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推し活開始
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あれから1年が経ち、今日はお兄様が主催のお茶が開催される。残念ながら私は参加できないけれど、遠目からでも見に行こうと思っているの。
だってね、ご令嬢も招待しているみたいだから。そう、私の推しであるニーナ・クラーク様も参加予定なのよ。これは見逃せないわ。
「今日は黒いドレスにするわ」
「黒、ですか?」
「そうよ」
影となりこっそり見るんだからやっぱり色は黒よね!
「ですが…エレナ様は黒いドレスをお持ちではないですよ?」
なんですって!?
「えぇ…じゃあ一番暗い色のものして」
「かしこまりました」
そう言って出してくれたのはマリンブルー色のドレス。色は許容範囲だけど…
「やっぱり一番シンプルなデザインのものにするわ」
「でしたら……こちらはどうですか?」
「それにするわ」
ピンク色で、イメージとかけ離れてしまったけど仕方ない。
*
「よしっ、ここがいいわね」
「? エレナ様何をされているのですか?」
「え? ソフィーも早く隠れてっ」
お茶会は庭園で行うみたいだから、少し離れた東屋に隠れて見ることに。
「ふふ。そろそろかしら。待ち遠しいわ」
「ライナス様のお茶会が気になっているのですね」
「あっ!! しっ、ソフィー静かにして」
って声を出したの私だったわ。でもそんなことよりも…
「可愛い……」
悪役令嬢、可愛すぎか! 他の子よりどこか大人びて見えるのは公爵令嬢として厳しい教育を受けているからね。
「別格ね。見てみてっ! あの子、すっごく可愛くない?」
「どのお方でしょうか?」
「ほらっ、あの赤髪ストレートの子。大人になったら絶対美しくなるわ」
漫画でウェーブがかった赤髪だったのは、毎朝セットしていたのね。ストレートの髪も素敵だわ。
「私もストレートの髪にしようかな…」
「えっ、ダメです! そのふわふわをなくすなんて…」
「そ、そう?」
どうやら招待客が全員揃ったようで、お兄様が挨拶をされている。
「なんだかとってもいい匂いがする…これはりんごのタルト? いいなぁ。私も食べたい」
「お茶会の余りが厨房にあると思うのでお持ちしましょうか?」
「いいのっ? せっかくだからソフィーも一緒にここで食べましょう!」
一緒に食べることは断られてしまったけど、ここまで来て部屋に戻るなんて考えられないもの。ソフィーが帰ってくるまでもう少し近づいてもバレないよね?
「よしっ」
少しずつ距離を縮め、お茶会会場の近くにある木の陰に隠れることにした。あら? ここだと推しが人に隠れてよく見えないわ。別のところに…
「あそこにしよう!」
近すぎる…かもしれないけど、あそこの低木の後ろからだとよく見えると思うのよ。推しを生で見れるこんなチャンス、滅多にないんだから見逃せないわ。
「誰にもバレませんように」
「もうバレちゃってるよ?」
「っ!?」
えっ、誰? 声がした後ろを向くと、初めましての男の子が立っていた。どう考えてもお兄様のお茶会に招待された人なんだろうけど。
「ここで何をしているの? あっちに行かないの?」
えぇ。だって私参加資格ないもの。むしろなぜここにいるの? あなたこそあっちに行きなさいよ。
「? えっと…僕の顔に何かついてる?」
「いえ。あの、戻らなくていいのですか?」
「それは君もでしょう。君が戻るまで僕もここにいることにする」
えぇぇぇ、それは困るんですけど。
「そろそろ戻らないといけないので、失礼します」
「一緒にもどろうよ」
「…………。私招待客じゃないから」
お茶会に私も参加したいってお願いしたけどお父様にダメって言われてるのよね。お兄様にお願いしても叶わなかったし、ここにいるってバレたら怒られちゃう。
「君はもしかしてライナスの妹?」
私のこと知ってるんだ! なら話が早い。迷い込んでしまったことにして退散させてもらおう。
「はい…。あのっ、迷い込んでしまって」
「自分の家なのに迷ったんだ?」
「ぎくっ」
ここは何も言わずに逃げてしまいたい…けど、一緒に戻ろうと手を繋がれてしまっているから動けない。
「だって…」
「もしかして、参加したかった?」
「…………」
ニーナ・クラークが来てるんだもん。当たり前じゃない。
「本当に仲が良いんだね」
「???」
「前に僕が主催したお茶会にライナスが来たんだよ。その時に妹の話をしていらから知っているんだ」
「そ、そうなのですね」
お兄様が招待されたお茶会って確か公爵家もあった…まさかこの人公爵令息、なんてことないわよね?
