1 / 41
第1章
1.プロローグ
しおりを挟む毎朝、携帯のアラームで目を覚ます。
「………」
隣りには、健やかな寝息をたてて熟睡している見慣れた顔。
しばらくそのまぬけな寝顔を眺めた後、のそのそとベットから這い出して準備を始める。
俺がシャワーを浴びたり歯を磨いたりコーヒーを淹れたりと慌ただしく動いている間も、あいつはまだ夢のなかだ。
その極端な寝起きの悪さは社会人になればさすがに治るかと思いきや、特にそういうわけでもなかった。
「いい加減起きろって、」
「ん―…」
「乗り遅れるから」
「ん―…」
「……俺はちゃんと起こしたからな」
「ん―…」
ここで苛々して怒っても宥めても冷たくしても無意味だって事は既に学習済みだ。
小さく溜め息を吐いてベットから離れようとすると、ぐいっと腕を引かれた。
「……はよ、」
「おはよ。先行くから」
「えー…」
「えーじゃねぇよ」
手を振りほどいて立ち上がり、部屋を出ようとしてドアの前で振り返った。
「今日は?」
「……たぶん大丈夫」
「わかった」
最寄りの駅に向かう途中、電話を掛けてちゃんと起きたかどうか一応確認する。
そして乗車率百パー越えの電車に乗り込むと、スーツに皺がつかないように気をつけながら人々の頭の向こう側に見える窓の外を眺めた。
俺の一日は、大体こうして始まる。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる