一億回の転生者

きのっぴー♪

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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」

第11話(Aパート)

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怪人の城の大広間にて
戦いを漸く終えたブルーとグリーン、もとゆめみとのぞみ
「あー、つっかれた…流石にもう立てないわね」
「少しだけ、ほんのちょっと休憩してからいきましょう…」
二人は今にも崩れるかという程にボロボロな部屋の隅で悠長にも地べたに座り、一息をつきダラダラと休憩している
一応言うけど、此処敵地です
「そういやあっちは上手くいってるかしらね」
ふとブルーが部屋の先にある通路を見ながらそんな事を言い出す
幾ら体力を温存していたとはいえ戦えるのはかない、もといレッド一人のみでアイリスとかさみは事実上の戦力外
まぁ流石にアイリスはかさみの保護には何とかなるとは思うのだが…やはり戦力とするには手と力が足りないだろう
そう心配するブルーを
「…まぁ、大丈夫ですよ
だってあのかないさんですよ?毎回ゆめみさんにシバかれても素で熊に吹っ飛ばされてもピンピンしてるかないさんですよ?」
「うーんそう聞くと余裕な気がする」
何て心配しつつもまぁアイツな大丈夫だろうという感じで、壁によっかかりながら駄弁っている二人であった

「ふ、ひひひひ…!」
「!」
そんな二人に突然、今にも息絶えそうなか細い笑い声が聞こえてくる
ふと声の方を向くとそこに居たのは、地を這いずりながらもコチラを向いているアーゾとコカッツの姿があった
あの攻撃を受けて戦闘不能になったものの息絶えては居なかった様だ
「…何よ、何かおかしなトコでもあった?」
そんな怪人にブルーはまるで動揺を欠片もしないまま、休息をしながら怪人幹部の二匹に無防備にも問う
「…貴女が行かせた仲間、まさか…本当に勝てるとでも思っているのかしら?」
「それは、どういう意味で…」
いやに意味深な言葉に、グリーンが動揺し始める
「おんやぁ貴女達、まだ気づかないのですかぁ?
まだ私達以外にももう一人幹部が残っているっていうコトを…」
「!」
それを聞いて真っ先に浮かぶのか、かつてこの魔法少女二人ごとかない含めた三人全員を完膚なきまでに叩きのめした張本人
そう、あの豚の姿の自称怪人ことジャドーである
「ハッキリ言って…あの男の実力はアタシ達怪人幹部の中でも頭一つ抜けてる、それにその傍には我が主がいるのよ
小娘二人と妖精程度で、本当に勝てると思ってるのかしら?」
アーゾは余裕そうにため息を吐きながら、如何にも悪役じみた不安にさせる様な事を死に際の如く二人に言い放つ
しかし、それは確かに事実だ
かさみは再び魔法少女にもなれないただの人間、アイリスもバリアを張れるものの所詮妖精な以上戦うのは難しい
すると結局ジャドーとこの城の主のふたつを相手取って戦う事になるのは必然的に、かない一人のみとなってしまうのだ
…絶望的も絶望的、普通なら勝てる見込みなんて全く無い
「っ………」
その事実にグリーンこと、のぞみも言葉を失う

