12 / 17
11話 特訓の日々
しおりを挟む
父との特訓は初日から予想外にキツイものだった。
朝日が登る前、まだ薄暗い中、背中に二本の木剣を差した父が玄関口で待っていた。
「まずは、ランニングからだっ!ロード行くぞ!きつかったらいつでも言えよ!」
「分かった、父さん!」
まだ薄暗く足元の安定しない山道を父と二人で走る。
「はぁ、はぁ……いいか、ロード、足元ばっかりは見るな。前を向きながら走り、視界の片隅で足元を見るんだ。はぁ、はぁ…戦闘中は視野が大事になる。これはその訓練だと思え。」
「はぁ、はぁ……分かった、父さん…はぁ、はぁ」
父のアドバイスを受けながら、ただひたすらに走る事、数十分やっとランニングが終わる。
はっきり言おう、意識が飛びかけた。
なんか終盤の方、もはや全力疾走みたいな感じだったし。
父はまだまだ余裕そうだった。すごいな、父さん。
俺は、もう既に汗だくで服はビチョビチョ。一旦休憩を挟みたかったが、休む間も無く次の特訓に移行するようだった。
「ほらっ、これを持て。次の訓練やるぞっ!」
渡されたのは、木剣。父が家に出た時に持ってきた剣のうちの一本だった。
「これから、剣術の型を教える。俺の真似をして剣を振るように。さぁ、行くぞっ!いちっ、にっ、さんっ………」
それから1000回を数えるまで素振りは続いた。
ランニング後だったからか、木剣が異様に重く感じ、最後の方は振れてるのか振れてないのか分からないくらいだったが、何とか終えることが出来た。
でも、一つ父さんに質問。
これは、魔法と何の関係があるの?
しかし、そんな事を聞ける間もなく、次の特訓に移行してしまう。
もう喋る余裕すらない。父も喋らない。めちゃくちゃ集中している。だから俺も意識を特訓へ集中した。
次は筋トレだった。
「シンプルだが、腕立て伏せ、腹筋、背筋、懸垂を1000回ずつやるぞ、ロード出来るか?」
「……うん、やる。」
本当は出来ない。もう既に体は限界を迎えてるし。
けど、俺には魔法を教えてもらうという目的がある。教えてもらえるまで、引けないのだ。だからもう意地になるしかなかった。
出来るか出来ないかじゃない、やるかやらないかだ。
俺もこっちにきて、変わってしまったな。なんだかバリバリ体育会系になってる気がする。
そんな事を考えながらひたすらに数を刻む。
そして数十分後、筋トレは終わりを迎えた。終わりって来るもんだね。
もう日も出てきて鳥が囀っている時間だった。
「よくやった。偉いぞ、ロード。初日からここまで出来るとは思わなかった。それ程までロードの魔法への意志が固いって事だな。よし、そろそろ本題の魔法を教えてやる。」
どうやら俺は試されていたようだ。意地になってよかった。
「俺は、『火』と『無』に適性がある。だから、教えられるのはその二つしかない。今日は『火』をやっていこうと思う。まず、自分の中の魔力の存在は分かるか?」
「うん、分かるよ。身体中を流れてるやつだよね?頭に沢山あって、そこから全身に流れてるやつ。」
「お、おう。そうだ。そこまで分かってるのか?本当にか?」
子供っぽく話してみたんだが、なんか父の反応がおかしい。
あれ?なんかまずい発言しちゃったかな?と思いつつ、でももう遅い事を悟る。なんとか誤魔化さないとな。
「うん、メイドの…あの女の人がやってるのを何度も見たことあるもん!それに、自分でも努力したもん!」
「そうか…うん、そうか、きっと天才ってやつだよな。うん、そうだ、そうに違いない。」
父は自分に言い聞かせながら何度も頷き、何とか理解してくれたようだった。
はい、セーフ。
「魔力を感じることができるなら、もう話は簡単だ。魔力を手に集めて、魔法をイメージして、放出する。よく見ておけ、こうだ。」
父の手からは、ガスバーナーの様な火が上がった。
「これは、初火級魔法の『火炎』だ。これに使う魔力は少なく、生活魔法として扱われている。主な用途としては、火をつける事とかに使われてる。冒険者は旅することが多いから、『火』の適性がある冒険者は意外と重宝されるんだ。」
うん、火は大事だ。だけど『火炎』なのに、ちょっと火がしょぼくない?もっと激しく燃える炎みたいな方がかっこいいのに。
「さて、次は実戦だ。けど、その前に、お前には話しておかなければならない事がある。大事な話だ。魔法を使いたいと意気込んでいるお前からしたから、凄くショックな話になるかも……なっ!!」
ーーボォォオッ
俺は、早くやってみたくて、父の話の途中ではあったが手をかざして『火炎』に挑戦していた。
それもイメージは、火を噴くドラゴンの如く。
結果は成功。
手から、扇状に炎が広がり、前方5メートル程の草を焼き尽くした。
いや、こんな館単にいくと思わなかった…めちゃくちゃビビりましたよ、はい。
「ロード、お前っ………」
その後、父と無言で見つめあってしまった。
そんな静寂の中、父の口から「俺の息子は天才なのか…?」と声が聞こえたような気がした。
