3 / 25
第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」
第1話(Bパート)
しおりを挟む「あ、あのちょっと」
困惑するアイリス
男の唐突な意味不明…というかほぼ小説内で主人公が絶対に言っちゃいけない発言は、一言だけでは止まらない
「大体ザコ敵倒してボス戦になって、それも苦労してボス戦やったのよ?
なのに何で急に変な敵出てきて一瞬にして強キャラ感出して一撃で主役倒しちまって挙句の果てにはグロ表現とか大概にしろよマジで」
『ちょっ一旦ストップ!!カメラ止めて!!』
「ド、ドロォ……」
『ほら敵もめっちゃ困惑してんじゃん!!』
「怪人も困惑するんだ…」
大分お茶の間には到底出せないレベルで【第三の壁的なアレ】の件で説教をしだす謎の男に、流石のアイリスもストップコール
「大体序盤でいきなりメインキャラが脱落決定な魔法少女とかとかそれもどうなんだよ、そんなマm…何とかさんじゃないんだから」
『言っちゃってる言っちゃってるから、色々と怒られるって!!』
「鬱ってる魔法少女ものなんてもう腐る程あんだよ、時代は平和なPルートなんだよ」
『やめろっつってんだろォ!!』
(なんだこれ…)
初登場してまだ五千文字にも達していないというのにこの時点でもう厄介極まりない人物という事が手に取った様に分かりまくる
この正体不明&シリアスブレイカーな男は本当に何者なのだろうか
「んだよ、まだ言い足りないってのに」
『いやもういい!!もうお腹いっぱいだから!!
というか割とかないさん瀕死なんでせめて助けてくんないッスか!?』
そんなツッコミどころ満載の男にアイリスの怒涛のツッコミが冴え渡る
「大丈夫大丈夫後でザ〇リクかけとくから」
『結局一回死んでんじゃねーか!!』
だが、ここでアイリスは何かおかしな事に気がついた
(…うん?何かおかしいッス
何で私、かないさんの頭の中にしか語りかけてないのにあの男と会話出来てるんスか?)
確かにアイリスは未だかないの脳内に直接声をぶち込んでいる様なもの、なのに何故あの男は今そのアイリスの声を返した…いや返せたのか
謎の男の正体は益々深まるばかり
「兎に角だ、もうこういう事無いように気をつけろよ?全く…」
『急に出てきて世界観ぶち壊してくれたアンタが言うな!!てかコッチもわざわざ好きでやられてる訳じゃ…』
「ドロオォオオッッ!!!!」
と、そんな茶番劇の様な魔法少女達との会話に遂に痺れを切らしたのか、怪人が冷静だったさっきとは打って変わって激しく声を張り上げた
そして力み始めるモンスター、そのオーラは更に膨れ上がり周りの空気を圧する
『っ何スかアレは、まだ本気じゃ無かったんスか…!?』
「んだよ、R18Gの次はヤサイ人のパクリかぁ?」
『だからいい加減にやめロッテ』
それを間近で見ても尚余裕気な姿を全く隠す事すら見せないヘッドホン男、とそれとは正反対にメッチャクチャ焦りまくるアイリス
「…ドォ、ッロォオーーーー!!」
そして片足で踏み出し男に向かって突っ込んでいった
勿論速度は音速じみていて既に生物が出す様なスピードでは無いもの、一般人はおろか手負いとはいえ魔法少女でさえも反応が難しい
『しまっ…避けるッス、えっと…何かそこの男の人ォーッ!!』
「ッ…………!!」
何て呼べば良いのか分からないから結局適当な呼び方である、がそれでも結構必死に襲われそうな男に警告せんと叫んだ
