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ガラスペン
「お茶をご用意しましょうか?」
「アンナ…お願いするわ。お祖父様とお祖母様がいらしてからメアリーの機嫌が悪くなってしまって大変だったの」
「大旦那様も大奥様もリリーナ様を溺愛されていらっしゃいますものね」
そうなのだ。元々私達兄妹3人を同じだけ愛してくれていた祖父母。特別扱いをしてもらえないメアリーは当然祖父母を嫌っているし、兄もメアリーを特別視しない祖父母に疑念を抱いている。逆に両親に構ってもらえない私は祖父母に懐き、結果溺愛されるようになったのだ。
とはいえ特別扱いはせず3人を同じように大切にしてくれているのに…今思い出してもムカつくし、メアリーが許せない。
*
*
*
*
*
「おめでとう、メアリー」
「お祖父様、お祖母様、ありがとうございます。………これはなんですか?」
「ガラスペン、というものよ。最近発売されたもので一度のインク付けで羽ペンよりも多くの文字を書くことができるのよ。これから家庭学習が始まるでしょう。きっと役に立つわ」
あからさまにテンションを下げたメアリー。ガラスペンってものすごく高くて中々手に入らないって噂されているものなのに。
「お姉様にも同じものを渡していましたよね?」
「えぇ、そうね。リリーナだけでなくレオニールにも渡したのだけれど…それにメアリー、あなたには」
「何でお姉様ばかり可愛がるのですか! 今日はメアリーの誕生日です。お姉様にプレゼントなんておかしいわ!!」
何を言っているの?
「私だけじゃなくお兄様も貰っているわよ」
「うるさい! うるさい!」
「お祖父様もお祖母様も人が悪い。何もメアリーの誕生日当日に用意しなくても」
「メアリーもレオニールも、いらないのであれば無理に受け取らなくていいぞ」
お祖父様はずっと黙って様子を見ていたけれど、まだ5歳とはいえ癇癪を起こし始めたメアリーに呆れていた。それもそのはず。あくまでもガラスペンは私達の勉強に役立つようにとお祖父様が手に入れてくれただけで、メアリーの誕生日プレゼントは別で用意されているのだから。
お父様に爵位を譲ってから領地の田舎に住んでいるお祖父様とお祖母様。高価なものだし、せっかくだからと直接渡してくれただけだ。
「お姉様が貰うなんておかしいわっ!」
パキン
「えっ…」
そろそろお客様も到着するのだからいい加減にしてほしい。と思っていたら、メアリーにガラスペンを奪われ廊下に投げつけられた。直接廊下に落ちれば絨毯の上で壊れることもなかっただろう。壁に当たってから落ちたためキレイに半分に割れてしまった。
「うぅぅ、、」
公爵令嬢だから人前で泣いちゃだめだと自分に言い聞かせ、何とか堪えるが流石にこれは許せない。酷すぎる。
また手に入れると言ってくれたけれど、1つ1つが手作りで最初に貰ったこのガラスペンは戻ってこない。
「……部屋に下がります」
メアリーの誕生日なんて祝いたくない。この国では、無事にここまで育ったことをお祝いする5歳の誕生日は特別。でもそんなこと関係ない。メアリーだって私がいない方が嬉しいだろうし、体調が悪いとでも言ってもらおう。
「何を騒いでいるんだ」
「お父様…」
「そろそろお客様が到着される。準備をなさい」
結局部屋に下がることは許されず、思っていた以上に私へダメージを与えられた事に喜びを隠せないメアリーの誕生日パーティーに最後まで参加させられた。
「アンナ…お願いするわ。お祖父様とお祖母様がいらしてからメアリーの機嫌が悪くなってしまって大変だったの」
「大旦那様も大奥様もリリーナ様を溺愛されていらっしゃいますものね」
そうなのだ。元々私達兄妹3人を同じだけ愛してくれていた祖父母。特別扱いをしてもらえないメアリーは当然祖父母を嫌っているし、兄もメアリーを特別視しない祖父母に疑念を抱いている。逆に両親に構ってもらえない私は祖父母に懐き、結果溺愛されるようになったのだ。
とはいえ特別扱いはせず3人を同じように大切にしてくれているのに…今思い出してもムカつくし、メアリーが許せない。
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「おめでとう、メアリー」
「お祖父様、お祖母様、ありがとうございます。………これはなんですか?」
「ガラスペン、というものよ。最近発売されたもので一度のインク付けで羽ペンよりも多くの文字を書くことができるのよ。これから家庭学習が始まるでしょう。きっと役に立つわ」
あからさまにテンションを下げたメアリー。ガラスペンってものすごく高くて中々手に入らないって噂されているものなのに。
「お姉様にも同じものを渡していましたよね?」
「えぇ、そうね。リリーナだけでなくレオニールにも渡したのだけれど…それにメアリー、あなたには」
「何でお姉様ばかり可愛がるのですか! 今日はメアリーの誕生日です。お姉様にプレゼントなんておかしいわ!!」
何を言っているの?
「私だけじゃなくお兄様も貰っているわよ」
「うるさい! うるさい!」
「お祖父様もお祖母様も人が悪い。何もメアリーの誕生日当日に用意しなくても」
「メアリーもレオニールも、いらないのであれば無理に受け取らなくていいぞ」
お祖父様はずっと黙って様子を見ていたけれど、まだ5歳とはいえ癇癪を起こし始めたメアリーに呆れていた。それもそのはず。あくまでもガラスペンは私達の勉強に役立つようにとお祖父様が手に入れてくれただけで、メアリーの誕生日プレゼントは別で用意されているのだから。
お父様に爵位を譲ってから領地の田舎に住んでいるお祖父様とお祖母様。高価なものだし、せっかくだからと直接渡してくれただけだ。
「お姉様が貰うなんておかしいわっ!」
パキン
「えっ…」
そろそろお客様も到着するのだからいい加減にしてほしい。と思っていたら、メアリーにガラスペンを奪われ廊下に投げつけられた。直接廊下に落ちれば絨毯の上で壊れることもなかっただろう。壁に当たってから落ちたためキレイに半分に割れてしまった。
「うぅぅ、、」
公爵令嬢だから人前で泣いちゃだめだと自分に言い聞かせ、何とか堪えるが流石にこれは許せない。酷すぎる。
また手に入れると言ってくれたけれど、1つ1つが手作りで最初に貰ったこのガラスペンは戻ってこない。
「……部屋に下がります」
メアリーの誕生日なんて祝いたくない。この国では、無事にここまで育ったことをお祝いする5歳の誕生日は特別。でもそんなこと関係ない。メアリーだって私がいない方が嬉しいだろうし、体調が悪いとでも言ってもらおう。
「何を騒いでいるんだ」
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結局部屋に下がることは許されず、思っていた以上に私へダメージを与えられた事に喜びを隠せないメアリーの誕生日パーティーに最後まで参加させられた。
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