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第一章「『魔法少女☆マジカラ』編」
第10話(Bパート)
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ここは怪人の本拠地である城の大広間、毎回怪人達が集まり鼓舞や統率等を行っている場所でありボスの部屋へと続く唯一の場所
つまり、此処の怪人達にとっては此処が最後の砦というワケだ
そんな場所で、今現在では
怪人と魔法少女との、大きな戦いが起ころうとしていた
【第10話『大激突!魔法少女VS怪人連合』】
大広間にて対峙し合う四人
それぞれ、怪人側にはジャドーと同じ強大な力を持つとされる幹部が二人
そして魔法少女側にもまた二人のヒーローが立っていた
魔法少女に堂々と立ちはだかるのは怪人連合ネダスの幹部である、アーゾ姫とコカッツ博士と名乗る二回りも大きな怪人
「来なさい、すぐにでもアタシが全て蹴散らしてあげるわ!」
「数々の愛するワタクシの発明品達の実験台となるが良ぃ!」
対するはのぞみとゆめみ、いや魔法少女マジカルブルー・グリーン
「言ってなさい、勝つのは私達よ!」
「ま、負けるのは貴方達の方です!」
互いが互いを睨み合い、煽りながらも様子を見ている
そんな中、魔法少女側には実はある策があった
(…さぁて対峙したは良いのだけれど
相手がどんな手で来るのか分からない以上ちょっとだけ不安ね、どうやって彼処まで持っていくか…と)
熟考しながらも怪人側の様子を見張り何時でも瞬時に反応出来る様に構え続けるブルー
「…!」
そしてそこ横でグリーンも何か考えているのか、しかめっ面をしながらもロッドを両手で握り締め何かを悩みつつ怪人の動きを伺う
「…っあーもう!
やっぱり今、悩んでてもしゃーないわ!動くわよのぞみ!」
そんな一触即発の空気の中で先に声をかけ動き出したのは魔法少女ブルー、つまりは魔法少女の方だ
「っ、分かりました!」
ブルーの声掛けにグリーンも頷き、走って行ったブルーを見送る
「遂に来るですかぁ…!」
「来なさい、返り討ちよ!」
それに合わせ怪人二匹も構えそれぞれが魔力を放出する
「よし、それじゃあ行くわよ!」
「はっはい、ゆめみさん!」
グリーンに声をかけてブルーが一気に怪人に向かって飛び出す
「うぉぉおおおお!」
「掩護なさいコカッツ、喰らえアタシの怪人魔法ッ!」
「了解!では行きなさいワタクシの発明品達よぉッ!」
猛ダッシュで駆け寄るブルーに対しアーゾは大きな魔法陣を、コカッツはメカメカしいアームをそれぞれ出し迎え撃とうとする
そんな最中グリーンがブルーに大きく声をかける、すると
「と、ところでゆめみさん!」
「何よ!」
「それで私は結局どうすれば良いんですか!」
その場の全員が一斉にズッコケた
ブルーはおろか敵であるコカッツやアーゾも、全員がその場で肩透かしをくらいまるで在り来りな昔のギャグ漫画みたいに
「…や、あ…ちょっとタンマ、待って」
「お、おう」
戦いなのにも関わらずつい敵にストップをかけ、敵も応じてしまう
何て緊張感の無さ
「あのさのぞみ、それついさっき話し合ったよね?どういう事?」
「それがその、ついさっき緊張して…
ものの殆どというか全部が全部、忘れちゃいました…」
「もうバカばっか!魔法少女バカばっか!」
さっきのかないの事を言えないレベルの致命的なやつだった
「あぁもうどうしてコイツらは、さっきまで立ててた作戦がぁ…」
そう頭を悩ませるブルーの元に怪しい色をした光弾数発が、脳天を目掛けて鋭く迫ってくる
「っなんの!」
ブルーは即座に後ろに飛び反転しながら素早く躱し続ける
「…本当にただの威勢だったとはねぇ、とんだおマヌケさんだこと
まぁアタシらにとっては寧ろ…やりやすくて良いんだけど、ねっ!」
「くっ、『ブルーハート・フラッシュ』!」
激しく襲いかかる弾幕に堪らず、ブルーは自分もと周囲に魔法を行使し水の弾をグリーンに当たらない範囲で無差別に放った
「今度はコッチの番よ、はぁああああっ!」
「あらあらそんなに張り切って、バテちゃうわよ?」
水弾は徐々に指向性を持ち少しづつアーゾ姫に雨の如く雪崩込む、が不意に出された手と共に現れた魔法陣を盾にして難なく防がれてしまう
「ゆめみさっ…!」
劣勢にも見えるブルーにグリーンが思わず声をかける
「貴方の御相手はワタクシですよぉ!」
そんなグリーンにはコカッツの発明品、所謂ロボットアームがまるで触手の様にうねりながら容赦なく突っ込んでいく
「ひぇえっま、待ってっにゃぁああああッ!?」
アームはその軟体そうな動きとは裏腹に土を抉りながら恐ろしいパワーでグリーンを追い詰めようとしつこく数本で向かっていく
「こ、このっ『グリーンハー…』」
「させませんよォ、出でよ我がビーム砲台達ィ!
『メカニック・ブラスター』!」
「ふぇえっ!?」
グリーンが苦し紛れに矢を放とうと準備したその時、何処からか突然現れた宙に浮く小型の砲台がグリーンに銃口を向けた
「シークエンス解除、一斉に発射ぁ!」
「ひ、いっ………やぁぁああああッッ!!」
コカッツの掛け声と共に砲弾から放たれた魔力による光線が辺りを散らす
弓を準備する暇も与えてくれるワケも無く為す術もなくひたすら逃げるグリーンに、それを追い討ちにと責め立てるアームと光線
「のぞみっ…!」
グリーンの悲鳴に対面している途中のブルーもサポートに入るべく急いで走り向かう
「戦いの最中に余所見とは随分と余裕ねぇッ!?」
「くっ!」
が、しかし魔法陣から放たれる炎と氷の攻撃に阻まれてしまう
「ならアンタを倒して行くまでよ、せやぁあっ!」
「!」
ブルーの水が水蒸気から霧へと変わり、姿が消えてゆく
「私を捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」
「コソコソと隠れるとは、小癪ね…」
(霧に紛れてこっそりと援護に向かうつもりかしらね)
霧に囲まれた中、次にアーゾは複数の魔法陣を出現され自分の周りに大雑把に張った
ブルーは未だ姿を現さない
するとアーゾが両手を横に広げ魔力を魔法陣に注ぐと共に、光りだした魔法陣から一気に放たれたのは
「魔法っていうのは…こうやるのよ!
『クイーン・レインズ』!」
炎の玉と氷の玉が織りなす強烈な弾幕の嵐
赤と青の色の弾はアゾーの周囲を回りながら辺りに着弾し爆発する、それはまさに追尾するミサイルの群れの様であった
「魔力を感知する追尾式の弾よ!まさか、この程度の策でアタシから逃げられるとでも思ったのかしら!?」
阻まれる視界の中であちこちで爆撃が手当たり次第に襲い霧ごと煙を巻き上げ、更に視界を塞いでいく
「ひっひっひ…、少し大人げなかったわね、流石に殺しちゃったかし…」
そう、アーゾが余裕気に笑った瞬間
「ッそこよォ!」
「らがッ…!?」
視界を遮っていた土煙に紛れ下から現れたブルーが、腰の入った強力なパンチを相手の腹に思い切り突き刺した
「ハナっから敵に背中向けるバカが何処にいるのよ、バーカ」
そう、ブルーはそもそもアーゾから逃げる気は最初からなかった、霧もただ不意打ちを決める為の目くらましと囮だったという事
つまりは敵の隙を伺い、自分が逃げたと勘違いして攻撃したその隙だらけの瞬間を狙っていたのだ
「これでどうよ、少しは効いたでしょ?」
ブルーは拳を抜いてまた一旦距離を取り様子を伺う
とはいえ完全にいいのが入ったと確信したブルーは、かなりのダメージが入ったと完全に信じていた
だが、そうは簡単にいかない
「…そうこなくちゃあ面白くないわ、ひっひっひ」
「なっ!?」
そこに居たのは紛れもなく、まるで何事もなかったかの様にピンピンしていたアーゾの姿
「そんな、確かに確実に…」
「あんなヒヨッコのパンチ受けて倒れるくらいで幹部が務まるものですか
にしてもとんだ策の無駄だったようねぇ?同情するわ、貴女の弱さにね!」
「ぐ、ぬぬぅ…!」
やはりそれでやられる怪人が幹部のワケがない、幾ら策を弄しても力の差からアーゾが優勢なのはコチラも揺らがない
それはつまり、とても助けに行く余裕は無いという事だ
「ならもう一度魔法を!『ブルー…』」
苦し紛れにロッドを構え、再び周囲に無差別の弾幕による必殺技を放とうと予備動作を始める