「あっそ、で?」
「…は?」
が、何故かブルーもといゆめみはそれに対して特に大したも反応せずにそっけなくかつあっさりと返した
「い、いやいやゆめみさん何言ってるんですか!?やっぱりコレかないさんやられちゃいますって、アイリスさん…はまぁ別にどうってことないですけど」
「お前いい加減その偶に味方に出る激烈な毒やめろ?」
のぞみのアイリスに対する見方というか扱いは兎も角としておいて、かないがやられてしまうというのに随分と淡白な反応には確かに目を疑うものだ
そう思ったのかゆめみに対しのぞみが詰め寄る、すると
「まぁ別に心配してないワケじゃないわよ、でもまぁアイツの事だし多分大体大丈夫でしょ…うん」
「雑ッ!」
何と本当に、何の根拠も無い暴論で納得しだしたのだ
仲間とは確かに信頼関係とかその他諸々で繋がるものではあると思うが、ここまで投げやり感だと最早信頼の暴力である
そこに敵である筈のコカッツが口を挟む
「何故…何故そう言い切れるのですかぁ?
大事な、大事な仲間でしょう…心配では無いの、ですよねぇ…!」
その表情は怪人ながらさっきの様な煽っている口調では無く、寧ろ信じられないとでも言いたげな真剣な面持ちであった
「あら、怪人なのに敵の心配して良いのかしら?」
「ぬ…!」
ゆめみは一つからかい気味に言ってから、その問いに答えた
「まぁ心配してないワケじゃ無いわよ、幾らアイツでも出来なかった事なんて山ほどあるワケだしね

…でもアレが私達がアンタらを倒すって信じて走って行ったんだ、私らが信じなくてどうすんのよ」
それは、仲間であるこその信頼からの言葉だった
そんな言葉に納得しようにも微妙な顔をするアーゾと、少しばかり驚きながらも成程と言わんばかりに息を吐くコカッツ
「…無条件で、他人を信じるなんて」
信じられないとばかりにアーゾがボソリと呟く
「…なぁるほど、それは確かに…ドロドローンやワタクシ達、怪人には持ち合わせていない…モノ、でしたねぇ…」
「こ、コカッツ!」
が、それに対してコカッツはやっぱりかという顔をしながらも、後に軽く笑いながら自分だけ納得した様な様子を見せた
そこにアーゾが這いずりながらも寄っていく
「最後に聞けたい事は聞けましたし…それではさぁ、さっさとトドメを刺しちゃって下さぁい
敵であるワタクシに情けは要らないでしょう?」
コカッツは無防備に、寧ろ自分を倒す様に言う
そんな行動にゆめみは…




「え?いや、別に…」
「!?」
と、トドメを刺さないどころかそのまま見逃す様に目線を逸らしつつかないの後をふらつきながらも追おうとした
そんなゆめみに対しアーゾが、歯を噛み締めながらも言う
「…何よ、情けのつもり?」
その顔からは悔しさがにじみ出る様だった
「いや、別に?」
「ゆめみさん!?」
が、勿論の如くそのつもりも無かったゆめみは背を無防備にも向けながら、怪人達にこう吐き捨てた
「まぁ碌に喋れもしないし暴走してるだけのドロドローンなら兎も角、アンタらならまだ話も通じてくれそうだしね
それに…

…アイツなら多分、そうしただろうし」





ーーーー




…時はゆめみとのぞみ、ブルーとグリーンが戦う直前にまでほんの少しばかりさかのぼり
また場所も変わってあの広い部屋の、先の先の奥
「かないさんとかさみさん!
反応した場所は後もう少し、ほらすぐそこッスよ!」
アイリスがそこそこの速さで通路の真ん中を通り抜け
「はぁ…はぁ、はぁっ…ちょっタンマ、息が切れた…」
「これから決戦前っつってんでしょーが体力残しとけ!」
そのすぐ真後ろを追うという形でかないとかさみの二人が走り、そのまま急いで目的地へと向かって行く
「……!」
すると目の前に微かな光が見えた
恐らくあそここそがこの通路の先にある場所、即ち目的のものがある部屋という事だろう
「よぉし多分あそこッスいや絶対多分メイビー!お二人ともあそこに飛び込んでみましょうッス!」
「そ、そう…ゼハァッ、ハァっオェッ…」
「アンタは一回息整えてこい!体力温存の意味無いから!」
ゆめみとのぞみの決死の攻防は結局何だったのか、それに関してはギャグ補正で何とかなるので大体気にしなくても良い
なんてやりとりをしながらも開けた場所に入る面々
そこにはさっきの部屋とは違い、広さこそ一回り小さいもののそれでもかなり大き目な空間のある部屋があった
「っとと…此処は?」
ただ、それよりも何もさっきと違うのは
如何にも怪しく…そして眩く煌びやかであり、まるで本当の何処かの一国の城かと思う程に豪華そうな装飾だらけな事だ
悪趣味というか何というか、あちこちに花瓶やシャンデリア等と至る所に手に取るのも億劫なものばかり並べられている
いや、城のラスボスという点では確かにイメージ通りなのだが
「…きらきら、してる」
「うわぁ如何にも高そうな…かないさん、壊さないで下さいッスよ?弁償とか私勘弁なんで」
「いや弁償も何も此処敵の本拠地なんですけど」
息を整えながらも周囲を物珍しそうにキョロキョロと見回しつつ色々と物色しようとする
「しっかし如何にも目が痛くなる部屋だねぇ…」
「金色と黒色って、如何にもお金持ちそうで悪趣味ッス」
アイリスとかないはそう部屋の悪趣味さを指摘しながらも堂々と前に進み、気づけばそこそこ奥にまで来ていた
と、その時
「…くふふっ、どうやらボク自慢の部屋は君達にとっては少しお眼鏡に合わなかった様だね」
「!」
その更に奥にあるこれまた異様な大きさと装飾の玉座が一つ
そしてそこには
「さて、と…良く此処まで来る事が出来たね

