目指せonly.1。異世界生活、始まっちゃいました!?

華町はる

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14話 神に見放されし者から犯罪者へ

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 朝日と共に目が覚めた。

 今日は、いよいよ魔力測定の日。無駄な体力消費を抑える為、早朝特訓はなしである。

 (ふぁ~……いつもの癖で目が覚めちゃったなぁ……まぁもう起きるか。)

 早朝、ロードは、大きなあくびをしながらベットから起き、洗面台に移動し顔を洗う。

 (今日は、俺が神に見放されし者じゃないって国中に知らしめる良い機会だ。思いっきりやってやろう。とはいっても大切なのは、いつも通りに行動する事だ。うん、いつも通りだ。)

ーーーバシャバシャ。バシャバシャ。バシャバシャ。バシャバシャ。

 「ロードお坊っちゃま、おはようご……ちょっ、ちょっちょっと!水が溢れてます!洗面台から水が溢れて地面がビチャビチャにっ!」

 偶然入ってきたメイドのレイニーに止められ、ハッと気付く。
 どうやら俺の周りは水浸しになっていた様だ。
 やってしまった、てへ。

 洗面台から移動する時、水で滑って転んでしまった。
 やっちゃった、てへ。

 ご飯を喉に詰まらせ、死にかけた。
 やっちゃった、てへ……

 認めたくはないが、どうやら俺は絶賛緊張中のようだ。

 「ローちゃん、緊張しなくて良いから、笑顔で行って来なさい。お母さん、家でお祝いの準備して待ってるからね。どんな結果になろうとも私はローちゃんのお母さんだし、理解者だからね。ほら行って来なさい。」

 慌ただしくではあったが、準備も完了し家から出ようとした時に母からそんな声をかけられ、抱きしめられた。

 魔力測定は、10歳を迎えた子供が正装である白いローブを纏い、一人で会場へ向かうのがルールだ。だから母は家で留守番。

 ちなみにまだ母は、俺が父と特訓をしてる事は知らないし、特訓の結果、魔法をかなり使える様になったことも知らない。
 
 母さんごめん、俺多分めちゃくちゃ強くなってる。

 涙を浮かべる母に、笑顔で適当に返答し、俺は家を出た。
 
 街に着くと、そこら中に白いローブを纏った子達が歩き回っている。俺もその一人として、会場を目指した。

 会場は、王城の隣にある、闘技場みたいなところだった。

 俺が着いた時には、既に30名程の子達が集まっており、魔力測定までを各々の過ごし方で過ごしていた。
 着いた瞬間、その中にいた2人組が、何故か俺の方へ歩み寄ってくるのが見えた。

 ガタイの大きな奴と、その子分Aみたいな奴らだ。
 俺の前まで来たそいつらは、話しかけて来た。

 「よお、俺様の名はアイン。お前の名前は?」

 「おい、アイン様が直々に話しかけて下さってるんだから、素直に話した方が良いぜ~?何たってアイン様の魔法適正は3つ。将来は勇者、間違いなしだっ!」

 「おいおい、あまり俺様の個人情報を言わないでくれよ。いくら俺が凄いからって。それで、お前、名前は?」

 「……(絡みたくない奴だなぁ。それに名前知ってどうするんだよ…めんどくさっ)」

 「おい、テメー。アイン様が話しかけて下さってるのに無視とは良い度胸だなっ!」

 無視はしていない、ちょっと返答に困ってただけだ。

 「……あーっと、すまん。俺の名前はロードだ。ロス・ロードだ。それで何か?」

 「ロス家?あぁ……ププッ。あぁお前が神から見放されたロード君か。子分にしてやろうと思ったが、やっぱなしだ。忘れてくれ……ププッ」

 俺の名前を聞いた瞬間、踵を返したその勘違いな二人組は、チラチラと俺の方を見ながら、笑って去っていった。

 それから絡んでるやつもおらず、数十分が経ち、無事魔力測定が始まった。
 あの二人組は、来るやつ来るやつ全員に声を掛け、自慢し、仲間にならないかと勧誘していた。最終的に子分は2人追加され、子分Cまでいる様になった。鬱陶しいやつらだ。

