、例のものを持ってきたのだろう」
「はい、これを」
エリスさんは、メアが持っていた親書を受け取り、長老に渡す。
「親書は久しぶりじゃなあ。」そう言って、親書の封蝋に指をかける。
「さすがに堅い結界が張ってあってすぐ開けるのは無理じゃなあ。」
「やり過ぎると爆発するらしいですよ。」
「確かにな、でも死ぬのはおぬしらだけじゃ。」
その言葉にメアが即座に反応して、長老から手紙を奪おうとするが、さっとかわされてしまった。
「メアとかいったか、そこまでわしがするわけないじゃろうが。」
「長老様、オイタが過ぎますよ。」
エリスさんが、長老をたしなめた。
「すまんなあ。最近あまりにも暇でな。こんなことでも遊んでしまう。許せ。」
そう言って、封蝋が赤から白に変わったことを見せる。
「ちゃんと渡しましたよ。」
「ああ、では、エリスは残り、長老会議までここに留まるがよい。じゃが、メアとやらは、ここから自分の家に戻ってくれぬか。」
「はあ、また何か約束したのですか。」
「これはな、わしの暇つぶしじゃ。」
「メア、ここから帰られるのかしら?」
「この結界の外に出られれば帰ることも可能でしょう。」
「ああ、それは大丈夫じゃ。ではな。」
長老が、指を鳴らすと一瞬にしてその場所が違う風景になり、長老とエリスさんは消えてしまう。もちろん里も消えてしまった。
「おぬしらは試されている。わかるな。そして、決して死に急ぐな。そういうことじゃ。」
メアは、やれやれと言った表情で周囲を見渡す。方角的には西の方を目指すのがたぶん良いのでしょうか?考えている途中で、思いついたようにメアは、トンと地面を蹴って垂直に飛ぶ。どのくらいの高さまで飛び上がったのだろうか、目のピントを調節して山あいにある集落を発見した。上昇する勢いは止まり、落下を始め、地面に到着する。ものすごい地響きと共に。
メアは、そこからスカートを少しだけたくし上げて、先ほど見つけた集落に向けて走り出す。とてつもないスピードだ、途中で横の方に道が見えたので、そこに移動して、そこからは、少しスピードを落とした。
「ご主人様の作ってくれたこの服は、本当にすごいですね。」
うれしそうに独り言をつぶやき、その集落に到着した。
「ここはどこでしょうか。」
メイド服のような普段見慣れない怪しい服を着た女が突然現れ、道を尋ねてきたら、さすがに困惑をしてしまった集落の人々。それでも、この集落の名前、この道の先の大きい町などを教えてくれた。
「ありがとうございます。」
メアは、いつも通りスカートの裾をつかんで、軽くお辞儀をしてそこを去った。というより走り去ったのだが、きっと消えたように見えたのだろう。集落の人達は、ポカーンとそこに佇んでいた。
そこからの帰り道は、魔力の回復と走るペースとを調整しながらになったので割とゆっくりしていた。当然、魔獣や獣、盗賊にも遭遇している。
魔獣が自分を追いかけてきた時に逃げ切ろうとしたが、商隊に追いついてしまい、やむなく助けたこともあった。
「魔獣が来たぞ」
商隊の後ろを進んでいた者がメアと魔獣を見て叫ぶ。
「ああ、これは失礼、私を追いかけてきた魔獣が貴方たちに襲いかかりそうです。」
「え?あんた、そのメイド服。どこから来た。」
「そのような些末な話は、今はよろしいです。」
商隊の最後尾にメアは立って、魔獣を迎える。
「一人では無理だ、どけ。」
馬車を止め、男達は、メアのところに走ってきた。
「貴方たちのほうこそ邪魔です。」
商隊の人たちが武器を手に陣形を組み始めたのでメアは、その陣形の中央から飛び出し、向かってくる魔獣に対し突っ込んでいく。
「無茶だ」
「やめろ」
その声を聞きながらもメアは魔獣に突っ込んでいく。両手をまるで球を持つように構え、そこに発生した球体状の雷を回しながら走っている。
魔獣は四つ足で突進しながら、間合いに入ったと思ったのか体をさらに丸めるようにして突っ込んでくる。その頭部にメアは、手の中の雷の玉をぶつけるように当てる。
