巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第21話 三国騒(争)乱

第21-10話 大団円?

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 風の逆巻く雲の中を何かが飛んでいる。もちろん不可視化したモーラですが。
『結局しゃしゃり出てしまいました。反省しないと。』
『あと、ご主人様の演技は迫真過ぎて、みんなどんよりとなっていますよ。』
 とメアが言った。確かにみんな元気がない。
『いや、話に入る前にここからは演技しますからって念を押しておいたのですが、それに会話中も心の中でちゃんと叫んでいたでしょう?』
『にしてもおぬしの言葉には力があるのう。おぬしの言う言霊という奴か』
『たしかにねえ、ちょっと意味は違うけどそんな感じよねえ。』
『にしても、ぬし様それからモーラ様アンジー様。ご慧眼です。私の浅薄なる思考など及びもつきませんでした。』
『いや、これまでもパムから色々な情報をもらっていたから導き出せた結論なのよ。だからあなたの調査がなければ成立しなかったの。感謝しているわ。』
『しかし、操られたとはうかつでした。』
『あれは魔法ではなく話術ですからねえ。慣れるしかないのですよ。』と私
『しかし、反対に操るとかおぬしもようやるわ』
『ああ、メアさん。あの男の言うことなんか気にしないでくださいね。あなたは正真正銘のホムンクルスですから。』
『ええ、そうなんですけど、やはり気になります。』
『まあ、あやつもあのような捨て台詞でもしないと格好がつかなかったのじゃろう』
『いるじゃない?同族に嫉妬する奴って。お前は本当のホムンクルスではないって』
『あ~私言われましたよ~本当のエルフじゃないって~あれってイライラしますよね~負け惜しみって言うか~』
『おう、そうじゃな。』
 そうして、家に戻って大きいテーブルでくつろぐ。
「そういえば町にはこのままの姿で行っても良いのよねえ」
「たぶん勇者会議の開催が宣伝されて使節団も間者もいなくなっているはずですが。」
「なら、居酒屋行かない?」
「いきた~い」
「僕も行きたいです。」
「僕も~」
「メアさんどうしますか」
「ええ、食材がほとんどありませんので。誰がこんなに食い散らかしましたか。」
 そう言ってメアさんはため息をつく。私とモーラとレイとエルフィがお互いに指を差し合いました。
「やれやれ、では居酒屋へ行きましょう。」
 メアが号令をかける。
「「「「「「お~」」」」」」残る全員が手を上げる。どこぞの海賊団ですか。
 夕暮れだからか町までの道もほとんど人通りがない。
「最近ゆっくり町まで行っていませんでしたねえ。」
「そうね、女装したりね。」
「汚いローブの子どもは連れていませんでしたが。」そこですかさずスネを蹴りますか。
「やっぱり平和って良いですねえ。」
「戦争は嫌よねえ」
「まったくじゃ」
 そうして町に近づくと道がかなり町の反対側に曲げられていて、町の外に壁を作る工事が始まっていた。
「今回の戦争の件で危機感が出てしまったのね。」
「まあ、ここまで戦禍が伸びるとは思っていなかったでしょうけど、防衛策は必要ですからねえ。」
「気持ちがすさんできているようで、少し寂しいわね」
 工事中の入り口を抜けて中に入る。中は普段のままだが、人は多い。
「さて、いつもの居酒屋に・・・」
 居酒屋のある場所に行ってみると、居酒屋は閉鎖され、そこには「移転しました」と書かれた紙が貼られていて移転先の地図も描いてあった。その地図を頼りに行ってみると、一回り大きな居酒屋になっていた。
「久しぶりだねえ。あんた達の席は一番奥のテーブルだ。空けて待っていたよ。」
「どうしてですか?」
「なんか村長が・・ああ町長がね。きっと顔出すだろうから空けておけってね。」
「町長に格上げですか。」
「みんながねえ。この町を大きくするのに村長じゃダメだろうと言って、今度から町長、町の長と呼ぶことにしたのさ。」
「なるほど、それでは私はちょっと町長に就任のお祝いの挨拶に行ってきますね。」
「そうか、ではわしも・・・」とモーラが言いかけると全員が立ち上がった。
