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しおりを挟むそして迎えた、職場体験初日。
俺はひよこ組の前に立っていた。
クマのアップリケ(手縫い)がついたエプロンも用意したし、笑顔の練習もした。
「……よし、」
緊張はしてるけど、気合いも充分だ。
園児達の前で簡単な自己紹介を済ませると、先生から取り敢えず今日はみんなと遊んであげてくださいと言われた。
……遊ぶって…鬼ごっことかかくれんぼとか?
どうしようかと考えていると、視線を感じた。
「………」
「………」
……み、見られてる…
見慣れない人間だから警戒されてるのかもと思った俺は、懸命に笑顔を作った。
「お…お兄さんと一緒に、遊ばない?」
「………」
「………」
と、次の瞬間。
その場にいた園児の一人が、まるで火がついたように泣きだした。
「え?!ちょ、ど、どうし…」
「いやーっ!」
まるで伝染したかのように、周りにいた園児達も泣き始める。
「こわいいいい!!」
「こっ、怖くないよ!ほら、大丈夫だから!」
「うぁああん!!」
……あぁ…
何がどうしてこうなった。
子どもたちは一向に泣きやむ気配が無く、途方に暮れていると先生が慌ててやってきた。
「どうだ、現実を目の当たりにした気分は」
「……最悪っすよ…」
放課後の屋上。
本気で落ち込んでる俺を見て、早川はハナで笑った。
「情けねぇツラしてんじゃねぇよ。まだ初日だろうが」
「そりゃそうっすけど…。てか、マジどうすればいいのか全然わかんなくて…」
「………」
あの後泣いている園児達は先生が宥めてくれたけど、俺はオロオロするばかりで結局何も出来なかった。
「なんとかしたくても、ビビって泣かれるから近寄れねーし…」
「……ふーん、」
早川は煙草に火を点けた。
「てか、ビビってんのはおまえじゃねーの?」
「……え?」
「ガキっつーのは、意外と人をよく見てんだよ」
意味深な笑顔を浮かべながら、早川は言う。
「だからおまえもガキをよく見てみろ。ビビってないで」
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