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しおりを挟む好きな子にフラれた。
そしてその理由を、共通の友人から知らされた。
――すごくいい人だとは思うんだけど、
――でも、自分より背が低い人はちょっと…
「……イヤミか」
「は?」
放課後の教室でそうぼそりと呟くと、向かい側に座る阿部(アベ)は訝しげな表情を浮かべた。
「なんでもない。……で、志望校は」
手元にある彼の進路希望調査表には、T短の保育学科とある。
「へぇ、保育士になりたいのか」
「はい」
「ふーん…」
「………」
「………」
「……先生、」
「なんだ」
「似合わねーとか思ってますよね」
「おう、よくわかったな」
だっておまえ、そのガタイの良さと強面(コワモテ)で保育士って…。
子どもに話しかけただけで泣かれるだろ、絶対。
「てゆうかなんで保育士?子どもが好きなのか?」
「はい」
「ふーん」
俺は嫌いだけどな、あんなやかましくてワケのわからん生き物。
「……先生、」
「なに」
「仕事してください」
「してんじゃん」
「ラインしながらですか」
バレたか。
「保育士いんじゃね?頑張れよ!」
「適当すぎでしょう」
「だっておまえムカつくもん」
「なんでですか」
「背ぇ高いから」
「意味がわかりません」
「うるせえ俺を見下ろすな」
「俺の所為じゃない」
「そうだな」
「………」
阿部は何か言いたげな表情で俺を見る。
窓から射し込む西日が、その無駄に男らしい顔を照らしていた。
「……なんだよ」
「いえ、別に」
「そうか。じゃあお疲れ~」
「あの、」
さっさと教室を出ていこうとしたところをあの、と引き止められる。
「ちょっと待ってください」
「何だよもー…」
まだなんかあんのかよ…。
「俺、進路の事で悩んでるんです」
「えー、興味ねえし」
「あんたそれでも教師か」
「大体さぁ、そのテの相談ってとっくに結論でてるけど背中押して欲しいだけってのが多いじゃん」
女子の恋愛相談とかと一緒でさぁ、時間の無駄じゃん。
「俺は真剣に悩んでるんです」
がたんと音をたてて椅子から立ち上がると、阿部は何やら思い詰めた表情で言った。
「……やっぱ無理っすかね、俺には」
「………。それはおまえ次第じゃね?」
「……や、そうかもしれないっすけど」
俺は椅子に座りなおし、息を吐く。
「……なぁ阿部、」
「なんですか」
「俺、この前ツ〇ヤでDVD借りたんだけど」
「はぁ、」
「一つは無実の罪で刑務所に入れられた男が希望を捨てず信念を貫いて脱獄する名作中の名作、もう一つはセクシー金髪美女が復讐の為に日本刀を振り回して敵をなぎ倒していくスリリングなB級映画」
「……両極端ですね」
「今日返却日なんだ。もう帰っていいか?」
「………」
冷ややかな視線を感じたけどどうでもいい。
俺にとってはこいつの将来より、延滞金の方が重要だ。
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