「おやおや、仲のよろしいことで。席はそのまま空けておくから、とっとと帰ってくるんだよ。みんな待ってるから」と居酒屋の女将が言った。
 私達は全員で町長のところに向かう。なぜか無言だ。
 そうして、町長の家に着く。いつもなら人がごった返しているはずなのに静かだ。ノックをして扉をあける。誰もいないように見えたが、奥の机に人影があった。
「町長さんですか。」そう私が声をかけると部屋の壁にあるたいまつに火がついた。
「おお、あんたか。しかも全員でとは珍しい。何かあったかな。」
 いつもの口調だが顔は暗くて見えない。しかも炎のゆらぎのおかげで顔に影が出来てなにやら怪しい雰囲気だ。
「あの、町長に就任されたそうで。お祝いは後日お持ちしますが、今日は挨拶だけと思いまして、就任おめでとうございます。」
 私がそう言って全員でお辞儀をする。
「そうか、やはりめでたいことなのかのう。ありがとう。」
「孤児院の件は、いろいろと取り計らっていただきありがとうございます。いつも忙しくてこうして改まってお礼を言うのが遅くなってすいませんでした。」
「それと~今回のエルフの件もお世話してくれてありがとうございました~」
「僕も獣人族の件ありがとうございました。」
「傭兵団を僕の元に送り出してくれて、しかも物資も提供していただいたと聞いております。ありがとうございました。」
「皆さん村長・・いえ町長さんにお世話になっていたんですね。私からもうちの家族がお世話になりありがとうございます。」
「おぬしは良いのう。良い家族に恵まれて。うらやましいぞ。さて、お祝いだけではなかろう。聞きたいのじゃろう?どうしてわしが居酒屋の席を予約したのか。」
「はい、もしかして何かご存じなのでしょうか。」パムが真っ先に尋ねた。
「なにも知らぬよ。大概、大事件があった時には、おぬしらが居酒屋に行くのでなあ、今回も勇者会議とやらがあったであろう?だからきっとそういう時に居酒屋を利用するのではないかと思っただけじゃ。最近食材を買っている風でもなかったのでなあ。」
「そうでしたか。すいません変な勘ぐりをして。」
「わしがそう思って女将に言ったのでなあ。それは、申し訳ないことをした。しかし、この世界。急ぎすぎじゃな。」
「なにがでしょうか。」
「おぬし達が悪いわけではないし、むしろしかたなく巻き込まれているだけなのじゃろうが、こうやっておぬし達の伝手で、エルフや獣人とともに暮らすようになり、町が一回り大きくなろうとしている。わしが思っていたよりもこの町の発展が早すぎるのじゃ。急な発展は、終わりも早いようなそんな気がしてなあ。不安なのじゃよ。」
「私としては、この町に迷惑をかけるつもりはありません。」
「ああ、すまん。そう言う意味で言ったのではない。単なる老人の愚痴じゃ。歳を取るとどうしても時間の流れる早さや時代の流れについて行けなくてなあ不安になるのじゃ」
「・・・・」
「それと前にも言ったであろう。おぬし達を迷惑とは思っていないし、町の住民じゃ何かあったら頼れと。じゃから何でも言うてくれ。頼られたら協力する。それでお互い助け合って暮らしていける。そうじゃな。」
「ありがとうございます。」
「この町が大きくなってもこれからもよろしく頼むよ。」
「はい。」
「ああ、この家も移すことになってなあ。最後くらいひとりで座っていたので不気味じゃったろう。それも悪かったのう」
「住み慣れた家ならなおのこと、寂しいでしょうに。それでも引っ越されますか。」
「ああ、この辺はみんな区画整理の対象になっておる。わしが移らねば、そのままみんな住んでいたいであろう。わしが動くと言ったからみんなは、渋々でも動いてくれることになったのだよ。」
「あの~移しましょうか~?」とエルフィがおずおずと手を上げる。
「そうじゃなあ。できるなら希望者の家だけでも移してもらえるかのう。費用はあまり出せないが。」
「わかりました~では責任者の方と明日でも話しますね~」
「すまないなあ。またおぬしの家族に手伝ってもらって。」
「ここの町の一員ですから。」
「ああ、そうじゃったな。」
「では、また明日。ここにいらっしゃいますか。」
「関係者は酒場にいるであろうから、話しておいてくれ。明日はここで話をしよう。」