が、敵がそう易々と好きにさせてくれるワケもなく
「させるワケないでしょう?」
「なっ、しまっ…!?」
周囲に配置させていた魔法陣のウチ一つからまたもや炎と氷の弾丸がブルーに目掛けて放たれ、大きな爆発を起こしながらこの大きな部屋の壁際にまで勢い良く吹き飛ばされてしまった
「がっ、くそ…!」
「良い格好ねぇ魔法少女、ひっひっひ」
圧倒的な力をこれでもかと見せ付けるアーゾ相手に、それでも諦めまいとすぐに立ち上がり相手を睨みつける
「こんのっ言わせておけば、この程度屁でも…!」
そう苦戦するブルーに、突如悲鳴が近づいてきた
「うわぁあ退いて下さいぃぃいいいい!」
「へっ?」
何とさっきまで逃げまくっていたグリーンが、ブルーに背中を向けそのまま勢いのまま迫り顔面を強打させた
おそらくさっきのブルーの様にグリーンもまたコカッツによる激しい猛攻からの衝撃によってブルーの元へ吹き飛ばされたのだ
「痛たたた…ってす、すいません!」
「もがぐっ、にがむがもがぐむぅがっ!」
恐らくは多分『早く、いいから早くどいてっ!』と言っているのだろうが、尻もちをついたグリーンの尻の下敷きになっていて何を言っているのかほぼ分からない
グリーンはそれを察してか急いで立ち上がり、ブルーも塞がれていた口で必死に息を吸い込み呼吸を整えた
「んの、やりたい放題してくれちゃって…」
「ひひひひひ…どうしたのかしら、まさか本当にこの程度なのですかぁ?」
「!?」
そこに、わざとらしく足音を立てて二人に近づく怪人達
「これじゃ実験台にもならないなぁ、もっと頑張ってくださいよぉ」
傷一つ無く力の衰えもまるで無いその様子はまさに余裕そのもの、事実優勢なのはどう見ても怪人の方である
そう言いたげにも怪人二匹は同時に近づいてくる
「安心しなさい、痛ぶる趣味も無いし一思いにトドメを指してあげるわぁ」
「ぐ…!」
今にも膝をつきそうな二人に危機が迫っていく
「まぁ如何に雑魚とはいえ魔法少女、上手く扱えば研究材料にはなりますかねぇ…」
「やめて!乱暴する気でしょう、アレな同人みたいに!」
「いやどう考えても違ぇから!多分リョナ的な感じのだから!」
ふざけていてもピンチな状況なのは変わるワケなんて微塵も無い、実際幹部達が今にも手を下そうとしているし
「さて、と…アーゾ殿?」
「ハイハイ分かってるわよ、それじゃあ茶番はコレくらいにして…
コレで…終わりよ!」
アーゾが叫びながら両腕を振り被ると一斉にに襲いかかる魔法の数々
逃げ場など無い、魔法少女には出来なかった
それもその筈、そもそも最初から逃げる気など無いのだから
「…全く、やっと思い出した?」
ブルーのその言葉を聞いた途端、グリーンはさっきまでの様な慌てようなどは無く寧ろ落ち着いている様子でロッドに手をかけた
「はい…お待たせしてすいませんでした、では手筈通りに」
着弾点から溢れ出る土煙から声が聞こえてくる
「それじゃあ見せましょうか?」
「はい、私達のコンビネーションを!」
そして間もなくすぐに飛び出す人影、その正体は最初とまるで同じ様に走り出すブルーの姿
いやまるでというか、ほぼ同じモーションに視線と気配
「フン、やっと何か策でも考えていた様だが…弱い魔法少女の考えるチンケなモノなんてアタシ達には効かないわよォ!」
もう一度アーゾが掌を翳し、魔法陣を向けブルーに攻撃を仕掛ける
「…っ」
滑る様に早く速く放たれ向かっていく魔力弾
数メートル、数センチ、そして数ミリにまで顔のギリギリのところまで来たところで、あと少しで命中するかと怪人二匹が思ったその時
「…そいやっ!」
「何!?」
大きな破裂音と共にアーゾの攻撃が掻き消された
一瞬何が起こったのか分からなかった怪人側、何とかそれを確認しようと今度はコカッツがロボットアームを伸ばしブルーを捉えようとする
すると、だ
「無駄ですっ!」
またもやグリーンの声とともに次はロボットアームに何かが当たり、アーム部分が分断され使い物にならなくなる
「…成程、魔力の矢ですか」
だがコカッツはその正体を、やっと見破った
何を隠そうさっきの魔力弾が弾けたのはブルーが突っ込んで行く時に構えていたグリーンの弓と化したロッドから撃たれた風の矢
つまりをいえば攻撃を正確に、遠くから狙撃されたのだ
「えぇその通り、そして私が突貫役よ!」
「ぐぉっ…!?」
そしてそのお陰で、ブルーは再びアーゾの懐かつ拳の射程距離範囲内にまで潜り込む事が出来た
「…だが貴方の攻撃なんて毛程にも…!」
だが確かに先程の様な攻撃では幹部達には毛程にも効かないだろう、それは当然ブルーも充分身と経験をもって知っている
(幾ら身体能力が大幅に強化された魔法少女とはいえ腕力だけじゃ太刀打ち出来ない、だけど魔法は全部防がれる…
…ならいっそ、逃げられない位のゼロ距離で!)
すると今度はさっきと違いロッドを握り締めながら体を捻り、また同じ様にロッドごと怪人の胴体に殴打を繰り出した
「だから無駄…っ!?」
殴打と共にそのまま腹にロッドの先をねじ込むと同時に魔力が注がれる
(圧縮…それも矢じゃなくて槍として、ビームサーベルみたいに…!)
「新技、『ブルーハート』…」
そして一瞬青い閃光が走り、逃げ場の無くなったアーゾに
「『レイ』ッ!」
光線の如き青の槍が腹に貫通し突き刺さった
アーゾの胴体にめり込んだロッドの先から、注がれた魔力によって生み出し圧縮された水が放出されたのだ
物凄い水圧と魔力によってより威力が増した水鉄砲は怪人の強靭な肉体を貫くのもワケはない、勿論それは幹部にもいえる
「何ッ…このアタシが、ダメージを…!?」
「…どうよ、今度は効いたでしょ?」
アーゾは穴を開けられた腹部を抑えながら後ろに引く、それを見てブルーはロッドをアーゾの方に向け挑発をかました
「確かに此方の攻撃は阻害され、尚且つ強力な魔法一撃…
コレはコレは…随分とまた厄介ですねぇ」
それを見たコカッツもまた、やっと魔法少女を厄介な相手と認識する
しかしそれはあくまでも少し手こずるというだけで匹敵するという程では無い、ただ手間取るというだけ話
「だがしかーし!ならば後衛から倒せば良いだけの事なのですよ!
て事でぇ…大人しく倒れちゃって下さぁいっ!」
三本のロボットアームがまたもやグリーンに迫る
「しまっ、のぞみ早く避け…」
思わずグリーンの方へと振り向くブルー
「大丈夫です!」
だが何とグリーンは今度は全く逃げる素振りを見せなかった、それどころか再度魔法で矢を作り出したのだ
「たかが一発の狙撃で、この複数のアームをどうするというんですかぁ!?」
左右、そして真正面の三方向から来るグリーンへの攻撃
それに対しグリーンは
(アーム一本の耐久度はそこまで無い…)
「…なら三方向に一発ずつ!」
「!?」
するとグリーンはロッドをいつものように弓道の様に縦にして構えるのではなく、クロスボウみたく横にして構えた
そして弦に引っ掛けた風の矢は、何と三本
「狙いや反動等の関係で、大分威力は弱くなりますが…それでも充分!」
矢と共に弦をギリギリにまで引っ張り…狙いを定め…
(…動く事が苦手な私がやる事は、何も前線で戦い続ける事じゃない
前線で戦ってくれるゆめみさん達を援護する為に…あくまでも、弓での戦いのみに集中する事!)
そして、手を放した
「『グリーンハート…ッ
…ショットォ』!」
グリーンの手や弦から発射された矢は三つの軌跡を空間に描きつつまるで散弾銃の様に、しかし正確にアームへと飛ぶ
そして着弾、鮮やかに風穴を開けつつ矢はそのまま消滅した
「ちっ、ならばこのビーム砲でぇ…!」
眉間に少ししわを寄せ次に周囲に浮いているビーム砲の標準を合わせだすコカッツ
「させないわよ!」
「ぐがっ!?」
が、そこに急接近していたブルーの水弾による乱射によってビーム砲ごと巻き込んでコカッツの攻撃を阻止する
しかし勿論ブルーが居るという事はさっき攻撃していたアーゾも少なからず射程範囲内には居るという事、新たに作り出された魔法陣がブルーにまた牙を向け始めるのだが
「それはコッチんのセリフよ、喰らっ…づぁあ!」
「そして…私のセリフでもありますよ」
それもまたグリーンが射た矢によって貫通され破壊された
「あの二人…さっきと動き方が違う、役割をもって戦っている!?
