巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第19話 初めてのお使い

第19-8話 新しい種族

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「パム、その子のそばについていて、というか寝ちゃっていたわね。」
「はい、よほど疲れていたのでしょうね。私が背負って森に入ります。」
「その子には申し訳ないけど、建物の位置については、パムの意見が重要なのよ。」
「そこは承知しております。」
「しかし、何度見てもこれはひどい有様ですねえ。」
 私は、家の周囲にあいたクレーターをしげしげと見る。
「それよりもあれだけの攻撃を受けて、良く家が無事であったなあ。すごい防御魔法じゃな」
「それはもう、すべての属性に耐性をつけるためにそれぞれの属性の防御魔法を何重にもかけましたからねえ。」
「そんなことは、不可能であろう。水属性の上に炎属性を重ねてかけるなど属性同士で反発して、最後にかけた魔法だけしか有効にならないであろうが。」
「魔法の上に重ねがけしなければ良いのですよ。その間に一層だけ薄い膜を挟んで、その壁に次の属性を重ねていきました」
「それでは、最初の攻撃で炎属性に防御できても次の氷属性の魔法をぶつけられたら、効果が無くなってしまうではないか。」
「なので、数百ものいろいろな属性の魔法の層を重ねていって、どんな攻撃にもたえるようにしていますよ。」
「それでも、ここに落ちてきたのは、聖属性の光の攻撃に見えましたけど」
アンジーがさらっと冷たい目で言いました。
「そうでしたか。むしろそれは、研究の成果が発揮されて良かったです。」
「しかし、これまで聖属性の攻撃など見ておらんだろう。」
「ええ、アンジーの治癒やあの国で光になってあの豊穣の天使のところに行ったりしていたのを見まして、それを解析させていただきました。そこで聖属性の綺麗な鏡で反射しながら、それでも通過しようとする攻撃を次に汚染されたものに攻撃させて相殺すれば良いのではと考えました。あと全属性すべて魔力を変換して、シールドの強化にリサイクルをしましたねえ」
「なるほどねえ、そんなに簡単ではないでしょう。」
「確かに、光のエネルギーを周囲に逃がす方法でしたから。まあ、家の周囲に攻撃の跡が残っているのはあたりまえですねえ。」
「でもあの時は、家からかなり離れていた私たちにも衝撃が伝わってくるほどの攻撃でしたよ。」
「ああ、圧力とかは、家に直接影響しないように魔法の結界から直接、地下にある耐震構造材に衝撃が加わるようにしてありましたから大丈夫だったんですね、きっと。」
「家を建てた時にはそんなもの作らなかったではないか。」
「まあ、家を建てた時は、皆さんと一緒に作っていましたが、地下室にこもったときに、ふと、迷いの森の時のような攻撃をされたら、地下にいる私は安全でも、みんなの住んでいる家は跡形もなく吹き飛ぶなあと考えてしまいまして、」
「あの時期、毎日のようにねぼけて朝起きてきたのってこれのためだったの。」
「それだけではないですよ。まあ、まっさきに手はつけましたねえ。」
「ああ、あんたって人は。私が毎日起こしに行ってさんざん怒っていたのがバカみたいじゃないの。その時にちゃんと言っておいてよ。」
「まあ、そればかりに手をつけていたわけではありませんから。いくつかの研究と並行していましたし、実際の作業はその後でしたから。」
「まあ、先見の明はあったな」
「嫌な予感ほどよくあたりますからねえ。にしてもこんな大惨事になるとは思いませんでしたよ。」
「家は無事じゃがなあ。」
「これでは、野中の一軒家ですよ。魔法防御が完璧でも、物理攻撃でいつでも襲ってくださいと言っているようなものです。」
「では、家を森の中に少しだけ動かしておきましょうか。」
「でもどの方向に動かすのよ。二度手間になりそうじゃない?」
