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本編

第7話 俺様の誘拐事件と大乱闘

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ネズミ退治を禁止されてしまった俺様は退屈しているのだ。
最初はそうでもなかったけど、結構楽しかったのだ。
何か新しいあそびはないのかな?

受付の机の上であくびをしながら考えていたら、入り口から騒がしい太った商人ステハンの人が入ってきたみたいだ。

「責任者を出せ! おい! 責任者を呼んでこい!」

あ、「チっチっチっ」のおじさんも居るな、その後ろから、棒を持った厳つい人達も付いてきた。うるさい、静かにして欲しいのだ。

太った商人ステハンは、ホールをずんずんと歩いてきて俺様の前でとまった。
「これだ! これが私のヌコだ」

ああ、うるさいのだ。といっても臭い人ガイルよりは声が小さいかな。耳をピクピクして太った商人ステハンをみる。
なんか脂ぎってて気持ち悪いのだ。前にみたオークとかいう変なやつより気持ち悪いのだ。

へ? という顔をしていた茶色の女の人エヌエラだけど、やっぱりうるさかったのか立ち上がった。
うん、いいぞ言ってやれ~

「何か御用でしょうか? ここはハンターギルドの受付ですから依頼のご相談でなければお帰りください」

いや、もうちょっと、ちゃんと言って欲しいのだ。

「やかましいぞ小娘!! 責任者を出せ。私のヌコを盗んだのだ、返してもらうぞ! こちらへ寄越せ!」

ほら、余計にうるさくなっただろ? もっとキチンと言わないとだめなのだ。

「何を言っているんです? みーちゃんは、誰のものでもありません! ギルド所属のハンターです」

いや、まだまだ足りないな。あのダンジョン最下層の黒い影の人を見習ってほしいのだ。
俺様がちょっと言ってやろうかな。と思ったら階段から白髭の爺さんギルドマスターが降りてきた。
なんだろう、今日はちょっとだけ迫力あるかも? 太った商人ステハンの人も静かになったな。

「なんの騒ぎかの。ここの責任者はワシじゃが。おお、衛兵隊の方ですか、今日は何事ですかな?」

衛兵隊って棒の人のことかな? 口髭の男が棒でコツンと床を鳴らして偉そうに喋りだしたぞ。

「こちらのステハン・ステイン殿より、白ヌコが盗まれたと届け出があった。ここに居るとの事なので引き取りに来たのだ。おとなしく引き渡すように」

白髭の爺さんギルドマスターは「ほう」と言って髭をさすった。ちょっと早くなんとか言ってよ。

「しかし、盗まれたヌコが、みーちゃんだという証拠はあるのかの?」

棒の人は腰に下げたカバンから紙を取り出して見せた。

「盗まれた日付と、ここにヌコが確認された日付が一致する。白いヌコはそうそう居るものでもなし。もし抵抗するなら、ハンターギルドが盗難の犯人ということになるが?」

「ふーむ、そういう事か・・・・・・ステハン殿と言ったかの、本気で言っておるのか?」
白髭の爺さんギルドマスター太った商人ステハンを冷めた目で見ているけれど、そうじゃなくて、うるさいと言ってやればいいのだ。

「当然だろう! 私のネコを取り返して何が悪いのか!!!」

くそぉ、またうるさくなったぞ。俺様はシッポでパタンパタンと机を叩いてしまうのだ。

「では、衛兵隊の班長殿、公務だとおっしゃるなら身分証の提示を。エヌエラ、記録しておくのじゃ」

茶色の女の人エヌエラは受付の後ろから、ちょっぴり光る棒を持ってきて、棒の人が差し出したプレートにちょんと当てた。

「キャンパリフ衛兵隊 第28班 班長 シエトン・アエイさんですね。確認しました」

「では好きにするがええぞシエトン殿、ステハン殿。ただし、言っておくが備品を壊したら弁償していただくからのぉ」

「最初からそう言え! おい、ネコを連れて行け!!!」
あ~~太った商人ステハンがさらにやかましくなった。「チっ チっ チっ」のおじさん達に連れていけって言ったけどさ、こいつらに出来るの?

「チっ チっ チっ」のおじさん達が俺様に手を伸ばして来たど、気持ち悪いし!!!
俺様は最高に機嫌が悪いのだ。耳を伏せて牙を見せる。シッポを左右に強く叩きつける。

「ギルマス! みーちゃんが連れて行かれていいと言うですか!?」
「エヌエラ、いまは大人しくするしかないぞ、下手に動くと逮捕されかねん」

「フゥウ~~ゥゥゥゥゥ」
これは最初の警告なのだ。ちょっと本気で相手してやるぞっという意味だからな。
相手がネコなら「ふぅぅぅーぅ」と返して来るところだ。人は常識がないからな、無言で腕を近づけて来たのだ。俺様は素早く猫パンチをお見舞いする。爪を全開にした本気バージョンを連発で叩きつけてやったのだ。

「「ひぃぃぃ」」

「チっ チっ チっ」のおじさん達は、あわてて飛び退いたけど遅すぎるな。腕から血が溢れて騒いでるけど、そっちが悪いのだ。ちょっとは手加減してやったから有難く思えなのだ。

「おまえら! 何をやっている、さっさと捕まえろ!!!」

「チっ チっ チっ」のおじさん達は青ざめて動こうとしない。
太った商人ステハンは、口髭の男シエトンに食ってかかるようにわめいた。
「おい! シエトン! ヌコを捕まえろ!」
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