sweetly

kotori

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前編

9

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「遅えんだよ、あほ」
「……スンマセン…」

藤村は不機嫌な顔で、弁当を突き出した。
一緒に学校をサボったあの日から、二人の関係が変わったかというと、そういうわけでもなかったりして。

 「………」

藤村はいつものように少し離れたところに座っていて、俺が何か言っても素っ気ない反応。
ちょっと突っ込んだことを訊いてみようものなら冷ややかに、お前には関係ないってバッサリ。
二人の距離が少しも縮まってないことがわかって、なんだか悲しくなってくる。

……俺のことなんか全然、興味なさそうだもんな…

てゆうか、藤村が興味あることってなんだろう…。
そんなことを考えていると、電話がかかってきた。

『ダーリン?』
「キモいんだよ」
『失礼ねえ。人がせっかくさあ~わざわざさあ~』

電話口でブツブツ言う健太。

「あーもう、感謝してるよハニーっ?」
『……キモいしマジで』
「……あ゛ァん?」

待ち合わせ場所と時間を決めて、電話を切る。
すると、藤村と目が合った。

「……あ、中学ン時のダチで…今日久々に会うことになって。ってゆうか合コンで」

……って俺、なに言ってんだ…

いくら話題がないからって、このチョイスは間違えすぎだろ…。

「いや、それがすげえ楽しみで!俺中学ン時フラれてからずっと彼女いなくてー、よし今度は頑張るぞ!みたいなーー…」
「………」

ほらーっ、無表情!!

「……先輩はそういうの、興味ない、ですよね…」
「………」

あぁぁ返事すら返ってこねー…合コンなんてこいつが行くわけねーじゃん…行ったとしたら間違いなく逆ハーだろうけど…。

……てゆうかなんで俺、こんなに必死になってんの…

「……なんでフラれたんだ?」
「……え」

予想外の反応。

「なんで、って…」

適当に笑いをとろうとか考えたけど、その時の藤村の目が真っすぐで、冗談とか言える雰囲気じゃなかった。

「………。なんか、怖い、とか言われちゃって…」
「怖い?お前が?」
「あ、ストーキングとかそんなんじゃないっすよ?」

笑ってそんなことを言ってみても、藤村の表情は変わらない。

「……俺的には、守ったつもりだったんですけどね…」

ははっと笑って煙草に火をつけた。
思い出しただけで、まだ少し胸が痛む。



冷たい雨。
地面に転がっていた傘。
走り去っていく、彼女の背中…。

……あの時俺、どーやって帰ったんだっけ…

ぼんやりと記憶を辿っていると、予鈴がなった。


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