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前編
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しおりを挟む「遅えんだよ、あほ」
「……スンマセン…」
藤村は不機嫌な顔で、弁当を突き出した。
一緒に学校をサボったあの日から、二人の関係が変わったかというと、そういうわけでもなかったりして。
「………」
藤村はいつものように少し離れたところに座っていて、俺が何か言っても素っ気ない反応。
ちょっと突っ込んだことを訊いてみようものなら冷ややかに、お前には関係ないってバッサリ。
二人の距離が少しも縮まってないことがわかって、なんだか悲しくなってくる。
……俺のことなんか全然、興味なさそうだもんな…
てゆうか、藤村が興味あることってなんだろう…。
そんなことを考えていると、電話がかかってきた。
『ダーリン?』
「キモいんだよ」
『失礼ねえ。人がせっかくさあ~わざわざさあ~』
電話口でブツブツ言う健太。
「あーもう、感謝してるよハニーっ?」
『……キモいしマジで』
「……あ゛ァん?」
待ち合わせ場所と時間を決めて、電話を切る。
すると、藤村と目が合った。
「……あ、中学ン時のダチで…今日久々に会うことになって。ってゆうか合コンで」
……って俺、なに言ってんだ…
いくら話題がないからって、このチョイスは間違えすぎだろ…。
「いや、それがすげえ楽しみで!俺中学ン時フラれてからずっと彼女いなくてー、よし今度は頑張るぞ!みたいなーー…」
「………」
ほらーっ、無表情!!
「……先輩はそういうの、興味ない、ですよね…」
「………」
あぁぁ返事すら返ってこねー…合コンなんてこいつが行くわけねーじゃん…行ったとしたら間違いなく逆ハーだろうけど…。
……てゆうかなんで俺、こんなに必死になってんの…
「……なんでフラれたんだ?」
「……え」
予想外の反応。
「なんで、って…」
適当に笑いをとろうとか考えたけど、その時の藤村の目が真っすぐで、冗談とか言える雰囲気じゃなかった。
「………。なんか、怖い、とか言われちゃって…」
「怖い?お前が?」
「あ、ストーキングとかそんなんじゃないっすよ?」
笑ってそんなことを言ってみても、藤村の表情は変わらない。
「……俺的には、守ったつもりだったんですけどね…」
ははっと笑って煙草に火をつけた。
思い出しただけで、まだ少し胸が痛む。
冷たい雨。
地面に転がっていた傘。
走り去っていく、彼女の背中…。
……あの時俺、どーやって帰ったんだっけ…
ぼんやりと記憶を辿っていると、予鈴がなった。
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