「このまま放置して森に入るのもどうかと思いますよ。」
「道沿いに町から遠くなる方に移動しましょう」ユーリが言った。
「やっぱりそうなるわよねえ。」
「道沿いに歩きましょう。ほどよくカーブしている道の先にあって、反対側の山あいに監視できそうな崖があるところですね」
「まあ、元魔王の時は、その罠が使えたからなあ。」
「この辺ですかねえ。」しばらく歩いて右カーブを抜けたところに林があった。
「パムどうじゃ。」
「はい、反対側の山あいがいい感じだと思います。ちょっと行ってきます。」
「こども・・・背負ったままか。まあいいけど。大丈夫かあの速度。」
しばらくすると、反対側の崖の上から手を振っています。
『聞こえますか。ここからは、みなさんがはっきり見えます。かがんでみますね』
かがんだパムは、草に隠れて見えなくなりました。
『ああ、見えなくなりましたよ』
『問題ありませんね。では、戻ります。』しばらく待っているとパムが戻ってくる。
「もどりました。あの場所は非常にいい感じです。反対側からの見通しも良く、普通の間者ならあそこで監視を行うでしょう。」
「ふむ、ならば束石を置こうか。」
「メアさんお願いします。」
「方角は、前回と同じにしますか。少しだけ方角が変わっていますが。」
「扉の正面が崖の方に向いていれば、多少角度が変わってもいいと思います。」
「あと~厩舎に陽が入るところに作られるなら大丈夫じゃないですかね~」
「了解しました。この辺ですね。」メアが地面に×をつけていく。
「メアすごい記憶力じゃな。」
「それが私の能力ですから。褒められましても困ります。」
「次に、地下室の穴を開けましょう。メアさん大体の位置がわかりますか」
「もちろんです。」続けて足でその位置に穴を開けていく。
「掘った土は、地下室の埋め戻しに使いますので、捨てないようにしてください。」
「では、」メアがつけた地下室の×の範囲をパム、ユーリ、特にレイがうれしそうに土を掘っている。パムとユーリは、そんなレイを見て手を止めて見ている。はしゃぎすぎていて我を忘れて掘っていて、手を出すとケガさせてしまいそうだった。
「うれしそうですねえ」
「獣の本能なのでしょうか」パムがしげしげと見ている。
レイがハッと我に返り周囲を見回した。急におとなしくなり作業スピードが落ちる。
「レイ、端の方はいいから中央はガンガン掘ってください。」
「はい」そしてレイは、再び地面を掘り進む。
「意外に深くて、大きかったのじゃな」
「作ってから拡張しましたので」
「寝てる間であろう?そんな騒音しなかったが、」
「いやまああはは。」
「どうせ魔法で遮音シールドとか振動遮断シールドとか構築しておったのであろう」
「モーラ様ご慧眼です。私は手伝っておりましたのでよく知っております。」メアが突っ込む。
「メアさ~ん。ばらさないでって、言ってたじゃないですか。」
「まあ、あんたのやることなんで別にいいけど。」
「でもすごいです」とユーリ
「気付かなかったとは。不覚です。」パムがへこんでいる
「私は2階だったからわかりませんでしたね~」
「最初は、一番近かった私でさえわからなかったのですから仕方がありません。」
「本当に、頼むから土のドラゴンであるわしの立場を危うくするな。」
「実は、特にモーラには、わからないように、念入りにシールド張っていましたからしかたないですよ。」
「にしてもなあ。」
「あ、モーラ様がガチでへこんでます~」
「しょげてます」
「めずらしいわ、本当にへこんでるわね」
「そんなモーラも可愛いですね」私はつい言葉にしてしまいました。
「!!」
「モーラ様赤くなってます~」
「おや、デレ期来ましたか」
「デレ期ってなんですか」
「お主らわしで遊ぶな」
 そうやって赤い顔を見せないよう下を向いて、腕がプルプル震えている姿も可愛いですねえ。
『頼むからもう勘弁してくれ』
『おや、私の心の声がダダ漏れでしたねえ』
『旦那様~いじわる~』
『レディにその態度はいけません』