「オオオオーーーーッ!!!!」
強く禍々しいオーラを纏い怪人は男に向かって身体ごと突っ込んでいき、勢いそのままに回し蹴りを繰り出し顔を消し飛ばそうとする
実際コレを直撃したら一般人は勿論の事、魔法少女も只では済まないだろう
だが君達は忘れてはいないだろうか
この男が紛れも無い、チート野郎だという事を
「さっきからうるせっ」
「ヴォッ…」
さり気なく自然な動きでモンスターの顔に手をクリーンヒットさせ、大きな破裂音を周りに響かせる
『えっ』
一応の反撃にただの軽い平手打ち、やった本人はそのつもりだったのだろう
が、食らった怪人は頭部が根元からパァンと軽快な音を立てて消し飛び、そのまますっ飛んでいった体を残して行方不明になった
「…まぁうん、よし!!」
『いやよしじゃねーよ何今の!?』
倒した本人である正からしたら何てことの無いいつも通りのパターンなのだろうが初見の上に間近で目撃した方からしたらもうコメディすら通り越してホラーでしか無い、R18って人の事言えねぇじゃねえかと言いたい位には
だが実際、怪人らしき人型のモンスターの体は首から先が完全に神隠しになって断面すらスッパリと綺麗になっておりそれでいて遠目でなくともまるで見るも無残な人の死体のシルエットの様だ、吐き気こそはしないものの少なくとも見ていて気分の良いものでは無いだろう
「さて、と
一先ず邪魔虫も駆除したし、コイツを休ませる場所にでも連れてくぞ」
『…えっ、あ、ちょっ!!』
あっけにとられてボーっとしていたアイリスをそっちのけに男は既に重症であるかないをそっと慎重に抱きかかえ、そのまま何処かへとそそくさ気味に歩きだして行った
二十歳過ぎたと思われる大の男が女子中学生をお姫様抱っこ、絵面が完全に犯罪である
『ど、何処に行くんスか!?休む場所って…」
と、そんな男を引き留めようと声をかけながらアイリスは一体何処に向かうのかを聞いた
すると男は悪気も何も無いキョトンとした顔でサラリとこう答えた
「え、何処って…あーまぁ一応安全な
俺んちっつーか住んでるアパートにでも」
『』
訂正、絵面ではなくガチもんの犯罪者もとい誘拐犯でした
「おいコラ表出ろナレーター」
ーーーーーーーーーー
そしてあんな事があってから数時間後…
「…はうぁっ!?」
「あ、やっと起きたッス」
かないは思い出した様に目を覚ましベッドから勢い良く飛び起きた
「うぅん…ココハドコ、ワタシハダレ…?」
「開幕ボケかます余裕はある様ッスね、おはようございまッス」
「って、アイリス?」
翌々見ると飛び起きたかないの側には何やら羽の生えた水色の髪の女の小人が居た、どうやらこの子が頭の中で魔法少女に語りかけていたアイリスという人物の正体の様だ
アイリスは何やら水が入った桶にタオルを入れて何かジャブジャブやってる
「何で此処に…痛っ!!」
「おっと無理して起き上がらないで下さいッス、ほらちゃんと寝て安静に」
「悪かったわね怪我人で…って、アレ?そういえば…」
痛がるかないをそっと倒し毛布を被せておとなしくさせるアイリス、とここでかないがこの時の一番の違和感に気づき始めた
そして少しだけ考え間を置いた後に一気にまた起き上がり騒ぎ出す
「…そうだそうだ思い出した!!アイリス、あのあと一体どうなったの!?あの得体のしれない魔怪人は、倒れてた女の人とそばに隠れてたあの女の子は!?
てかよく見たら見慣れないベッドといいここ何処だァ!?あの後マジで何が」
「安静にしろっつってんだろーがこの暴れ馬!!」
「エンッッ!!!!」
そんな完全にパニック状態のかないが暴れだしたところにアイリスが急降下からの腹に全力エルボー、かなり深く刺さってこれは見るからに痛いってかどう考えても怪我人にする事じゃない
「お、おまっ…それ怪我人にする技じゃっ…!!」
「怪我人なら怪我人らしくさっさとおとなしく寝てろッス、そんなに取り乱さなくても私がちゃんと一から教えるッスよ」
「うーっす…」
そう言ってふぅとため息をつきながらアイリスは水に浸していたタオルをかないのデコにペタリと置いて近くのテーブルの上に座った
「…あの後結構面倒だったんスよ、あの男の人は覚えてるッスか?」
「男の人…?うーん、気を失う前に居た様な…」
「そこからッスか、まー落ち着いてってか心して聞くッスよ」
アイリスは取り敢えず男が現れたところから魔怪人の末路とかのアレコレを説明した
「何それ怖い」
「ですよね」
そりゃそうなるでしょうよ、意味不明でしょうよ
「いや何なのその嫌な性格のメタいア〇パンマン、ニチアサ魔法少女もののアニメには色々とアウトなキャラだと思うんだけど」
「物凄く正論で同意見なんスけどその主人公がそういう事言っちゃ駄目ッス」
今コレを読んでいる全ての読者の皆さん、こういうアウトな人達の事をメタ要因もとい常識完全無視する人と言います
「で、その後に私が急いでかないさんの元に駆けつけて、結局男の人とかないさんの看病する事になっちゃったんスよ」
「成程、って事は此処って…」
「勿論あの男の住処となっておりますッス」
どう考えてもにっこり笑顔言う事では無いのだが、どう考えてもニチアサじゃなくても変態としてネタにされると思うのだが
「…絵面からして犯罪感が凄い、というか下手したら私そういう目的で」
「するか能天気、俺のストライクゾーンはクーデレ一筋だ」
「いや知らねぇよお前の性癖なんて!!」
出てきて開幕の性癖暴露する男にかないのツッコミが冴え渡る、だがその当の本人はまるで応えていないかの様にヘラヘラと笑っていた
「んだよ酷ぇな、助けた大恩人を変態扱いか?」
「自分で大恩人って言っちゃうのか…
あっいやまぁその…でもそれに関しては確かに助かったわ、ありがとう」
「最初からそういや良いんだ、どういたしましてぇーっと」
若干腹立つ言い方で嫌なニヤつき様の顔で一応ではあるが快い返事は貰ったかない
と、そんな時舌の根も乾かぬうちにヘッドホン男がまた喋りだした
「…で、君ら何よあんな街のど真ん中で変なきったねぇスライムと無双アクションしてて巨人も倒してあんなのとも戦おうとして、おたくら魔法少女なのは分かったけど何なの?」
そういえば自己紹介忘れてたという顔をしながらかないとアイリスが顔を並べる
「そういや言うの忘れてたわ
…って、そういえば何で私達が魔法少女ってのが分かったの?何かコッチの言っちゃいけない事も言ってた…ってかすかに記憶にあるんだけど」
「いや恰好だろ、メタ発言は…何か突っ込まなきゃいけないって電波が」
「わぁ前者その通りだけど後者聞いてもわけわかめ」
そのネタを知っている人が今この世にどれだけいるのだろう
と、そんなどうでも良い事はさておいてかないが半ばふざけながらツッコミ返していると、呆れながらも素直に会話を聞いていたアイリスが口を開いた
「ま、まぁこの人が何なのかは兎も角かないさんと私の正体が何なのかって事ッスよね?それならこの私が僭越ながらなるべく簡潔に説明をさせてもらうッス」
「因みにこっからフェードアウトして回想的なアレに入ります」
「だからそういう事言うなと何度言えばッス…」
ーーーー
ほんの、100年程度前の話
この現実世界とはまた別の【フレッシュランド】という妖精界なる世界が存在し、【妖精族】という羽の生えた小人の様な生物が住んでました
