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しおりを挟むそれから二日間、学校を休んだ。
風邪は治ったけど何もする気になれなくて、ただひたすら寝てばかりいた。
那波から連絡はなかった。
あったとしても、とても話をする気にはなれなかった。
三日目の朝、和田と梨香が部屋を訪ねてきた。
「心配したんだよ?電話にもでないし」
梨香がちょっと怒った顔で言う。
「……ごめん」
「大丈夫かよ、なんかやつれてるぞ?」
よほどひどい顔をしていたのか、和田も珍しく深刻な表情だった。
「……ちょっと調子悪くて、」
「ちょっとって感じじゃねえだろ」
「とにかく、まずはごはんね。栄養たっぷりでおいしいの作るから、待ってて」
そう言うと、梨香は持参したらしいエプロンをつけてキッチンに向かう。
「でも、学校は…」
「いいのいいの。あたしとこうちゃんは、少しくらい休んでも平気だよ」
「俺は?」
「あんたは知らない」
「それ酷くね?」
「何あんた、こうちゃんがこんなんなってる時に単位の心配?」
「いやそーじゃないけどっ。てか梨香、おまえメシとか作れんの?」
まかせてよ、と梨香は笑った。
「あたしのごはんが食べられるなんて、あんた達幸せよ?」
言うだけの事はあって、ものの数分で部屋には食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「……すごい」
「マジかよ…」
予想を遥かに越える出来栄えに俺と和田が感動していると、彼女はふふんと得意げに笑った。
うまそー、とさっそく手を伸ばした和田の手をはたいて、梨香が土鍋で作った雑炊をお椀によそってくれる。
「たくさんあるから、おかわりしてね」
それはなんだか懐かしくて、あたたかくて、とても優しい味がした。
「おいしい」
そう言うと、梨香は少し照れたように笑った。
「あたしを嫁に貰えばいつでも作ってあげるよ?」
「うっわ何その究極の選択…」
それどういう意味よ、と和田を睨む梨香。
相変わらずな二人の様子を見て、少しだけ心が和んだ。
「ねえこうちゃん、」
帰り際、梨香がおもむろに口を開いた。
「何があったのか知らないけど…こうちゃんは、一人じゃないよ?それはわかってて」
「……うん」
小さく頷くと、彼女は微笑んだ。
「……それとね、これは偶然聞いちゃったんだけど…瀬田くん、学校辞めるみたい」
「……え、」
「え、なんで?」
和田も知らなかったのか、驚いていた。
「なんだよあいつ、最近ようやく真面目に授業受けて…」
「ちょっとあんた出てて」
梨香が和田を無理矢理、玄関から押し出す。
「………」
「こうちゃん」
茫然としている俺の手を握って、梨香は言った。
「まだきっと、間に合うよ」
「………」
「こうちゃんは、後悔しないで」
じゃあまた学校でねと彼女は言い、帰っていった。
悩んだ末、那波に電話をしてみたけど繋がらなかった。
でられなくても掛けなおしてくるだろうと思ってたのに、一向にその気配もない。
LINEは既読にならないし、もちろん返信もない。
結局いてもたってもいられなくなって、那波のアパートに向かった。
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