それだけなのに、この強さの違いは…!」
今まで好き勝手に戦っていたいつもの戦法が、短いながらも培った修行で得たチームワークによって姿を変えつつも進化を遂げまさしく信頼で繋がった魔法少女マジカルカラーズ達にあるべきものとなったのだ
「ふっふっふ…アンタら、人間がどうたらとか言ってたけどね
人間舐めんな!互いが手を取り合って共に戦い力を増す…それが本当の人間の強さなのよ!」
ブルーが動き回りながら大声で、強く怪人に言い放つ
「そうです、コレが…魔法少女である私達三人の戦い方です!」
そしてのぞみもまたそれに乗っかり、付け加える様に叫んだ
「く…コレが、魔法少女…!」
「…今、かないさん居ないですけどね」
「しっ!言わなければ気づかれないのに…」
「敵ながら悪いけど締めるトコちゃんと締めて?」
相も変わらず敵にまで言われる始末である
とまぁそんな魔法少女の段取りの悪さは事は兎も角として、確かにその力で怪人は実際に今苦戦している
このままではこのままジリジリと競り勝てるだろう
「くっ…なら対応できない程の数で攻めれば良いのよ、コカッツ!」
「言われなくても分かってますよぉ!」
徐々に押されていく状況に業を煮やし力押しで止めようと今度は砲台と魔法陣をさっきよりも更に多く出現させた
「喰らえ、『クイーン・レインズ』!」
「『メカニック・ブラスター』!」
無数の閃光が二人を囲い視界を奪いつつも鋭く襲ってくる
「ちょっ!?」
「くそっ、しっかり私に捕まってて!」
「へっ?って…きゃぁああ!」
ブルーはグリーンを掴ませ…というか明らかにグリーンの服の襟を自分で掴んで、思い切り天井へと跳んで避けて見せる
「逃がすと思っているのかぁ!」
天井から壁を伝ってバレルロールの様に避けながら走り続けるブルーに、追い打ちかの如き射撃が背中を追う
弾や光線が行き交い、何度もブルーへと標準を定め追い続ける
「っんの、大胆な事だことね…!」
「あの…すいません首締まっ、締まって…」
わざわざ味方の首を絞めながら逃げ続けるブルー、苦しむグリーン
そう言うとブルーは次に部屋を駆け回りながらロッドに水を纏わせ攻撃の準備に差し掛かり
「こんの、はぁっ!」
「ぬぉっ!?またしてもワタクシの発明品達が…!」
まずはコカッツの砲台に対して射撃を仕掛け返し、一機ずつ破壊する
「無駄よ、まだまだコッチには余る程数はある!」
しかし破壊される度に一機、また一機と底なしに現れるビーム砲台
怪人二人の弾幕が間を挟む事無く豪雨の如く激しく攻め立てるその様に、ブルーの反撃の手がまたもや止まってしまう
(…まだ、もうちょい)
が、こちらもそれはさっきの戦いの上で承知済み
ブルーは何かを狙いつつも一人で逃げ回りつつ、水の弾丸をばら撒く
勿論数撃ちゃ当たるだけで命中率は著しく無いが、それでもそれによって砲弾や魔法陣が一機ずつ破壊されていき削がれる
「…ふむ、妙ですねぇ
幾ら何でも逃げに徹し過ぎです、それにさっきから何かが…」
それにいち早く気づいたのは、コカッツ
密かに新たな砲台を出すと同時にロボットアームを忍ばせ地面に待機させながら、注意深くブルーを観察する
「隙あり、『ブルーハート・レイ』ッ!」
「ぐぉおっ!?」
余所見をするコカッツにブルーが強烈な一撃で貫く
踏み込み入った射程に見事お見舞し、逃げながらのせいか致命的な一撃とはならなかったものの肩に穴を開けた
「バカ何ボーっとしてんのよ!」
追い込まれているせいか未だ優勢なのにも関わらずイラついているアーゾが、コカッツに対し大声で当たりだす
「…………」
コカッツはそれにただただ無言で何も言い返さない
次第にそれにより怪人側も仲間割れか、という空気が流れ始めそれは敵である魔法少女にも僅かながら感じ取られていた
(何か知らないけどあっちの雰囲気悪いわね、仲間割れ?
って事はつまり…チャーンス!)
目敏く目を光らせるブルー、段々こういう若干卑怯というかヒーローらしからぬところがかないに似てきてる気がする
「そうと決まれば早速貰ったオルぁああ!」
「ちょっゆめみさん待ってって何それ、かないさん乗り移ってます!?」
「いやのぞみも大概言ってる事酷くない?」
まるで盗賊みたいな両手持ちで大振りでロッドを敵の頭に振り下ろした
「まぁ何はともあれコレで、一体目ぇえええっ!」
刃の先端が鋭くコカッツの頭に迫っていく
「…そこでぇすっ!」
「!?」
と同時にコカッツは即座に、手を大げさに上げて指を鳴らした
するとさっきまで仕掛けられていたロボットアームが地中から勢い良く出現し、ブルーの頬を掠め姿勢を崩した
「っとと危ない危ない…流石にちょっと焦りすぎたわね」
ブルーはよろけながらも追ってくるアームを何とか回避し難を逃れた
「でも大した事は無いし、またこのまま…!」
「それはどうですかねぇ…?」
しかししてやったり顔のコカッツがそこに居る、ふと何か嫌な予感がし急いで後ろを振り向いていると…
「ぐ…うぅ、すいません…っ!」
そこにはブルーに向かったものとは別に、後方に伸ばされたアームに強く縛られ動けなくなっているグリーンの姿があった
「なっ…のぞみ!」
「恐らくですが…貴女はただの囮、本命はいつの間にか隠れていたコチラでしょうかねぇ?いやはや危ない危ない…
もう少し遅ければ頭を撃ち抜かれるトコロでしたよぉ」
ブルーがグリーンを掴んで激しい弾幕から逃げていたあの時、密かにコッソリと何処かで手を放し隠れさせていた
そして肝心のブルーはそれを悟らせないように時折攻撃して挑発しながら逃げ回り、囮を担っていたのだろうと思われる
焦っていたのもあってブルーしか見ていなかったアーゾは勿論、先にアームを積極的に壊されていたコカッツにも様子から見て効果は覿面だった筈
「先ほど以上の高威力を狙った狙撃をまたされては堪らないのでねぇ
悪いですが、捕まえさせて頂きましたぁ」
もしも仮にグリーンがまだ気づかれていないままなら、コカッツとアーゾのどちらかは倒れていたかもしれないだろう
まぁ、大元が捕まってしまった今では元も子も無いのだが
「やってくれたわね、こんのぉ!」
「おっと良いんですかぁ?コチラには貴女のお仲間が居るんですよ?」
「くっ…!」
拳を強く握るブルーだが、捕まったグリーンを見て震えながらもすぐに腕を収めた
そこに漬け込むが如くアーゾが大声を出す
「ひひひ、良くやったわコカッツ!そらぁっ!」
「ぐがッ!?」
どうやら魔法少女に少しでもしてやられたのが相当頭にきていた様で、最早魔法すら使わずに素手でぶん殴り始める
「私達に歯向かうなんて、百万年ッ早いのよ!」
怪人の並外れた筋力でのヒールのストンピングの嵐
殴られ蹴られ突き刺され…みるみる内に体はグリーンの目の前でボロボロになっていく
「フン!」
「っ痛…!」
蹴飛ばされゴロゴロと転がり回り壁際まで追いつめられるブルー
「ふぅ…ふぅ…さて、と
さっきの余裕は何処へいったのかしらねぇ?」
アーゾは一度だけ怒りを収め荒げた呼吸を整えた後、したり顔でコツコツとヒールを鳴らしまた近づいていく
「さっきはちょーっとだけ手古摺ってしまったけど…やっぱり、アタシ達の敵では無かったみたいねぇ?
ま、精々コカッツの実験動物として頑張る事ね
ひーっひっひっひ!」
顔を酷く歪ませたその顔はまさに悪魔そのもの、不自然に高い声色で笑うそれに美麗さはかけらも見当たらなかった
それ程に先程まで手古摺った魔法少女の倒れる姿を見る事が愉快に思えたのだろうが、ある意味悪役らしい姿だ
「さぁて、どうしましょうかぁアーゾさぁん?」
「決まってるでしょう、今言ったように貴方が処理しなさい…ただし目一杯に凌辱して差し上げる事ねぇ!」
「…了解致しましましたァ」
コカッツもまた邪悪な笑みを浮かべ、アームを用意させる
そしてそれが決まるや否や紫色に光る人差し指をブルーに向けて、アーゾはトドメと言わんばかりに指先で描いたペンタグラムを向けていた
「さぁて…それじゃあ、何か言い残す事はあるかしら?
気分によっては貴女がさっき向かわせたアイツらに言ってあげるわよ?まぁ最も既に死んでいるだろうし、伝えられてもどうせすぐ死ぬんだけれどねぇ!」
自分が優位となり上から下を見下ろし続ける
「…どうやら言葉も出ない様ね
それじゃあさっさと、終わらしてあげましょうか」
そしてこのまま刻一刻と短いトドメまでの時間が過ぎていき、今やっとその一撃が繰り出されようとしていた
「…ふ、くくくっ…!
がその時、そんな怪人に対しブルーは笑みを浮かべる
というよりもつい釣り上げてしまう口角を隠そうと手で抑えつつ、どうしても堪えられずに笑い声が漏れ出していた
「なっ…何が可笑しい、貴女自分の状況が…!」
アーゾがそう言いかけた時、ブルーが何かを口に出そうとした
「…さ」
「さ?」
そこに出た言葉とは
「さっきまで息巻いておきながら、散々焦ってた奴が…良くそんな言葉を吐けるわね、ある意味羨ましいわ…!
くっくっくっく…!」
今の状況においてどう見ても考えても命知らずとしか思えない、本当にただの煽り言葉でしかなかった
「--殺す」
一気にアーゾの殺意が爆発する
ついさっきまで露わになり冷静にいようと何とか留めていた魔法少女へと感情が、一瞬で怒りとしてピークにまで達したのだ
そして即座に魔法陣から光弾を放ちブルーの眼前にまで迫る
「……ふっふっふ、本当に詰めが甘いわね」
その時だった
「…っけぇー!」
何やら見覚えのある矢がブルーの頭を掠める様にして、紋章ごと輝く弾丸をド真ん中からぶち抜いていった
「っ…ぐぁああ!?」
その一撃、それだけで一気に怪人側が警戒を強めると同時に先程までのグリーンの捕縛が緩まっていく
ほんの数秒だけとはいえ謎の攻撃への警戒に集中してしまったせいで、無意識に人質自体に目と力を外してしまったのだろう
「…今よ、てぇいやっ!」
その隙を縫う様にブルーはグリーンに向けて敢えて水弾を飛ばす
すると触手みたくうねりグリーンに絡みつき縛っていたコカッツのロボットアームに着弾、そしてほんの小さな爆発を起こした後に破壊する
「あ、ありがとうございま痛い!?」
「あっゴメン…」
ほんのちょっと味方によって仕方なく背中に爆撃こそ受けたものの、これで何とか味方を解放させる事は一応出来た
つまり、人質は居なくなったという事だ
(な、何だ!?今何をした…ッ!?)