彼等は小さいながらも人と同じ知能を持ち、また【魔力】という人間には備わっていない特殊な能力をその身に宿していました
そしてその妖精達はある時まではとても楽しく華やかに、平和に暮らしていました
ある時までは
そんな平和な世界に【怪人】と名乗る怪物達が突如として現れました
怪人達は世界を荒らし回り色々なものを破壊し侵略してしまいます、小人達を吹き飛ばし住処を壊す等それはもう酷く残虐でした
勿論妖精族の皆も始めは魔力なる力で応戦していましたが結局戦力の差は埋められず、あっという間に蹴散らされてしまいました
そして怪人達は最後に、妖精族の秘宝を奪い去って行ってしまいました
その秘宝とは妖精族に永くとてもとても永く伝え隠されていた一族の誇りとも言える大切な魔法の杖、ひとたび振るってしまえば例えどんな願いでも叶うものです
秘宝と同じ位に大切な自分たちの世界と妖精の誇りを失ってしまった一族は悲しみにくれました
いずれ、あの杖で悲劇が起きてしまうものだと
しかしある一人の妖精が打ちひしがれていた皆にある事を言い始めました、「まだ秘宝が使われたわけじゃない、希望を捨てないで!!」と
実は魔法の杖は妖精にしか持たない魔力の力、それも妖精族全体にも及ぶ程の膨大な量を集めなければ使用出来ないものなのです
つまり妖精達の魔力がある限り杖が使われる事は無いのです
とはいえ魔法の杖には魔力を探知したりするという力も備わっている、いずれあの怪物共が気づくのも時間の問題だと妖精達は思いました
そこで妖精達は全員の魔力を集めて現実世界にいる正しい心を持った人間達に自分達の力を託し現実世界にも手を伸ばそうとする怪人達を倒してもらおうと考えました
人間…それも曲がらぬ正義の心の持ち主であり魔力の源である正の感情が多感な思春期の女の子は、妖精の魔力ととても相性が良く自分達よりもずっと強大な敵を倒すのにはうってつけなのです
かくして妖精族は全員の力を一人の妖精に託して人間界に送り込み、二人の女の子に力を与え【魔法少女】として協力する事になりました
結果を言えばその後魔法少女と妖精族は苦しい戦いの末に怪人のボスである【悪魔王】を倒し、世界を平和にする事が出来ました
肝心の魔法の杖は結局戦いの途中で時空の彼方へと消えてしまいましたが、妖精族はそれでも世界の平和を祝い悲しむものはおりませんでした
かくして魔法少女と怪人の戦いは終わりを告げました
…と、思っていたのですが
その100年後…今で言うつい最近の事、悪魔王が居なくなり全て消えてしまった筈の怪人が現実世界のある一つの街にまた現れ始めました
目的は分からないものの前の出来事もあって危惧していた妖精族はコレを良しとせず、妖精族全員の力ではありませんが選りすぐりの妖精の魔力を集め、また一人の使者であるアイリスを送りました
結果分かったのは怪人達が結成したと思われる悪の組織【ブラックフール】が、何の目的かはまだ分かっていませんがまた妖精族が持つ魔力を狙っているという事でした
アイリスはそれらに対抗すべく人間の少女【赤井 かない】に力を託して、再び英雄である魔法少女を作り出しました
そして更にかないの他にも魔法少女を二人も増やす事に成功し、迫り来る数々の刺客である怪人達から街を守っているのでした
ーーーー
「ーーって感じッス」
アイリスは自分達の事について男に言い伝えの様に簡潔に話した
「あー…つまり、そのぶらっくふーる?ってのがその魔力を狙ってるから、協力者を魔法少女にして迎え撃ってるってワケ?」
「まぁ端折ってしまえば大体そんな感じッスね」
不服そうながらもベッドで大人しく話を聞いているかないを尻目にアイリスは机の上の小物入れに軽く寄りかかりながら答える