『追い打ちかけない方がよろしいかと』
『ええっ私が悪いのですか?』
「そのほうが丸く収まるからよ。」
「やはり、親方様は、ヒエラルヒーの最下層なんですね」
「とほほ」
 土まみれのレイが頭をなでろと寄ってきましたが、土だらけなのでそっと頭をなでる。期待していたなで方と違って、レイは残念そうだ。
 そうこうしているうちに少しだけ穴掘りが終了した。
「深く掘るのはモーラにお願いしましょうか。」本来穴掘りは、深さに応じて掘削範囲が広がるのですが、束石の位置がわからなくなるので、かなり手前で掘るのをやめている。
「うむ、どうせお主のシールドを使って束石まで届かぬようにするのであろう?多少大雑把でもいいのであろうが。」
「まあそうなんですが、私も土の中にシールドを張れませんので、あまり大雑把にやられると困りますよ。」
「しかたないのう」そう言って私の手を取り掘った穴の中心に降りる。
「かなり深いのう。」
「ええ、私の作業が皆さんの安眠に影響しないよう3mくらいは掘りましたからねえ。」
私は、周囲を見渡して、地上の束石の近くにシールドの壁を穴の周辺に作って位置を示す。
「あのシールドから垂直に土を切り取れば良いのじゃな。」
「はい、取り除いた土はどうしますか。」
「中央に盛り上がらせるか。」
「私たちの立っているところにですか。」
「ああ、大丈夫じゃ汚れはせん。少し集中するから声を掛けるな。」
 モーラは、周囲を見回し、手を大地につけて、目を閉じた。静かな地鳴りと共にシールドの位置に沿って土が崩落して綺麗な切断面が現れる。それと同時に私たちが立っている土が隆起していく。
「こんなもんかなあ」
「さすがですねえ。感動して思わず抱きしめたくなりましたよ。」私はそう言って思わず抱きしめそうになる。
「おぬしよせ、よさんか。」2人とも体勢を崩して倒れて土だらけになる。
「まったく、無感動かと思えば、衝動的にこんなことをしおって。服が汚れたではないか。」
「すいません。」
 私は立ち上がり、モーラの手を取って立ち上がらせ、モーラの服の土を叩いて落とす。モーラも私の見えない部分の土を叩いて落とす。
「この土はどうするのじゃ」
「外に出さないといけませんね。」
「ふむ」モーラは、何事もないかのようにその土の隆起を元に戻した。そして、私の手を取り、浮かび上がり、穴の外に出る。近くに土が隆起した場所ができている。
「さすがねえ」
 アンジーがそばに来て服の汚れを綺麗にしている。そんなこともできるのですか。
「ついでだから、ほら」アンジーは私の服も綺麗にしてくれた。
「ありがとうございます。」
「さて準備はできました。家に戻りましょう。」メアさんが声を掛ける。
「すでに夕暮れが近いですねえ。」私はつぶやく
「このまま作業を続けるのは無理ですか。」
「灯りがあればできそうですけど、」
 そんな時にパムが背負っていた子が起きたようだ。状況がわからずパムの背中から降りたがっている。パムはかがんでその子を降ろした。落ち着いたのかパムを質問攻めにしている。お互いカタコトでなかなか会話が進まないようだ。
「一度、家に戻って今日はあきらめましょう。」
「ここは、どうしますか?」
「私が、蓋をします。危ないですからね。」
私はそう言って、一帯にシールドを張る。さらに風を起こして、レイが掘った土を巻き上げてその上にかぶせる。
 その姿を不思議そうに見ていたその子は、パムに何か大きな声で話している。
『何かまずいことしましたかねえ。』
『襲われた時にも同じような事が起こったみたいで、ぬし様が犯人ではないのかと言っているようです。違うと話して、あなたを助けたと言っているのですが、伝わっているかどうか』
「そうですか。」私は、その子に近づく。その子は、私に強い敵意を向けてくる。
「私は、あなたを助けました。その私が、なぜ、あなたの、家族を、殺したと、思いますか?」
 その子は驚いている。パムも驚いている。
「ぬし様話せるのですか?」