魔法少女諸君…」
一回り大きな玉座に堂々と腰をかけてのんびりと、怪人組織ネダスの長である少女が座っていた
「っ…!」
「っと、かない!?」
「かさみさんじっかり!」
その姿を目にした瞬間、かさみの足元がふらつき今にも倒れそうになる
そんなかさみをアイリスがいち早くささえながらも、何とかその小さな体で静かに座らせつつ背中を叩きながら落ち着かせる
「…あの街の映像のと同じ様なこの声、そしてかさみのこの反応
成程、展開からするにアンタがこの城と怪人達のボスって事ね!」
「こらこらかないさん、展開とか言わない」
遂に対面する二人の少女
「おいおいボクにはカルナというちゃんとした名前があるんだ、ちゃんとボク自身の名前で呼んで欲しいね」
「どっちでも良いだろそんなん、とっとと倒されろ!」
改めてふんぞり返るカルナに向けて明らかに敵意を向けるかないことレッドと、余裕気に笑いながらそれを見ている
「あ、アレが…このあの怪人達や幹部を率いる長、カルナ…!」
看護しつつもアイリスが、その姿を見上げる
魔法少女と怪人との最終決戦が、今遂に始まろうとしていた




【第11話『超決戦!レッドVSカルナ』】




「…アイリス、かさみを守っといて」
「か、かないさん?」
レッドはロッドをこっそりと握るやいなやアイリスに言葉を残し、そしてその場で力強く足を踏み込んで
「私は、取り敢えず先にアレを…ブッ飛ばすッ!」
カルナの目前にまで思い切り飛び出していった
「…くふふっ」
今やロッドから滾る炎と握られた拳がカルナに迫っていく
にも関わらず、それを目にするカルナ自身はただ不気味に笑うのみで何もせずずっとレッドの行動を眺め続けている
「行くぞ、レッドハート…ッ!」
そんな間にも、レッドの一撃が今にも放たれようとしていた
「……それじゃあ頼むよ」
するとそこへ巨大な影がカルナに背中を向けつつ現れ
「させるワケねぇだろ、ウォラァッ!」
「ぐへぇッ!?」
鈍器の様な何かでレッドを横殴りし吹っ飛ばす
「っつつ、一体何が…!?」
頭を抑えながらもすぐさま立ち上がり前を見て、自身を殴ったヤツを確認すべく目を凝らした
そこに居たのは見知った顔である
「くっくっく…