「…しっかし妖精だの魔力だの一族の秘宝だのの他にも怪人に敵組織その他諸々、話を聞いたら益々ニチアサの魔法少女だなお前ら」
「それに関しては、グウの音も出ない…」
改めて気付かされたのか軽いショックを受けているアイリスとかない
「まぁそんなモンより次だ次」
「鬼畜かアンタ!!」
しかしそれを見もすらせずにヘッドホン男はそのまま無視して遮る様に話を次へ次へと先に話し続けていく
「真面目な話肝心な自己紹介がまだだろ、さっさとやっておこうぜ」
「なんて自分中心な…まぁ、もう良いッス」
このマイペースなテンションに参りながらもアイリスは仕方なさそうにテーブルの上に座り直し、またかないもはいはいと適当にあしらっていた
「そんじゃまー言い出しっぺの俺からだな、俺は【達人 正】っつー遠いトコから最近来たばっかのしがない旅人さ」
「しがないねぇ…あんな強い怪人を倒せるのに?」
自分でも全く歯が立たなかったあの怪人を話を聞く限りほぼ一撃で倒していた男は、一体どんな凄い力を秘めているのかと疑いの目で聞いてみる
「そりゃ企業秘密ってやつだ、俺にも色々と事情があんだよ」
「ふぅん…」
が、面倒ごとがぶっちゃけ嫌いなヘッドホン男こと正は勿論話す気なんざこれっぽっちも無く、テキトーにはぐらかしてしまった
というかもし他の世界から来たチート転生者だと知られたら色々とカオス、最低でも上野のパンダ状態になるのは確定してしまう
そう隠すのは仕方ないのだ…ちょっとネタバラシしたい気持ちもあるけど
なお、かないはそれを聞いて何か少しふくれっ面になっていた
「ま、良いわ…っと次は私ね
私の名前は【赤井 かない】、さっきの通りアイリスに頼まれて魔法少女としてこの街を怪人共から守っているわ」
「ふーん…ところでその玩具みてーなモン、倒れる前に持ってたが」
正はかないが寝ているベットの横の棚に置いてあったロッドを指さす
「あっマジカルロッド!!そこにあったのね
コレが無いと魔法少女に変身出来ないのよ、重ね重ねありがとう!!」
それを見た途端にかないはすぐ様ロッドを手にして大事そうに抱えた、魔法少女とか以前に余程大切なものでもあるのだろう
「やっぱソレで変身すんのか…仕組みとか一体どうなってんだろうな」
「私も聞いた話だけどなんスけど、妖精族の秘宝である魔法の杖を元にして作った魔力放出ステッキ…簡単にいえば模造品の様なものらしいッス
勿論魔法の杖みたいな凄い効果では無いッスが魔法が使えるッス」
「魔法…ってーとやっぱファンタジックなアレ?」
首を軽くかしげて他愛なく聞いてみる正
「魔力を使う超能力みたいなものッス、妖精族特有の技術ッスよ」
「ふーん…てことは何かアレから炎を出してたのも魔法?」
「概ねそうッスね、魔法は使う人の性格や感情とかに左右されるので落ち込んでれば弱いしクールな人なら氷の魔法ってなる筈ッスよ」
肝心の魔法少女であるかないを置きっぱなしのままに正とアイリスとの会話は軽すぎるくらいに説明交じりに進んでいく
「ふむ、って事は…」
「…でぇいやあぁーーーーッ!!」
「えっ何、って危なァ!?何してんスかアンタ!!」
そのせいで自己紹介からフェードアウトしたかないがベットから急に立ち上がり容赦なく上から正とアイリスにダイヴしてきた、くっそ危ない
咄嗟に正がキャッチしたものの下手しなくても落ちたら軽くは済まないだろう
「何で頭からいった、避けたらお前テーブルにデコ直撃確定だぞ」
「放置したアンタらが悪いのよ、私も混ぜろ!!」
「アンタ前に同じ事説明したら二秒で熟睡したッスよね」
「な、何の事やら…」
こうなるから最初から首突っ込まなきゃ良かったのに
そうアイリスは心の中で思っていると同時に呆れながら頬を軽く掻いて、自己紹介が自分の番だと言わんばかりに立ち上がった
「…もうかないさんは終わりッスよね?それじゃ最後は私の番ッスか