一瞬光が炸裂し、メアは、その魔獣の肩の上に乗っかった。勢いがついた獣がそのまま走り続けようとしたが、頭が破裂して、跡形も無くなっていて、数歩進んだところで倒れる。
「今のは魔法なのか。」
陣形を組んでいた男達は、呆然とみている。
「申し訳ありません。先を急ぎますので、この魔獣はこのままにしていきます。よろしいですか?」
「ああ、かまわない。どうしてそんなに急いでるのか?」
「はい、用事を終えてご主人様のところに戻る途中です。速やかに報告をして、普段の仕事に戻らなければなりませんので。」
「そうか気をつけて」
「こちらの不始末で、魔獣を引き寄せてしまい申し訳ありませんでした。」
「いや、それはあなたが片付けてくれたので問題にもならない。むしろありがとう。」
「それでは、失礼します。」
メアは、スカートの裾を待ち上げお辞儀をするとその場から走り去る。
「一体何だったんだ。あれは」
「尋常じゃ無い身体能力と魔法を使うメイド服の女なんているのか。」
「そういえば、風の噂で聞いたイギリス風メイド服のホムンクルスではないのか?」
「いや、その話は、都市伝説みたいなものだろう?まさか」
「そうだよなあ。その噂では、8人で行動していると聞いている。単独で行動などするものなのか。」
「でも、ご主人様のところに戻る途中と言っていたよな。」
「ああ、用事を終えて戻ると言っていたが、まさか。噂のマジシャンズセブンの一人なのか?」
「嫌なものを見たぜ、その一団を見たものは、かならず死ぬらしいからな。」
「そうなのか?」
「探そうとするな、見るな、考えるな。と言われている。実際に探しに行った者は行方不明になっていると噂になっているからなあ。」
「今回は大丈夫だろうなあ。」
「全員じゃ無いから大丈夫だろう」
「まったく、変な噂がはやっていますねえ。」
メアは、走りながら、その会話を聞いていた。
そして何個かの集落を抜けて、ある町にさしかかった時に一時意識がとぎれ、その町を通りすぎた後、意識が回復していた。しかし、メアは当然そのことに気付いていない。
そして、また数個の集落を越えて、見知った街、城塞都市の街に到着した。そこまでで数泊の野宿をしていたメアは、魔力の補給のため宿屋で寝ることにした。野宿では、警戒のためにあまり回復できなかったからだ。
「さて、寝ましょうか。」
2つの部屋を借りて、片方には、灯りをつけたまま、片方は暗くしておき、さらに、見つからないように部屋を出て、馬小屋に行って干し草の中で寝ています。
「パムさんに教えてもらった方法ですが大丈夫でしょうか。」
そうして、翌朝、暗い部屋の方のベッドには、刃物傷のある枕や毛布が散らかっていました。
「なるほど、こういうこともあるのですね。」
メアは、感心してうなずいてしまいました。
「さて、どうやって私の動向を知ったのかはわかりませんが、ここからは、こちらのターンですね。」
そうして、その街を出て、今度は、周囲を警戒しながらゆっくりと走り始める。しばらくは何も無かったのですが、街をかなりすぎた頃に自分の周りに数人、気配を殺さず移動しているのがわかりました。
草原を見つけそこに入って行きます。当然周りの人たちも適当な間隔を置いて後ろから現れました。
「なぜ私をつけ回しますか。」
立ち止まって周囲の人に声を掛ける。
「それはなあ、金品を奪うためだよ。」
「残念ながらお金はほとんど持ち合わせてはいませんよ。」
「ああ、あんた自身に価値はあるだろう。」
「どういう意味でしょうか。」
「あんたホムンクルスなんだろう。この世界に1体しか無い」
「この世界に1体かどうかはしりませんが、確かにホムンクルスですね。」
「ならすごい価値があるじゃないか。」
「私の所有者はすでに決まっています。残念ですがお引き取りください。」
「所有者が誰だって、盗まれたら終わりだろう?」
「ああ、そういうことですか。貴方たちは泥棒なんですね。でも、貴方たちでは、私を捕まえるのは役不足ですよ。」
「そうだな、だが、この人達ならどうだい?」
