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音楽ランキング SSランク編 ナンバーガール

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ナンバーガール SSランク

死ぬまでに聴かないと損する度 100 SSランク

【解説】
初の音楽ランキングである。

大体こういったランキングというものは、初めに出てくる人物や作品によって、そのランキングのレベルやセンスが窺い知れるというものだが、そんな一番大事なトップバッターを迷うことなく即決できたほど、筆者はナンバーガールに極めて高い評価をしている。

例えばこれが最初に出てきたのが『西野カナ』であれば、少しでも音楽に通じ、センスの良い方であれば、すぐにこの画面を閉じ、今後二度と音楽ランキングに目を通すことはないだろう(西野カナファンの方はごめんなさい)。

なお、音楽ランキングでは笑いの成分はかなり薄味となることが予想されるため、お笑い好きの方はご了承頂きたい。

筆者も音楽の知識に関しては趣味レベルであるため、音楽マニアの方はどうか生暖かい目で見て頂ければ幸いである。

本題に戻ろう。

はっきり言ってナンバーガールは日本有数どころか、日本一のロックバンドだと個人的には思っている。

同時期にはブランキーやミシェル、ゆらゆら帝国などのバンドがあり、筆者も全てに耳を通したが、やはりその中にあってもナンバガは頭一つ抜けていると言わざるを得ない。

理由はただ一つ。

ナンバガは『日本のロック』を奏でている唯一(?)のバンドだからだ。

説明しよう。日本のロックバンドなんだから、全部日本のロックだろと思われる向きもあるもしれないが、そうではない。ロックとはそもそも外国から日本にやって来た黒船のようなものであり、ナンバガ以外の日本のロックバンドは、このペリーのオッサンが持ってきた(?)洋楽CDからの影響を脱し切れていないのである。

勿論、初期のナンバガも洋楽の影響を多分に受けており、レベル的にはまだ成熟していなかったと思うが、これが後期ナンバガになると正に天才覚醒、『禅』や『祭囃子』といった日本古来のエッセンスを、外国由来のロックと見事に融合させた、正に『日本のロック』としか言いようがない音楽を展開しているのだ。

ナンバガの音楽にはロックにとって最も必要な、青臭い青春の『疾走感』や、この糞みたいな社会へのひりつくような『危機感』『焦燥感』『反骨心』が、これでもかと詰め込まれている。

それらの『ソウル』が全て日本的なフィルターを通して昇華され、『日本のロック』として極めて高いレベルで融合しているのである。

筆者も人間であり、耳は二つしかないため、これまで日本の全てのロックバンドを聴いてきた訳ではないが(聖徳太子であれば可能かもしれない)、これほど見事に『日本のロック』を体現しているのは、おそらくナンバガ以外にいないのではないかと思われる。

『日本人のロックをしている』のがナンバガ、『日本人がロックをしている』のが他のバンドだと個人的には思っており、一見似ているようで、この差は余りにも大きい。大きすぎる。

ひょっとすると日本のロックバンドは今後百年、ナンバガのレベルに追いつけないのではないかとまで思う。後期ナンバガのレベルはそのぐらいの境地に達している。

死ぬまでに聴かないと損する度は、間違いなく100点満点。

とにかく格好良い音楽を聴きたい方には、自信を持ってお勧めしまくれるバンドである。

さて、それではここで、筆者がどのようにしてナンバーガールという音楽に出会ったかを、当時を思い出しながら紐解いていきたいと思う。

ナンバガの名前など一般層はまず知らず、知っているのはかなり濃い音楽ファンぐらいのものだが、筆者も当時一般層と同じく、ナンバガを聴かないまま死んでいく人生の内の一人だった。

そんな人生に転機が訪れたのは、当時大好きだった『アジカン』を経由してのことだった。

筆者は当時、世の中にアジカン以上に格好良い音楽はないと思っており、事実アルバムは捨て曲なしの非常にクオリティの高いものだったのだが、その辺の解説はアジカンのランキングに譲りたいと思う。

アジカンのフロントマン、後藤正文がナンバガのファンであることを知ったのは、アジカンを好きになってから大分経ってからのことであり、後藤のセンスを信頼していた筆者は、どのような音楽なのだろうという好奇心からAmazonでナンバガのアルバムを購入した。

