nesessary(BL)

kotori

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初めは、つきあうつもりなんかなかった。

男で、しかもガキ。
関係を持ったのは単なる成り行きだったのに、なぜかこんな事になっている。

……何やってんのかね、俺も…

店が終わり、飲みに行く誘いを断って部屋に帰った。





「……おかえりなさい」

伸ばされる、白くて細い腕。

「先に寝とけって言ったろ?」
「……まだ眠くないもん」

そう言いながらしがみついてくる祐希を、はいはいと抱きしめる。

「メシ、食ったか?」
「うん」

部屋の隅に置いてある、コンビニのビニール袋。
中身は多分大量の弁当の残がいだ。

「……おまえあれ、全部食ったの?」
「うん。皐月のぶん、冷蔵庫にあるよ」
「……さんきゅ」

今の仕事を始めてから夕飯はあまり食べなくなった。
だからいらないって言ってるのに、祐希は俺のぶんまで買ってくる。

「……てか、こんなに食えねえよ」
「じゃあ一緒に食べる…」

……まだ食う気か…

結局祐希を抱っこしたままビールを飲み、テレビを見た。

「……おい、寝るならベットに行け」
「……う、ん…」

真夜中の三時過ぎ。
お子様は寝てる時間だ。
また溜め息をついてウトウトしている祐希の手から箸を取り、ベットに運ぶ。
布団をかけたら、一緒に寝ると泣きそうな顔でぐずられた。

……ったく、何才児だよ

「……わかったから」

しばらく髪を撫でていると、祐希はようやく安心したように目を閉じる。
そしてすぐに、規則正しい寝息が聞こえてきた。

……ほんと、めんどくせえガキ…

だけど放っておけない理由があるのだ。




 
祐希と初めて会ったのは、もう三年以上前だ。
那波が店に連れてきた。
俺と那波は結構長い付き合いで、今の店で一緒にバイトをしていた事もあった。

当時のあいつはかなり荒れていて、特にそっちの方は目もあてられない程の酷さだった。
だから二人は一応つきあってはいたけれど、あまり上手くはいってなかったんだと思う。

――他に好きな奴がいるって言ってんのに…代わりでもいいって言うんだよ、あいつ…

那波は根はいい奴なので、突き放すことが出来ずに悩んでいたようだった。
それでつかず離れずの関係がずるずると続いていたが、それも最近ようやくカタがついた。
というのも、那波の長年の片思いがようやく実った。
これには祐希も諦めるほかなかったらしい。





――……どうします?

ある日、祐希が一人で店に来ていた。
客が少なくて暇だったのでカウンターで(主に那波の)話を聞いてやってたら、疲れたのか途中で眠ってしまった。

――いいよ、俺が送ってく

バイトの子を先に帰すと、やれやれと肩を揺すった。

――ほら、起きろよ

――……んぅ…

――家どこだよ、送ってくから

祐希はカウンターから顔を上げ、目を擦りながら那波?と呟いた。



あの時、自分のなかで湧きあがった感情はなんだったのか。
それは今でもよくわからない。

照明を落とした薄暗い店内に浮かびあがる、白い輪郭。
涙に濡れた瞳は澄んでいて、幼さが残るその表情からは妙な色気が醸しだされていた。
気づいたら、俺はまるで誘いこまれるように小さく開かれた唇に口づけていた。

――……ん、ぅ…

祐希は一瞬驚いたように身じろいだけど、キスを続けているとそのまま身体を預けてきた。
そうなると、もう後には引けなくなった。

その日、初めて祐希と寝た。
そしてこの妙な関係は始まった。

男と関係を持つことに躊躇いはあったし、正直面倒なことになったと思ったりもしたけど。
祐希と過ごす時間は、案外愉しかった。
表情や感情がころころ変わって、見ていて飽きない。

甘えたがりでヤキモチやきで、すぐ拗ねるところもかわいいと思うし、ワガママで生意気なところに辟易することもあるけど叱れば大抵は素直に謝るし。

それに何より、身体の相性がいい。
祐希はベットのなかでは申し分なくかわいい。
あいつはドMだ、たぶん。


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