今の生活に飽きたら神の使徒(魔族)になりました

結木 太一

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〜2020/06/15まで執筆分

28話//内見とテスト

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清々しいあさが来た。
とはいかない。思ったよりもテスト作成に時間がかかった。算術に関してはそこまで高度なものを望んでいる訳では無いので小学生レベルの問題で済ませたのだが、読み書きをどうするか悩んだ。正確には書くほうだ。読みは音読してもらえば済むからいいのだが、書いてもらうのは難しい。何を書いてもらえばいいのやら。

「おうユィート。問題は出来たか?」

「ハムさん…。計算と読みについてはなんとかなったんですけど、書きをどうするか迷っていて」

「たしかにこれを書けとやってもなぁ。目の前に答えあるし…あ!なら言ったことを書いてもらえばいいんじゃないか?」

「それだ!!」

ナハムの画期的一言で解決したのでサクッと問題を作り、添削して貰ってる間に仮眠をとる。
特に問題もなく事が済んだので食堂で朝食を済ませて商業ギルドに向かう。

「いらっしゃいませ。ユィート様こちらへどうぞ」

ギルドに着くとミカが出迎えてくれた。向かった部屋には既にビルがいて早速昨日の続きを話す。

「見に行く前にミカのテストを済ませたいと思います」

「はい!!」

「順番は書き、読み、最後に算術です」

「試験官は俺だ。まず最初に、これから話す内容を一言一句間違いなく書きなさい。問題は3問です」

書き問題は英語のリスニングテストみたいにした。こっちには答えがあるわけだから答え合わせも難しくない。

「書き問題は以上です。続いて読み問題です。これから渡す文章を読みなさい。こちらも問題は3問です」

まるで英語のリーディングだ。まぁ1番分かってるかを理解しやすいよね。日本にいた頃は英語は得意ではなかったからそれを思い出してしまう。あれ?なんで俺ホテルなんて英語めちゃくちゃ使いそうな場所に就職したんだ?まぁそんなことはどうでもいいか。今は関係ない。

「読み問題は以上です。続いて算術の問題です。時間は30分とします。残り5分で1度声をかけます。そこまでと言われたらペンを置いてください」

なんだか入試のようなテストも1時間とかからず終わった。そんなに難しい問題は組み込んでないので採点もすぐ終わった。

「満点ですね。問題ありません。建物が出来次第お願いします。住込みも可能ですがどうしますか?」

「是非お願いします!ギルドの試験より少し難しかったのでちょっと不安でしたけど満点で良かったです」

「ミカ!それはほんとですか!?」

「はい、1番難しい試験だと思いますよ」

え、そんなに難しかった?簡単にし過ぎたかなとか思ってたんだけど。もしかして何もかも日本より遅れてるのかな?
ビルにテストの内容を見せたら「ユィートさん!これをギルドの試験に使っても良いですか!?」と鬼気迫る顔で詰め寄ってきたので無償で渡してあげた。これで質のいい接客になるのなら願ったり叶ったりだ。

「すいません、少し取り乱しました。では3件の見学に向かいたいと思います」

遠いところから内見が始まった。

1ヶ所目は貴族街寄りの土地。思っていたよりも遠い!こんな中央まで来るとは思ってもいなかった。それに色々建物が必要となりそうなのでこことギルドに1番近い場所は却下にした。

「これほどの広さでダメとは…かなり大きく経営なさるおつもりなのですね」

「まぁ表では宿屋と武器屋、料理屋、薬屋をやろうと思っているので」

「確かにちょっと…かなり狭いですね。ですが残りの1件は満足できるかと思います」

残った場所は商業ギルドからも冒険者ギルドからも同じくらいの距離にある。しかし広さはどれを建てても充分なくらいだった。

「広さは満足ですけど…」

「見た目がな…」

「…廃墟っすね」

「…説明だけさせてください。こちらは元伯爵の屋敷でしたが、度重なる悪事が露見して斬首刑に処されました。そのような場所を好んで買う貴族がいる訳もなく、そうでないものには到底買えない額でしたので放置をされてきました。更には悪霊レイスのようなものの目撃情報もありまして…。売値は金貨200枚となっています」

なるほど。たしかに最初は遠慮したく思ったがその程度で金貨も200枚で済むならこれほどのお買い得物件はない。

「…」

「やはり買いたくはないですよね…」

「買います」

「そうですよね、買いたくな…え!?買ってくださるんですか!?」

「はい。うちのパーティーは聖魔法が使えるのが2人いるので悪霊レイスの件も何とかなるでしょうし」

「ありがとうございます!手続きの為に一旦ギルドに戻ってもよろしいですか?」

「もちろん」

ギルドに戻るとビルが忙しなく動き回り契約の準備をし、30分とかからず契約が完了した。

「あの屋敷を買い取っていただきありがとうございました。また何かございましたらお気軽に申し付けください」

「じゃあ木材をたくさん用意しておいて下さい。とりあえずあの屋敷が一棟建てられそうなくらい」

「かしこまりました」
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