「あの………」
名前聞くのって良かったっけ? うわぁ、こんなことならマナーの授業、もう少しちゃんと聞いておけばよかった。
「あっ、名乗ってなかったね。僕はルーク・オリヴィエ、オリヴィエ公爵家の嫡男だよ」
「っ!?!? あっ、えっ、あの、えっと……わ、私、エレナ・マーリンです」
予想が当たってしまい、驚きすぎてちゃんと挨拶ができなかったけれど大丈夫だろうか?
目の前にいる彼の頬がほんのり赤くなってきて、明日からちゃんと授業受けるので今日はどうか見逃してくださいっ。と願いながら彼を見つめてしまっていたことに気が付いた。
「エレナ…エレナって呼んでも?」
「もちろんです!」
良かった。
「僕のことはルークと」
「はい。ルーク様」
願いが届いたのか怒られずに済んだわ。
「ルーク様、お茶会に戻ってください」
「エレナも一緒に行く? 参加、したかったんでしょう?」
「だ、だめです。怒られちゃう……」
怒られちゃうなら仕方ないねと言って、ようやく手を離してくれた。そろそろ戻らないとソフィーが心配して探し回ってしまう。
「戻ります。あの、お話ししてくださりありがとうございました」
「こちらこそありがとう。エレナが7歳になったら僕のお茶会に招待するよ」
「ありがとうございますっ! 楽しみにしています!!」
「っ!!」
?? 何か驚くようなことを言ってしまっただろうか?
公爵家のお茶会でしょ? ここにも来てるってことはクラーク公爵家とオリヴィエ公爵家は同じ派閥ってことだから、きっとルーク様主催のお茶会にも推しが呼ばれるはず。
あぁ、早く7歳になりたい。
だってね、ご令嬢も招待しているみたいだから。そう、私の推しであるニーナ・クラーク様も参加予定なのよ。これは見逃せないわ。
「今日は黒いドレスにするわ」
「黒、ですか?」
「そうよ」
影となりこっそり見るんだからやっぱり色は黒よね!
「ですが…エレナ様は黒いドレスをお持ちではないですよ?」
なんですって!?
「えぇ…じゃあ一番暗い色のものして」
「かしこまりました」
そう言って出してくれたのはマリンブルー色のドレス。色は許容範囲だけど…
「やっぱり一番シンプルなデザインのものにするわ」
「でしたら……こちらはどうですか?」
「それにするわ」
ピンク色で、イメージとかけ離れてしまったけど仕方ない。
*
「よしっ、ここがいいわね」
「? エレナ様何をされているのですか?」
「え? ソフィーも早く隠れてっ」
お茶会は庭園で行うみたいだから、少し離れた東屋に隠れて見ることに。
「ふふ。そろそろかしら。待ち遠しいわ」
「ライナス様のお茶会が気になっているのですね」
「あっ!! しっ、ソフィー静かにして」
って声を出したの私だったわ。でもそんなことよりも…
「可愛い……」
悪役令嬢、可愛すぎか! 他の子よりどこか大人びて見えるのは公爵令嬢として厳しい教育を受けているからね。
「別格ね。見てみてっ! あの子、すっごく可愛くない?」
「どのお方でしょうか?」
「ほらっ、あの赤髪ストレートの子。大人になったら絶対美しくなるわ」
漫画でウェーブがかった赤髪だったのは、毎朝セットしていたのね。ストレートの髪も素敵だわ。
「私もストレートの髪にしようかな…」
「えっ、ダメです! そのふわふわをなくすなんて…」
「そ、そう?」
どうやら招待客が全員揃ったようで、お兄様が挨拶をされている。
「なんだかとってもいい匂いがする…これはりんごのタルト? いいなぁ。私も食べたい」
「お茶会の余りが厨房にあると思うのでお持ちしましょうか?」
「いいのっ? せっかくだからソフィーも一緒にここで食べましょう!」
一緒に食べることは断られてしまったけど、ここまで来て部屋に戻るなんて考えられないもの。ソフィーが帰ってくるまでもう少し近づいてもバレないよね?
