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Episode.04 恐ろしいところ
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しおりを挟む「ソフィ、ディルクを呼んでくれますか。」
白衣のフレッドが去った部屋には何とも言えない空気が滞っていた。
ソフィはあのにこりとした笑顔ではなく、少し、困ったような笑みでわかりました、と部屋を出る。フレッドの言葉に彼女が戸惑っているのがわかった。
「失礼いたします。」
ノックが聞こえた後、やはり丁寧な態度で入ってきたのは騎士ディルク。わたしの、ここでの守護者だ。
「…急に倒れてごめんなさい。それから、運んでくださってありがとう。」
どういう顔をすればよいのかわからず、ただ素直な言葉だけを告げる。
ディルクは少しの間を開け首を振った。
「私こそ、ルクリア様を疑い申し訳ありません。」
ディルクはわたしに〝騎士の誓い〟行った。龍はわからないけれど、彼にとって不本意なものであったことは感じている。
「…貴方が、なぜあの儀式を行ったのか、聞いてもいいですか。」
最悪、儀式を無かったことに出来なくても、話し合いは必要だと思う。
「はい。…まず、今回私はとある勘違いであの儀式を行いました。しかし、そこにルクリア様の非が一切なかったことは確かです。」
最初に向けられた鋭い目ではなく、少しの困惑が混じる真面目そうで真っ直ぐな目がこちらを見る。
少し、彼に対する恐怖は薄らいでいた。
「ご存知かも知れませんが、毎年、貴族院初等部1年目の貴族の方の護衛として、私たち騎士学校を卒業し1年目の者が選ばれます。それが貴族院と騎士学校の両校で取り決められた決まりです。」
丁寧な声色で始まった話に驚く。そんな決まりは初めて聞いた。
「騎士学校の者は多くが平民です。平民にとって貴族は、…正直、あまり良いイメージがありません。」
もちろん、一部の領地では平民が貴族を心から敬うということもあると思いますが。そう付け足すディルクにわたしは苦笑いを浮かべる。
それはわたしも同じだと。わたしの家族はそうでもないけれど、貴族が怖いというイメージはある。それは、たまに耳にする貴族の話だったり、前世で知る貴族の想像が根付いているからだろうと思う。
「貴族はこわいものだと、騎士学校の友人たちも言っていました。」
それでも、貴族と関わらなくてはならない騎士を選んだのは彼らの選択だ。わたしだって、好き好んで貴族になった訳ではない。
そんな一方的な言葉が頭に浮かんで、ディルクから視線を逸らす。ごめんなさい、と心の中で謝った。
「騎士の誓いは、騎士にとって大切なものです。だからこそ、貴族にとっても栄誉あるものです。」
逃げた視線の先でソフィと目が合う。彼女は気まずそうに視線を逸らした。
息苦しい空間だな、と喉元に触れた。
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