迷子猫(2)

kotori

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第1章

1.プロローグ

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毎朝、携帯のアラームで目を覚ます。

「………」

隣りには、健やかな寝息をたてて熟睡している見慣れた顔。
しばらくそのまぬけな寝顔を眺めた後、のそのそとベットから這い出して準備を始める。

俺がシャワーを浴びたり歯を磨いたりコーヒーを淹れたりと慌ただしく動いている間も、あいつはまだ夢のなかだ。
その極端な寝起きの悪さは社会人になればさすがに治るかと思いきや、特にそういうわけでもなかった。



「いい加減起きろって、」
「ん―…」
「乗り遅れるから」
「ん―…」
「……俺はちゃんと起こしたからな」
「ん―…」

ここで苛々して怒っても宥めても冷たくしても無意味だって事は既に学習済みだ。
小さく溜め息を吐いてベットから離れようとすると、ぐいっと腕を引かれた。

「……はよ、」
「おはよ。先行くから」
「えー…」
「えーじゃねぇよ」

手を振りほどいて立ち上がり、部屋を出ようとしてドアの前で振り返った。

「今日は?」
「……たぶん大丈夫」
「わかった」



最寄りの駅に向かう途中、電話を掛けてちゃんと起きたかどうか一応確認する。
そして乗車率百パー越えの電車に乗り込むと、スーツに皺がつかないように気をつけながら人々の頭の向こう側に見える窓の外を眺めた。

俺の一日は、大体こうして始まる。


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