私の名はアイリスでさっき話した通り妖精の国の使者ッス、普段はちょっとした魔法で魔法少女の皆さんのお手伝いをさせて貰ってるッスよ…えーと」
『例えばこんな風にッス』
先程のかないと同じ様に正の頭の中に直接アイリスの声が入り込んでくる、恐らくだがこれがアイリスの言う魔法なのであろう
「おぉスゲーなコレ、なんか頭に声が直接響く不思議な感覚ぅ」
確かに耳というか頭そのものに声がぶち込まれている感覚は普通の一般人には今までに無い不思議で新鮮な感覚でもあるだろう
…転生者インフレチート野郎がどうなのかは知らんけど
『これなら圏外でもある程度は使えるし、戻す時もこうやってすぐに…』
「っと、これさえあれば通信機器要らずッスよ」
そうとも知らずにアイリスは自慢げに説明しつつ声を元に戻した
「今なら私のメルアド交換でついてくる、お買い得だよ!!」
「通販かッス」
「即買いだな」
「買うな」
と、悠長に説明している間にもまたかないが話を遮りつつボケを挟んでいく、どんだけこの子は構いたがりなのだろうか
というかそんな事を話している間にも時間は刻々と過ぎ去っていき、気づいた時にはいつの間にか既に時計の針が四時をさしていた、勿論短い方の
「って不味…もう四時過ぎてる!?ヤバい学校どうしよう!!仕方ない今からでも先生んトコ言って土下座でも何でもしてこなきゃ…」
「あっ待てそんなに激しくと動くと」
ベッドから急いで這い出ようと布団をどかして降りるかない
「えっ何gあぁああいだだだだぁだぁだあぁーーーーッッ!?!?」
「あーぁ、だから安静にしてって言ったのに…」
良く見るとその身体には包帯等痛々しい治療したての跡がびっしりとあった
それもその筈あの怪人にやられた後は見た目通り、いやそれ以上に酷く本来なら包帯どころか骨すら幾つも折れていたのである
「気を付けとけよー、俺が治すまでお前背骨折れてたかんな」
「そう、そんなに酷…って背骨折れッ!?」
幾ら魔法少女でも折れるでしょう、建物何軒も貫通したら当然
「本ッ当ーにヤバかったんスよ?吐血はするわ臓器出そうわで見るに耐えないゴア要素満載…マジで寿命縮むかと思ったわ」
実際かなり見せられない様な状態で、その見た目はもう無残な死体とそう変わらない位に残酷な状態ではあったのだ
そりゃあ魔法少女アニメの妖精なら心臓も止まるわな
「…で、でもそれでもせめて先生に連絡位は!!」
しかしかないはそれでもと何故か維持になって食い下がろうとする、そんなバイオ的な見た目してそうは問屋が下ろす訳無い
「その格好で連絡するんスか?そもそも何て説明するんスか?
学校については私が何とかしてあげるッスからさっさと寝てろッス」
「何とか出来んのか?どうすんだよ」
「こういう時の為に私の仲間が魔法で人間に化けて学校に潜入してる人が居るッス、それに事情話して誤魔化して貰いまッスよ」
流石魔法少女の魔法と言ったところ、ある意味何でもアリですね
とまぁそんな事よりも言い訳を封じられたかないだがまだ言い訳はある様だ
「ぐ、ぐぅぅ…!!
…そうだあの女の子と倒れてた人、早く助けにでも向かわないと不味いでしょねぇそうでしょ早く行かせてよ変身させて!!」
「あぁ近くに居たガキなら、親が近くまで探してたんで届けた」
良かったのかまた一つ言い訳が無くなったのか複雑な気持ちのかない
ではもう一つのはどうなったのか?
「そんでまー、もう一人の倒れてた奴なんだが…
そう言うと思ってとっくに介抱しておいたぜ、ほらコイツ」
「……どうも」
「何してんのさぁぁああああッッ!!!!」
かないがさっきよりも大きな声で叫び散らす
目の前にはさり気なく看病にと換え用の水とタオルが入った桶を持ってきた、怪人のすぐ側で倒れていた筈の少女であった
「いやアンタらこそ行き倒れてた人に何看病させてんのさ!?」
「いやいや、倒れてこそしてたが見た感じ外傷微塵も無かったぜぇ?