「いいえ、あなた達の会話を聞いていて、断片的な言葉からこうではないかと」
「そういえば、最初に私と出会って話をした時に私が単語を教えていったら、少しだけ会話ができるようになったわね。」
「ええ、あの時は、この世界の言語体系と私の日本語と比較して解析していきました。」
「そういう能力を持っているのか」
「持っています。でも、今まで忘れていたくらいですからねえ。使い方も忘れていましたよ」
「石の組成やら、空気の組成やら何でも解析するのじゃなあ。今度は言語か」
「これまで皆さんとお話ししていても使わない能力ですからねえ。この世界の言語は、天界で発生して、人界、魔族、エルフ族など他種族に伝播されてほとんど同じ言語を使っていますから。この子のような独自の言語体系を持っている種族は初めてなのですよ。」
「つまり、この子は、この世界におけるイレギュラーということか?」
「私が知っているいくつかの地方言語ですから、私たちの使っている言語には共通する部分があります。他種族と交流がなく独自の発展をしたのでしょう。」パムが言った
「そうですね、パムの言うとおりです。わかったとしても驚くようなことでもないですよ。」
「小難しい話はそこまでにしてください。この子が困っています。」
「まあ、今日は客間に泊めてやれ。アンジーいいな。」
「これから町に連れて行っても準備が大変そうね。私は、これから町に行って来るわ。この子の受け入れのための準備をしてきます。」
「私もこの子を連れて一緒について言って良いですか。」
「ああ、そうね。その方がいいわね。」
「私も同行します。家には保存食しか残っていませんので、食材を買いに参りたいのです。」
 そうして、4人は、そこから歩いて町に向かう。
「それでは、一度家に戻りましょう。」
「どうせ、家までは同じ道ですからそこまで一緒にいけばよかったのではありませんか。」
「わしらの頭を冷やさせるためであろう。ドワーフのパムとしても気になるところであろう。」
「私が連れてきておいて今更ですが、人族ではないのですね。」
「ああ、本来なら言語をあやつらない魔獣だな。」
「言語を持つ魔獣ですか。」
「ゴブリン、オークに近いのであろうが、南の方は未開地が多いのでなあ、独自に進化したのではないか。」
「倒れていた場所はわかっていますから、明日、あの子を連れて行ってきましょう。」
「のう、これから行ってこないか。」
「そうですねえ。そうしますか。」
「では、ちょっと行ってきますね。」
「私も行きます~」
「他にも誰か倒れていたら困るからなあ。そうじゃな。わしの手に乗れ」
「僕も行きます。」とレイも行きたがる。
「なるほど、鼻を生かして探してもらいますか。災害救助犬ですねえ。」
「僕は残って留守番しています。この機に乗じて襲撃する者が出ないとも限りませんので。」
「ユーリ頼みましたよ」
「はい」
「連絡は取れるようにしてあります。あと、危険になったらペンダントを使って逃げてくださいね。」
「はい」
そうして、モーラの手にエルフィとレイと共に乗り、ユーリを置いて
「おぬしも別々に行動することができたようじゃな。」
「今回のひとり旅でいろいろ考えました。特に私が家族離れできなかっただけだというのを思い知らされましたし。」
「ほう、そうだったのか」
「私ひとりでは何もできない。みんなに依存して暮らしていたとよくわかりました。その、独りは寂しかったんです。」
「みんなそうでしたよ~」
「はい、寂しかったのです。でも、それだけに帰ってきた時に皆さんに会えてうれしさが倍増しました。でも家が・・・」
「まあなあ。家はなんともなかったからよしとしてくれ」
「モーラ、この辺です。砂漠とオアシスの境界あたり。ああ、たいまつが見えます。あの子を探しているのでしょうか」
「一度降りて説明してこい。その間にわしが連れてくるわ」
「わかりました。」
私は、エルフィとレイと共に空から飛び降り、砂漠に降り立った。たいまつの火を持った男に近づく。