そう言って人を呼ぶ。2人の獣人と魔族が現れる。
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「なるほど、私を捕まえるという報酬がどれだけかはしりませんが、報酬に見合うだけの価値が私にあると思いますか?」
「そりゃあ、相手がそう思っているんだろう」
「貴方たちは、私を捕まえて連れて行くことが、その報酬に見合うだけの価値があると思いますか」
「捕まえて連れて行くだけなのにかなり報酬だからなあ、得だとしか言えないな。」
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「さあなあ、それなりに抵抗するかもしれないが、割に合わないかどうかは、あんた次第だろう。」
「そうですか。どうしても私を捕まえますか。」
「静かに捕まってくれるとありがたいがね」
「それは、無理です。私は急いでご主人様のところに帰りたいので。」
メアは、人間の方に向き、その男に向かって走り出そうとする。
「おっとそれは出来ないぜ。」
獣人に手を捕まれる。
「離しなさい。」
捕まれた腕を軸にして獣人を簡単に投げ落とす。しかし、獣人は腕を離していない。
「体術か何かかい?さすがだな、でも甘い。」
獣人は、そこからメアの腕を決めようとするが、メアが力を込め獣人の腕が折れる音がする。そして、腕があらぬ方向に向いている。
「あ?」
獣人は、何が起こったかわからないまま倒れている。メアは、獣人の握っている手を振りほどく。
「さて、どうしますか。」
周囲を見渡すメア
「いや、まだだ」
倒れている獣人が折れていない手を軸にして頭部を狙って蹴りを繰り出す。しかしメアは、その脚を捕まえその勢いのまま地面にたたきつける。
「殺すなとの命令でしたので手加減していますが、次は首をへし折りますよ。」
獣人は、泡を吹いて体をけいれんさせている。
「・・・」
息継ぎの音が聞こえた瞬間、魔族がメアの頭を鷲づかみにして持ち上げる。
「この野郎、ダチに何しやがった。」
メキメキと頭が悲鳴を上げている。
「あなたのような粗野な者がダチというなら、この獣人もたいしたことありませんね」
そう言うとメアは、頭をつかんでいる魔獣の手首をつかみ、一瞬で握りつぶす。
「うがあ」
魔族は、腕を放し、握りつぶされた腕を抱えている。
「お尋ねします。貴方たちは、その報酬が、私を捕まえるのに見合った報酬だと思いますか?」
「それはな、これで終わるからだ。」
背後から近づいた男は、持っていたロープをメアに投げつけ、ロープはメアを縛り付ける。
「まあ、捕まえてしまえばそれまでさ、そのロープは魔法で強化されていて力を入れれば入れるほど強く縛り付ける。無理するとどんどん体に食い込んでいく。無理しない方が身のためだぞ。」
「魔法を使っているのですか。わざわざ教えてくれてありがとうございます。」そうしてメアは少しだけ体を動かす。
「だから無理するなと言っているだろう。もがけば体に食い込むぞ無理するな。」
魔族が潰された腕が回復してきたのか立ち上がってこちらに近づいてくる。同じように獣人も立ち上がってくる。
「よくもやってくれたな。礼をしなければな。」
「おや、縄に縛られた者に暴力を振るいますか。本当にクズですね。」
「抜かせ」そう言って殴ろうとする魔族だったが、メアは紙一重でかわす。
「おい、抑えていろ。」
獣人にそう告げる。
「次、俺な」
そう言って、獣人はメアの両肩を後ろから押さえつける。メアはため息をついてこう言った。
「ご主人様は、人間は、度しがたいと言っておりましたが、魔族や獣人も腐っている者は腐っていますね。」
「抜かせ」
さっきと同じセリフを吐いて魔獣は殴りかかった。メアは、肩など押さえられていない風に肩を回してそれを避ける。
「おまえ、ちゃんと抑えておけ」
「いや、そのつもりだが・・・」
「魔獣も獣人も考える知能が足りていませんね」
