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前編
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しおりを挟む………ヤバい
俺、頭おかしくなったかも。
最近寝ても覚めても考えるのは、あいつのことばっか。
「……どーかしてる…」
ぼすん、と枕に顔を埋める。
時計の針は深夜の一時を指していた。
あの日の帰り道。
少し不安げな表情の藤村に気がついた。
――制服だけじゃ、バレないっすよ
――………
――でももしバレたら、俺が無理矢理連れだしたってことで
――そんなことっ…
――え?
――………。そうだな、そうする…
――………?あ、バットも返しときますんで
窃盗はまずいしね。
――……先輩、今日楽しかった?
――………
――……先輩?
――まあまあ、だな
そう答えた時の藤村の無邪気な笑顔。
それがすっげーかわいくて、思わず息を飲んだ。
身体じゅうが熱くなって、心臓が壊れるくらいばくばくいって。
それはまるで………まるで?
「~~~~っ!」
ガバッと起き上がり、机の上にあったケータイを取る。
そして男女関係なく、もう手当たり次第にラインを送りまくった。
『合コン!合コンしよーぜ!!』
てゆうかこれって絶対環境のせいだから、あのおかしい学校で男とばっか接してたから、絶対そうだそうに決まってる。
だって…だって俺ホモじゃねえし…女の子が大好きなんだよ!!
かわいい女の子といちゃいちゃして、あーゆうことやそーゆうことしたいんだよ!!
「てなわけで合コンだ!!」
「………」
「……なにそのウザいテンション」
呆れ顔の広田と中村。
「……そんなに好きなの?合コン」
「おう!楽しいじゃん」
「……俺ムリ。なんか、そういうとこに行く女子が苦手」
「はぁぁあ?」
「俺も~」
俺だって、夜な夜なハシゴしてそーな女はやだよ。
けど学んだんだ!俺にはたまにそんなとこで遊んでるくらいの子が合ってんだよ!
じゃないとフラれた時のダメージがデカすぎる。
ユキちゃんと別れてから合コンキングと化した俺は、その出会いの場の重要さと効率の良さを彼らに熱く語った。
ものすごく面倒くさそうな顔の二人。
「……まーまー、頑張ってこいよ…」
「うまくいくといいね…」
「おう!!つーことで今度同中の子紹介して」
「はいはい、今度ね。ところでお前、上行かなくていーの?」
「そーだった!」
昼飯!!
時計を見ると、昼休みは残り三十分。
教室を出て行く季一を見送りながら、広田が溜め息をつく。
「……季一って…ほんと変わってるよね…」
他の生徒達はなんとかここ(バカクラ)を抜け出そうと必死で勉強してるのに…あいつの頭ん中は、常に合コンや恋愛のことばっか…。
「……まあ、そこがおもしろいよな」
中村が笑う。
「黙ってたら、たぶんモテるのにな」
「だね。……ところでどうするの?合コン」
牛乳を飲みながら、広田が言った。
「……してほしーの?」
「……別に…」
「………」
「………」
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