筆者が一番最初に購入したのは、ナンバガの二枚組のベスト版。

ナンバガ入門にはうってつけの一枚(枚数は二枚)であり、本当に自信を持ってお勧めできるのだが、それを聴いた筆者の正直な感想は次のようなものだった。

『なんだこのバンド!?何言ってるか全然聞き取れねーし、音はうるせーし、アジカンの方が全然いいやん!!後藤はなんでこんなバンド好きなんだろ。あちゃー……新品で買ったのに、失敗しちゃったかな……』

しかし、新品で購入してしまった手前、金額分の『元』は取らなければならない。

筆者はそれ以降、夜寝る前の気が向いた時に、ヘッドホンでナンバガを聴き続けた。

すると、不思議なことに、それまでうるさく聴こえていたナンバガの音に、『耳の方が馴染んでくる』のである。

そうして更に聴き込んでいく内に、何故か不思議と『ん?悪くねーなこの曲』と思い始め、『あれ?こんな格好良かったっけこの曲?』となり、『やべー、無茶苦茶格好良い!!』、最終的には『ナンバガ最高!!ナンバガ聴くとアジカンちょっと……』とまで思ってしまったのだ。

あれほど好きだったアジカンが一瞬にしてナンバガの下と思えるほど、当時筆者にとってナンバガの音は衝撃的だった。

比較対象にしてアジカンファンの方には申し訳ないが、アジカンの音楽を一般層にも理解できる非常に高いポップセンスをまぶしたロックとすると、ナンバガの音楽は一般層には理解できない一度嵌まると抜け出せない危険なドラッグのようなロックだと言えるだろう(勿論ドラッグをやったことは一度もないが)。

売れるのは間違いなく前者であるが、音楽的なレベルが高いのは後者だと筆者は思う。

それからはあまりにナンバガが好きになりすぎて、もし無人島に一枚だけCDを持っていけるとしたら、これを持っていくかもしれないと、筆者は当時本気でそう考えていた。

だが、無人島にはプレーヤーと電源がないため、どっちにしろ聴くことは不可能だという結論に至ったのである(である。じゃねーよ!!真面目か!!)。(?)

そうして、結論に至った後は、もう完全にナンバガの虜、オリジナルアルバムからDVDボックスに至るまで、次々に購入してしまった(ナンバガはおそらく日本で一、二を争うほど、ライブが格好良いバンドでもある)。

ナンバガは音だけでなく歌詞も凄まじく、ボーカル向井の強烈なシャウトもあり、はっきり言って何を言っているかよく分からないのだが、別に歌詞の意味を深く理解する必要はない。

向井も理解させる気など更々なく、こちらも聴こえてくるありのままの魂を感じ取れば、ナンバガの音楽はそれでいいのだ。

なにしろ歌詞が『一升瓶!!一升瓶!!三本!!禅問答!!禅問答!!吉村秀樹!!』である(ABSTRACT TRUTH。アルバム殺風景収録)。

一升瓶、禅問答もさることながら、歌詞に一般層が絶対に知るはずもない『吉村秀樹』の名を突然ぶち込む、そのぶっ飛びすぎたセンス。

後に吉村秀樹はブッチャーズのボーカルと判明するのだが、ナンバガにとって一般層に歌詞が伝わるか伝わらないかなど、ハナから問題ではないのである。

そういう無茶苦茶に尖ったセンスから見ても、ナンバガの音楽が優秀であることは間違いない。

と、この短い文章だけでも、筆者の熱い熱いナンバガ愛は十二分に伝わったことと思う。

ちなみに、知人とカラオケに行った際、筆者がナンバガを歌ったら知人は完全に引いていたので、ナンバガをカラオケで歌う際は、是非一人カラオケをお勧めしたい。(?)

確かに、この音楽は人を選ぶ。

普段好いたはれたの音楽を聴いている一般層には、到底理解できない音楽だろう。

このような音楽がもっともっと売れる社会が訪れなければ、日本という国の音楽レベルはいつまで経っても低いまま。洋楽のパクりが幅を効かせるこの国の音楽に、未来はない。

最後に、ナンバガのフロントマン、『向井秀徳』が放った言葉で本文を締めたい。

『売れる、売れない関係なしに、その時自分が格好良いと思った音楽をやる』

……やべえ、最高に格好良い。

極限まで研ぎ澄まされた音もそうだが、自分の信念を貫く向井の音楽に対するその姿勢を、筆者は最高に尊敬している。

……うん、この記事を書いたおかげで、また改めてナンバガが聴きたくなってきた。

バリヤバイ!!
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