そう言ってメアは、縛られたまま魔族のすねに蹴りを入れる。鈍い音と共に脚が折れる。さすがに体を支えられず膝をつく。その様子を見た獣人は、とっさにメアの軸足を蹴るが、びくともしない。
「体が動いているじゃねえか。」
そう言いながら魔族はメアをにらみつける。メアは、体勢を変えて、魔族と獣人と距離を取り、2人を視界に入る位置に立つ。
「これが魔法ですか?」
メアはそう言うと、腕に力を込めてロープを引きちぎる。
「魔法が効いてない?」
「最初は効いていましたけど、私が吸い取りました。」
「そんなことが出来るのか。」
魔族は立ち上がりながら言った。
「私では無く、私の愛するご主人様が作ってくれたこの服が、ですが」
そうしてメアは、ちょっとうれしそうにしている。
「さて、殺すなとの命令ですから殺しませんが、このまま続けますか。」
「ああもちろんさ、ここまでも想定内だからな。」
魔族はにやりと口の端を上げ、合図をする。周囲にいた者達が詠唱を始め、メアの回りに電撃の檻のようなものが作られる。メアはそれに触ろうとする。
「おっと、触って黒焦げになられてもこっちが困る。触るなよ。だが、それは、徐々に狭まりお前の周囲ギリギリまで取り囲む。俺たちは、それをそのまま持って行くって寸法さ。」
術者達は、詠唱を終えて近づいてくる。人数は5人。
「でも、この魔法を維持するのに魔力は供給されなければならないと思いますが。」
「大丈夫だ、詠唱の段階で魔力量は十分蓄積されている。」
「そうですか。安心しました。術者に影響は出ないのですね。」
「どういうことだ?」
「こういうことです。」
メアは、スカートから取り出した、くないを自分の周囲に5点打ち込み魔法を詠唱する。すると電撃の檻は一瞬にしてかき消える。
「さて、それではあなたかあなたに残ってもらいましょう。」メアは、魔族と獣人をそれぞれ指名した。そして最初に声を掛けてきた人間に向かって
「人間は、ちょっと拷問しただけですぐ死んでしまいますので、手を出さないようにします。」
「な、何をする気だ」
「貴方たちを雇った者の正体を知りたいですね。」
「いや、何も知らねえ」
魔族の声に獣人もその男もうなづいている。
「では、まず」
メアはそう言って、周囲にいた魔法使い達を昏倒させる。その間に逃げようとする魔族や獣人をくないを投げ、足の甲や、手のひらを刺して牽制している。
「さて、あと3人」
動こうとしても動けずにいる3人に近づく。
「ひえええ」
人間の男が耐えられず動いた。メアはすかさず近づき蹴り飛ばし、その隙に逃げようとした獣人の足を狙って、今度はナイフを投げ、見事アキレス腱を切り裂き、すでに距離の開いた魔族には雷撃を打ち込む。
獣人は、それでも這って逃げようとしている。
「逃がしませんよ。」
「本当に知らないんだ。」
「誰が知っているんですか」
「あの人間が話を持ってきた。」
「嘘だったら容赦しませんよ。」メアはそう言って、もう片方の足のアキレス腱を切る
「本当だ信じてくれ。」
「しばらくそうしていなさい。」メアはそう言って、今度は魔族に近づく。倒れていて肌の焦げる匂いはするものの生きている。
「いっそ殺してくれ。」
「殺すのは簡単ですが、情報を手に入れるまでは死んで欲しくないですね。」
回復しかけている両肩の焦げた皮膚を手で握り潰す。
「ぐあああああああああ」さすがに魔族も痛いらしい。
「さて、依頼主は誰ですか。教えてください。」
「知らない。」
「誰が知っていますか。」
「たぶんあの男も知らない。」
「どうしてそう思いますか。」
「持ってきた時の様子が変だった。ただ、前金で報酬の半分はもらっていたから仕事は受けた。」
「そうですか。半金ですか。」
「もうわかった。もう手は出さない。これで勘弁してくれ。」
「本当は、殺したいくらいですが、ご主人様の命令ですので残念ですが殺せません。でも、死にたいと思わせるくらい何度も痛い目に遭わせたいのですが急ぎますのでやめておきます。」
「頼む、お願いだ。」