「ラジャー」そう言って敬礼をする。
「ラジャー」そう言って村長は真似をして敬礼した。
 そして、私達は村長の家を出る。異様に静かなモーラとアンジー。その雰囲気にみんな静かだ。唯一エルフィだけうれしそうだ。
『どうしましたかモーラ、アンジー』
『今、村長のさっきの言葉を思い出しながら検証しておる。』
『でも、齟齬がないのよ。普通の人なのよね。考えすぎだったかしら。』
『2人とも~考えすぎですよ~』
『確かになあ。たまたま勘が当たった程度なのじゃよ。』
『そうなのよ。これまでも単に手際が良いだけなのよね。先回りがうまい・・ああ、先見の明があるというやつなのかしら。』
『ですが、急すぎるとは』とパムが気にしている。
『その一言がこの疑念につながるのよねえ。違和感をわざと持たせられたと感じるわねえ。』
『まあ、わしらを騙せるほどの者ならわしらが考えても無駄じゃ。』
『まあ、そうなんだけどねえ。』
『おや、モーラ様もアンジー様もこの世界で1位2位を争う賢者様でしょうに。』
『わしらなんか子どもの浅知恵じゃ。もっと上がぎょうさんいるわ。』
『ぎょうさんって、変な言葉覚えましたね。』
『ああ、つい面白がって使っているが中途半端な言語じゃな。』
『私、その地方の人じゃないので使いどころのニュアンスが微妙なんですよ』
「さあ着きましたよ」
 店内は、さきほど違ってすでにごった返している。私達が入ると
「よう久しぶり。ユーリ。やっと戻ってこられたんだなあ。最近見なかったから、死だんじゃないかと気になっていたよ。怪我してないか?」
「エルフィは、居酒屋にも来られないほど忙しかったものなあ」
「パム、旅はどうだった。ま、何か面白い話を聞かせてくれよ。」
 そうやって私達のテーブルに残ったのはメアとモーラ、アンジーだけだった。レイでさえ獣人族のグループが来ていてそちらに拉致されている。
「なんか、いいですねえ。」
「ああそうじゃな。」
「本当にそう思うわ。」
「はい、そのとおりでございます。」
 そうして静かにノンアルコールの発泡酒を飲んでいると、扉が開いて、
「あーいたいた。センセー。」
 4人の女の子が入ってくる。あっけにとられている男どもを無視して一目散にこちらに近づいてくる。
「おや、君たち、子ども達の世話は大丈夫なんですか?」
「はい、代わりの人にお願いしてきました。」
「ああそうですか、ではお座りなさい。何か飲み物でも。」
「あたし麦の酒」
「私ジュース」
「私も」
「ロックで」
「おやおや、大人気ね。」アンジーが冷やかしていくる
「先生、私炎の火力調節できるようになりました。見てください。」
「あの」
「水、凍らせますね~」
「重力制御します。見てください。」
「あの~君たち、私が魔法使いなのは皆さんに内緒なのですよ。」
「なにを言っているんですか。皆さん知っていて黙ってるだけなんですよ。あ、言っちゃった。これせんせーには秘密でした。」
「はいはい、そこまでね、魔法はここでは使ってはいけませんよ。それは、こいつが来週教えに行った時に披露してね。」
 アンジーナイスフォローです。
「は~い」
「それと、その両腕にしがみついている2人と背中にぶら下がっている人、今から逆襲されるわよ」
「え?」
「それは私達のです。渡しません。」そう言ってユーリがその子を引き剥がしにかかる。
「なんでですか、私が隣にいてもいいじゃないですか。」
「だからくっつかないでください、」
「そうです~私達のものです~」
 そう言って背中にいた子を引き剥がそうとエルフィが引っ張る。
「痛いです首が絞まります。モーラ助けて。」
「ふん、どうせ鼻の下伸ばして先生しておったのじゃろう。想像できるわ」
「そんなことないですよ。教えてくれる時は結構厳しかったんですよ。って、なにこの子。牙むき出しにして。怖い~」
 牙をむき出しにしてうなって威嚇しているレイ。さらにしがみつくその子。
「はいはい、あんたたち静かにしようね。居酒屋はベタベタするところではなくて酒を飲むところだからね。楽しく飲もう・・・ね!」女将が気迫のこもった「ね」を言うと。すごすごと離れて、女将に促されてカウンターの方に移った。
「いつもは良い子達なんですけどねえ。」