久しぶりだなァ、魔法少女…!」
「ジ、ジャドー…!」
かつてレッドを追い込んだ怪人、ジャドーであった
「悪いが我が主に手出しさせるワケにはいかねぇんでな、このまま残りのザコごとぶっ倒させて貰うぜぇ!」
「だっ誰がザコッスか!」
等とアイリスとかさみを指さして叫ぶジャドー
「やれるものなら…やってみろ!」
それを目の当たりにしてレッドはすぐに敵意の行き先をカルナからジャドーに切り替え、そのまま走り出す
するとジャドーも手に持った斧を迎え撃つ様に振りかぶる
「あぁ望み通り…やってやる、どぉらぁあ!」
「ぐっ…」
迫るロッドをジャドーの斧が強く弾き返す
「おらおらおらおらァ!」
そして切り返しざまに斧を左右に大きく振り回し、反撃かと言わんばかりにレッドへと猛攻を仕掛け始めた
デンプシーロールの様に身体を大きく揺らし往復する事でレッドからの集中を逸らしつつ、剣撃を繰り出し続けレッドを早くも追い詰めようとしている
増して一撃一撃が斧による重いもの、風圧だけでも並みの人間なら引き飛ばされそうな程
防いでいるレッドにとってはたまったものじゃないだろう
「どうしたぁ!?防いでるだけとは、前と変わらねぇぞ!」
「っ…んなろっ、調子に乗んな!」
レッドは苦し紛れかジャドーの攻撃を一瞬だけ弾き、その勢いでそのまま後ろの壁から天井へと飛び回っていった
言うなれば謂わば、敵の死角に入ったのだ
「ぬっ、一体何処に…」
その一瞬の隙にジャドーが見失い動揺する
そしてその隙に、上から一気に
「バーカ此処だっつーの、せりゃあぁッ!」
「んがぁッ!?」
天井を両足で踏み抜き落下しながら足を標的に向けながら勢い良く落下し、ラ○ダーキックばりの蹴りをジャドーに浴びせた
ジャドーはその衝撃でうつ伏せになって床に倒れる
「くっそ、油断をし…」
「そぉらまだまだコッチだコッチ!」
「ぐわッ、がぁッ!」
そこに更に追い打ちをかける形で翻弄しながらも、部屋の端から端まで伝って行きながらヒット&アウェイを繰り返す
これにより状況はたちまち変わり今度はレッドが優勢に
…まぁ、絵面自体は豚みたいな男に対して袋叩き染みた攻撃をかましているコスプレ少女というエラいものなのだが
「おっにさぁーんこっちらぁーこっこまぁーでおぉーいでぇーっとぉ!」
そうとも知らずにこの前の借りを返すと言わんばかりに煽りまくりながらも攻撃をやめないレッド
「コレ毎度言うんだけど、私一体何を見せられてんスか」
味方であるアイリスもドン引きである
「クソがぁ…
調子に乗るな、この程度の小細工ゥ!」
「お、おぁあっ!?」
すると今度はジャドーがレッドの足を白刃取りの如く蹴りを止めつつ掴み、先程までの猛攻を早くも終わらせ
「ぬぅぅ…ぉおッ、らっしゃあぁあッ!」
「あだっ、ちょっぐえっ…まっタンマぶぇっ!」
そのまま片手で小槌の如く振り回しては、レッドを何回も叩き付け痛みつけだした
「こんのぉっ、執拗い!」
「ぶぉっ!?」
すぐ様レッドはもう片方の足でジャドーの腹を蹴り脱出
ジャドーは蹴りによって怯みつつも体制を立て直し、レッドもまた空中に放り出されながらも床にしっかりと着地する
「っぅ…
おぉぉおおおお!」
「うおらぁぁああ!」
そして、お互いが向かい合いまた構え直しながら走る
柄を引いて思い切り繰り出したレッドの突きと上段斬りは重なりながら、双方の衝撃を相殺しつつ相手を弾き飛ばした