「そう思うなら、心を改めて普通に働きなさい。人間と獣人と魔族が仲良く暮らしているところもあるのですから。おとなしく生活していれば、きっと良いことがありますよ。」
「ああ、わかった心を入れ替える。だから」
「だから殺さないと言っているでしょう。聞いていましたか。そこの草の影に潜んでいる人。」
メアは、立ち上がり高い灌木の側に視線を向ける。
「いつから知っていたんですか?人が悪いですねえ。」
そう言って茂みの中から人間と思われる男が立ち上がる。この世界では珍しいスリーピースのスーツを着ている。顔はいわゆるイケメンだ。
「遠くから見ていて、私が魔法使い達を倒して手が離せない時にそこに移動しましたよね」
「そこまで気付かれていましたか。私もまだまだですね。」
「この者達を痛めつければ出てくると思いましたが、出てきませんでしたね。もしかして私の誘拐を依頼した方ですか」
「残念ながら私ではありません。まあ、強いて言えば仲介者と言うところですか。」
「ならば、依頼主を知っていると言うことですね。」
「ここで戦うのは意味の無いことです。やめておきませんか。私を殺したりすると、あなたの立場が危なくなりますよ。一応私も人間ですし、名の知れた者です。死んだことを知ればどこかが動き出しますから。」
「なるほど、どこかの国が私を欲しがっていると言うのですね。」
「違いますよ。あくまで個人です。でも、無理そうなので諦めます。」
「やはりあなたが依頼主ですか。」
「ああ、誤解をさせる言い方ですね。依頼主を説得して諦めさせるということです。」
「やはり依頼主を知っていますね。」
「だから、私は死んでも答えません。拷問を始めたら私は死を選びます。だから諦めてください。と言っています。」
「わかりました。ご主人様に報告します。」
「残念ですが、この顔に意味はありませんよ。探しても無理です。」
そう言って違う顔に変化させた。
「ならば、先ほどの名の知れた者というのに信憑性が無くなりますね。」
「うまく説明しづらいですが、顔と名前は一致しないのですよ。その名前の者がここに来ている事実。そして、死体が見つかると言う事実があれば、それが真実です。」
「わかりました。ご主人様にそう伝えます。敵が正体を現したと。」
「敵では無いんですがねえ。むしろ貴方たちの協力者なのですが、ここで説明したら余計混乱するでしょうから。」
「わかりました。それでは失礼します。」
「そこで引いてくれるとは、やはり優秀なメイドは、雰囲気を読みますねえ。」
「では、」
「また」
そして、メアはその場から去った。
「今の見たろう? 皆さんでは、到底太刀打ちできないことを。」
そう言ってその男はその場からかき消えた。
「気配が一瞬で消えた?」
メアは、少し離れたところで立ち止まって気配を伺っていた。追ってくるかもしれないと思ったからだ。しかし、不意に気配が消えた。とりあえず用心しながら、でも、急いで我が家に向かった。
「この服の魔法吸収能力はさらに向上されている。今に空中にある魔力まで吸い取るのではないのでしょうか。」
メアは、そう考えながら走っている。
途中、できるだけ休憩を取らないように走りたいのだが、どうしても眠らないではいられなくなる。私の体は、そういう仕組みになっているらしく、自分ではどうにもならない。本来は、ホムンクルスだから不眠不休で動けるはずなのに休憩するようスイッチが入り、その間は意識がなくなる。意識がなくなると、隙が出来ることになるため、どうしてもその前に睡眠を取るようにしなければならない。どうやら先代のご主人様のプログラムらしい。
そんなことを改めて考えながら、見覚えのある道に近づく。ああ、もうすぐだ。と思った瞬間、地響きと少し遅れて轟音がした。見上げると空に光の柱が一瞬見えて小さくなっていった。これはまずいと判断し、いきなりトップスピードで駆け出し、魔力切れも気にする余裕も無く家に向かってメアは走り続ける。
続く
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