俺様はネコなのだ〜猫は異世界に行ってもネコ〜

わんこ

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本編

第7話 俺様の誘拐事件と城館の裏口

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ふぁ~~っと、あくび。
今日のハンターギルドはとても静かなのだ。

こないだの騒動で、設備が壊れたからハンターギルドの一般業務が出来なくなった。茶色の女の人エヌエラがそう言ってたのだ。
だけど、壊したのは棒の人衛兵達だからな。俺様は鬼ごっこしただけだ。

商人さんギヨム茶色の女の人エヌエラはギルマスの部屋で難しい話をしている。猫には2階の話し声でも聞こえるのだ。俺様には”休業補償”とか”損害賠償”とか、よくわからないけどな。

ホールの掲示板にも、大きな文字で「しばらく休業」って書いてあるらしい。
臭い人ハンター達がやって来ては、掲示板の前で溜息をついて帰って行くのだ。

だから臭い人ハンター達が受付に来ることもない。
誰もいない受付の机の上で、のんびり昼寝。これが猫の正しい姿なのだ。俺様は机の上で丸くなる。でも、最近は寒くないから、半分丸まって前足と後ろ足を横に伸ばす。これが猫わっさんスタイルってやつだな。

いい気持ちで寝ていると、階段を降りる足音がした。あれは、白髭の爺さんギルドマスターと、茶色の女の人エヌエラと、商人さんギヨムだな。

ホールまで降りてきた所で、俺様はシッポの先だけフリフリしておく。先だけフリフリするのは「昼寝中じゃまするな」の意味なんだけど。

「みーちゃん、でかけるわよ」

少しはシッポの意味を解ってほしいのだ。と思ってたら茶色の女の人エヌエラが俺様を抱き上げた。
抗議する間もなく頭を撫でられてホンワカいい気分に。
まあ、女の人は柔らかいから悪くないしな。このまま昼寝するか。

「じゃあ、ギルマス、ギヨムさん、商業ギルドの方はお任せします。私とみーちゃんで、城館の方を抑えてきますので」

え? また仕事させるつもり? 俺様は行きたくないから抗議しておこう。

「ふにゃぁぁぁぁ」

でも、また頭を撫でられて、ちょっといい気分に。

「みーちゃんは、居てくれるだけでいいのよ。話は全部私がするから」

ま、いっか。俺様は昼寝してるのだ。茶色の女の人エヌエラの胸は枕にちょうどいいしな。

◇◇◇◇◇◇

ハンターギルドを出て、しばらく行くと噴水の広場に出た。
臭い人ガイルがよく行く屋台があって、おじさんが声を掛けてきた。

「エヌエラさん、ハンターギルドが休業っだって? 何事だ?」

それはさておき、俺様は鼻をひくひく。いい匂いだな。

「衛兵隊に設備を壊されてしまったのよ。事務手続きが全部停止よ。困ったものだわ」

茶色の女の人エヌエラが、ちょっと大きな声で騒動を説明していると、他の屋台のおばさんや、通りかかりの人達も集まって聴き始めた。

俺様は、鼻をひくひくひく。いい匂いなのだ。

「それじゃあ、ステイン商会がハンターギルドに喧嘩売ったってことかい?」

なんだか、騒がしくなってきたけどな。

「衛兵隊のせいで商売できなくなったの? ちょっと息子に文句言っとかないとね」

知らないおじさんとか、おばさんが話に寄ってきて、屋台の周りはちょっとした人だかりだな。

それはいいけど、鼻をひくひくひくひく。ひくひくひく。
ちょっと我慢できなくなってきたので、屋台のおじさんに一言。

「にゃ~ぅ」

「忘れてたぜ、すまねぇ」とか言いながら、おじさんが冷めてる串焼きから肉を外して俺様にくれた。

はぐはぐと食べたら、また茶色の女の人エヌエラの胸元で昼寝するのだ。
臭い人ガイルの背中と違って、のんびりできるので素晴らしいのだ。

しばらく昼寝していたら、ちょっと豪華な建物の前に居た。

「ここが領主の城館よ。変に豪華でしょう? 町の行政部門が集まってるのよ。ここを抑えたら色々と楽になるから」

ふーん、俺様にはよく解らないけどな。
けど、茶色の女の人エヌエラが、ダンジョンに入る前の臭い人ガイルみたいに見える。

「さあ、抑え込みにいくわよ」

どんな魔物が居るんだろうな。美味しい獲物が居ればいいな。

茶色の女の人エヌエラのは、建物の正面じゃなくて裏口のほうへ歩いて行った。
裏口を入ってすぐのところに小さい机があって、おばさんが1人座っていた。
これも受付ってやつかな?

「ハンターギルドのエヌエラです。税務室のエミリーさんに面会したいのですが」

おばさんは不機嫌そうに顔を上げて、こっちを見た。

「面会予約はないのですが、エヌエラが来たと伝えて頂ければ」

おばさんは無愛想に机の横の小さなベルを叩いた。
チーンと小さい音がしたから、俺様もやってみようとゴソゴソしたら、茶色の女の人エヌエラに頭を押さえられた。

「みーちゃん、ちょっと待ってね」

しばらくして少年がやってくると、おばさんが「政務室のエミリー」とだけ呟いた。少年は小さくお辞儀をして、奥の方へ走っていった。

「それで? ヌコを連れて入るつもりかい?」

不機嫌そうなおばさん

「ええ、もちろん。F級ハンターのみーちゃんです。お見知りおきを」

「ヌコがハンターかね。ハンターギルドはそこまで人手不足なのかい? 世も末だねえ。
トイレの躾は大丈夫なんだろうね? 掃除するのはこっちなんだからね。
それから、3階の床はワックスかけたとこだからね。ヌコを歩かせるんじゃないよ! ヌコが舐めたらお腹を壊すからね」

おばさんは、よっこらしょと立ち上がって、俺様の前まで歩いてきた。不機嫌そうな顔が、ずーんと近づいてきたから、俺様の肉球で鼻を押さえてやった。

「真っ白だね。縁起が良さそうだ。うちの子は、足の先だけ黒くてね。靴下を履いてるみたいなんだよ。ぺろ助って名前なのさ。どこかで会ったら仲良くしてやっておくれ」

いや、突然そんな事を言われても困るのだが?
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