あの矢は怪人から見てもどう考えてもグリーンの矢としか思えない、が肝心の本人は捕まえてまさに人質にしている最中だった筈
そう考える怪人達は、訳が分からず混乱する
そんな二匹にひとまず気を取り直して、改めて前に立ち
「…っとと、まぁ何はともあれコレでまた」
「形勢逆転、ですね」
さっきのしたり顔をそのままして返す魔法少女
「そうですかねぇ?確かにさっきはしてやられました…
が、さほど追い込まれているワケではない、そう考えるのは早計ですよぉ?」
「そうよ!さっきの状況が元に戻っただけ、アタシ達の力にお前らが負けているワケじゃあない!」
怪人達は緩めた気を引き締め、更に激しい怒りを相手に向ける
そして
「さて、と…もうお遊びは終わりです、ボスの命に従い…
…貴様らを、始末する」
「…そうね、それじゃあもうとっとと…倒れて貰いましょう」
そう言いつつ何やさっきまでとはうって変わり、おふざけ等では無い真剣かつ殺気立つ雰囲気となった二匹が軽く合図を送る
「っ…!?」
二人の前に新たに現れたのは数で押していたこれまでとはまるで違い一つずつ、しかし一層巨大かつ凶悪そうな砲台と魔法陣だった
「これは…!」
「怖気付きましたかぁ?ましたよねぇ、コレが我が最高傑作!
その名も…『アルティメット・ブラスター』!」
「そして人間共には決して成し得ないアタシの最終奥義魔法!
その名は…『クイーン・メテオフォール』!」
堂々と誇らしげに言い放つ怪人二匹
「な、な…」
「ひっひっひっひ…!」
魔法少女もコレには幾ら何でもと、ビビり始める
「「何て、安直な名前…!」」
「「うるせぇ放っとけ!」」
主に技名のみに
「ぐぬぬ、さっきからアタシらを馬鹿にしやがって…!
そこまでやられるのがお望みなら、今すぐ楽にしてやる!」
合図と共に現れる熱く燃え盛る巨大な炎の玉と砲台の奥から光る閃光が高音を発しながら二人を睨みつける
それこそ、いつ発射されてもおかしくない程に
「この圧倒的な力!これこそが人間に成し得ない、アタシ達怪人だけが持つ最強の証なのよ!」
「…」
叫ぶアーゾにブルーとグリーンは俯いたまま、ただ突っ立っているだけだった
「泣き叫ぶ間も無く、ワタクシ達の前にひれ伏すが良いィ!」
歴然とした力の差は最早これまで、埋めようが無かった
ワケでは無い
ーーーーー
遡る事、修行の日まで
グリーンとブルーこと、のぞみとゆめみは二人で自分の戦い方について色々と考え見直していた
「…という事で私はやっぱり、サポートに専念する事にしました」
「うん、のぞみが良いのならそれで良いんじゃない?」
いやにのぞみの決意をあっさりと笑顔で受け入れるゆめみ
そしてそれに対しのぞみもまたその返答を分かっていたかの様に、それを驚く事も無くただニッコリと微笑む
だがしかし、ゆめみの疑問はそこでは無かった
「…でもさのぞみ、やっぱり弓だけのじゃ幾らサポートばかりでも限度がね、多分アンタばっかり狙うのも居るだろうし
かないと私だけじゃ流石に助けに行けないかも…」
「うっ…!」
サポート専門になろうとも敵と真正面と戦う場面も出てくる、いや寧ろサポートを率先して倒す者も居るだろう
まして毎回それを助けに行くにも余計手間がかかるというもの
「うーん、どうすべきか…」
「…ごめんなさい、私が弱いせいで」
「い、いやいやいや!別にのぞみが弱いってワケじゃないわよ!
ただ矢以外にも戦う方法が無いかなーって思っただけで、例えば追従するビットとかそういう感じのとか…」
するとゆめみが何かを閃いたかの様な様子を見せた
「…うん?どうかしましたか、ゆめみさん」
悩み続けるのぞみをよそに考え続けるゆめみに、のぞみは気づき体ごと向き直した
「…のぞみ、その矢って…遠隔操作とか出来る?」
「へ?いや、やった事ないですけれど…あっそういえば」
「そういえば?」
のぞみがふと何かを思い出した
「ついさっきかないさんとアイリスさんが似たような事を言っていた様な…確か魔法を留めておくとか何とか」
「それよ、さっさとその二人に聞きに行くわ!」
「え?あっちょ、どうしたんですかゆめみさん!?」
と、まぁそういうワケで出来たのが…
ーーーーー
…この、魔法を空中に留める魔法だった
「…アンタ達、本当に気づいてないの?呆れるわね」
「準備はもう出来ました…!」
二人がふとポツリと言葉を漏らす
「は…?一体、何を言って…っ!?」
怪人がふと何かを感じ取ったのかすぐ様に部屋の天井の方へと目を向ける、するとそこにあったのは
「本当にアンタ達だけに、切り札があると思ってたのかしら?」
宙に留まったまま矛先を二匹に向けつつ水と風が物凄い勢いで渦巻いている、まるで台風の様な一本の大見槍であった
「…宙に蓄積させ、圧縮しつつ構築する技…名付けて」
「『ツインハート・トルネード』ってとこかしら?」
その勢いは個人であれば怪人二匹の魔法をも上回る力を秘めている
「魔法を留める…!
まさかさっき…何処からともなく射貫いてきたあの矢はこの魔法、コレが本命!?」
「ごっ明察、アンタらが挑発にバカ正直で助かったわ」
「何…だと…!?」
そう、グリーンが拘束されているにも関わらず矢が怪人を襲ったのはその前にコッソリ設置していたもの
つまり順を追って説明するとだ
アーゾとコカッツが数で強襲を仕掛けた時にブルーがグリーンを適当に放り囮役を引き受け、その間グリーンが隠れながら見つからないよう魔法を部屋中に配置する
そしてグリーンがコカッツによって捕えられた際にグリーンはその時間を貰い部屋中に撒いた矢を集め、ブルーもまた自分が適当に乱射していていると同時に若干留めていた水弾を矢へと集中させつつまたしても煽って集中を自分へ向けた
そうした結果、この『槍』が出来たというワケである
「つまり…アンタらは今まさに、私達魔法少女二人の術中にまんまとかかってくれちゃった…って事よ!」
「な、ぐっぐぅ…!」
予想通り、コレが魔法少女側の作戦の全容だったという事だ
だが、それでもまだ勝ったワケではない
「…っんのぉ、なぁまいきなぁぁあああああ!!」
「!?」
アーゾが力一杯に炎の玉をブン投げる様にして、ブルーとグリーン目掛けてただ怒りのままに発射した
「確かにこりゃ完全に一杯食わされた様子ですねぇ…
ま…それでもコチラにもボスとの使命もあるんで、このコカッツ…ならば精々足掻かせて貰うとしますよォッ!」
それと同時にコカッツも指を鳴らしそれを押し上げる様にして砲台から一気に光線をぶっ放す
「っ…アイツ等も本気ってワケね、のぞみ!」
「はい、これで最後です!」
ブルーの合図とともにグリーンは力と手をそれぞれ合わせ、槍を二匹の切り札に目掛けてそのまま貫くべく落とした
それぞれ重なり合いながら突っ込み衝突した二つの力が反発しながら互いを打ち砕こうと、競り合い押し続ける
その衝撃は部屋の中を嵐が暴れ回る程に激しく、それと同時に一生懸命に踏んばる四人の服を激しく靡かせた
「ぬっぐぐぐぐぅ…!」
「むぅううううぅ…!」
怪人の力も伊達では無く、アレだけの力を跳ね返してしまう程の力を放ち続けている
下手をして気を抜けばやられるのはコッチだ
「「ぉぉおおおおッ!!」」
だがそれは怪人側も同じ、如何に必死なのかが相手であるコチラにすら余裕で伝わってくる位だ
「っ…!」
しかしそれでも、負けるワケにはいかない
ブルーとグリーンがロッドを強く握り締め両手で振り下ろし前に翳しながら文字通り全力で魔力を槍に更に注ぎ続けた
「「ッうぉおりゃぁああああ!!」」
次第に怪人側がジリジリと押され、ついに壁際にまで追い詰められる
「バ、馬鹿な…このアタシが、この城の幹部であるアタシが…こんんな、こんなちっぽけな人間共に…!」
「…やっぱりダメでしたかぁ、まぁ後はあの男とボスに任せて…ワタクシ達はさっさと退場と致しますかねぇ」
とてつもない暴風雨から成る槍に阻まれた炎と閃光は遂に激しい衝撃を迸りながらぶつかり合い、そして…
「「いっけぇぇええええええええ!!!!」」
後方で必死に抑える二匹ごと一気にド真ん中にどデカい風穴を開け、凄まじい爆発を起こし怪人達を巻き込んだ
全力と言うだけありその爆風たるや床や壁をも削り取り吹き荒れる竜巻、魔法少女も力を使い果たし自ら生み出した強風に耐えきるのがやっとな位
「ぐっ、何て衝撃…!?」
やっと風が収まった頃には部屋は荒れ果て、殆ど原型を保っていなかった
それ程までに、強烈な一撃だったのだろう
「ふぅ、ふぅ…」
「はぁ…はぁっ」
勝利しながらも、辛くも限界に近くフラフラの魔法少女側
「のぞみ…!」
「はい、ゆめみさん…!」
二人は負傷しボロボロの手足を引き摺りながらも何とか立ち、そしてそれぞれ片腕を上げて拳を合わせた
そして、ただ互いの顔に向き合って
「やったわね」
「はいっ!」
戦いの終わりと共に、ニッコリと笑った
《第十一話へ続く》
つまり、此処の怪人達にとっては此処が最後の砦というワケだ
そんな場所で、今現在では
怪人と魔法少女との、大きな戦いが起ころうとしていた
【第10話『大激突!魔法少女VS怪人連合』】
大広間にて対峙し合う四人
それぞれ、怪人側にはジャドーと同じ強大な力を持つとされる幹部が二人
そして魔法少女側にもまた二人のヒーローが立っていた
魔法少女に堂々と立ちはだかるのは怪人連合ネダスの幹部である、アーゾ姫とコカッツ博士と名乗る二回りも大きな怪人
「来なさい、すぐにでもアタシが全て蹴散らしてあげるわ!」
「数々の愛するワタクシの発明品達の実験台となるが良ぃ!」
対するはのぞみとゆめみ、いや魔法少女マジカルブルー・グリーン
「言ってなさい、勝つのは私達よ!」
「ま、負けるのは貴方達の方です!」
互いが互いを睨み合い、煽りながらも様子を見ている
そんな中、魔法少女側には実はある策があった
(…さぁて対峙したは良いのだけれど
相手がどんな手で来るのか分からない以上ちょっとだけ不安ね、どうやって彼処まで持っていくか…と)
熟考しながらも怪人側の様子を見張り何時でも瞬時に反応出来る様に構え続けるブルー
「…!」
そしてそこ横でグリーンも何か考えているのか、しかめっ面をしながらもロッドを両手で握り締め何かを悩みつつ怪人の動きを伺う
「…っあーもう!