「よしっ」
少しずつ距離を縮め、お茶会会場の近くにある木の陰に隠れることにした。あら? ここだと推しが人に隠れてよく見えないわ。別のところに…
「あそこにしよう!」
近すぎる…かもしれないけど、あそこの低木の後ろからだとよく見えると思うのよ。推しを生で見れるこんなチャンス、滅多にないんだから見逃せないわ。
「誰にもバレませんように」
「もうバレちゃってるよ?」
「っ!?」
えっ、誰? 声がした後ろを向くと、初めましての男の子が立っていた。どう考えてもお兄様のお茶会に招待された人なんだろうけど。
「ここで何をしているの? あっちに行かないの?」
えぇ。だって私参加資格ないもの。むしろなぜここにいるの? あなたこそあっちに行きなさいよ。
「? えっと…僕の顔に何かついてる?」
「いえ。あの、戻らなくていいのですか?」
「それは君もでしょう。君が戻るまで僕もここにいることにする」
えぇぇぇ、それは困るんですけど。
「そろそろ戻らないといけないので、失礼します」
「一緒にもどろうよ」
「…………。私招待客じゃないから」
お茶会に私も参加したいってお願いしたけどお父様にダメって言われてるのよね。お兄様にお願いしても叶わなかったし、ここにいるってバレたら怒られちゃう。
「君はもしかしてライナスの妹?」
私のこと知ってるんだ! なら話が早い。迷い込んでしまったことにして退散させてもらおう。
「はい…。あのっ、迷い込んでしまって」
「自分の家なのに迷ったんだ?」
「ぎくっ」
ここは何も言わずに逃げてしまいたい…けど、一緒に戻ろうと手を繋がれてしまっているから動けない。
「だって…」
「もしかして、参加したかった?」
「…………」
ニーナ・クラークが来てるんだもん。当たり前じゃない。
「本当に仲が良いんだね」
「???」
「前に僕が主催したお茶会にライナスが来たんだよ。その時に妹の話をしていらから知っているんだ」
「そ、そうなのですね」
お兄様が招待されたお茶会って確か公爵家もあった…まさかこの人公爵令息、なんてことないわよね?
「あの………」
名前聞くのって良かったっけ? うわぁ、こんなことならマナーの授業、もう少しちゃんと聞いておけばよかった。
「あっ、名乗ってなかったね。僕はルーク・オリヴィエ、オリヴィエ公爵家の嫡男だよ」
「っ!?!? あっ、えっ、あの、えっと……わ、私、エレナ・マーリンです」
予想が当たってしまい、驚きすぎてちゃんと挨拶ができなかったけれど大丈夫だろうか?
目の前にいる彼の頬がほんのり赤くなってきて、明日からちゃんと授業受けるので今日はどうか見逃してくださいっ。と願いながら彼を見つめてしまっていたことに気が付いた。
「エレナ…エレナって呼んでも?」
「もちろんです!」
良かった。
「僕のことはルークと」
「はい。ルーク様」
願いが届いたのか怒られずに済んだわ。
「ルーク様、お茶会に戻ってください」
「エレナも一緒に行く? 参加、したかったんでしょう?」
「だ、だめです。怒られちゃう……」
怒られちゃうなら仕方ないねと言って、ようやく手を離してくれた。そろそろ戻らないとソフィーが心配して探し回ってしまう。
「戻ります。あの、お話ししてくださりありがとうございました」
「こちらこそありがとう。エレナが7歳になったら僕のお茶会に招待するよ」
「ありがとうございますっ! 楽しみにしています!!」
「っ!!」
?? 何か驚くようなことを言ってしまっただろうか?
公爵家のお茶会でしょ? ここにも来てるってことはクラーク公爵家とオリヴィエ公爵家は同じ派閥ってことだから、きっとルーク様主催のお茶会にも推しが呼ばれるはず。
あぁ、早く7歳になりたい。
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