一億回の転生者

きのっぴー♪

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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」

第8話(Bパート)

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長い連休の最後の日
「あー、いてててて…」
とある休日の昼頃、かないは一人暇つぶしにと街の中を行く当ても無くブラブラと歩いていた

「追い回された所為で身体のあちこちが筋肉痛だわ…でもだからって家の中でじっとしてるのも何か性に合わないしなぁ」
前回の修行の後、結局数日間熊の修行を続けた結果全員の力は高まり修行は大成功となり無事に終わる事が出来た
…のだが、それと同時に遂に魔法少女達の疲労がピークに達してしまい、誰も彼もがもう何か完全にベッドから動けまいという状態になってしまっている
まぁつまりは筋肉痛になっちゃったのだがかないは動かないとどうにも落ち着かない性分な様で、仕方無くこうして散歩している…という訳なのだ
まぁそれはそれで、元気っ子であるかないらしいのだが
「まぁ今日は何も無いし、まぁゆっくり過ごして…」
とは言えかないも流石に疲れているらしく、今日はのんびりしようと試みながらただ街を見回り続ける

「ねぇ、そこの人!」
すると突然、後ろから誰かが声をかけてきた
「んあ?」
その声につられてかないが振り向いてみると、そこに居たのは
「君ってこの街の人?もしちょっとでも時間があるなら…少しばかりこの街を案内してくれないかしら?」
赤いマントを羽織った、不思議な少女であった
まぁ少女と言ってもかないよりかは背が高く年齢も上だろう、外見から見れば多分高校生…いや大学生位の女性にも見える
恰好としては赤い半袖に青色の半ズボンと随分ラフ、その上に赤マントを首に巻き背中にだらんと下げるその様は正にヒーロー気取りの子供の様
「わ、私の事?」
「そうそう!実は私、色々あって此処に来たんだけどさ…来たばかりでまだちょーっとばかしこの街の事をまだ良く知らないのよ
…だから粗方で良いから教えて欲しいんだけどっ!」
妙に馴れ馴れしい口調でかないに頼む少女、ただでさえ疲れているかないにとっては現在面倒臭いことこの上無い
「…ゴメン、悪いけど他を当たってくんない?それじゃ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
すぐ様この場を去ろうとするかないを、少女は即座に止めにかかる
「街に来たばかりで心細いんだって頼むよホントに、街でサラリーマンとかにわざわざ話しかけるのも今のご時世アレだし!!
その点君みたいな中くらーいの女の子はうってつけなの!!」
「アンタ何言ってんの!?結構ヤバい発言だって分かってる!?」
発言だけ切り取れば中学生に何か凄くヤバいスカウトする変質者である

しかし一応困っているのも事実な様であるし、放っておくのもどうかという状況
「お願い頼むって、マジで心細いの!隣でテキトーに歌ってくれるだけで良いから!」
「それもう案内じゃねーだろがぁい!?」
「何でもする、何でもするから!!(何でもするとは言ってない)」
「ん?今何でもするって…って違うそうじゃねぇ!!」
…いやどうだろう?困ってる割にはふざけてんだけど、という表情&思考のかない
確かにコレ自体は実際助けなくても、損は無いしやる理由も無い
「確かに何でもは流石にちょっと言い過ぎたけど…でもちゃんとお礼もするから、ねっ!?」
「うーん…」
そう言った考えの上に相当疲れているからか、中々乗り気になれずにいた
しかしぞんざいな態度を見せるかないを見てそれでも尚諦めきれずに何度も服を掴みながら御願いをし続ける女の人
これにはかないもまいった
「じゃそうだなー、お礼って何くれんの?」
「えっ」
此処でかない、余程面倒臭かったのか遂に人助けのお礼を要求するという正に主人公にあるまじきゲッスい発言をしでかす
「え、えーっとえーと…」
そんなかないの言葉に困った女性は、ある言葉で返した




「…い、言い値で雇います!二千円から!」
「その言葉が聞きたかった!」
つくづく最低な魔法少女もとい、主人公であった

ーーーー

と、そんなワケで
「へぇー、こんな街中にお寺が…」
欲に目がくらみ…もとい人助けとして、かないは女性に街の案内をしていた
「って思いのほか階段長いわね、普段来る人居るのコレ?」
「さぁ?あんま来る人は見た事無いけど」
まぁと言っても要は単純に街中をさっきと同じ様にブラつきながら辺りのものを簡単に説明するだけのお仕事だしそう難しくもない
というかかないはどの道暇であったので、どの道暇潰しには良いのである
…やってる事自体は対価での現ナマ要求なのだが
「さてと、次は…あぁあそこのスーパーかな、あそこは安いし特売やってるから便利なんじゃない?」
「へぇー…それは助かるわね、ありがとう」
かないはというとお金を貰うからこそ当たり前なのだが流石にと思ったのか、ちきんと便利な場所等を説明をつけて紹介していた
それもちゃんと分かりやすく、簡潔にも
「取り合えず此処はマークっと…それで、次の場所は?」
そんなこんなでかないが案内を続けていると、女の人はワクワクしっぱなしのまま次の場所を聞いてくる
だがしかし、この小娘ときたら
(うーん、金目的とは言えこれじゃあ…何かつまんないな、うんコレ飽きるわ)
金貰う約束である筈なのに既に飽き始めちゃっているのだ
まぁそれでも根っからの鬼畜ではない、かないは暇潰しにどうしようかと悩みいっそのこと案内相手自身に聞いてみる
「うーんそれじゃあ、何かしたい事ってある?あるんならあるでそれに近い場所にでも行こうかなーと思うんだけども」
すると女性は少しだけ悩んだ後、こう言った
「何かしたい、事…
あっそうだ、じゃあそれならさ!」
「?」