 そう言いながらため息をつくと、両腕にレイとユーリがしがみついている。あと肩に胸を乗せているエルフィ。
「あ~ラクチン~」しばらくそうしていると、またエルフィを呼ぶ声がした。
「さあ、充填完了~」そう言ってまた他の席に向かう。ユーリもレイも安心したのか他の席に戻っていった。すかさず、モーラとアンジーが両脇を占領する。
「ご主人様、大人気ですねえ。」
「前の世界ではもてなかった・・・と思うんですけどねえ。」
「やはり記憶が戻っておるな。いつからじゃ。」
「もういいですかねえ。一度死にかけた時ですね。ただ、そこからほころびが解け始めた感じでまだ全部じゃないんですよ。」
「私は、もう何もしていないから、あとは本人次第のはずなんだけど。まだダメなのねえ」
「意識がなくなると解除して行くみたいですよ、ほら風呂場でエルフィがダイブしてきた時も少し戻りましたから。」
「それなら、わしらの記憶を残したまま記憶が戻りそうじゃなあ。」
「そう願いたいです。」
  そうして楽しい宴会は終わり、家路につく。相変わらずエルフィは、私の背中を占領している。両手にはユーリとアンジーが腕にしがみついていて、レイが走って行っては戻ってくるを繰り返して私を見ます。だからそれでは犬ですって。
「良い町じゃなあ。」先を歩いているモーラとパム
「そうですね。」とパム
 私の横、少し前の方にメアがいて私の方をたまに見ながら歩いています。
 私は、ついうれしくなって、こう叫びました。
「みんな大好きで~す」
「だからそういうことは恥ずかしいから叫ぶなと言っておるじゃろう。」
 モーラは立ち止まって私が追いついた時に私のすねを蹴る。アンジーが殴ろうとしてきたのは、つないだ手でブロックしたのですが、さすがにモーラの攻撃はかわせませんでした。
「そこで首を絞めないでねエルフィ。」
「恥ずかしいです~」
「だったら降りろ、わしが代わりに肩車してもらうから。」
「あ、僕もお願いします。」ユーリもですか。
「あんたは、私達の間抜け時空発生装置なんだから諦めなさい。」
「はいはい、道具でしたねえ。」
「帰ったら風呂に入って寝るか。」
「モーラはお酒飲んだから隔離です。」
「なんでじゃ。」
「いびきがひどいから。」
「そうなのか。まあ、飲んだまま寝るのは幸せなんじゃが、しようがない代謝を上げて・・・」
「お酒を飲んだままお風呂に入るとさらに幸せですよ。」メアがモーラにささやく。
「おう、それは楽しみじゃ。」
 そうして歩いていると、以前あった家のクレーターが見え始める。
「やっぱり草くらい生やしておこうかのう。」
「でも、生えてきていますよ。ほら」
 この星明かりしかない夜にそれが見えますか、皆さんすごいですね。ああ、私とユーリは見えませんねえ。
「到着~」結局私の背中から降りなかったエルフィが声を上げ、私の背中から降りました。
 そしてみんなで風呂に入ります。
「確かにほろ酔いで入る風呂はいいのう。眠くなってくる。」
「ドラゴンが居眠りして溺死するのは見たくないですねえ。」
「ニャンだと。わしがそんなことになるわけなかろう~ぐぅ」
「本当だ。溺死しそうですねえ。」
 出来損ないの水死体のように浮かんでいます。ちょっと全裸で浮くのはねえ、マナー違反ですよ。周囲を見るとエルフィもメアもパムも眠そうです。
「さあ、ちょっと早いですけど風呂を上がって寝ますよ。」
 私は、そう言って、眠そうなパムにはユーリが、エルフィにはレイがサポートして、ふらふらしているメアはアンジーがフォローしてモーラは私が抱えて風呂場から出て、バスタオルで拭き、寝間着に着替えさせて髪を乾かして、部屋に連れて行く。
 私は、面倒を見ていたみんなの分の冷たい牛乳を用意して居間のテーブルに座った。
 最初にアンジーが、そしてレイ、ユーリの順に居間に入ってくる。コップを渡していつもの席に座る。いつもの席にすわると、お互いが離れている感じがする。
「このメンバーは、珍しいわね。」
「もう少し近くに来ませんか?」私がそう言うと両脇にアンジーとユーリ私の股の所にレイが座る。そうブラッシングのブラシを持参して。しかたなく獣化したレイのブラッシングをしながら私はこう聞いた。
「ユーリは、どうでしたか。安心しましたか。」
