sweetly

kotori

文字の大きさ
8 / 44
前編

8

しおりを挟む
 
………ヤバい

俺、頭おかしくなったかも。
最近寝ても覚めても考えるのは、あいつのことばっか。

「……どーかしてる…」

ぼすん、と枕に顔を埋める。
時計の針は深夜の一時を指していた。



あの日の帰り道。
少し不安げな表情の藤村に気がついた。

――制服だけじゃ、バレないっすよ

――………

――でももしバレたら、俺が無理矢理連れだしたってことで

――そんなことっ…

――え?

――………。そうだな、そうする…

――………?あ、バットも返しときますんで

窃盗はまずいしね。

――……先輩、今日楽しかった?

――………

――……先輩?

――まあまあ、だな

そう答えた時の藤村の無邪気な笑顔。
それがすっげーかわいくて、思わず息を飲んだ。
身体じゅうが熱くなって、心臓が壊れるくらいばくばくいって。
それはまるで………まるで?

「~~~~っ!」

ガバッと起き上がり、机の上にあったケータイを取る。
そして男女関係なく、もう手当たり次第にラインを送りまくった。

『合コン!合コンしよーぜ!!』

てゆうかこれって絶対環境のせいだから、あのおかしい学校で男とばっか接してたから、絶対そうだそうに決まってる。
だって…だって俺ホモじゃねえし…女の子が大好きなんだよ!!
かわいい女の子といちゃいちゃして、あーゆうことやそーゆうことしたいんだよ!!



「てなわけで合コンだ!!」
「………」
「……なにそのウザいテンション」

呆れ顔の広田と中村。

「……そんなに好きなの?合コン」
「おう!楽しいじゃん」
「……俺ムリ。なんか、そういうとこに行く女子が苦手」
「はぁぁあ?」
「俺も~」

俺だって、夜な夜なハシゴしてそーな女はやだよ。
けど学んだんだ!俺にはたまにそんなとこで遊んでるくらいの子が合ってんだよ!
じゃないとフラれた時のダメージがデカすぎる。
ユキちゃんと別れてから合コンキングと化した俺は、その出会いの場の重要さと効率の良さを彼らに熱く語った。
ものすごく面倒くさそうな顔の二人。

「……まーまー、頑張ってこいよ…」
「うまくいくといいね…」
「おう!!つーことで今度同中の子紹介して」
「はいはい、今度ね。ところでお前、上行かなくていーの?」
「そーだった!」

昼飯!!
時計を見ると、昼休みは残り三十分。



教室を出て行く季一を見送りながら、広田が溜め息をつく。

「……季一って…ほんと変わってるよね…」

他の生徒達はなんとかここ(バカクラ)を抜け出そうと必死で勉強してるのに…あいつの頭ん中は、常に合コンや恋愛のことばっか…。

「……まあ、そこがおもしろいよな」

中村が笑う。

「黙ってたら、たぶんモテるのにな」
「だね。……ところでどうするの?合コン」

牛乳を飲みながら、広田が言った。

「……してほしーの?」
「……別に…」
「………」
「………」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

僕と教授の秘密の遊び (終)

325号室の住人
BL
10年前、魔法学園の卒業式でやらかした元第二王子は、父親の魔法で二度と女遊びができない身体にされてしまった。 学生達が校内にいる時間帯には加齢魔法で老人姿の教授に、終業時間から翌朝の始業時間までは本来の容姿で居られるけれど陰茎は短く子種は出せない。 そんな教授の元に通うのは、教授がそんな魔法を掛けられる原因となった《過去のやらかし》である… 婚約破棄→王位継承権剥奪→新しい婚約発表と破局→王立学園(共学)に勤めて生徒の保護者である未亡人と致したのがバレて子種の出せない体にされる→美人局に引っかかって破産→加齢魔法で生徒を相手にしている時間帯のみ老人になり、貴族向けの魔法学院(全寮制男子校)に教授として勤める←今ここ を、全て見てきたと豪語する男爵子息。 卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。 そんな彼と教授とのとある午後の話。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

処理中です...