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第七章 後期授業開始
103話 ポエムの報告
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「クックルー法衣男爵が捕まりました。レイシア様と従者のサチに対する理不尽な対応。最終的には奴隷商人に売りつけるという発言まで行う始末。あまりの考えなしぶりに頭が痛くなりましたよ。さらに王都の官僚と衛兵2人が帝国のスパイと判定され投獄されました。クックルーとのつながりもレイシア様の従者サチが書類を押さえました。こちらになります」
ポエム、分かっていてやっているんだろう? 儂がクックルーを泳がせていたことに。
「もちろんです。今回はレイシア様とサチがやり切りました。あれだけの者の前で書類を探し出し見せつけたらもはやなかったことにはできません。方針転換が必要ですよね」
儂は頭を抱えた。クックルーを泳がせて、帝国との繋がりを見つけ王族に恩と貸を作る計画が。
「まあ、レイシアに何もなくて何よりだ。お前を付けているから安心はしているが、未然に防げなかったのか?」
「あのアホが監視対象でなければいかようにも出来たのですが。それとレイシア様に存在を明かしたくなかったので。もっとも最初からばれていたのですがね」
「どういうことだ?」
「レイシア様もサチも、かなりの実力者。気配察知などは私と同じレベルで出来るようです。あちらに残っているメイド術……、かなりのものですね」
なんだ? その笑みは。
「失礼。こちらがサチの見つけ出した書類です。一部は憲兵に預けましたが、精査すると様々な情報が得られます当初の予定通り以上の成果が出ることでしょう」
儂は書類を受け取りさっと目を通した。確かにこんな書類よく見つけて持ち出せたものだ。
「素晴らしい動きでした。気配を無くし、鍵を外し、書類を集める。それを大勢の人の前で気付かれずに平然と行う。見ている私の方がドキドキしていましたよ」
なんだ? その状況は。聞くだけでは分からん。
「いいのです。分からなくて。これはメイド道を収めた者の世界の話。例え旦那様でも理解がおいつけませんわ」
分からん! こいつは何を言っているんだ。
「お気になさらないでください。それから、今レイシア様は平民街の女子寮におられますが、従者のサチを護衛に入らせるため、学園に滞在許可を取らなければいけません。申請書に保証人としてのサインを頂きたいのですが」
護衛のためか。書類に目を通しサインをする。学園か。そうだな、儂が直接行こう。
「左様ですか。ではよろしくお願いします」
ポエムはそう言うと礼をしてから部屋を出て行った。
◇◇◇
「旦那様、お喜び下さい。レイシア様から言付けがございます」
ポエムが報告に来るなり言った。なんだ? いい話か?
「レイシア様はこう言いました。『お祖父様に伝えて欲しいの。資金援助は要りませんって』」
それはつまり拒絶という事か。
「そのようです。貴族になる気はないですね」
どこがお喜び下さいだ。
「でも、やっとメッセージを下さるようになったのですよ。ファーストステップは大事です」
拒絶だろそれ。
「そうでもありませんわ。続けてこう言いました。私が、『悲しみますよ』と声をかけたらこう言いました。『でもそこははっきりしないといけないのよ』 それから、『一度私のバイト先にお越しください。お一人で』と。さらに[そうね、午後の4時の最後の時間帯にお越しいただければ。仕事が終わった後食事位ならご一緒出来るかもしれないわね〕ともおっしゃりました。食事のお誘いですよ、旦那様」
それを早く言え! ん? バイト先?
「黒猫甘味堂という喫茶店で、レイシア様はアルバイトをなさっております。まあ、職場見学に来て欲しいという事ではないでしょか?」
そうか。儂に働いている姿を見せたいと!
「いかがなさいますか?」
「もちろん行くに決まっているだろう」
「では、日程等はこちらで調整しておきます」
ああ。
「では、私はこれで」
◇
ポエムが去った後、儂は考えた。レイシアの幸せはどこにあるのだ?
平民か……。儂は元々法衣貴族の三男。平民に近い暮らしをしていた。だから分かる。貴族として育ったものは平民になってもその育ち故平民と同じとはいかない。プライドが高くて混ざれないか、いいようにカモにされるか。
儂が今こうしているのは、先代に才を認められ婿養子として呼ばれたからだ。妻は最初嫌がっていた。貴族としてのプライドが許さなかったのだろう。儂から息子を引き離し、貴族としての教育を徹底的にしていた。儂は息子に経済や領地のことを教えたかったのだが許されなかった。この家の家主は妻。儂は仕事に励み領地を豊かにすることで認められようと頑張った。
息子は貴族らしく育ったが、それだけだ。妻のせいで儂を見下す。いや、領地経営、この領の者が幸せに暮らせるようにするなら何でもいいんだ。しかし……。
ターナー領か。あれほど領主一族と、貴族と平民が垣根なく祭りを行う土壌があるとは。あいつの手腕なのか? もともとそうなのか? 元平民寄りの儂からしたらうらやましい。妻や息子なら汚らわしいと言うだろうがな。
レイシア。何を考え、どこへ向かっているのだ?
無理に引き込むより、様子を見た方がいいのか?