結果、それぞれの距離を取りつつも二人が対面する形でそれぞれ睨み合うという状況に戻る
「はぁ、はぁっはぁっ…」
「くっ…ふぅ、ふぅっ…」
短い間ではあるもののこの激しいかつ二つの力が拮抗した戦闘、互いの力はほぼ互角と誰もが分かる程に壮絶であった
だが、このままでは駄目だ
「グッフフフフ…どうした?我が主に楯突く元気はあるんだ、この程度ではないんだろうよぉ」
「あっ、たり前でしょう…こんなの屁でもないっつーの」
(と返したは良いものの…ちょっと流石に、キツい
ジャドーはまだ良い、前の修行のお陰か全然ついていけるし何とかギリギリ勝てると思う…でも後ろのは駄目だ)
そう、このままジャドーを文字通り全てを出し切って勝ったとしても問題はその後ろで待ち構えているボスことカルがいる
仮にジャドーに勝てたとしてももしカルナが同程度…いやそれ以上の戦闘力を持つ危険なヤツだったとしたのなら
…レッドに勝てる見込みなど、無いに等しいだろう
「…それに、コッチの後ろも」
「かないさぁんそこ!そこに右フックからのブローッス!」
「ぐ、ぅう…」
それに後ろには、守るべき者も居る
もし手を少しでも抜けばジャドーの事だろう、いつあちらに標的を変え襲ってくるか分かったものではない
つまり今レッドは、二人の仲間を守りながら幹部の一人にその幹部のボスを相手取って勝たなくてはいけないのだ
勝つか負けるかは置いておくとしたって少なくとも、この状況自体がかなり不利である事に変わりはない
(さて、と
ここは温存した体力のままに一気に攻めるか、それとも一先ず様子を見つつ二人の保護もとい守りに徹するか…)
そうレッドが考えながらジャドーと睨み合いを続けていると
「グフフフ…中々、やるではないか」
「あん?」
ジャドーが突然、敵である筈のレッドに話しかけてきた
ただ余裕ぶっているのかまた前の様に動揺を誘っているのか
「此処に来た時点でこの前の出任せを払拭したとは思っていたが…まさかここまで力が増しているとは、流石に驚きだなァ」
「へん、アンタの力が弱かったってだけの話でしょ」
レッドはジャドーの言葉をまともに取り合う気も無く、憎まれ口だけ叩いて再び手に持ったロッドを握り締める
「…しかしまぁだからといって、此処に居る我が主の悲願の為…そうそう気安く負けてやるワケではないんだがなぁ
精々簡単に倒れてくれるなよぉ…!」
「っんとに、面倒臭い…」
目の前の問題に頭を悩ませながらもレッドは再び拳を握った