「誰かを探しているのか」私は頭の中に浮かんだ言葉を大きな声でゆっくりとしゃべる。
すると、その男は、私に気付きたいまつの火を近づけ私の顔を見る。怒りと恐れとで周りの者達の元に駆けていく。
「怯えていませんか~」
「確かにそう見えますねえ。」私はゆっくりとその人達の元に近づいていく。両手を万歳のように手をあげて害意のないことを示しながら。
「お前は、皆殺しに来たのか」
「私は、何もしていません。ここには、初めて来ました。」
「おまえのような姿の者が巨大な獣を使って私たちを襲ってきた。」
「それは、私ではありません。」
 周囲を囲んでいる者達が私とエルフィ、レイを指さして何か盛んに話している。
「わかった。多分違うのだろう。だが、ここに突然現れたのはなぜだ。」
「瀕死の子どもを助けたのですが、他に助けの必要な者がいないか見に来た。」
「子どもだと?」
「ああ、もうじきその子を連れてくる。」
『モーラ、どうですか?』
『まもなく到着するわ』
『ここは、誰かの縄張りですか?』
『ああ、確かにそうだが、たぶん攻撃してこないじゃろう。それがどうした。』
『到着したら姿を現して、その子を降ろしてもらえませんか。』
『ああ、そうか。わかった』
「まもなくドラゴンがその子を連れてくる。元気になっている。ただし独りだけだ。」
「またせたな」空から声がする。その者達はみんな空を見上げるが、何も見えない。そこで不可視化の魔法を解いてモーラが現れる。砂煙を上げて地上に降り立ち、その手の中に子どもと、アンジー、パム、メア、ユーリも一緒に来た。
その子は、飛び降りるようにモーラの手から降りて、その人達の元に駆けだしていく。
「やっぱりそうだったんですねえ」
「あそこで手当だけしていればここまで大きな問題にはならなかったのでは?」
「確かに」
「さて、戻りますか」
「私の用は済んだ。それでは失礼します。」そう言って、モーラの手に乗ろうと歩き出すと。
「お待ちください。ぜひお礼を」
「その子は私たちに巻き込まれただけです。お礼を言われる類いのものではない。むしろお詫びしなければならない。」
「お詫びにケガをしている人がいれば直しますよ~」ああ、エルフィ余計な事を。
「でも、それくらいはしてあげてもいいかもしれませんよ。捜索までさせているのですから~」
「まあ、確かになあ」モーラはドラゴンからいつもの姿に戻った。
「しかたないわねえ」アンジーもパムを連れてその人達の中に入っていき、けが人を探し初めた。
「おお、ドラゴンが子どもを助けてくれて、さらには、その仲間達がケガを治してくれるのか。」
「レイ、獲物を探してきましょう。今夜の夕食を」ユーリがレイを見る。
「ユーリさん行きますか。」獣化してユーリを乗せて走り出し、森の中に入っていく。
『どうやら今回のこの騒動は、誰かが砂漠に出現させたサンドワームによるものらしいです。それを倒してください。』とパムが言った。
『わかりました。レイ、方向転換です。大きさはどのくらいですか?』レイが跳躍して空中で反転して着地をしてそこから再び走り出す。ユーリはしがみついたままだ。
『話によるとかなりでかいです。』
『わかりました。さてどうやっておびき出しましょうか。』
『近づいていくと顔を出すみたいですよ。』
『わかりました。砂漠の中央ですね。』言い終わらないうちに砂から顔を出すサンドワーム。大きいといっても直径は、人を丸呑みにできるくらいの大きさだ。
『これくらいなら大丈夫そうです。レイもういいですよ。』
『この砂はまずいです。止まってしまうと埋まります。』
『流砂ですか。仕方ないですね。ごめん背中に足をかけるね』
『はい、大丈夫ですか?』
『飛んでこちらに注意を引きつけます。レイは、そのまま走り続けて一撃を入れてください。』
