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第20説
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「これは……」
「宝箱だな。何が隠されているのだろう」
すぐに開けても良かったのだが、さすがに今回ばかりは僕はこの、通路の行き止まりにこれみよがしに置かれた宝箱を怪しんだ。
まず、この洞窟には普段人が訪れないからこそ、こうして明かりもなく松明のやりくりに苦心している訳だろう。
ということは、少なくともこの宝箱は人が設置したという可能性の方が低い訳であり、むしろ狡猾なモンスターによって仕掛けられた罠の可能性が……。
「とにかく開けてみよう、ていっ」
「あーっ!?」
とかなんとか悩んでいる内に、なんと、アホの(?)サルバトルが深い考えもないまま宝箱に触れてしまった!!
「いや、ていっ。じゃねえよ!!何やってるんですか!?」
しかし、サルバトルが開けようと満身の力を込めても、宝箱は一向に開かない!!
「むっ!?この宝箱開かんぞっ!?」
「鍵が掛かっているみたいですね。どのみち開ける術なんて持ってないし、もうこの際中身はどうでもいいでしょう。とにかく、何事もなくて良かっ……」
そう僕が言おうとした正にその瞬間、なんと、今度はサルバトルの背後、宝箱の下から、『紫色のガス』がモクモクと上がり始めた!!(!?)
「サルバトルさん!!後ろ!!後ろ!!」
「ん……?こ、これは……!!ゴホッ!!ガハッ!!」
「しまった!!毒ガスだ!!すぐに退避して!!」
すぐに引き返したものの、二人とも完全に毒ガスを吸い込んでしまっており、毒状態のまま体力はドンドン減ってしまっている!!
「まずい!!すぐに毒消し草を!!」
これまでの冒険で一度も使わずに済んでいた毒消し草を、ついにここで初めて吐いてしまったが、何とか毒状態は治すことができた。
しかし、減ってしまった体力を回復するために、貴重な薬草を更に消費する羽目に……。
「野郎……。クソがッ!!」(??)
洞窟に入った瞬間に閉じ込められるわ、宝箱を開けようとしたら毒ガスにやられるわで、モンスターなのか人間なのかは知らないが、この洞窟を作った者は相当に性格のひん曲がった者であることは間違いない、僕はそいつにどうしたらこのような陰湿なトラップの数々を考案できるのか、小1時間問い詰めたいくらいブチギレまくっていた。
これもう完全にアレだよね、こんな、人がどうしたら一番精神的に苦しむかの粋を集めたような、悪質な罠を仕掛けられるやつって……。
「頭イッちゃってる」(???)
イッちゃってるとか言いながら人差し指を立てている場合ではなかったので(?)、すぐに間違えてしまった二股の道に引き返し、今度はそこを左に曲がった。(宝箱があった行き止まりの道から見ると、そちらが正規コース(?)となるので。右に行くと閉じ込められてしまった時の道に戻ることになる)
左に曲がりそのまま一本道を走っていくと、今度は先が三本にも伸びている分かれ道に。
まずいな……これはキチンと進んできたルートをメモしておかないと、すぐに迷ってしまうぞ……。
僕は、時間を消費してしまうのは勿体なかったけれど、それ以上に迷った方が危険だと判断し、すぐに判明した洞窟のルートを地図にして、紙に書き込んでいった。
「こことここは行き止まり、そこから左に曲がると今度は三本の分かれ道……と」
焦って先を急ぎたいのは山々だけど、こういう地道な行動こそが、最終的にはパーティーの命を救うことになる、僕はそう固く信じている。
「良い判断だな。多少時間は取られたとしても、自分たちが今どこにいるのかはハッキリさせておいた方が良い。……む?気をつけろ。どうやらまた、モンスターのお出ましのようだ」
松明の数、ルートの管理、モンスターとの戦闘、ああ、次から次へと本当にキリがない!!