(……?)
…と思われたその時、レッドの頭にはある思いが過ぎる
「それじゃあ試合開始といこうじゃァ…」
「待った!」
今まさに襲い掛かろうとしていたジャドーに対してレッドが掌を向けて止まる様にと一言言い放った
「あぁ?何だお前、まさかこの期に及んで怖気づいたってんじゃねぇだろうなぁ?」
その様子に腰が引けているとでも思ったのかジャドーがレッドを煽る煽る
「んなワケあるか!どっちかっていったらあそこでずっとバリア張ってるビビりのアイリスの方です!」
「誰がビビりッスかまさにその通りでスけど!」
等と反論したような認めたような良く分からん返しをするアイリス
まぁそんなのよりもご想像の通り、問題はそこではない
「ってそうじゃなくて…あのさぁアンタら」
ひとまず謂れのないレッテルをアイリスに一旦移して逸らすと、ジャドーに向き直った後に指を差して聞いてみる
その謎とはそう
「そもそもの話なんだけどさぁ
アンタらが私達の街を…いや私達魔法少女を狙う理由もとい目的ってなんなのよ!いやまぁ、今更なんだけども」
カルナの、もとい怪人組織ネダスそのものの主目的であった
「…くふっ何を言うかと思えば、そりゃあ街を襲ったんだ…君達の街を全て怪人達によって乗っ取る事だろう?」
「我が主…!」
するとカルナ自身が椅子に踏ん反り返りながら喋りだす
それも如何にもな雰囲気を出しながら、お前等知ってて当然だろー?的なリアルで言われたら何か割と普通に腹立つ感じで
「怪人の為の怪人の為による怪人だけの世界、その第一歩たる糧とする為にまずはあの街をこの私達の怪人組織の国に…!」
そんなありきたりな事を言ってる間にもカルナの言葉をレッドが遮り言葉を返す様に口にした
「あーそういうのもういいから
もうとっくのとうにまるっとお見通しなんですよ全部、狙ってるのは魔法少女わたしたちの方って事もその為に此処におびき寄せた事も」
「全部ただしさんがやったんスけどね」
「アイリス、うるさい」
そう真正面気きって堂々と言うレッドと茶々を入れるアイリス
「く、ふふふふ…そうか気づいていたか
ならば教えて差し上げよう、だがその前に…少し昔話をしようか、なぁに前知識みたいなものだ心配は要らない」
「そういうのいいからさっさと喋って下さいッス」
「黙っててくれないかなそこな妖精君」
アイリスの言葉を軽く一蹴しながらもカルナは喋り続け語ろうとしだした
「わ、我が主!しかし…」
「良いんだジャドー、どうせ今話そうと思っていた事だしね」
ジャドーの制止も振り切り再び口を開こうとするカルナ
その様子にジャドーも即座に折れ、棒立ちとなった
「…分かりましたお好きなように」
「いや止めてくんないッスか、この小説の尺的な意味で」
「黙れ妖精風情が」
「さっきから何なのコイツら、何で揃いも揃って私をスルーしてんスか何か打ち合わせでもしてんスかお前等」
辛辣な態度でこの場の全員におもっくそ当たられるアイリスをそのままに、何やら不満げな表情をしながらも自身の主の命に従って斧を持っている腕を下ろすジャドー
「さて…それじゃあまず、そうだね

少し昔話をしよう」
そう言ってカルナは手を合わせた後、すくりと立ち上がった




ーーーーー

ほんの、100年程度前の話

妖精が住む世界であるフレッシュランドへ怪人という謎の生物が征服せんと乗り込んできて少しの時が経った後
その頃の地上、すなわち人間達が住む世界ではそのフレッシュランドから自分達の世界を救うべく一人の妖精が到着していた
そう、言い伝えにある妖精族全員の力を持った妖精です
妖精は魔法をより強く扱える力の源である感情が豊かな人間に託すべく、適がありかつ正義感のある少女を探し始めます
その後見つけたのが今の魔法少女の原点である、初代のマジカルカラーズたる力を授かった二人の魔法少女なのである
彼女達は魔法少女として正義のために、地上にまで進行してくる怪人達を食い止めながらも倒していった
その力こそ今までのマジカルカラーズをも凌ぐ…いや凌駕すらしている程の力を秘め、数多の敵や人々に見せつけていた
まさに伝説の魔法少女というべき存在だったのだ

そして怪人によって世界征服を目論む怪人の黒幕を突き止め、ついにはその黒幕との壮絶な対決にまで至ったという
その対決はまさに壮絶の一言らしく、数々の敵を倒した初代ですらもそれは困難を極めていた
何せ怪人の元凶である悪魔王、一筋縄ではいかない
それでも力を精一杯に文字通り全力で、遂に悪魔王を撃ち滅ぼし二度と復活しないようバラバラに吹っ飛ばしたのだ
これで怪人達も自分達のボスが居なくなり消え去っていく
その当時の妖精族の長の言葉によると「まだ悪しき力自体は完全に消えてはおらず別の世界線にすら影響をおよぼしているかもしれない、悲しき事だ」と言っていたらしく、良く分からない事だがまだ怪人は残っているとの事
だがしかしそれでもこの世界において怪人は全て倒し、居なくなったといっても良いらしく妖精と怪人の戦いは終わった
勿論今ではまたこのように怪人が復活こそしているものの、100年近くはその心配も無かった事が確認されている
謂わば当時の初代魔法少女の勝利という事なのであった




