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13話 特訓の成果

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 父との特訓、そして食トレも、休む事なく毎日行われた。

 そのおかげか、身長は伸びたし、身体は筋肉のついた細身の体へと変化していた。
 ここで一つ朗報。俺のムスコが前世の俺のムスコよりも、もう既に大きくなっている。

 ムスコを使う予定はまだないが……。いや、当たり前か。

 そんなバカな事を考えている俺も、もう10歳を迎えていた。

 明日は魔力測定の日だ。
 ちょっとの不安はあるが、楽しみで仕方がない。
 なぜなら、明日俺がみんなの度肝を抜くからだ。

 現在俺は、全属性の魔法が上級魔法まで使えるようになっており、中級魔法であれば、一日中使えるほど魔力になっている。

 ん?凄さが分からない?良いだろう。そんな君に、分かるように説明してやろうじゃないか。

ーー

 この世界では、魔法をランク付けする。魔法のランクは初球から始まり、中級、上級、特級、精鋭級、帝級、神話級と7階級に分かれていて、それぞれの階級で扱える魔法の特色が違う。

 初級は〔手元で発動する単純な魔法〕
 中級は〔魔法を飛ばし遠距離攻撃特化の魔法〕
 上級は〔自分の周囲に対し広範囲に影響を及ぼす魔法〕といった感じだ。
 ちなみに特級魔法は〔主属性魔法を軸に他属性と混合した魔法〕らしいが、これはまだうまく出来ていない。理由はわからん。
 そして、精鋭級以上の特色については、父もよく分かっていない為、教えてもらえなかった。

 この世界では、魔法を扱えるのは当たり前。人どころか魔物ですら扱えるらしい。

 だが、上級魔法以上を扱える人は、グッとその数を減らす。そして、二属性以上を上級魔法以上まで扱える人となると、更にその数は減る。

 理由は多々あるが、一番の原因は、安全な世の中になっている事らしい。

 国々は城壁を作り、人々はその中で暮らす。安定した生活を目指し、争いを避けようとする。

 冒険者や騎士団は存在するが、その人達もまた、城壁に囲まれた安全な国で産まれ、極力危ない橋は渡らないようにしているらしい。

 そしてそれが基となり、イメージの固定化が進んだ。

 本来魔法は、魔力という媒介を通じて、その人の持つイメージを具現化するものらしい。しかし、城壁で囲まれた国で成長する様になった人々は、幼少期に教師や親から魔法を学ぶ為、そのイメージは固定化されていってしまう。

 例えば『火炎』という魔法は、初火級魔法で火をつける魔法という使い方をした人が城壁に囲まれた国で教師をし、子供達に教えて回ったらどうだろう。

 そのイメージは長い年月をかけて人から人、子から子へ伝達されて、いつの日か『火炎』とはそういうものだ、となってしまう。

 しかし、人というのは、個々に個性があり、同じ『火』でも、イメージは違うものだ。

 だから簡単な初級魔法は出来ても中級魔法以上は上手くできない、なんて人が続出しているらしかった。

 最近、その教育方針が見直され始めだが、長い年月をかけて行われた教育は中々変えることができずに、今もなお、そんな現状が続いているというのが、父との話で分かった。

 さて長くなったが、なぜ俺が凄いのか、だ。

 まず、一つ目に前世の知識が、かなり関係している。これは俺の努力というより、前世の発展のおかげである。
 
 映画や本もさる事ながら、テレビやラジオ、ネットでの情報量が凄まじい。

 だからこそ、『火』一つとっても多岐に渡るイメージを持つことが出来た。

 二つ目は、俺の努力の賜物だ。激しい痛みを伴う、魔力の開通作業を行った事である。

 まだ、8本未開通が残っているが、産まれた時とは比べ物にならない程に、魔力は跳ね上がっている事を実感できる。

 その二つの理由が、俺に力を与えた。

 前世で得た知識で、様々なイメージの中から自分に合った魔法を見つける。失敗をしても魔力は沢山あるのだ。失敗を恐れずにひたすらに練習しまくった。

 その甲斐あって、俺は全属性上級魔法を扱える程になったのだ。

 まぁだからこそ、みんなとは全く違う魔法になってしまっているのだが……。

ーー

 ね?凄いでしょ?努力したでしょ?

 いよいよ、明日は俺の成長が報われる日だ。

 そんな明日に想いを馳せて、今日はもう眠る事にする。

 おやすみなさい。


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長々と説明っぽい話を積み重ねてしまい、申し訳ございません。

次話からやっとロードの冒険が始まります。
乞うご期待。
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