やっぱり今、悩んでてもしゃーないわ!動くわよのぞみ!」
そんな一触即発の空気の中で先に声をかけ動き出したのは魔法少女ブルー、つまりは魔法少女の方だ
「っ、分かりました!」
ブルーの声掛けにグリーンも頷き、走って行ったブルーを見送る
「遂に来るですかぁ…!」
「来なさい、返り討ちよ!」
それに合わせ怪人二匹も構えそれぞれが魔力を放出する
「よし、それじゃあ行くわよ!」
「はっはい、ゆめみさん!」
グリーンに声をかけてブルーが一気に怪人に向かって飛び出す
「うぉぉおおおお!」
「掩護なさいコカッツ、喰らえアタシの怪人魔法ッ!」
「了解!では行きなさいワタクシの発明品達よぉッ!」
猛ダッシュで駆け寄るブルーに対しアーゾは大きな魔法陣を、コカッツはメカメカしいアームをそれぞれ出し迎え撃とうとする
そんな最中グリーンがブルーに大きく声をかける、すると
「と、ところでゆめみさん!」
「何よ!」
「それで私は結局どうすれば良いんですか!」
その場の全員が一斉にズッコケた
ブルーはおろか敵であるコカッツやアーゾも、全員がその場で肩透かしをくらいまるで在り来りな昔のギャグ漫画みたいに
「…や、あ…ちょっとタンマ、待って」
「お、おう」
戦いなのにも関わらずつい敵にストップをかけ、敵も応じてしまう
何て緊張感の無さ
「あのさのぞみ、それついさっき話し合ったよね?どういう事?」
「それがその、ついさっき緊張して…
ものの殆どというか全部が全部、忘れちゃいました…」
「もうバカばっか!魔法少女バカばっか!」
さっきのかないの事を言えないレベルの致命的なやつだった
「あぁもうどうしてコイツらは、さっきまで立ててた作戦がぁ…」
そう頭を悩ませるブルーの元に怪しい色をした光弾数発が、脳天を目掛けて鋭く迫ってくる
「っなんの!」
ブルーは即座に後ろに飛び反転しながら素早く躱し続ける
「…本当にただの威勢だったとはねぇ、とんだおマヌケさんだこと
まぁアタシらにとっては寧ろ…やりやすくて良いんだけど、ねっ!」
「くっ、『ブルーハート・フラッシュ』!」
激しく襲いかかる弾幕に堪らず、ブルーは自分もと周囲に魔法を行使し水の弾をグリーンに当たらない範囲で無差別に放った
「今度はコッチの番よ、はぁああああっ!」
「あらあらそんなに張り切って、バテちゃうわよ?」
水弾は徐々に指向性を持ち少しづつアーゾ姫に雨の如く雪崩込む、が不意に出された手と共に現れた魔法陣を盾にして難なく防がれてしまう
「ゆめみさっ…!」
劣勢にも見えるブルーにグリーンが思わず声をかける
「貴方の御相手はワタクシですよぉ!」
そんなグリーンにはコカッツの発明品、所謂ロボットアームがまるで触手の様にうねりながら容赦なく突っ込んでいく
「ひぇえっま、待ってっにゃぁああああッ!?」
アームはその軟体そうな動きとは裏腹に土を抉りながら恐ろしいパワーでグリーンを追い詰めようとしつこく数本で向かっていく
「こ、このっ『グリーンハー…』」
「させませんよォ、出でよ我がビーム砲台達ィ!
『メカニック・ブラスター』!」
「ふぇえっ!?」
グリーンが苦し紛れに矢を放とうと準備したその時、何処からか突然現れた宙に浮く小型の砲台がグリーンに銃口を向けた
「シークエンス解除、一斉に発射ぁ!」
「ひ、いっ………やぁぁああああッッ!!」
コカッツの掛け声と共に砲弾から放たれた魔力による光線が辺りを散らす
弓を準備する暇も与えてくれるワケも無く為す術もなくひたすら逃げるグリーンに、それを追い討ちにと責め立てるアームと光線
「のぞみっ…!」
グリーンの悲鳴に対面している途中のブルーもサポートに入るべく急いで走り向かう
「戦いの最中に余所見とは随分と余裕ねぇッ!?」
「くっ!」
が、しかし魔法陣から放たれる炎と氷の攻撃に阻まれてしまう
「ならアンタを倒して行くまでよ、せやぁあっ!」
「!」
ブルーの水が水蒸気から霧へと変わり、姿が消えてゆく
「私を捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」
「コソコソと隠れるとは、小癪ね…」
(霧に紛れてこっそりと援護に向かうつもりかしらね)
霧に囲まれた中、次にアーゾは複数の魔法陣を出現され自分の周りに大雑把に張った
ブルーは未だ姿を現さない
するとアーゾが両手を横に広げ魔力を魔法陣に注ぐと共に、光りだした魔法陣から一気に放たれたのは
「魔法っていうのは…こうやるのよ!
『クイーン・レインズ』!」
炎の玉と氷の玉が織りなす強烈な弾幕の嵐
赤と青の色の弾はアゾーの周囲を回りながら辺りに着弾し爆発する、それはまさに追尾するミサイルの群れの様であった
「魔力を感知する追尾式の弾よ!まさか、この程度の策でアタシから逃げられるとでも思ったのかしら!?」
阻まれる視界の中であちこちで爆撃が手当たり次第に襲い霧ごと煙を巻き上げ、更に視界を塞いでいく
「ひっひっひ…、少し大人げなかったわね、流石に殺しちゃったかし…」
そう、アーゾが余裕気に笑った瞬間
「ッそこよォ!」
「らがッ…!?」
視界を遮っていた土煙に紛れ下から現れたブルーが、腰の入った強力なパンチを相手の腹に思い切り突き刺した
「ハナっから敵に背中向けるバカが何処にいるのよ、バーカ」
そう、ブルーはそもそもアーゾから逃げる気は最初からなかった、霧もただ不意打ちを決める為の目くらましと囮だったという事
つまりは敵の隙を伺い、自分が逃げたと勘違いして攻撃したその隙だらけの瞬間を狙っていたのだ
「これでどうよ、少しは効いたでしょ?」
ブルーは拳を抜いてまた一旦距離を取り様子を伺う
とはいえ完全にいいのが入ったと確信したブルーは、かなりのダメージが入ったと完全に信じていた
だが、そうは簡単にいかない
「…そうこなくちゃあ面白くないわ、ひっひっひ」
「なっ!?」
そこに居たのは紛れもなく、まるで何事もなかったかの様にピンピンしていたアーゾの姿
「そんな、確かに確実に…」
「あんなヒヨッコのパンチ受けて倒れるくらいで幹部が務まるものですか
にしてもとんだ策の無駄だったようねぇ?同情するわ、貴女の弱さにね!」
「ぐ、ぬぬぅ…!」
やはりそれでやられる怪人が幹部のワケがない、幾ら策を弄しても力の差からアーゾが優勢なのはコチラも揺らがない
それはつまり、とても助けに行く余裕は無いという事だ
「ならもう一度魔法を!『ブルー…』」
苦し紛れにロッドを構え、再び周囲に無差別の弾幕による必殺技を放とうと予備動作を始める
が、敵がそう易々と好きにさせてくれるワケもなく
「させるワケないでしょう?」
「なっ、しまっ…!?」
周囲に配置させていた魔法陣のウチ一つからまたもや炎と氷の弾丸がブルーに目掛けて放たれ、大きな爆発を起こしながらこの大きな部屋の壁際にまで勢い良く吹き飛ばされてしまった
「がっ、くそ…!」
「良い格好ねぇ魔法少女、ひっひっひ」
圧倒的な力をこれでもかと見せ付けるアーゾ相手に、それでも諦めまいとすぐに立ち上がり相手を睨みつける
「こんのっ言わせておけば、この程度屁でも…!」
そう苦戦するブルーに、突如悲鳴が近づいてきた
「うわぁあ退いて下さいぃぃいいいい!」
「へっ?」
何とさっきまで逃げまくっていたグリーンが、ブルーに背中を向けそのまま勢いのまま迫り顔面を強打させた
おそらくさっきのブルーの様にグリーンもまたコカッツによる激しい猛攻からの衝撃によってブルーの元へ吹き飛ばされたのだ