そう、歴史上ではそうなっている
だがこの話にはまだ続きがあったのだ
怪人を全て倒し魔法少女の二人は役目を終えて魔法少女としての力を妖精に返し、それぞれ元のただの一学生に戻り日常に戻る、そう思われていた

だがしかし現実はそうじゃなかった
あの悪魔王と正面衝突して決して無事なワケがない
そう言わんばかりに普通の人間に戻った少女の内一人が、力を妖精の元へと戻して数日後…彼女は目を覚まさなくなった
戦いによってかなり負担が出たのだろうか、そのまま一人の少女は動かぬまま植物人間となり果てる
もう一人の少女は負担はかかったものの支障は無かった
しかし石像の様に動かなくなった相方を見てその人間は、ただ無力にもコールドスリープする親友を見る他無かったという
結局その後の少女は何の因果か、人知れず何処かに消えた後そのまま行方不明となった

その後の二人の行方は誰も知らないままとなったという
そして植物状態となったその魔法少女の片割れこそ…




ーーーー

「…かさみ、というワケさ
どうだい?滑稽だろう、くふふっ」
カルナが話終えて、そう切った
その話はカルナの目的の根幹であるどころか、かさみ自身の正体にすら関わる物語であろう
「まさかそこに居るただの人間が君にとっての魔法少女の先輩だったんだよ、とても衝撃的だろう?」
確かに魔法少女の様に変身した事こそあったもののmその事実は今の魔法少女であるかない達には驚きのものだ
だがしかし理解出来るかは別である
「ちょ、ちょっと待った!そんな急に言われても分からんわ、一番最初の語り部なんて誰も聞いてるやついねぇだろ!
ほれ見ろいきなりの事実に読者置いてけぼりだよ!」
「お、落ち着いてかないさん!」
そんな事をいきなり言われても寝耳に水、毛ほども事情を知らなかったかないが全部そのままそっくり把握出来るワケもなく、レッドはそのままの勢いでキレた
そらそうだ、今更一話でコソッと語っただけの設定なんて一体何人覚えてくれている事か
大体そもそもの話、そこにいるかさみが話に出てきた少女ならば
「大体初代とか植物状態って何!じゃあ此処に居るかさみは何なの!?」
自ずとそういう疑問にいく
それをひとまず黙りひとしきりレッドの言い分を聞いた後に、またカルナはそっと口を開いて話し始める
「まぁ確かに…少しばかり君達にとっては唐突な話だったろうね、しかしこれで少しはボクの目的も分かった事だろう?」
「えっ何、きのこ派たけのこ派戦争の話?」
「今まで一体何を聞いてたんスかアンタ」
とレッドが少々ボケた後にカルナがスルーして続けて話す