…という事で数分後に来たのがコチラ
「へぇー、こんな所にゲーセンがあったなんて!」
街中の隅にある巨大なゲームセンターだった
というのもこの女性が提示したものとは所謂『面白そうな遊び場』、まぁつまりははしゃげる場所が良いとの事だ
そういう事で取り敢えず暇潰しもといお気に入りの店であるゲームセンターへと一緒に足を運んだかないなのであった
「ふっふーん…何せ此処は穴場中の穴場だからね、案外空いてるし遊ぶにはもってこいの場所なんだよ!」
「あんな裏道の奥にこんな大きなのがあったなんて…」
それもその筈、実はこのゲームセンターは元々古い店を次々にと改築して出来たからかデカい割に見つけにくい場所に建っているのだ
その為に通では穴場として密かに人気なのだという
「確かに人も空いてるし本当に穴場なんだね」
「そりゃあもう、穴場過ぎて有名なんだってばよ!」
「いやそれ穴場なの?有名なの?」
有名な穴場という矛盾した様な訳わからん単語は置いておいて、兎に角一応は此処で楽しくは遊べそうだ
「まぁ良いや、それよりも早く遊びましょ!」
「えっ、いやちょっ私は一人で音ゲーでも…」
別行動をしようとするかないの肩を、女の人はまたも掴みそのまま引き連れようと引っ張ろうとする
「まぁまぁ一緒にやりましょうよー!」
「いや私はやり込んでるデータがあっちに…って力強っ痛でででででで引っ張るな腕取れる取れるって取れちゃうってぇ!?」
そう口からの悲鳴と共にゴキゴキと腕の悲鳴もあげているのを気にする様子も無く、女性はかないを引き摺って行ったのだった

最初にやるはガンシューティングゲーム
「あーもうこうなりゃヤケじゃい、トコトンやったる!」
「頑張れ頑張れっ!」
仕方無く、かないも嫌々ながらそれに付き合う形で協力プレイを開始
「オラオラどけどけぇ!っと悪い右の敵逃した、そっち任せたよ!!」
「任せなさ…ってあ、リロード」
「おまっ」
結果は惨敗に終わったという
続いて、レースゲーム
「こんのっ壁際に押し付けるなこの卑怯者!」
「ふはははは、所詮この世は勝った者が正義なのだぁ!」
これでもかとかないの操作する車に思いっきり自分の操作する車をぶつけて邪魔をする、しつこさといい結構意地悪いわこの子
「あ、でもコレブレーキちょっとかければ」
「えっあっ、前に障害物が直撃ィアッ!!」
「自業自得過ぎる…」
他にも音楽ゲーム、謂わばリズムゲームや
「この太鼓の鉄人と呼ばれた私の実力を見よッ!!」
「音ゲー中に喋んな!聞こえねーよ色々と!」
コインスロットやコインゲーム等と
「っしゃあ確変きたぁ!!」
「何回入れても一つも揃わない、嘘でしょ…」
という感じで、取り敢えず遊べりゃ良い的なノリで遊びまくっていったのだった…
…本来の目的ごと忘れたまんま
「あっやっべぇ、街を案内すんの忘れてた!」
「あっ、私もすっかり忘れてた!」
実は古い友人か何かなのか君達、と思うレベルで二人は既に仲良しとなっていた
「…でもまだ何かちょっと遊び足りないわねぇ、中途半端に遊んで終わっちゃったからさ」
いや君達思いっきり二時間ガッツリ遊び倒していましたが
「んー、じゃあ次はね…」
差していた嫌気は何処へやら、かないはいつの間にかすっかり乗り気になり別の場所へと一緒に移ろうと歩き出そうとしていた
と、それは兎も角二人が次に向かった場所はというと