「痛たたた…ってす、すいません!」
「もがぐっ、にがむがもがぐむぅがっ!」
恐らくは多分『早く、いいから早くどいてっ!』と言っているのだろうが、尻もちをついたグリーンの尻の下敷きになっていて何を言っているのかほぼ分からない
グリーンはそれを察してか急いで立ち上がり、ブルーも塞がれていた口で必死に息を吸い込み呼吸を整えた
「んの、やりたい放題してくれちゃって…」
「ひひひひひ…どうしたのかしら、まさか本当にこの程度なのですかぁ?」
「!?」
そこに、わざとらしく足音を立てて二人に近づく怪人達
「これじゃ実験台にもならないなぁ、もっと頑張ってくださいよぉ」
傷一つ無く力の衰えもまるで無いその様子はまさに余裕そのもの、事実優勢なのはどう見ても怪人の方である
そう言いたげにも怪人二匹は同時に近づいてくる
「安心しなさい、痛ぶる趣味も無いし一思いにトドメを指してあげるわぁ」
「ぐ…!」
今にも膝をつきそうな二人に危機が迫っていく
「まぁ如何に雑魚とはいえ魔法少女、上手く扱えば研究材料にはなりますかねぇ…」
「やめて!乱暴する気でしょう、アレな同人みたいに!」
「いやどう考えても違ぇから!多分リョナ的な感じのだから!」
ふざけていてもピンチな状況なのは変わるワケなんて微塵も無い、実際幹部達が今にも手を下そうとしているし
「さて、と…アーゾ殿?」
「ハイハイ分かってるわよ、それじゃあ茶番はコレくらいにして…
コレで…終わりよ!」
アーゾが叫びながら両腕を振り被ると一斉にに襲いかかる魔法の数々
逃げ場など無い、魔法少女には出来なかった
それもその筈、そもそも最初から逃げる気など無いのだから
「…全く、やっと思い出した?」
ブルーのその言葉を聞いた途端、グリーンはさっきまでの様な慌てようなどは無く寧ろ落ち着いている様子でロッドに手をかけた
「はい…お待たせしてすいませんでした、では手筈通りに」
着弾点から溢れ出る土煙から声が聞こえてくる
「それじゃあ見せましょうか?」
「はい、私達のコンビネーションを!」
そして間もなくすぐに飛び出す人影、その正体は最初とまるで同じ様に走り出すブルーの姿
いやまるでというか、ほぼ同じモーションに視線と気配
「フン、やっと何か策でも考えていた様だが…弱い魔法少女の考えるチンケなモノなんてアタシ達には効かないわよォ!」
もう一度アーゾが掌を翳し、魔法陣を向けブルーに攻撃を仕掛ける
「…っ」
滑る様に早く速く放たれ向かっていく魔力弾
数メートル、数センチ、そして数ミリにまで顔のギリギリのところまで来たところで、あと少しで命中するかと怪人二匹が思ったその時
「…そいやっ!」
「何!?」
大きな破裂音と共にアーゾの攻撃が掻き消された
一瞬何が起こったのか分からなかった怪人側、何とかそれを確認しようと今度はコカッツがロボットアームを伸ばしブルーを捉えようとする
すると、だ
「無駄ですっ!」
またもやグリーンの声とともに次はロボットアームに何かが当たり、アーム部分が分断され使い物にならなくなる
「…成程、魔力の矢ですか」
だがコカッツはその正体を、やっと見破った
何を隠そうさっきの魔力弾が弾けたのはブルーが突っ込んで行く時に構えていたグリーンの弓と化したロッドから撃たれた風の矢
つまりをいえば攻撃を正確に、遠くから狙撃されたのだ
「えぇその通り、そして私が突貫役よ!」
「ぐぉっ…!?」
そしてそのお陰で、ブルーは再びアーゾの懐かつ拳の射程距離範囲内にまで潜り込む事が出来た
「…だが貴方の攻撃なんて毛程にも…!」
だが確かに先程の様な攻撃では幹部達には毛程にも効かないだろう、それは当然ブルーも充分身と経験をもって知っている
(幾ら身体能力が大幅に強化された魔法少女とはいえ腕力だけじゃ太刀打ち出来ない、だけど魔法は全部防がれる…
…ならいっそ、逃げられない位のゼロ距離で!)
すると今度はさっきと違いロッドを握り締めながら体を捻り、また同じ様にロッドごと怪人の胴体に殴打を繰り出した
「だから無駄…っ!?」
殴打と共にそのまま腹にロッドの先をねじ込むと同時に魔力が注がれる
(圧縮…それも矢じゃなくて槍として、ビームサーベルみたいに…!)
「新技、『ブルーハート』…」
そして一瞬青い閃光が走り、逃げ場の無くなったアーゾに
「『レイ』ッ!」
光線の如き青の槍が腹に貫通し突き刺さった
アーゾの胴体にめり込んだロッドの先から、注がれた魔力によって生み出し圧縮された水が放出されたのだ
物凄い水圧と魔力によってより威力が増した水鉄砲は怪人の強靭な肉体を貫くのもワケはない、勿論それは幹部にもいえる
「何ッ…このアタシが、ダメージを…!?」
「…どうよ、今度は効いたでしょ?」
アーゾは穴を開けられた腹部を抑えながら後ろに引く、それを見てブルーはロッドをアーゾの方に向け挑発をかました
「確かに此方の攻撃は阻害され、尚且つ強力な魔法一撃…
コレはコレは…随分とまた厄介ですねぇ」
それを見たコカッツもまた、やっと魔法少女を厄介な相手と認識する
しかしそれはあくまでも少し手こずるというだけで匹敵するという程では無い、ただ手間取るというだけ話
「だがしかーし!ならば後衛から倒せば良いだけの事なのですよ!
て事でぇ…大人しく倒れちゃって下さぁいっ!」
三本のロボットアームがまたもやグリーンに迫る
「しまっ、のぞみ早く避け…」
思わずグリーンの方へと振り向くブルー
「大丈夫です!」
だが何とグリーンは今度は全く逃げる素振りを見せなかった、それどころか再度魔法で矢を作り出したのだ
「たかが一発の狙撃で、この複数のアームをどうするというんですかぁ!?」
左右、そして真正面の三方向から来るグリーンへの攻撃
それに対しグリーンは
(アーム一本の耐久度はそこまで無い…)
「…なら三方向に一発ずつ!」
「!?」
するとグリーンはロッドをいつものように弓道の様に縦にして構えるのではなく、クロスボウみたく横にして構えた
そして弦に引っ掛けた風の矢は、何と三本
「狙いや反動等の関係で、大分威力は弱くなりますが…それでも充分!」
矢と共に弦をギリギリにまで引っ張り…狙いを定め…
(…動く事が苦手な私がやる事は、何も前線で戦い続ける事じゃない
前線で戦ってくれるゆめみさん達を援護する為に…あくまでも、弓での戦いのみに集中する事!)
そして、手を放した
「『グリーンハート…ッ
…ショットォ』!」
グリーンの手や弦から発射された矢は三つの軌跡を空間に描きつつまるで散弾銃の様に、しかし正確にアームへと飛ぶ
そして着弾、鮮やかに風穴を開けつつ矢はそのまま消滅した
「ちっ、ならばこのビーム砲でぇ…!」
眉間に少ししわを寄せ次に周囲に浮いているビーム砲の標準を合わせだすコカッツ
「させないわよ!」
「ぐがっ!?」
が、そこに急接近していたブルーの水弾による乱射によってビーム砲ごと巻き込んでコカッツの攻撃を阻止する
しかし勿論ブルーが居るという事はさっき攻撃していたアーゾも少なからず射程範囲内には居るという事、新たに作り出された魔法陣がブルーにまた牙を向け始めるのだが
「それはコッチんのセリフよ、喰らっ…づぁあ!」
「そして…私のセリフでもありますよ」
それもまたグリーンが射た矢によって貫通され破壊された
「あの二人…さっきと動き方が違う、役割をもって戦っている!?