ユーリは、魔法を使って、雷撃を何発かレイの着ているつなぎに打ち込む。淡く光りだしたところで落ちないようにかがんで立ち上がり、大剣を両手に構える。さらに近づきサンドワームがユーリに向かってかみつこうと首を動かした時にユーリは飛び跳ねてサンドワームの頭の上まで飛んだ。それに合わせてサンドワームも頭を上げる。ユーリが滞空して降下し始めた時にレイが帯電した魔法をサンドワームに打ち込む。サンドワームが一瞬止まったところにユーリが剣に魔法を付加して、剣の長さを数倍にしてその頭部を割るように切った。剣はサンドワームの頭から胴体までを真っ二つにしながら切り進む。地上までサンドワームを切り進み、地上に降りた。流砂はすでに止まり。レイが横にきたので、ユーリはその頭をなでる。
「ではこれから料理の時間です。」メアとパム、それにモーラが、サンドワームの死体に近づき、手を合わせて拝んだ後、パムが死体を大雑把に切りわけ、それをモーラとパムが砂漠の端まで持ってきて。そこで調理が始まる。
「あんたの好きなみんなで晩ご飯よ」
治療が終わったのかアンジーとエルフィが近づいてくる。においにつられてその人達も寄ってくる。
私達は、焼けたその肉を食べて見せるが、あまり近づいてこない。
 周囲の人達は、私たちを指さして口々に叫んでいる。
「あの化け物を倒し、しかもそれを食すとは。すごい人達だ。」
 あの子がにおいにつられて私たちの所に来る。パムが食べて見せて、そのまねをしてその子が食べる。その皿を持って、たぶん家族のところに持って行った。恐る恐る食べる家族、しかしおいしかったのか奪い合うように食べている。
 私は、こっちに来いと合図をしたところ、みんな一斉にこちらに来て、焼けた肉を欲しがった。パムが順番に並ぶように指示をすると一列に並んでいる。なんかほのぼのとしていていいなあと感じました。
 言葉が通じなくても食べておいしいのは共通言語だ。わからないままに私の家族とその人達はコミュニケーションを取っている。ユーリとレイは倒した時のことをジェスチャーで褒められているようだ。
「ぬし様。どうやら、あのサンドワームをあの砂漠に放ったのは、ぬし様と同じような格好の者だったようです。あの子は、それを見てしまったために殺されそうになったようで、その時にぬし様が現れたため立ち去ったようです。その子は、容貌が似ていたので仲間だと勘違いしたようですね。」
「なるほど、そういうことでしたか。でもあんなに大きい生き物なのですか」
「実はあのような大きさではないのです。ドワーフ村の砂漠にもいますが、そうです。ぬし様の頭の中のイメージのみみずと同じくらいの大きさです。ただ、動物を砂の中に引き込むことはしますので、小動物などを食していますね。」
「ここのワームは、肉食なんですか。この世界の生態系はかなりおかしいですが、そうなのですねえ。」
そのワームの頭の部分だけでも、そこにいた部族の人たちが食べても十分余るくらいの肉があり、パムとメアがその体を引きずりあげたのだが、全長50メートルはありそうだった。
食事をしながら話をしてみたが、その部族は、魔族の範疇になるのか、よくわからなかった。もちろん魔族との接触も無いそうで、小規模な集落を作って森の中で暮らしているといい、主に狩猟により生計を立てているらしい。食事の終わった者から、ワームを干し肉にしようと解体を始めている。
 帰りは、その種族に見送られながら、モーラの手に乗って帰ってきました。

『そういえば、今回の親書の件、すまなかったな。』モーラが突然話し始めました。
『今回は、天界の方でしょ?』
『まあ4分の1はなあ。』
『4分の1ですか?ガブリエル・・・ドラゴンの里、魔法使いの里、現魔王ですか』
『そうなるか。』
『一体何をしたかったのですか。』
『まあ、帰って風呂に入りながらでも話そうか。みんなの旅の話も聞きたいしなあ。』
『そうですねえ。私の旅はこれといって何も無かったですからねえ。』

  続く
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