まずは信用を回復するところからだな。
儂は、レイシアの職場見学を楽しみに過ごした。
あれ程の若い子の中でお茶をすする気恥ずかしい思いをするとは思わずに……。
ポエム、分かっていてやっているんだろう? 儂がクックルーを泳がせていたことに。
「もちろんです。今回はレイシア様とサチがやり切りました。あれだけの者の前で書類を探し出し見せつけたらもはやなかったことにはできません。方針転換が必要ですよね」
儂は頭を抱えた。クックルーを泳がせて、帝国との繋がりを見つけ王族に恩と貸を作る計画が。
「まあ、レイシアに何もなくて何よりだ。お前を付けているから安心はしているが、未然に防げなかったのか?」
「あのアホが監視対象でなければいかようにも出来たのですが。それとレイシア様に存在を明かしたくなかったので。もっとも最初からばれていたのですがね」
「どういうことだ?」
「レイシア様もサチも、かなりの実力者。気配察知などは私と同じレベルで出来るようです。あちらに残っているメイド術……、かなりのものですね」
なんだ? その笑みは。
「失礼。こちらがサチの見つけ出した書類です。一部は憲兵に預けましたが、精査すると様々な情報が得られます当初の予定通り以上の成果が出ることでしょう」
儂は書類を受け取りさっと目を通した。確かにこんな書類よく見つけて持ち出せたものだ。
「素晴らしい動きでした。気配を無くし、鍵を外し、書類を集める。それを大勢の人の前で気付かれずに平然と行う。見ている私の方がドキドキしていましたよ」
なんだ? その状況は。聞くだけでは分からん。
「いいのです。分からなくて。これはメイド道を収めた者の世界の話。例え旦那様でも理解がおいつけませんわ」
分からん! こいつは何を言っているんだ。
「お気になさらないでください。それから、今レイシア様は平民街の女子寮におられますが、従者のサチを護衛に入らせるため、学園に滞在許可を取らなければいけません。申請書に保証人としてのサインを頂きたいのですが」
護衛のためか。書類に目を通しサインをする。学園か。そうだな、儂が直接行こう。
「左様ですか。ではよろしくお願いします」
ポエムはそう言うと礼をしてから部屋を出て行った。
◇◇◇
「旦那様、お喜び下さい。レイシア様から言付けがございます」
ポエムが報告に来るなり言った。なんだ? いい話か?
「レイシア様はこう言いました。『お祖父様に伝えて欲しいの。資金援助は要りませんって』」
それはつまり拒絶という事か。
「そのようです。貴族になる気はないですね」
どこがお喜び下さいだ。
「でも、やっとメッセージを下さるようになったのですよ。ファーストステップは大事です」
拒絶だろそれ。
「そうでもありませんわ。続けてこう言いました。私が、『悲しみますよ』と声をかけたらこう言いました。『でもそこははっきりしないといけないのよ』 それから、『一度私のバイト先にお越しください。お一人で』と。さらに[そうね、午後の4時の最後の時間帯にお越しいただければ。仕事が終わった後食事位ならご一緒出来るかもしれないわね〕ともおっしゃりました。食事のお誘いですよ、旦那様」
それを早く言え! ん? バイト先?
「黒猫甘味堂という喫茶店で、レイシア様はアルバイトをなさっております。まあ、職場見学に来て欲しいという事ではないでしょか?」
そうか。儂に働いている姿を見せたいと!
「いかがなさいますか?」
「もちろん行くに決まっているだろう」
「では、日程等はこちらで調整しておきます」
ああ。
「では、私はこれで」
◇
ポエムが去った後、儂は考えた。レイシアの幸せはどこにあるのだ?
平民か……。儂は元々法衣貴族の三男。平民に近い暮らしをしていた。だから分かる。貴族として育ったものは平民になってもその育ち故平民と同じとはいかない。プライドが高くて混ざれないか、いいようにカモにされるか。
儂が今こうしているのは、先代に才を認められ婿養子として呼ばれたからだ。妻は最初嫌がっていた。貴族としてのプライドが許さなかったのだろう。儂から息子を引き離し、貴族としての教育を徹底的にしていた。儂は息子に経済や領地のことを教えたかったのだが許されなかった。この家の家主は妻。儂は仕事に励み領地を豊かにすることで認められようと頑張った。
息子は貴族らしく育ったが、それだけだ。妻のせいで儂を見下す。いや、領地経営、この領の者が幸せに暮らせるようにするなら何でもいいんだ。しかし……。
ターナー領か。あれほど領主一族と、貴族と平民が垣根なく祭りを行う土壌があるとは。あいつの手腕なのか? もともとそうなのか? 元平民寄りの儂からしたらうらやましい。妻や息子なら汚らわしいと言うだろうがな。
レイシア。何を考え、どこへ向かっているのだ?
無理に引き込むより、様子を見た方がいいのか?
まずは信用を回復するところからだな。
儂は、レイシアの職場見学を楽しみに過ごした。
あれ程の若い子の中でお茶をすする気恥ずかしい思いをするとは思わずに……。
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楽しんで読ませていただいてます。
最近更新されていないので、一日でも早く更新をお願いいたします。
体調を崩されていますか……?
お仕事などが忙しすぎて更新が無理とか……?
102話を読んで
レイシアさんのお父様の髪の毛と胃袋が心配ですね。
ぜひ、胃薬と毛生え薬を送ってください(笑)
髪の毛は大丈夫です! い、胃薬・・・
101話
「おう、ギルドにいちゃもんとは~
「い、いや、そういうわけじゃ。 でも~
「こっちも初めての《《お客さま》》だ。 いまさら~
傍点が振られていません。
報告なので、確認後に却下してくださいね。