「はい、あそこにずーっといなければならなくなるのではと不安になりましたが帰ってこられて良かったです。」
「アンジーは、どうでした。」
「ここまでになるとは思っていなかったけど良い経験だったわ。」
「良い経験ですか。」
「いろいろ持っている魔法も使えたし魔法も憶えたし、後から思い返すと結構楽しかったわ」
「レイはどうですか?おや、もう寝ている」
「レイなら最初から寝てたわよ。」
「そうでしたか。良い夢を見ているのでしょうか幸せそうですねえ。」
「ねえ聞いて良い?」
「なんでしょうか。」
「本当に隷属したままなのよね。」
「はい本当です。現に脳内会話できていたでしょう?どうしたのですか」
「あの時、フェイクとは言え隷属を解除したじゃない。あの時に憶えた喪失感は、やけにリアルだったのよ。」
「そうですよ。あれは本当に隷属が切れたと錯覚しました。」とユーリ
「ああ、それは本当ですよ。だって前に言ったじゃないですか。あなた達が操られて解除した時に後悔しないようにダミーを一枚かけてあるって。」
「そういえば、そう言っていましたね。」安心したようにユーリが言った。
「と言うことは、今は一つ目の隷属だけなの?」
「いえ、申し訳ありませんが、かけ直してあります。今回みたいな魔法ではない術を使われるとやっかいなので。」
「でも、私とユーリは、今知ってしまったわ。だから意味ないんじゃないの」
「それはちゃんと考えていますよ。安心してください。」
「あの時の絶望感は二度と味わいたくないのよ。パムが正式の隷従の儀式をした時にそう言っていたけれど。こんなに絶望的な感覚になるとは思わなくてね。正直、怖いのよ、二度とごめんだわ。」
「はい、僕もそう思います。でも、きっとあるじ様を嫌いになったり、いやいや隷属している人には違って感じるのかもしれませんね。」
「ああそうなのかもね。嫌いになれば良いんだ。」
「それは、今度は私がプレッシャーですねえ。では寝ましょうか。」
 私が、そーっと立ち上がろうとすると、アンジーとユーリがコップを片付けてくれて、私はそのままレイの部屋にまさしく置きにいった。しかし、アンジーもユーリも自分の部屋に戻ろうとしない。
「一緒に寝ましょうか。」
 2人は恥ずかしそうにうなずきその日は3人で眠った。とても心地よい眠りでした。両腕はしびれましたけどね。

 翌日からは普通の生活に戻りました。ああ、一週間後くらいにエリスさんから呼び出しはありましたけど。

 エリスさんから来るようにと式神が飛んできました。
「こんにちは、エリスさんどうしました。」
私はモーラとアンジーとメアと共に薬屋を訪ねた。そこには怒った顔のエリスがいました。
「どうしたもこうしたもないわよ。やってくれたわね。」
「なにをですか。」
「薬草よ。」
「何か問題でも?」
「薬草の有効期間、短すぎるでしょう。」
「いや、最初から言っていましたよねえ。短いって。」
「にしても最初の納品のものは、乾燥が不十分なだけって言っていたわよねえ。」
「はい。」
「なのに有効期間が1ヶ月ってどういうことなの。」
「そうでしたか。でも、市民の皆さんのけがには十分だったでしょ?」
「そうね確かに間に合ったわ。ほとんど必要がないくらいだったのね。だから結構残ったのよ。」
「そうでしょうねえ。今回の戦争ではほとんどけが人が出ていませんでしたから。かなり大量に残ったでしょうねえ。」
「予想していたのね、戦争終結時期が早まるって。だからあんな短期間に」
「そんなわけないでしょう。その2週間後にはちゃんと納めたじゃないですか。」
「まだ、しらを切るのね。」
「しらを切るもなにも効果はあまりない、保存期間もあまりないけど良いかって、ちゃんと確認しましたよねえ。」
「確かにそう言ったわ。でも、1年以上も保存可能な薬が期間を短縮しただけで1ヶ月くらいしか持たなくなるわけ。」
「普通の葉っぱだって乾燥期間が短ければ枯れてしまいますよ」
「まあそうねえ。そう言っておくわ。」
「のうエリスや、おぬしも商売人じゃ、どうせ大量に買い付けて、冒険者とかに売りつけようとしていたのではないのか?」
「今回は魔法使いの里からの依頼だからそれはないわね」ちょっと焦っていませんか?