それだけなのに、この強さの違いは…!」
今まで好き勝手に戦っていたいつもの戦法が、短いながらも培った修行で得たチームワークによって姿を変えつつも進化を遂げまさしく信頼で繋がった魔法少女マジカルカラーズ達にあるべきものとなったのだ
「ふっふっふ…アンタら、人間がどうたらとか言ってたけどね
人間舐めんな!互いが手を取り合って共に戦い力を増す…それが本当の人間の強さなのよ!」
ブルーが動き回りながら大声で、強く怪人に言い放つ
「そうです、コレが…魔法少女である私達三人の戦い方です!」
そしてのぞみもまたそれに乗っかり、付け加える様に叫んだ
「く…コレが、魔法少女…!」
「…今、かないさん居ないですけどね」
「しっ!言わなければ気づかれないのに…」
「敵ながら悪いけど締めるトコちゃんと締めて?」
相も変わらず敵にまで言われる始末である
とまぁそんな魔法少女の段取りの悪さは事は兎も角として、確かにその力で怪人は実際に今苦戦している
このままではこのままジリジリと競り勝てるだろう
「くっ…なら対応できない程の数で攻めれば良いのよ、コカッツ!」
「言われなくても分かってますよぉ!」
徐々に押されていく状況に業を煮やし力押しで止めようと今度は砲台と魔法陣をさっきよりも更に多く出現させた
「喰らえ、『クイーン・レインズ』!」
「『メカニック・ブラスター』!」
無数の閃光が二人を囲い視界を奪いつつも鋭く襲ってくる
「ちょっ!?」
「くそっ、しっかり私に捕まってて!」
「へっ?って…きゃぁああ!」
ブルーはグリーンを掴ませ…というか明らかにグリーンの服の襟を自分で掴んで、思い切り天井へと跳んで避けて見せる
「逃がすと思っているのかぁ!」
天井から壁を伝ってバレルロールの様に避けながら走り続けるブルーに、追い打ちかの如き射撃が背中を追う
弾や光線が行き交い、何度もブルーへと標準を定め追い続ける
「っんの、大胆な事だことね…!」
「あの…すいません首締まっ、締まって…」
わざわざ味方の首を絞めながら逃げ続けるブルー、苦しむグリーン
そう言うとブルーは次に部屋を駆け回りながらロッドに水を纏わせ攻撃の準備に差し掛かり
「こんの、はぁっ!」
「ぬぉっ!?またしてもワタクシの発明品達が…!」
まずはコカッツの砲台に対して射撃を仕掛け返し、一機ずつ破壊する
「無駄よ、まだまだコッチには余る程数はある!」
しかし破壊される度に一機、また一機と底なしに現れるビーム砲台
怪人二人の弾幕が間を挟む事無く豪雨の如く激しく攻め立てるその様に、ブルーの反撃の手がまたもや止まってしまう
(…まだ、もうちょい)
が、こちらもそれはさっきの戦いの上で承知済み
ブルーは何かを狙いつつも一人で逃げ回りつつ、水の弾丸をばら撒く
勿論数撃ちゃ当たるだけで命中率は著しく無いが、それでもそれによって砲弾や魔法陣が一機ずつ破壊されていき削がれる
「…ふむ、妙ですねぇ
幾ら何でも逃げに徹し過ぎです、それにさっきから何かが…」
それにいち早く気づいたのは、コカッツ
密かに新たな砲台を出すと同時にロボットアームを忍ばせ地面に待機させながら、注意深くブルーを観察する
「隙あり、『ブルーハート・レイ』ッ!」
「ぐぉおっ!?」
余所見をするコカッツにブルーが強烈な一撃で貫く
踏み込み入った射程に見事お見舞し、逃げながらのせいか致命的な一撃とはならなかったものの肩に穴を開けた
「バカ何ボーっとしてんのよ!」
追い込まれているせいか未だ優勢なのにも関わらずイラついているアーゾが、コカッツに対し大声で当たりだす
「…………」
コカッツはそれにただただ無言で何も言い返さない
次第にそれにより怪人側も仲間割れか、という空気が流れ始めそれは敵である魔法少女にも僅かながら感じ取られていた
(何か知らないけどあっちの雰囲気悪いわね、仲間割れ?
って事はつまり…チャーンス!)
目敏く目を光らせるブルー、段々こういう若干卑怯というかヒーローらしからぬところがかないに似てきてる気がする
「そうと決まれば早速貰ったオルぁああ!」
「ちょっゆめみさん待ってって何それ、かないさん乗り移ってます!?」
「いやのぞみも大概言ってる事酷くない?」
まるで盗賊みたいな両手持ちで大振りでロッドを敵の頭に振り下ろした
「まぁ何はともあれコレで、一体目ぇえええっ!」
刃の先端が鋭くコカッツの頭に迫っていく
「…そこでぇすっ!」
「!?」
と同時にコカッツは即座に、手を大げさに上げて指を鳴らした
するとさっきまで仕掛けられていたロボットアームが地中から勢い良く出現し、ブルーの頬を掠め姿勢を崩した
「っとと危ない危ない…流石にちょっと焦りすぎたわね」
ブルーはよろけながらも追ってくるアームを何とか回避し難を逃れた
「でも大した事は無いし、またこのまま…!」
「それはどうですかねぇ…?」
しかししてやったり顔のコカッツがそこに居る、ふと何か嫌な予感がし急いで後ろを振り向いていると…
「ぐ…うぅ、すいません…っ!」
そこにはブルーに向かったものとは別に、後方に伸ばされたアームに強く縛られ動けなくなっているグリーンの姿があった
「なっ…のぞみ!」
「恐らくですが…貴女はただの囮、本命はいつの間にか隠れていたコチラでしょうかねぇ?いやはや危ない危ない…
もう少し遅ければ頭を撃ち抜かれるトコロでしたよぉ」
ブルーがグリーンを掴んで激しい弾幕から逃げていたあの時、密かにコッソリと何処かで手を放し隠れさせていた
そして肝心のブルーはそれを悟らせないように時折攻撃して挑発しながら逃げ回り、囮を担っていたのだろうと思われる
焦っていたのもあってブルーしか見ていなかったアーゾは勿論、先にアームを積極的に壊されていたコカッツにも様子から見て効果は覿面だった筈
「先ほど以上の高威力を狙った狙撃をまたされては堪らないのでねぇ
悪いですが、捕まえさせて頂きましたぁ」
もしも仮にグリーンがまだ気づかれていないままなら、コカッツとアーゾのどちらかは倒れていたかもしれないだろう
まぁ、大元が捕まってしまった今では元も子も無いのだが
「やってくれたわね、こんのぉ!」
「おっと良いんですかぁ?コチラには貴女のお仲間が居るんですよ?」
「くっ…!」
拳を強く握るブルーだが、捕まったグリーンを見て震えながらもすぐに腕を収めた
そこに漬け込むが如くアーゾが大声を出す
「ひひひ、良くやったわコカッツ!そらぁっ!」
「ぐがッ!?」
どうやら魔法少女に少しでもしてやられたのが相当頭にきていた様で、最早魔法すら使わずに素手でぶん殴り始める
「私達に歯向かうなんて、百万年ッ早いのよ!」
怪人の並外れた筋力でのヒールのストンピングの嵐
殴られ蹴られ突き刺され…みるみる内に体はグリーンの目の前でボロボロになっていく
「フン!」
「っ痛…!」
蹴飛ばされゴロゴロと転がり回り壁際まで追いつめられるブルー
「ふぅ…ふぅ…さて、と
さっきの余裕は何処へいったのかしらねぇ?」
アーゾは一度だけ怒りを収め荒げた呼吸を整えた後、したり顔でコツコツとヒールを鳴らしまた近づいていく
「さっきはちょーっとだけ手古摺ってしまったけど…やっぱり、アタシ達の敵では無かったみたいねぇ?
ま、精々コカッツの実験動物として頑張る事ね
ひーっひっひっひ!」
顔を酷く歪ませたその顔はまさに悪魔そのもの、不自然に高い声色で笑うそれに美麗さはかけらも見当たらなかった
それ程に先程まで手古摺った魔法少女の倒れる姿を見る事が愉快に思えたのだろうが、ある意味悪役らしい姿だ
「さぁて、どうしましょうかぁアーゾさぁん?」
「決まってるでしょう、今言ったように貴方が処理しなさい…ただし目一杯に凌辱して差し上げる事ねぇ!」
「…了解致しましましたァ」
コカッツもまた邪悪な笑みを浮かべ、アームを用意させる
そしてそれが決まるや否や紫色に光る人差し指をブルーに向けて、アーゾはトドメと言わんばかりに指先で描いたペンタグラムを向けていた
「さぁて…それじゃあ、何か言い残す事はあるかしら?
気分によっては貴女がさっき向かわせたアイツらに言ってあげるわよ?まぁ最も既に死んでいるだろうし、伝えられてもどうせすぐ死ぬんだけれどねぇ!」
自分が優位となり上から下を見下ろし続ける
「…どうやら言葉も出ない様ね
それじゃあさっさと、終わらしてあげましょうか」
そしてこのまま刻一刻と短いトドメまでの時間が過ぎていき、今やっとその一撃が繰り出されようとしていた
「…ふ、くくくっ…!
がその時、そんな怪人に対しブルーは笑みを浮かべる
というよりもつい釣り上げてしまう口角を隠そうと手で抑えつつ、どうしても堪えられずに笑い声が漏れ出していた
「なっ…何が可笑しい、貴女自分の状況が…!」
アーゾがそう言いかけた時、ブルーが何かを口に出そうとした
「…さ」
「さ?」
そこに出た言葉とは
「さっきまで息巻いておきながら、散々焦ってた奴が…良くそんな言葉を吐けるわね、ある意味羨ましいわ…!
くっくっくっく…!」
今の状況においてどう見ても考えても命知らずとしか思えない、本当にただの煽り言葉でしかなかった
「--殺す」
一気にアーゾの殺意が爆発する
ついさっきまで露わになり冷静にいようと何とか留めていた魔法少女へと感情が、一瞬で怒りとしてピークにまで達したのだ
そして即座に魔法陣から光弾を放ちブルーの眼前にまで迫る
「……ふっふっふ、本当に詰めが甘いわね」
その時だった
「…っけぇー!」
何やら見覚えのある矢がブルーの頭を掠める様にして、紋章ごと輝く弾丸をド真ん中からぶち抜いていった
「っ…ぐぁああ!?」
その一撃、それだけで一気に怪人側が警戒を強めると同時に先程までのグリーンの捕縛が緩まっていく
ほんの数秒だけとはいえ謎の攻撃への警戒に集中してしまったせいで、無意識に人質自体に目と力を外してしまったのだろう
「…今よ、てぇいやっ!」
その隙を縫う様にブルーはグリーンに向けて敢えて水弾を飛ばす
すると触手みたくうねりグリーンに絡みつき縛っていたコカッツのロボットアームに着弾、そしてほんの小さな爆発を起こした後に破壊する
「あ、ありがとうございま痛い!?」
「あっゴメン…」
ほんのちょっと味方によって仕方なく背中に爆撃こそ受けたものの、これで何とか味方を解放させる事は一応出来た
つまり、人質は居なくなったという事だ
(な、何だ!?今何をした…ッ!?)