「あおぉぉおいとりぃいいいいッッ!!!!」
「ヘイ、ヘイ、ヘイッ!!」
最寄りのカラオケだった
「よっし高得点!次はそっちの番よ」
「分かったわ、えーっと私は何にしようかな…そうだ!
ホンワカパッパ、ホンワカパッパードッラえーm」
「それ以上いけない」
かないの言う通りここでは著作権というか色々なアレやソレ的な理由があるので歌だけはもうほぼ全部カットです、はい
「っと、私も九十点超えたわ」
「おぉー凄い、こりゃ私もちょっと負けてらんないかな…っとと、それで次の曲は一体どれにしようかなぁ」
にしてもこの少女達、普通の人と比べても割と歌が上手い
とはいえ幾ら二人が歌が上手く元気っ子だろうとあれだけゲームした後にカラオケ三昧、幾ら何でもそりゃバテるというもの
二人は一旦休憩を挟みドリンクバーのジュースをすする
「ぷはっ、あぁー喉が潤される…」
おっさんもドン引きのド低い声である
「ふぅ…そういえばこうやって思い切り歌うのって久しぶりだなぁ、最近は(主に修行とか)色々ありすぎて行けなかったから」
すると疲れからの気の緩みからか、ついついかないがこの前の修行(Aパート参照)の事をボソリと漏らしてしまった
「…色々って?」
「え!?あ、いや何でもない!」
慌てて口を手で押さえ素知らぬフリをするかない
そら魔法少女の事を軽々しくそれも会ったばかりの人に言えるワケもない、まぁそれ以前に誰も信じやしないのだが
だが、その様子を見て女の人は興味を持ってしまった
「そう言えば貴方見たところ華奢な身体の割にはそこそこ力がありそうね…何々、修行でもしてたの!?漫画みたいな!!」
(やっべぇこの人思った以上に鋭い!?)
修行という核心をつく様なワード、だがかないもこれに負けじと意地になったのか頑なに素知らぬフリを続ける
「え、えーと興味津々のトコ悪いんだけど…た、ただの勉強疲れだから
最近テストとかあってさ、そのせいだって!!」
「…ふーん」
だがそれでも疑いは全く晴れず女性は妙に疑った目で見続ける
「あの…えとその、じっと睨まれても困るんだけど…」
「ふーん、ふーんふーん」
「ちょっま、急に脇腹突くのやめっ!?」
というか何かそのわざとらしくあからさまに隠してる態度が癪に障ったのか、嫌にかないの脇腹を執拗に突きまくっている
「修行ねー、ふーんふーん…」
「だーかーら何でも無いってば!!」

「…奇遇だねぇ、実は私もちょっと昔に同じ様な事してたんだー」
「へっ?」
すると、女の人は唐突に独り言の様なものを呟き始めた
「いやー私も修行っていうか鍛えてた時期があってね?まぁちょっとした目標、のつもりだったんだけどさ」
そうため息混じりに話し始める女性に対して、急に何の話だと頭の隅で思いながらも耳を傾けつつあるかない
「つもり…って事は、途中から違ってきたと?」
「おっ察しが良いねぇ、特に最初の頃は若気の至りで色々な事をしたもんだよ?まぁ後でバレてフルボッコにされたけど」
「いや一体何しでかしたの君」
話を聞く限り熱が覚めた元ヤンっぽいというか、男臭い熱血喧嘩漫画の様な匂いが言葉の節々からしてくるというか
最早マジモンの元ヤンのそれ、というかそれ以上に絡み方が最早オッサンのそれ以外の何者でも無いよコレ
「いやー、君も気をつけた方が良いよー?あんまりにも焦ってると…」
「あ、焦ってると…?」
と、こうやってかないに向けて意味深なセリフを吐いたかと思えば

「…仲間に、粛清されます」
「あっハイ」
結局は全くといって実の無い話にしか繋がらない、何と言えば良いのか…云わば愚痴とか雑談にしかならないのである
つまりほぼ酔っ払いの付き合いみたいな感じという事だ、いや間違いなく
「よっしゃ次は私の番だーい!!」
「もうどうにでもなーれ」
此処まで来るともうかないも既にやる気を無くしていたのだった

