nesessary(BL)

kotori

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その晩、祐希はなかなか帰って来なかった。

……電話も出ねぇし…

苛々しながら冷蔵庫を開けると、そこには栄養ドリンクがずらりと並んでいた。
この前風邪を引いた時に、沙織が見舞いに持ってきてくれたものだ。
昔は仲間内の誰かが風邪を引くたびに、嫌がらせの如く家に押しかけたりしていた。

……まぁ実際、助かってたけどな

あいつら今頃何してんだろ、と思いつつビールを手に部屋に戻ると、玄関のドアが開く音がした。





「……今日、早いね」

ようやく帰ってきたと思ったら、なんだか顔色が悪い。
今まで何をしてたのか訊きたかったけど、取り敢えずやめておいた。

「メシ、食うか?」
「あ、いい。食べてきた」

祐希はそう言って、さっさと風呂場に行ってしまう。

……てかよく考えたらあいつ、いつも俺が帰ってくるまで何してるんだ…?

テレビを見ながら、ぼんやりと考えた。
いつもこんな時間まで、帰ってきてないのか…?

……まさか、妙な奴らとつるんでるんじゃ…

中学の頃からあの界隈に出入りしてたのだ。ありえないことじゃない。

……いやいや、うちの子に限ってそんな…って、俺はあいつの親じゃねぇんだよ

「………」

浩介ならなんて言うだろう。
浩介は祐希の事を、まるで弟のように可愛がってくれている。
そして祐希もまた憎まれ口を叩きながらも心を許しているフシがある。

……ある意味、才能だよな…

なんといってもあのバカ那波を手懐けてる辺りが…。
容姿も性格も至って普通、これといって目立つところもない…けれど浩介には浩介にしかない、不思議な魅力がある。



悶々と考えこんでいると、祐希が風呂場から出てきた。

「……祐希、ちょっと話が…」

……てゆうか、放任主義の家で育って今まで好き勝手にやってきた俺が説教って…説得力なさすぎだな…

「………」
「……祐希?…って、」

しがみつかれたと思ったら、そのまま床に押し倒された。

「しようよ」
「は?ちょっ…おま、」

俺を見下ろす祐希は、なんだかすごく思いつめた表情をしていて。

「……いきなり、何」
「………」

ぱたりと頬に落ちたのは、水滴だったのか…それとも。

「……お願い」
「……祐希、」



怖い、と祐希は言う。

「俺は、どこにも行かねぇよ」

何度もそう言って、その小さな身体を抱きしめて。
キスをして、身体を繋げて。
他にどうすれば、こいつの不安を取り除いてあげられるのか。

その時の俺には、わからなかった。


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