それによーこれに関してはコイツ自身がやりてぇって勝手にやってんだぜ」
「ぶ、ぶい…!!」
行き倒れ少女はそう言って正に指された何故か反応して若干困惑しながらも小さく手でVサイン、やだかわいいけどそうじゃない
「ブイじゃなくてブイじゃなくて!!起こしたんならせめて名前とか聞いて…」
「え…あ、その…」
「あー…」
咄嗟のかないの質問に少女がキョドる、まるで地雷を踏んでしまったかの様に
いや実際には踏んだっつーか踏み切った
「そりゃあ俺も聞いたけどなぁ、どうもコイツ記憶が無いらしい」
「…………はっ?」
「会話とかの常識自体はあるっぽいんだが肝心の記憶が名前含めてごっそり無くなってんだコイツ、正に漫画にある典型的なヤツ」
そう、この少女は住んでいた場所はおろか名前や年齢、果ては記憶が無くなる直前にまで自分が何をしていたのかすらも分からないのだ
「まぁ身体は無傷だし何かのショックから起きた一時的な頭の混乱だと思うッスよ、暫く過ごしてればその内治りまスよ」
「暫くって…何処に?」
「……あっ、ヤベ」
オマケに衣住食すら何も決めては居らず完全に資金0円の放浪者、それすらも頭の片隅にも無かったアイリスはつい口を漏らした
「おいヤベって何だヤベって、まさか考えてなかったとか無いでしょうね」
「…た、正さー」
「俺んち無理、ロリコン誘拐犯になりたくねぇっす」
「ですよねー…」
当然の事わざわざこの世界に転生して来てまで物語一話目で犯罪者、しかも罪状が中学位の女子を誘拐したロリコンなんて流石に嫌だ
「はぁ…仕方ないわね、私が預かるわ
幸いなのかは分からないけどウチには親は居ないし何か言われる心配も無いわ、まぁ住む以上は家事なりしてもらうつもりだけど」
「かないさん…!!」
そう言い放った時アイリスがかないにキラキラした目で視線を送る、そしてそれに対してかないは鬱陶しそうながらさり気なく帰ろうとする
「あーもう本当に鬱陶しいわね、とにかく今日はもう帰」
「当て身っ」
「エンッッ!!!?」
だが問屋が卸さないpart2、正の痛くないけど暫く正座一時間やった位痺れるツボ押し軽パンチによって一気に膝から崩れ落ちた
そしてそのまま正はかないを抱えてそっとベッドに戻す
「怪我人は安静にせいって言っただろーが、鳥頭かテメー」
「か、体がシビレビレ…っ」
「残当ッス」
地味に怪我した乙女を丹寧に介抱する紳士であるのか、それともただ怪我人に手を出した暴行者が絵面的に微妙なところである
「…でも確かに怪我した私を手当てしてくれてるしね、何か落ち着かないけど…言われた通り一応その、大人しく寝る事にするわよ」
さっきまで半ば暴れていた系女子が急にデレた、何この唐突なラブコメ
「か、かないさんがデレたッス…どう見ても恋愛には絶対に縁が無い猪突猛進系お馬鹿キャラであるあのかないさんが…だとッス…!?」
「お前本当にこの怪我治ったら覚えてろよ」
「…仲良し」
「「どこが!?」」
「そこがだハモリコンビ」
コントじみた会話に記憶喪失の少女が紛れ込み収集つかなくなってきた
「んじゃ俺は晩飯作ってくるから後シクヨロー」
「あっ待て逃げるな作るなら焼肉でお願いします!!」
「違うそうじゃないってか怪我人が消化悪いモン食うな!!」
「いてらー…」
正は捨て台詞の様に吐いた後にドアをそっ閉じして強引に部屋に出て、言った通りキッチンにそそくさと向かっていった
「さぁーて、無難にうどんにでもすっか…
…ま、今後の魔法少女の力を拝見ってトコかな」
ただ一言、そう言って正は怪しげな背中を見せた
ー【第■話『■■■■■■マジ☆カラ!!』】ー
ー【裏第1話『謎の転生者とマジ☆カラ!!』】ー
《第二話へ続く!》
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