あの矢は怪人から見てもどう考えてもグリーンの矢としか思えない、が肝心の本人は捕まえてまさに人質にしている最中だった筈
そう考える怪人達は、訳が分からず混乱する
そんな二匹にひとまず気を取り直して、改めて前に立ち
「…っとと、まぁ何はともあれコレでまた」
「形勢逆転、ですね」
さっきのしたり顔をそのままして返す魔法少女
「そうですかねぇ?確かにさっきはしてやられました…
が、さほど追い込まれているワケではない、そう考えるのは早計ですよぉ?」
「そうよ!さっきの状況が元に戻っただけ、アタシ達の力にお前らが負けているワケじゃあない!」
怪人達は緩めた気を引き締め、更に激しい怒りを相手に向ける
そして
「さて、と…もうお遊びは終わりです、ボスの命に従い…
…貴様らを、始末する」
「…そうね、それじゃあもうとっとと…倒れて貰いましょう」
そう言いつつ何やさっきまでとはうって変わり、おふざけ等では無い真剣かつ殺気立つ雰囲気となった二匹が軽く合図を送る
「っ…!?」
二人の前に新たに現れたのは数で押していたこれまでとはまるで違い一つずつ、しかし一層巨大かつ凶悪そうな砲台と魔法陣だった
「これは…!」
「怖気付きましたかぁ?ましたよねぇ、コレが我が最高傑作!
その名も…『アルティメット・ブラスター』!」
「そして人間共には決して成し得ないアタシの最終奥義魔法!
その名は…『クイーン・メテオフォール』!」
堂々と誇らしげに言い放つ怪人二匹
「な、な…」
「ひっひっひっひ…!」
魔法少女もコレには幾ら何でもと、ビビり始める
「「何て、安直な名前…!」」
「「うるせぇ放っとけ!」」
主に技名のみに
「ぐぬぬ、さっきからアタシらを馬鹿にしやがって…!
そこまでやられるのがお望みなら、今すぐ楽にしてやる!」
合図と共に現れる熱く燃え盛る巨大な炎の玉と砲台の奥から光る閃光が高音を発しながら二人を睨みつける
それこそ、いつ発射されてもおかしくない程に
「この圧倒的な力!これこそが人間に成し得ない、アタシ達怪人だけが持つ最強の証なのよ!」
「…」
叫ぶアーゾにブルーとグリーンは俯いたまま、ただ突っ立っているだけだった
「泣き叫ぶ間も無く、ワタクシ達の前にひれ伏すが良いィ!」
歴然とした力の差は最早これまで、埋めようが無かった
ワケでは無い
ーーーーー
遡る事、修行の日まで
グリーンとブルーこと、のぞみとゆめみは二人で自分の戦い方について色々と考え見直していた
「…という事で私はやっぱり、サポートに専念する事にしました」
「うん、のぞみが良いのならそれで良いんじゃない?」
いやにのぞみの決意をあっさりと笑顔で受け入れるゆめみ
そしてそれに対しのぞみもまたその返答を分かっていたかの様に、それを驚く事も無くただニッコリと微笑む
だがしかし、ゆめみの疑問はそこでは無かった
「…でもさのぞみ、やっぱり弓だけのじゃ幾らサポートばかりでも限度がね、多分アンタばっかり狙うのも居るだろうし
かないと私だけじゃ流石に助けに行けないかも…」
「うっ…!」
サポート専門になろうとも敵と真正面と戦う場面も出てくる、いや寧ろサポートを率先して倒す者も居るだろう
まして毎回それを助けに行くにも余計手間がかかるというもの
「うーん、どうすべきか…」
「…ごめんなさい、私が弱いせいで」
「い、いやいやいや!別にのぞみが弱いってワケじゃないわよ!
ただ矢以外にも戦う方法が無いかなーって思っただけで、例えば追従するビットとかそういう感じのとか…」
するとゆめみが何かを閃いたかの様な様子を見せた
「…うん?どうかしましたか、ゆめみさん」
悩み続けるのぞみをよそに考え続けるゆめみに、のぞみは気づき体ごと向き直した
「…のぞみ、その矢って…遠隔操作とか出来る?」
「へ?いや、やった事ないですけれど…あっそういえば」
「そういえば?」
のぞみがふと何かを思い出した
「ついさっきかないさんとアイリスさんが似たような事を言っていた様な…確か魔法を留めておくとか何とか」
「それよ、さっさとその二人に聞きに行くわ!」
「え?あっちょ、どうしたんですかゆめみさん!?」
と、まぁそういうワケで出来たのが…
ーーーーー
…この、魔法を空中に留める魔法だった
「…アンタ達、本当に気づいてないの?呆れるわね」
「準備はもう出来ました…!」
二人がふとポツリと言葉を漏らす
「は…?一体、何を言って…っ!?」
怪人がふと何かを感じ取ったのかすぐ様に部屋の天井の方へと目を向ける、するとそこにあったのは
「本当にアンタ達だけに、切り札があると思ってたのかしら?」
宙に留まったまま矛先を二匹に向けつつ水と風が物凄い勢いで渦巻いている、まるで台風の様な一本の大見槍であった
「…宙に蓄積させ、圧縮しつつ構築する技…名付けて」
「『ツインハート・トルネード』ってとこかしら?」
その勢いは個人であれば怪人二匹の魔法をも上回る力を秘めている
「魔法を留める…!
まさかさっき…何処からともなく射貫いてきたあの矢はこの魔法、コレが本命!?」
「ごっ明察、アンタらが挑発にバカ正直で助かったわ」
「何…だと…!?」
そう、グリーンが拘束されているにも関わらず矢が怪人を襲ったのはその前にコッソリ設置していたもの
つまり順を追って説明するとだ
アーゾとコカッツが数で強襲を仕掛けた時にブルーがグリーンを適当に放り囮役を引き受け、その間グリーンが隠れながら見つからないよう魔法を部屋中に配置する
そしてグリーンがコカッツによって捕えられた際にグリーンはその時間を貰い部屋中に撒いた矢を集め、ブルーもまた自分が適当に乱射していていると同時に若干留めていた水弾を矢へと集中させつつまたしても煽って集中を自分へ向けた
そうした結果、この『槍』が出来たというワケである
「つまり…アンタらは今まさに、私達魔法少女二人の術中にまんまとかかってくれちゃった…って事よ!」
「な、ぐっぐぅ…!」
予想通り、コレが魔法少女側の作戦の全容だったという事だ
だが、それでもまだ勝ったワケではない
「…っんのぉ、なぁまいきなぁぁあああああ!!」
「!?」
アーゾが力一杯に炎の玉をブン投げる様にして、ブルーとグリーン目掛けてただ怒りのままに発射した
「確かにこりゃ完全に一杯食わされた様子ですねぇ…
ま…それでもコチラにもボスとの使命もあるんで、このコカッツ…ならば精々足掻かせて貰うとしますよォッ!」
それと同時にコカッツも指を鳴らしそれを押し上げる様にして砲台から一気に光線をぶっ放す
「っ…アイツ等も本気ってワケね、のぞみ!」
「はい、これで最後です!」
ブルーの合図とともにグリーンは力と手をそれぞれ合わせ、槍を二匹の切り札に目掛けてそのまま貫くべく落とした
それぞれ重なり合いながら突っ込み衝突した二つの力が反発しながら互いを打ち砕こうと、競り合い押し続ける
その衝撃は部屋の中を嵐が暴れ回る程に激しく、それと同時に一生懸命に踏んばる四人の服を激しく靡かせた
「ぬっぐぐぐぐぅ…!」
「むぅううううぅ…!」
怪人の力も伊達では無く、アレだけの力を跳ね返してしまう程の力を放ち続けている
下手をして気を抜けばやられるのはコッチだ
「「ぉぉおおおおッ!!」」
だがそれは怪人側も同じ、如何に必死なのかが相手であるコチラにすら余裕で伝わってくる位だ
「っ…!」
しかしそれでも、負けるワケにはいかない
ブルーとグリーンがロッドを強く握り締め両手で振り下ろし前に翳しながら文字通り全力で魔力を槍に更に注ぎ続けた
「「ッうぉおりゃぁああああ!!」」
次第に怪人側がジリジリと押され、ついに壁際にまで追い詰められる
「バ、馬鹿な…このアタシが、この城の幹部であるアタシが…こんんな、こんなちっぽけな人間共に…!」
「…やっぱりダメでしたかぁ、まぁ後はあの男とボスに任せて…ワタクシ達はさっさと退場と致しますかねぇ」
とてつもない暴風雨から成る槍に阻まれた炎と閃光は遂に激しい衝撃を迸りながらぶつかり合い、そして…
「「いっけぇぇええええええええ!!!!」」
後方で必死に抑える二匹ごと一気にド真ん中にどデカい風穴を開け、凄まじい爆発を起こし怪人達を巻き込んだ
全力と言うだけありその爆風たるや床や壁をも削り取り吹き荒れる竜巻、魔法少女も力を使い果たし自ら生み出した強風に耐えきるのがやっとな位
「ぐっ、何て衝撃…!?」
やっと風が収まった頃には部屋は荒れ果て、殆ど原型を保っていなかった
それ程までに、強烈な一撃だったのだろう
「ふぅ、ふぅ…」
「はぁ…はぁっ」
勝利しながらも、辛くも限界に近くフラフラの魔法少女側
「のぞみ…!」
「はい、ゆめみさん…!」
二人は負傷しボロボロの手足を引き摺りながらも何とか立ち、そしてそれぞれ片腕を上げて拳を合わせた
そして、ただ互いの顔に向き合って
「やったわね」
「はいっ!」
戦いの終わりと共に、ニッコリと笑った
《第十一話へ続く》
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