ーーーー

てな感じで、また一時間以上も歌いまくった後
「あー歌った歌った!スカッとしたわー」
「あの、それは良いんすけど…時間大丈夫?」
「ん…?って、へぇっ!?」
カラオケ店から出て携帯電話のホーム画面を見てみればあら不思議、そこには既に現在時刻である午後四時近くを示していました
「あっちゃー、もうこんな時間か…泊まるトコどうしよう」
流石にこの時間で中学生に街を案内というのもアレなもの、それにセリフから察するにまだ宿泊もままならない様子
「あー…ゴメンなさい、私が連れていかなければ」
「良いよ良いよ、寧ろ付き合わせちゃったのは私だしね
さて…と、野宿出来る場所は…」
(街中で野宿する前提!?)
だかかないの落ち込んだ姿を見て、女性はすぐに開き直って前を向き仕方無くと街をまた歩こうとする
「いや流石に街で野宿は幾ら何でも!」
「大丈夫大丈夫、精々偶に補導されるだけだから」
「それで大丈夫と思えるアンタが心配だよ」
どう見ても不審者扱いされるの前提だし、下手したら大事にも成りかねない
そうかないが思っている間にもその人は何か布を取り出し始めた、やっべぇマジで街中でテント作る気だコレ
(ち、ちょっとアイリス!?起きろ!!)
『げぇっ傍観してる最中に飛び火したッス!?』
コレに困ったかないは第一話の時のアイリスとの会話の要領で、無理矢理自宅待機してるアイリスに魔法での交信をし始めた
幸いというべきかご愁傷様というか、一応アイリスもあまりに暇だったのか此方の様子をさっきからみていた模様
(さっきからこっそり見てたんだろ!何か良い考えとかないの!?私の住んでる街でこんなんニュースされんの嫌だよ!!)
『いやそんな事言ったって…てか一緒になって遊んでるかないさんもかないさんでしょ!?自分で解決して下さいッスよ!!』
(ぬぐっ…!)
頼りないながらも頼みの綱のアイリスに小声で頼ろうとするも、関係無いと言わんばかりにキッパリと正論で返されてしまう始末
仕方無いと思いながらかないは心底嫌だが女性にある提案をしようとした
(くっそあのポンコツ妖精…でも確かに私のせいでもあるし…
ホンットーに嫌だけど…責任もって私の家に泊まらせる他無いよなぁ)
完全に考え方がペットとかえお預かるソレなのは置いておき、それしか方法が無いと思いかないはいざソレを女の人に言おうとする
「さーて何処にしようかなーっと…」
「あ、あの!!」
「うん?どしたの一体」




「良かったら私の家に…」
その時、かないの真後ろから爆音が鳴り響いた
「なっ!?」
『ッス!?』
突然かつ唐突にも発せられたそれにかないは勿論真っ先に振り向き、その場に居ないアイリスでさえも思わず声を上げる
その方向には大きな爆煙と共に複数の影が現れる
「「「「ドロロロォォン……!!!!」」」」
それの正体は勿論、いつもの怪人ことドロドローンだった
「あんのやろぉ…数ヶ月ぶりに見ないと思ったら急に出てきやがって!」
『かないさんそれどっちかと言うと外の時間の方だから、コッチの世界まだそこまで経ってないッスから!』
外の世界というか読者側の…ゲフンゲフン、というこういうメタなやり取りも少し久しぶりなメタい会話は置いておいて
まぁ驚いたものの所詮雑魚の怪人、魔法少女にはどうってこと無い
「おっとそうだった、それじゃ変身…!」
『ちょ、待つッスかないさん!』
「何だよアイリ…」
そう、問題なのは…

「うっわ何アレ、仮装?何かのイベントかしら!?」
「あっ」
魔法少女という正体を隠さなければいけない、一般人の存在だった
(っそうだったこの人が居るんだったァーーッ!!
てか怪人を仮装って何!?いや別んトコから来たとは言ってたけどあの爆発見て尚それとかどんだけ呑気なの!?)
というのもまぁ読者の皆様は忘れていると思うが、魔法少女は学生生活を安泰に過ごす為にいつもは変身後の姿に認識を阻害する魔法をかけた上で正体を隠しているのだ
だが幾ら魔法万能でも流石に目の前で変身すればモロバレ、つまり今のところかないはマジカルレッドに変身する事が出来ないのだ!
「い、いやアレは仮装というより…
てか危ないから早くコッチ来て、さっさと避難しようず!」
「あっちょ、そんな強く引っ張らないでどしたの急に!?」
かないは何とか気を逸らしついでに女の人を安全な場所に避難させようと近くの路地裏に身体を引っ込ませた
「何なに何なんって、仮装パーティなら私もやりたい!」
「仮装パーティーじゃねーよ!
良い?この騒ぎが落ち着くまで絶対に此処から動かないでよ!?」
「ちょっ、待っ…!」
かないは腕を思いっきり引っ張りながら近くの建物の隅にでもさっさと避難させ、すぐに女の人から離れて変身しようとする
まぁ近くとはいえ離れてはいるし、場所さえ分かるなら多少離れててもなら守れると判断したのだろう
「…よし、追ってきてないよね?」
『だ、大丈夫っぽいッス…さぁ今のうちに!』
「言われなくてもっ…『変身メタモルフォーゼ』!!」
そう思ったかないは誰も周りに居ないのを確認すると、すぐにあらかじめ持っていたロッドを取り出し変身をした
まぁいつも通り変身シーンは諸事情でノベルなんでカットなんですけどね
「よっし、それじゃあ行くぜ!」
という事でかない、いや魔法少女レッドとドロドローン達との久しぶりの戦闘が始まった