朝日が登る前、まだ薄暗い中、背中に二本の木剣を差した父が玄関口で待っていた。
「まずは、ランニングからだっ!ロード行くぞ!きつかったらいつでも言えよ!」
「分かった、父さん!」
まだ薄暗く足元の安定しない山道を父と二人で走る。
「はぁ、はぁ……いいか、ロード、足元ばっかりは見るな。前を向きながら走り、視界の片隅で足元を見るんだ。はぁ、はぁ…戦闘中は視野が大事になる。これはその訓練だと思え。」
「はぁ、はぁ……分かった、父さん…はぁ、はぁ」
父のアドバイスを受けながら、ただひたすらに走る事、数十分やっとランニングが終わる。
はっきり言おう、意識が飛びかけた。
なんか終盤の方、もはや全力疾走みたいな感じだったし。
父はまだまだ余裕そうだった。すごいな、父さん。
俺は、もう既に汗だくで服はビチョビチョ。一旦休憩を挟みたかったが、休む間も無く次の特訓に移行するようだった。
「ほらっ、これを持て。次の訓練やるぞっ!」
渡されたのは、木剣。父が家に出た時に持ってきた剣のうちの一本だった。
「これから、剣術の型を教える。俺の真似をして剣を振るように。さぁ、行くぞっ!いちっ、にっ、さんっ………」
それから1000回を数えるまで素振りは続いた。
ランニング後だったからか、木剣が異様に重く感じ、最後の方は振れてるのか振れてないのか分からないくらいだったが、何とか終えることが出来た。
でも、一つ父さんに質問。
これは、魔法と何の関係があるの?
しかし、そんな事を聞ける間もなく、次の特訓に移行してしまう。
もう喋る余裕すらない。父も喋らない。めちゃくちゃ集中している。だから俺も意識を特訓へ集中した。
次は筋トレだった。
「シンプルだが、腕立て伏せ、腹筋、背筋、懸垂を1000回ずつやるぞ、ロード出来るか?」
「……うん、やる。」
本当は出来ない。もう既に体は限界を迎えてるし。
けど、俺には魔法を教えてもらうという目的がある。教えてもらえるまで、引けないのだ。だからもう意地になるしかなかった。
出来るか出来ないかじゃない、やるかやらないかだ。
俺もこっちにきて、変わってしまったな。なんだかバリバリ体育会系になってる気がする。
そんな事を考えながらひたすらに数を刻む。
そして数十分後、筋トレは終わりを迎えた。終わりって来るもんだね。
もう日も出てきて鳥が囀っている時間だった。
「よくやった。偉いぞ、ロード。初日からここまで出来るとは思わなかった。それ程までロードの魔法への意志が固いって事だな。よし、そろそろ本題の魔法を教えてやる。」
どうやら俺は試されていたようだ。意地になってよかった。
「俺は、『火』と『無』に適性がある。だから、教えられるのはその二つしかない。今日は『火』をやっていこうと思う。まず、自分の中の魔力の存在は分かるか?」
「うん、分かるよ。身体中を流れてるやつだよね?頭に沢山あって、そこから全身に流れてるやつ。」
「お、おう。そうだ。そこまで分かってるのか?本当にか?」
子供っぽく話してみたんだが、なんか父の反応がおかしい。
あれ?なんかまずい発言しちゃったかな?と思いつつ、でももう遅い事を悟る。なんとか誤魔化さないとな。
「うん、メイドの…あの女の人がやってるのを何度も見たことあるもん!それに、自分でも努力したもん!」
「そうか…うん、そうか、きっと天才ってやつだよな。うん、そうだ、そうに違いない。」
父は自分に言い聞かせながら何度も頷き、何とか理解してくれたようだった。
はい、セーフ。
「魔力を感じることができるなら、もう話は簡単だ。魔力を手に集めて、魔法をイメージして、放出する。よく見ておけ、こうだ。」
父の手からは、ガスバーナーの様な火が上がった。
「これは、初火級魔法の『火炎』だ。これに使う魔力は少なく、生活魔法として扱われている。主な用途としては、火をつける事とかに使われてる。冒険者は旅することが多いから、『火』の適性がある冒険者は意外と重宝されるんだ。」
うん、火は大事だ。だけど『火炎』なのに、ちょっと火がしょぼくない?もっと激しく燃える炎みたいな方がかっこいいのに。
「さて、次は実戦だ。けど、その前に、お前には話しておかなければならない事がある。大事な話だ。魔法を使いたいと意気込んでいるお前からしたから、凄くショックな話になるかも……なっ!!」
ーーボォォオッ
俺は、早くやってみたくて、父の話の途中ではあったが手をかざして『火炎』に挑戦していた。
それもイメージは、火を噴くドラゴンの如く。
結果は成功。
手から、扇状に炎が広がり、前方5メートル程の草を焼き尽くした。
いや、こんな館単にいくと思わなかった…めちゃくちゃビビりましたよ、はい。
「ロード、お前っ………」
その後、父と無言で見つめあってしまった。
そんな静寂の中、父の口から「俺の息子は天才なのか…?」と声が聞こえたような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる