俺様はネコなのだ〜猫は異世界に行ってもネコ〜

わんこ

文字の大きさ
33 / 43
本編

第7話 俺様の誘拐事件と帰る場所

しおりを挟む
俺様は細い裏道を歩いているのだが、困ったのだ。ここが何処だか解らない。
人の気配がしたら物影に隠れて、過ぎ去ったらまた歩きだして。

しばらく歩いてから考えたのだ。俺様は何処へ帰ればいいのだ? あの家にはもう帰れないのだから帰る場所がないのだ。ママも シローも パパにも、もう会えないのかな。

すっかり暗くなって、どこかでコタツをだして休もうかと思っていたら、賑やかな声が聞こえてきたのだ。木箱の影から覗いてみると、通りにテーブルを並べて大声で話している人たちが見えたのだ。
あれは”酒場”とか言う店だな。俺様は騒がしいのは苦手なんだけどな。今日はちょっと人の相手がしてみたい気分なのだ。

店の前のテーブルの近くまで行って、行儀よくお座りして「にゃぁ」と言ってみた。初対面の人にはこのポーズが一番ウケるからな。ヌコ嫌いの人じゃなかったらいいんだけど。

「お? ヌコがいるぞ」
「綺麗な白ヌコだな。こりゃ高く売れるぜ?」

この人たちはダメだな。逃げたほうが良さそうだ。立ち上がって店から離れようとしたら奥のテーブルから声がした。

「おーい、みーちゃんじゃねえか!」
「よう! みーちゃん、こんな所で珍しいな」

あっ、臭い人ハンター達だ!

俺様は思わず小走りで臭い人ハンター達の方へ走って行った。

「おうおうおう! そこの旦那よ! おまえ今なんて言った? みーちゃんに手を出すなら、町のハンター全員が相手になってやるぜ! 覚えておきな!」

うわー酔っ払ってる。でも、ちょっと嬉しいかも、なのだ。テーブルに飛び乗って臭い人ハンター達を見上げてみる。ちょっと臭いけど、仲間と思ってくれるんだな。

そうだ、お土産をあげよう。えーと、確か収納の中に・・・これだ!
テーブルの真ん中に、どどん~とネズミが積み上がった。美味しくないから贈り物に最適なのだ。

「うっぉぉ、みーちゃん、それは・・・・ありがてーけどイラネーよ」

やっぱりそうか、俺様も要らないからな。じゃあ他の要らないものは・・・これがいいな。

「おおおお! ワインじゃねえか! このマークはドロセルのワインか!!!」
「んだと? すげー高級ワインだぜ」

臭い人ハンター達は大喜びしてるな。よかったよかった。白髭の爺さんギルドマスターの部屋で獲ったヤツだから、美味しいんじゃないかな。俺様は酒は飲まないから要らないしな。

すごく騒がしいから臭い人ハンター達は苦手、だけど安心できるな。俺様は臭い人ハンター達の仲間になってしまったのか。ちょっと納得できないけどな。

お酒で盛り上がってる臭い人ハンター達を見ていると、ちょっと小腹が空いてきた。今なら見てないから、この隙にお皿から肉を頂くのだ。お肉を咥えて頭を上げると目が合った。やばい? あれ? 怒られなかったぞ。ママはいつも怒るのにな。「好きなだけ食え」って言ってるけど、ひと切れで俺様の頭くらいの大きさだからな。これで十分なのだ。

「オレ達は、そろそろ宿に帰るけどよ。みーちゃんはどうすんだ?」

そう聞かれても、ちょっと困るのだ。どうしようかな。

「ギルドに連れていけば良いんじゃねか? いつもギルマスの椅子で寝てるらしいぜ」
「あれ? あの部屋には結界の魔道具がなかったけか?」

そっか、ギルドか。俺様はギルドに帰ればいいのか。

「おやじ~! 代金ここに置いていくぜ~! ほら、みーちゃん行くぜ」

俺様はちょっと臭いをチェックして、一番臭くない人の肩に飛び乗った。
お酒の臭いもするからな。ちょっと複雑な臭いだけどガマンしてやろう。

肩につかまってしばらく進むと、見覚えのある建物が見えてきたのだ。ハンターギルドだ。初めて来た時もこうやって肩につかまっていたっけな。

商店街を抜けたらハンターギルドに到着なのだ。何だか、夜だと言うのに人が多いな。何かあったのか? 茶色の女の人エヌエラも居るな。

「あれ? みなさんこんな時間にどうされたんですか? え? みーちゃん?!」

「オレ達、ハンスの酒場で飲んでたんだけどよ、みーちゃんが居たから連れてきたけど、何かあったのか?」

うわ、うわ、一番臭い人ガイルも居るし、こっち来んな、臭いからな。

「ガハハハ!! ほーら、やっぱり帰ってきたじゃねえか」
「ヌコ様、無事で何よりです」

商人さんギヨムも居る。こんな時間に何をしているんだ?
肩から飛び降りて、さっと臭い人ガイルの足元を走り抜けて、受付の机の上に飛び乗る。

「それじゃ、オレ達は宿へ引き上げるぜ、じゃな」

酒場の臭い人ハンター達が帰っていったら、臭い人ガイルが目の前までやって来た。やっぱ臭いな。こいつが1番くさいのだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

「人の心がない」と追放された公爵令嬢は、感情を情報として分析する元魔王でした。辺境で静かに暮らしたいだけなのに、氷の聖女と崇められています

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は人の心を持たない失敗作の聖女だ」――公爵令嬢リディアは、人の感情を《情報データ》としてしか認識できない特異な体質ゆえに、偽りの聖女の讒言によって北の果てへと追放された。 しかし、彼女の正体は、かつて世界を支配した《感情を喰らう魔族の女王》。 永い眠りの果てに転生した彼女にとって、人間の複雑な感情は最高の研究サンプルでしかない。 追放先の貧しい辺境で、リディアは静かな観察の日々を始める。 「領地の問題点は、各パラメータの最適化不足に起因するエラーです」 その類稀なる分析能力で、原因不明の奇病から経済問題まで次々と最適解を導き出すリディアは、いつしか領民から「氷の聖女様」と畏敬の念を込めて呼ばれるようになっていた。 実直な辺境伯カイウス、そして彼女の正体を見抜く神狼フェンリルとの出会いは、感情を知らない彼女の内に、解析不能な温かい《ノイズ》を生み出していく。 一方、リディアを追放した王都は「虚無の呪い」に沈み、崩壊の危機に瀕していた。 これは、感情なき元魔王女が、人間社会をクールに観測し、やがて自らの存在意義を見出していく、静かで少しだけ温かい異世界ファンタジー。 彼女が最後に選択する《最適解》とは――。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...