「…そう、ボクの事の目的とは
そこに居るかさみの復活、そしてその為に君達魔法少女としての力と街の魔力全てを根こそぎ貰う事なのさ!」
「!」
そう、つまり彼女の望みは…魔法少女としてのかさみを奪い取る事だったのだ
「あと実はあの街も狙っていたんだよ、街に溢れるアレだけの魔力…怪人を生み出すだけに使うのも実に惜しいものさ
今までコッソリ持ち帰っただけでもかなりの量だよ」
「て事は…やっぱり街の怪人は!」
「そういう事だね、まぁとは言っても適当に生み出して暴れさせるだけの雑兵にもならないのばかりだけどさ」
カルナの計画は恐らくこうだろう
まず街にはわざと挑発的な宣戦布告を行いわざと猶予を与えた後に大量の怪人を送り込む事で、懸念の一つだったただしの動きを封じた上で魔法少女達をおびき寄せる
その後向かってきた魔法少女をわざと残していた幹部達と共に、一気に叩き魔力を全て奪い取っていく
そして最後にそのまま逃げおおせると同時にかさみをコッソリと奪い去っていく…大まかではあるがこういう計画だろう
まぁ勿論、細かいものはまだあるだろうが…
「まっ街に関してはあの男が居るからまぁ期待していないがね…しかし君達のは別、それだけは譲れないね」
そしてついに自身も戦う気になったのか、如何にもなオーラを醸し出しながらレッドの方へとゆっくり歩いてくるカルナ
「いやアンタら怪人なんスよね!?何でかさみさんを…魔法少女をわざわざ復活させる必要があるんスか!?」
「くふふ…それは、君らが知る必要の無い事だね
ジャドー、もういいやってくれ」
「…了解」
アイリスの問いをぶった切ってカルナが指示を出すと、ジャドーは再び斧を片手に取り担ぎ上げ…
「それじゃあさっきの…続きといくかぁ!」
「ぐっ!?」
レッドに勢いよく跳びかかり襲い掛かってきた
「まほう。しょうじょ…かる、な…うっ、あぁっ…!」
「か、かさみさん!」
先程の話からの記憶の混同からか更に容体が急変するかさみに、暴れるジャドーとレッドと何かを準備しているカルナ
場は混沌とし、戻れないところにまで来ている
(くそっ…遂にアレまで来るとなるともう私だけじゃキツい
今でさえも割と不味いってのに…!)
突如熾烈な攻撃を叩きこんでくるジャドーにレッドが防戦一方となり次々と大きな火花を散らしていく
その力はカルナの命令からか心なしか先程のよりも一層激しく、またえげつなく仕掛け続けじりじりと追い詰めていった
「くそっ、一体どうすれば…!」

「っ…ぁあ!」
「!」
その時だった
肌身離さず持っていたのか、かさみが以前変身した時にあったブローチが握っていた手から零れ落ちる
「っそれは…かさみの魔力変換器!」
瞬間、カルナの表情が一気に変わった
「アイリス、魔力変換器!」
「私は○iriでもOK○ーグルでもねぇよ!魔法少女に変身する為の道具、かないさん達が持ってるロッドみたいなものッス!」
何だかんだで乗るアイリス
それよりもそれがかさみにとっての魔法少女のロッドという事は、それ自体がかさみの魔法少女としてのカギ
つまり以前もやはりアレを使って変身していたという事だ
「戦闘中に、何処を見ているゥ!」
「ぐがっ!?」
とレッドがブローチに意識を向けてしまったその瞬間、ジャドーがレッドの身体を思い切り斧でぶん殴った
攻撃の衝撃で高く孤を描きながら吹っ飛ぶレッドは何回もその身を回転させながら数秒も浮かされ、そしてそのまま
「あいたっ!」
床に尻もちをついた
「ったたた…長考してる時に不意打ちすんなってお母さんに習わなかったのか!?」
「そんな事知らんなぁ…やられる方が悪いんだよ!」
「んなろっ」
すぐに起き上がりレッドはジャドーを睨み、今度は反撃をと言わんばかりにロッドを強く握り締めようとする

…が、レッドはすぐに動きを止める
「…ってあり?」
何か様子が変だと気づくレッド、ふと周囲を見渡すと
「……えっ」
「うわぁ…」
さっきの余裕そうな顔とは裏腹にこちらが心配になる程にまで青ざめるカルナと何故かコチラを見てドン引きしているアイリス
「一体どうしたんだ皆…」
その時ふと埃を払おうと自分のケツを触った瞬間だった
何かの破片の、感触がした
「…………はい?」
レッドの脳内に、嫌な考えが過ぎった
「オイどうしたァ?まさか怖気づいたんじゃ…」
「…いや嘘だよな、そんなワケないよな…だってさっきまで離れて戦ってたんだもん、幾らちょっと遠く飛ばされたからって」
「あ?一体何を言って…」
そのレッドの様子にやっとジャドーも何かが変だと気づく
レッドは自分に言い聞かせながらも嘘だウソだと自己暗示みたく考えながら、やっとの思いで自分の後ろを見てみる
するとそこには




…粉々になった、かさみのブローチがあった
「…嘘だろォォォッ!?」

《Bパートへ続く》
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