戦わない勇者とは、かように困難な道であったか、僕は精霊が自分にどれだけの無理難題を突きつけてきたのかを改めて思い知ると、正直あの精霊もだいぶ頭イッちゃってると思った。(?)
「宝箱だな。何が隠されているのだろう」
すぐに開けても良かったのだが、さすがに今回ばかりは僕はこの、通路の行き止まりにこれみよがしに置かれた宝箱を怪しんだ。
まず、この洞窟には普段人が訪れないからこそ、こうして明かりもなく松明のやりくりに苦心している訳だろう。
ということは、少なくともこの宝箱は人が設置したという可能性の方が低い訳であり、むしろ狡猾なモンスターによって仕掛けられた罠の可能性が……。
「とにかく開けてみよう、ていっ」
「あーっ!?」
とかなんとか悩んでいる内に、なんと、アホの(?)サルバトルが深い考えもないまま宝箱に触れてしまった!!
「いや、ていっ。じゃねえよ!!何やってるんですか!?」
しかし、サルバトルが開けようと満身の力を込めても、宝箱は一向に開かない!!
「むっ!?この宝箱開かんぞっ!?」
「鍵が掛かっているみたいですね。どのみち開ける術なんて持ってないし、もうこの際中身はどうでもいいでしょう。とにかく、何事もなくて良かっ……」
そう僕が言おうとした正にその瞬間、なんと、今度はサルバトルの背後、宝箱の下から、『紫色のガス』がモクモクと上がり始めた!!(!?)
「サルバトルさん!!後ろ!!後ろ!!」
「ん……?こ、これは……!!ゴホッ!!ガハッ!!」
「しまった!!毒ガスだ!!すぐに退避して!!」
すぐに引き返したものの、二人とも完全に毒ガスを吸い込んでしまっており、毒状態のまま体力はドンドン減ってしまっている!!
「まずい!!すぐに毒消し草を!!」
これまでの冒険で一度も使わずに済んでいた毒消し草を、ついにここで初めて吐いてしまったが、何とか毒状態は治すことができた。
しかし、減ってしまった体力を回復するために、貴重な薬草を更に消費する羽目に……。
「野郎……。クソがッ!!」(??)
洞窟に入った瞬間に閉じ込められるわ、宝箱を開けようとしたら毒ガスにやられるわで、モンスターなのか人間なのかは知らないが、この洞窟を作った者は相当に性格のひん曲がった者であることは間違いない、僕はそいつにどうしたらこのような陰湿なトラップの数々を考案できるのか、小1時間問い詰めたいくらいブチギレまくっていた。
これもう完全にアレだよね、こんな、人がどうしたら一番精神的に苦しむかの粋を集めたような、悪質な罠を仕掛けられるやつって……。
「頭イッちゃってる」(???)
イッちゃってるとか言いながら人差し指を立てている場合ではなかったので(?)、すぐに間違えてしまった二股の道に引き返し、今度はそこを左に曲がった。(宝箱があった行き止まりの道から見ると、そちらが正規コース(?)となるので。右に行くと閉じ込められてしまった時の道に戻ることになる)
左に曲がりそのまま一本道を走っていくと、今度は先が三本にも伸びている分かれ道に。
まずいな……これはキチンと進んできたルートをメモしておかないと、すぐに迷ってしまうぞ……。
僕は、時間を消費してしまうのは勿体なかったけれど、それ以上に迷った方が危険だと判断し、すぐに判明した洞窟のルートを地図にして、紙に書き込んでいった。
「こことここは行き止まり、そこから左に曲がると今度は三本の分かれ道……と」
焦って先を急ぎたいのは山々だけど、こういう地道な行動こそが、最終的にはパーティーの命を救うことになる、僕はそう固く信じている。
「良い判断だな。多少時間は取られたとしても、自分たちが今どこにいるのかはハッキリさせておいた方が良い。……む?気をつけろ。どうやらまた、モンスターのお出ましのようだ」
松明の数、ルートの管理、モンスターとの戦闘、ああ、次から次へと本当にキリがない!!
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