「魔法少女マジカルレッドのお通りじゃあああ!!」
「ドロ?」
走り突っ込んでいくレッドにある一匹のドロドローンが気づく
「「「「ドロ…ドロォォオオオオッッ!!!!」」」」
すると伝染するかの様にその周囲のドロドローンと共にレッドに殺気を向け、襲おうと一気に飛びかかってきた
「よぉーし来たな!こんなの一発で…」
すると、ふとかないの動きがピタリと止まる
先日のただしとの一件があってか、幾らあの怪人達が人間では無いと考えてもどうしても躊躇してしまうのだ
ではどうするかというと
(むぅ、自分では分かってるんだけど罪悪感がなぁ…でも魔法少女として戦わなくちゃ…
…いややり方ならある、その場しのぎかもしれないけども私の…お父さんのやり方でやれば!)
かないはつ突き出そうとした拳を下ろし、そして今度は両手を伸ばしTの字のポーズとなったまま怪人の方へ向いた
「「「「オオオオッッ!!!!」」」」
『何やってるんスかかないさん!?ちょっとふざけてる場合じゃないッスよ、ってか来てる来てるコッチ来てるって!!』
(倒せないのなら、まずは私の後ろに居る人から遠ざける…!)
そしてドロドローンの粘液がすぐそこまで来た瞬間
「でぇっりゃぁああああああ!!」
「「「「!!!?」」」」
『うぇっ!?』
まるで扇風機の様に超高速で回り、その風圧によってドロドローン達を一気に吹き飛ばしていったのだった
(いつも通り普通に直接殴ったら死ぬ…なら取り合えず吹き飛ばせば死なない!)
とはいえ根本的な解決にはなってないのだが
しかしそれでも攻撃や行動自体は防げる上に汚染も早い段階で粘液を飛ばせば大丈夫なので、一先ず有効ではある
「フゥーハハハハハ!どうだ、手も足も出まい!」
幸いにも上手くいったのが引き金となったのか、かないは調子に乗り出し次々に怪人達を追い詰めていく
『いや一応怪人を防げてはいるし凄いんだけれども…結局怪人自体はどうにもなってないッスよね?ジリ貧になりそうなんスけど』
「うるせぇその場しのぎが出来れば良いんだよ!」
『逆切れ!?』
とはいえ、それでもアイリスの言う通り怪人自体は遠くにやっただけで自体そのものの対処自体は出来ていない
コッチは対抗手段が吹き飛ばしなのに対しザコとはいえ敵は容赦のない攻撃、何よりも持久力ももつかどうかも分からない
「でもアイリスの言う事ももっともだしなぁ」
『どの道怪人が居なくならないのなら倒すしかないッスよ、倒すのが億劫なのは分かりまスがずっとってワケにもいかないッスよ』
「馬鹿野郎勝つぞ俺は」
『うーんこの』
一体どうすれば、怪人を倒さずに無力化出来るのだろうか

「とはいえホントにどうするか…っと、ん?」
と、そうレッドが考えていると
「な、なぁアイリス…何かおかしくない?」
『何がッスか、かないさんはおかしいって言うよりも馬鹿って感じッスけど』
「誰が馬鹿だ!てかそうじゃなくて、アレだよアレ!」
レッドはジト目である方向を見ながらビシッと指をさす、それは先程レッドが吹っ飛ばしたドロドローンだった
だが、確かに何か様子がおかしい
「ドロ…ドロォ……」
『い、言われてみれば…動きが変ッスねぇ』
「何だろ…何か動きが鈍いというか、弱々しいというか…」
ドロドローンはどうやら飛ばされた勢いで壁に激突し、その直後から何らかの要因で少しずつ弱っている模様
ではその要因とは何なのか?
「で、でも効果的なら寧ろこれは好都合っしょ!それならこのまま押し切れば良いじゃん!」
『う…うーん?いやそう、なんスかねぇ…?』
とまぁ、幾らそんな事を考えたところで仕方が無い
そう言わんとばかりにまるで気にする気も無いままレッドは怪人共が吹っ飛んだ場所にまた追撃せんと突っ込んでいった
「「ドロォオッ!!」」
そこに迎え撃というとするドロドローン
「よっこいしょォッ!!」
「「オオォォォォ……」」
当然の如く難無くカウンター気味に拳や炎による風圧でそれをブッ飛ばすレッド、またもやさっきの様に飛ばされていく怪人達
ドロドローン達はそのまま同じ様に壁に激突する
「ドロッ」
『…え?』
その瞬間の、異変を間違いなく見逃さなかった
「ん?どうかしたの、アイリス」
『い、いやその…何ていうか、えっと…』
何か煮え切らない様子のアイリス、というよりかはどうも困惑しているみたいな表情である
まるで、「え、こんな感じなの?」とでも言いたげな…
「もう、言うならはっきり言ってよ…気持ち悪いじゃん」
『えっとその、かないさんアレ…』
言われたとおりにアイリスが指さす方を見てみると、そこにはさっきの様に壁に叩き付けられ弱ったドロドローンが居た
勿論それ以外に変わったところなどは無い
(確かにさっきより何故か弱ってる以外には特に至って妙なところは無いけど、一体何が…