「まあ、わしらからの買値が4倍とかいっておったから、市民に回した分の残りは10倍の値段をつけて冒険者に売って分け前は半々ってところかのう。」
「あら鋭いわね。そのつもりだったわ。」
「結局そんなに使わずに済んでウハウハと思ったらすぐに薬効が切れて売れなくなったという事じゃな。」
「まあ、そう言うことなのだけれど。お願い。今回使った分は4倍で良いから使わなかった部分の料金は勘弁して。」
「ずうずうしいのう。さておぬしどうする。」
「それって使わなかった分はどう判断するんですか。使えなかった分をちゃんと返してくれないと使った分なんてわからないじゃないですか。なのでちゃんと戻って来た分はお金いりませんよ。」
「それでいいの?」
「本当はエリスさんが困っているのでしょう?」
「実はねえ、返品しろと里からは言ってきているのよ。使った分は5倍で里が買ってくれたから利益でたけど返品で丸損なのよ。」
「仕方ありませんねえ。今回だけですよ。」
「さっそく在庫分確認するわ。明日で良いかしら。」
「大丈夫ですよ。では」
「ありがとう、ありがとう、恩に着るわ」
 そうして私達は店を出た。
「あいつは相変わらずじゃのう。本当に目先の事しか見えん。」
「そうなのねえ。今の話だけど、実は在庫は自分で管理して、魔法使いの里に小分けで渡していた感じよねえ。」
「ああ、その間にバレないと思って冒険者に売ってクレームつけられたのではないかな。」
「だから儲からないのよ。」
「して、おぬしも細工していたじゃろう。」
「細工はしていませんよ。納期が短くて品質を保証できないのは本当でしたし。その辺のノウハウがなかったのでどう魔法で調整すれば良いかわからなかったのですよ。本当は3ヶ月くらい持つようにしたかったんですがねえ。効能の持続にばかり目が行って、そこにはあまり配慮しなかったんですよねえ。」
「なるほど結果オーライじゃな」
「でもそれって、作ろうと思えば有効期間1年の薬も作れるわけでしょ。」
「常備薬をうたっているのに1年で交換とかあり得ませんよ。どこの薬販売業者ですか。」
「おぬしは本当にバカじゃなあ。主に褒め言葉としてだが。」
「そうね、これじゃあお金持ちになれないわねえ。」
「薬で悪評は立てたくないですよ。売れなくなったら困ります」
「はいはいそうね」
「そうじゃな」

 そうして、この一件も無事終わった・・・はずです。
 ああ、そうでした、勇者会議の開催が決まった時に子ども達は親が迎えに来まして、孤児院の人からたっぷりとお説教されて、受入期間の費用の請求書を持たされたそうです。



 Appendix
「うふふふ。あっちの方が一枚上手でしたねえ。さすがこの世界の頭脳ナンバーワンとナンバーツーを擁する異世界の魔法使いだけのことはありますね。でも、考えたのは本人らしいですよ。え?こんな幼稚な案は、一度想定したけどすぐに捨てたっていうんですか。馬鹿すぎて頭の良い私では対応できないって。あなたが連れてきたんじゃないですか。世をはかなんで自殺したんだから恨みもすごいだろうと思ったって。ああ、人というのは扱いが難しいですね本当に」



  - 続く -

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