 さて、話を戻そう。
 魔力測定の方はというと、思いのほか簡単だった。

 一人ずつ用意された水晶に、魔力を込めるだけ。
 その込められた魔力を水晶が数値化し、水晶上部へと大きく表示される仕組みだ。

 次々と測定が開始され、一般的な結果は1000前後の数値の様だった。
 1000を超えると、魔力量が多いとみなされるのか、歓声が上がっていた。

 俺は列の最後に並んだ。みんなの度肝を抜くためだ。

 暫く列に並んでいると突如大歓声が上がった。5000越えの数値が表示されているからだった。その数値を出したのは、何を隠そうアイン君だ。大きくガッツポーズをして、喜びを露わにしている。取り巻きの子分達は、そのアイン君を囲み、拍手をしていた。

 俺は、本当に凄かったことに少し驚きつつも、自分がどのくらい数値を叩き出すのか、楽しみで仕方がなかった。

 そんな直後の事だった。次に歓声が上がったのは、アイン君の3人後、金髪ショートの女の子だった。驚異の10000の数値を出した彼女は、さも当たり前の様な顔で浮かれもせず、下がっていった。
 可愛いというより綺麗系の顔つきで、だぼっとしたロープの上からでもわかるほどの豊満な胸が特徴的だった。

 更に、彼女の後の二人、赤髪で男らしい顔つきのイケメン男子と青髪で可愛らしい顔つきのイケメン男子も8000という数値を叩き出した。
 どうやら、先ほどの女の子の付き人らしい、二人も喜んだ素ぶりもせずに、女の子の隣に並ぶのだった。

 その光景は、どこか神々しく、高貴であって近寄れない雰囲気であった。

 アイン君は、非常に悔しそうにその二人を見ていた。
 ざまぁ。


 さて、いよいよ、俺の番となった。

 
 もうすでに、全員の魔力測定が終わり、俺へと注目が注がれていた。しかし、ちらほらと聞こえる小声は、どんな魔力なんだ、という期待ではなく、神に見放されし者がどんな結果になるのか楽しみで仕方ないといったような蔑んだものだった。

 まぁ、俺にとっちゃ好都合。度肝を抜いてやるぜ。

 そんな俺は、一気に全魔力を解放し、水晶に込める。

ーーグインッグインッ

 音を立てながら、魔力はどんどんと水晶に吸い込まれていく。
 そして水晶は、どんどんと光輝いていく。

 それでも俺はやめない。もっと、もっとだ。

ーーーグインッグインッパキッ

 水晶はその光を強めていき、ついに亀裂音が聞こえてしまった。

 その瞬間、事件は起こった。

ーーバリンッ

 水晶は大きな破裂音と共に、水晶内部で爆発が起きたかの様に砕け散り、四方八方に破片が飛び散った。

 その瞬間、所々から悲鳴が聞こえた。

 (やばいっ)

 そう思ったが、時すでに遅し。

 割れた水晶から溢れた魔力は、虹色の龍に姿を変えて、闘技場の天高く舞い上がった。

 そして、舞い上がった虹色の龍は、身をよじり王城へと進行方向を変える。
 
ーーグルルルルッグァァア

 大きな咆哮と共にその虹色の龍は王城へと突進し、王城と接触したかと思った瞬間、大爆発が起きた。

 
 一瞬何が起きたかわからずに、時が止まった様だった。

 天へ向けていた視線をゆっくりと落とし、皆んなの方に向ける。

 飛び散った破片が当たったのか、近くにいた人々は怪我をし血を流しているのが目に入る。そして、その人々の目は、恐怖と憎悪に変わっていた。

 てへ。

 俺は、やってしまった感が拭えながったが、とりあえず皆んなに向かっておどけてみせた。

 だが、そんな事が許される訳もなく、どこからともなく声が上がる。

 「そいつを捕らえろっ!反逆だっ!皆、かかれっ!」

 会場外に待機していた騎士団からの声だった。

 一瞬のうちに闘技場内に沢山の騎士が押し寄せ、俺を取り囲み、武器を向けられてしまった。

 どうやら、俺は大変なことをしてしまった様だ。
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