…待って、?)
怪人が更に弱っているところを除いて
「ド、ドロ…
ドロォォーーーーッ!!」
「あっ逃げた」
そう、レッドが殴る前よりも分かりやすい位に更に弱弱しくなってしまっている、つまり殴った後に弱体化したという事なのだ
殴った後に弱りそうな事といえばかなり限られてくる
(うーん、殴った後…壁に当たった時?)
レッドは何かを閃いた様に怪人にまた飛び出していく
「「ドロォォオオ!!」」
そして襲い来る怪人、それに対しレッドがまた飛ばしにかかるーー
「……っ
よっ、そぉいやぁッ!!」
「「ドロッ…!?」」
ーーと思いきやさっきとは少し一辺変わって、普通に殴りだした
これでは目標を吹っ飛ばすどころかそのまま倒してしまう、即ち雑魚のドロドローンでは過剰なパワーで死んでしまうのだ
これではまた殺してしまう、そう思われたのだが
「っしぃ!」
『倒しっ…てない!?」
実は打撃を繰り出す時にレッドはいつもよりも大分手加減していて、パンチ自体の威力も半分以下に抑えていた
つまりはなのだ
だが、だがしかしそれにしては
「ドロォォ…」
あまりにも、弱っていた
『…かないさん、これって』
「うん、これってさ」




「「普通にダメージ与えてりゃ無力化出来るパターンじゃん!?」」
説明しよう!
今まで魔法少女はドロドローンとの雑魚戦ばかりなので分かっていなかったのだが、過剰な攻撃でオーバーキルしていたのだ!
つまり威力が高すぎて消滅してただけで、敵に見合った威力で普通に倒してれば当然死ぬ事なんて無かった
その上に怪人は人間の感情から出来てるので性格や人間の本質もある程度は入っている
まして元はほぼ一般人と思われる、という事はある程度痛めつければ当然諦めて無抵抗になるか逃げるかのどっちかである
てか反撃しても人間の害にすらならないレベルだし
「「…………」」
「「「「ドロッ!?」」」」
と、まぁここまで長ったらしかった何の意味も無い説明と戦闘シーンはもう終わりとしておいて
それが分かった以上、レッドのやる事は明白である
「……

…全員撲殺じゃオラァアアアアッッ!!!!」
「「「「!!!?」」」」
『いや殺しちゃ不味いでスって!!』
ただの公開処刑だった
そこからはもうただのサンドバッグ、ちぎって投げて殴りまたちぎっては投げながらなぐりつけ…その絵面はヤクザのソレ
「オラオラオラオラ!!」
「「「「ドロォォオオオオ!!」」」」
『手加減してるんスよね、本当にしてるんスよね!?』
最早身内からも「アレ?コレ実は手加減してねーんじゃねーの?」とでも言いそうな位凄惨なものだったそう、byアイリス
そしてその解決方法が結構早く分かったからか、そこからはもう数十分もしない内にあれよあれよと片付き
「せいっ、やぁあ、はぁっ、どりゃぁあッ!」
次々に威力を調整しながら殴り続け、練習台にしながらも
「そしてトドメぇ…オォーーッラァア!!」
「ドロォォッ…!」
碌に長々しい割に対して緊迫した戦闘シーンも描写しないまま結局、ただただあっさりと終わってしまったのだった
「おーしコレで全部?もう終わり?」
「「「「ォォォォ…」」」」
何ともあっけなく緊張感の無い勝負の着き方だったという
この光景に遠くから通信してるアイリスもドン引き、いつも通りの事といえばまぁいつも通りの事なのだが
『これは酷い…ッス』
「っふーぅNKT長く苦しい戦いだった…!」
『いや主な戦闘シーンほぼ全カットだったんでスが』
「言うな」
そう言ってすっかり安心した様子でロッドを仕舞いながら自身の変身を解き、赤井あかいかないへと戻る魔法少女
それに続きアイリスも遠く離れた場所でホッとする
「いっやぁーそれにしても…まさかこんな方法があったとはね、こりゃあ流石のかないちゃんも予想外だっての」
『当たり前すぎて全っ然気づかなかったッスねぇ…』
まぁスライムの姿だと再生能力あるだろと誰しも思うわけで
『何ならあの二人にも教えたらどうッスか?』
「あぁー、いいっすねー
ってそうだアレだ、あの女の人は!?」
『あっやべ私も忘れてたッスわ」
と、ここで二人はさっき変身する前に隠しもとい避難させた女の人を思い出し、すぐ様に戻ろうと後ろへ振り向き走り出した
「ちゃんと大人しくしてっかなぁ、早く見つかると良いんだけれども」
「はっはっはっ、かないさんが言うと説得力ねぇッス」
「張り倒すぞこの野郎」
なんて悪態じみた言葉の小競り合いでも通信相手の妖精としながら

その後ろで、怪人がまだ諦めていない事も知らずに
「ドロォォ…」
「「「「ドロォォオオ……!!!!」」」」
あろう事かレッドに倒されほぼ無力化したドロドローン達は、一ヶ所に集まりそれぞれが合体し大きな個体へとなっていく
そう、第一話のあの巨大なヤツと同じものだ
とは言っても無力化しているのであれ程強くもないし、その時もレッドはちゃんと実力で倒していたので普通に戦えばそこまで驚異では無いのだが…
「うん?」
『どうしたんスか、かないさん?』
「い、いや何か嫌な感じが…」
問題はその本人であるかない自身が全くといってそれに気づいてないのと、油断して既に変身を解いてしまった事にある
幾ら魔法少女でも変身しなければただの人間、下手したら簡単に死んでしまう
「オオォォォォ…!!」
そして周囲の個体全てが一つになった事で前と同様にパワーアップし、戦える状態であるどころか通常の何杯もの戦闘力を持った怪物が生まれた
「ん、何か後ろで…って何じゃあこりゃあ!?」
『まさかアレ全部が合体して残った力を増幅させたんスか…って、コレ第一話でもやったんで敵キャラだだ被りなんスけどね』
「呑気に言ってる場合か!」
漸くというべきか流石にかない達も何か異様と思い振り返ると、妙に怪人の姿を
「のわっちゃっちゃっちゃ、変身をっ早く変身を…ってあぁぁロッドが服に引っかかったというかそもそも間に合わないぃぃ!!」
『馬鹿馬鹿何してんスかってあぁ逃げて逃げて逃げて!!』
タイミング的にも距離的にも変身は間に合う筈も無い
というかそもそも焦りまくり油断しまくり気抜きまくりでグタグタになっており、ただの無防備な木偶の坊に早変わり
そう言ってる間にも、巨大化したドロドローンの一部を変形させた触手のようなものが数本とも現れ一気にかないに襲い掛かっていった
「やめて!私に乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに、エロ同人みたいに!」
「アンタも結局ふざけてんじゃねーッスか!てか本気でマズ…」
触手は槍の様に容赦無く突っ込んでいく
変身する間も無く防ぐ事もほとんど出来ず完全をも直前とした今、かないは最早万事休すかと思われた
『くっ…強度は無いッスが、せめて通信越しにバリアを…!』
「ぬわぁぁああああ!!」




その時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた
「手、貸すよ」
「へっ」
「ドッ…!?」
後ろから赤い閃光の様な拳が頬ギリギリを掠めながら、触手目掛けてただひたすら真っ直ぐに放たれていく
無数の触手が圧倒的な拳圧によって消し飛ばされる
「……はい?」
ただのパンチ一発、ただそれだけの攻撃
あまりの威力と光景に目の前で起こった事を間近で見ていたかないは、何が起こったのかも把握出来ずにポカンと口を開けていた
『…い、一体今何が起こったんスか?何か触手みたいなのが勝手に物凄い勢いでブッ飛んでったんスけど』
「さぁ?後悪いんだけど今一瞬すっごい風圧ががが」
何て困惑し二人が話しながら後ろを振り返る
「危なかったわね、遠くから見てるのももう安心して良いわよ?何たって…」
その人影の正体とは

「…私が来たからねっ!」
「「お前かよ!!」」
さっきかないが避難させてた筈の赤マントを身につけた女の人だった
「え、いや避難してろって言ったのに何で此処に…てか今やったのアンタ!?」
『今の何!?魔法少女の気配も無いッスし、どゆこと!?』
ワーワーと叫び散らすかない達を他所に女の人は怪人の方へと視線を移す
そして軽くかないを押し退けて余裕気に歩いて向かって行った
「さて、と…そこの人に話しかけてる奴、さっきみたいにバリアでも張っといて
どうせすぐ終わるしその程度で充分よ」
『へ…って私の事ッスか?何でバレて…!』
アイリスが自身の存在がバレた事に戸惑うもお構い無しという様子
そして肝心の怪人はというと
「ドロ…ドロ……!!」
何か様子がおかしい
目に見えて分かる位なまでに大きくわざとらしく、身体を震わせながらぐにゃぐにゃと形を著しく変え始めている
まるでそれは、何かの前兆の様に
「オォォオオオオッ!!」
「「「!!!」」」
と思ったその時黒い光と共に全身が触手だらけになり、どす黒く染ったとても不気味な姿へと変貌していった
その様子はまるで、あの正体不明の強大な怪人のそれだ
「っ…これ、は」
かないも気配ともにその脅威を思い出し身構える
「…アイリス、バリアを解除していといて」
『えっ!?いやそれは…』
そう言いながらかないはさっき服に引っかかっていたロッドを落ち着いて取り出し、また今にも戦闘態勢に入ろうと警戒しだす
「アイツが危なくなったらすぐに変身して割り込むから、つっても私も危なくなったらすぐに逃げるから大丈夫だよ」
『ううむ…』
(大丈夫、あれだけ修行もしたんだ…今度は、負けない!)
そうは言っても今にも跳び出しそうな雰囲気だ、間違いなく目の前の少女を言い訳にでもリベンジをしようとしている気だ
このままじゃ色々な意味で危ない
『かないさん、流石にそれは…っ!』
「ッッオォォオオオオ!!!!」
そう思って止めようと言いかけた瞬間、凶暴化したドロドローンの無数の触手が一斉に殺意を持って動く
触手達は前全てを取り囲みながらまるで雨嵐の様に激しく、そして弓槍の様に鋭く三人全てを狙い放ち攻撃を仕掛けた
「っ、もう行くぞ!」
すかさずかないもロッドのボタンに手をかけ、反撃に出る
二つの衝撃が今、交わろうとしていたーーーー




愛杏子あんこちゃん、パーンチ!」
「ドロッ」
と思われたその時、女の人の拳が触手ごと怪人に直撃しホームラン
手が付けられない筈のドロドローンはあっさりと空の彼方へ消えていった
「……えっ」
『……あの』
二人は声も出ず、上げた手の居所も無くなり静かに下ろす
「ふーう一丁上がり、そっちは大丈夫よね?」
「あ、はい」
振り返って聞く女の人に、目の色を無くすかない
「ってヤバい!もうこんな時間じゃん、ゴメン悪いけどもう行くわ!
てか勢いで吹っ飛ばしたけど良いのかな…一応死んでないと思うけど」
などと今更な事を言いながら律儀にもちゃんとお金をかないの手に握らせて、素早くこの場を去ろうとする女の人
「あっ、ちょちょちょっと!」
「うん?まだ何かあったっけ」
「いやそうでは無くて!」
そんな女性を引き止め、かないはある事を聞いてみる
「せ、せめて名前を教えてくれない!?まっまた会うかもしれないし!」
何故聞いてるのか自分もワケが分からないまま聞いてみる、兎に角せき止めようとする事だけ考えている上に頭が混乱しているのか
「私の名前?あぁそういえば言ってなかったっけ…ゴメンね、私は…

愛杏子あんこ!【天才 愛杏子あまざえ あんこ】よ、それじゃあねっ魔法少女諸君!」
「いや待って、何で私が魔法少女って…⁉」
そう言って女の人、愛杏子あんこはかないを振り切って何処かへ走って行ってしまった
何故変身していなかったのに魔法少女の事を知っていたのだろうか、いやそもそもこの街以外で魔法少女を知っているのも変だ
アイリスの事もバレていた様でもあるし謎である
魔法少女の変身を目撃したのだろうか、それとも…
「…行っちゃった」
『嵐の様な人でしたッスね…何だったんでスかね?』
「うん、でも…それよりも」
かないは女性が走って行った方向を見ながら何かを考えていた
(あの人…何処か懐かしい感じがする、何というか上手く言えないけど
昔、何処かで…)




『そういえばなーんか私、あの人といいデジャヴを感じるんスよね
前にもこういう事があったような…』
「おっす、ボサっと突っ立って何してんのお前」
『あ、そうだこの人だったわ』
と、そんな時入れ違いの様に丁度良いタイミングでただしがやって来た
コンビニ袋を持っている様子から、買い物帰りの様である
「修行から帰った直後にもうお仕事か?魔法少女は随分と勤労だ事で」
ただしが徐ろに皮肉気味に話しかける、がかないは心あらず言った所
「…何かあったのか?何かアイリスも見てるみたいだが」
『あ、いや…実は愛杏子あんこという謎の女の人が』
話せないかないに変わってアイリスがただしに説明しようとした
「…は?待て、愛杏子あんこっつったか今お前」
すると予想外、ただしの目の色が若干だが変わる
『えぇ…って何スかただしさん、まさかお知り合い?』
「ん、うぅんまぁその…ちょっとしたな」
吃るただしに「あぁこれは何かあったな」と思うと同時にアイリスは、あの女の人の異常な強さに納得しながら頷く
「…そっか、アイツが来てんのか」
ただしは少し空を見た後、かないに向かって話しかける

「なぁ、かないちゃんよ」
「…っへ!?何、ただしさん!?」
ビクリと驚きながら反応するかない
「何か奢ってやるから、一緒にどっかで食いに行こうぜ」
「えっマジで?私寿司食いたい!」
『ちょっ、待って!それなら私も今すぐそっちに向かうッスから!?』
まるで誤魔化すと言った感じで、ただしはかないとアイリスの興味を晩飯に移し何処かに移動しようと提案をする
勿論そんな上手い話にかない達は思い切り食いついた

そういった感じでただし達は腹を空かせながら、街中を歩いていこうとした
一体あの少女は何だったのか、それはまだ知るよしも無い…




ーーーー

「君、名前は?」
「…………」
結局補導されていた本人と、ただし除いて

《第9話へ続く…》
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