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忘れ去った幼い頃の辛い記憶
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「本当に受けちゃって良かったのか?」
「うん。僕にしか出来ないことだからいいんだよ。青い鳥が懐いてくれるのも可愛いしね」
誤解がとけて、垢凍結を解除して貰った僕はラックブルーワールドにログインした。
ログイン直後に青い鳥とトリノさんとバンさんが迎えてくれて王宮に招待された。
城前まで来たけれど胸がざわざわと不穏にざわめくのは何故だろうか?
はじめて訪れたはずなのに嫌な予感がするのだ。
まるで昔訪れた事があって辛い体験をしたかのようなデジャブ感に戸惑いながらも城の客間に案内された。
「急な事で歓迎の宴が整っておりません。準備致しますので今宵はお泊まりくださいませ」
少し休むつもりで客室の寝台に寝転がると疲れが溜まっていたのか、いつの間にか寝てしまっていた。
夢を見ていた。
幼い頃の夢。
時空の歪みに呑み込まれる前の辛い記憶。
忘れたくて奥底に封じ込めていた記憶は思い出の場所に来たことでよみがえってしまったようだ。
スラム街の貧しいその日暮らしだったがギルドの最低ランクの仕事で生計を立てていた。
ある日一匹の青い鳥を助けた。
青い鳥は恩を感じたのか懐いてくれた。
友達のいなかった僕は青い鳥と仲良くなれたのが嬉しかった。
ある日
青い鳥のテイマーが選定される儀式があるとギルドの掲示板に貼り出された。
ポスターを見てはじめて青い鳥が神鳥であることを知った僕は青い鳥とお別れすることにした。
大切で大好きな僕の友達。
だけど不運な僕とは不釣り合いな神聖な青い鳥。
一緒にいることが許されるわけがなかった。
だって青い鳥のテイマーは守護者のバンが選ばれるはずだったのだから。
なのに不運な僕が青い鳥のテイマーに選ばれてしまった。
青い鳥のテイマーに選ばれた者は幸福を青い鳥に捧げて成鳥にする使命がある。
けれど僕は不運の塊のような存在で分け与える幸福を持っていない。
ラックブルーワールドの世界において、青い鳥を成鳥に巣立られないテイマーは不要品だ。
だから……。
「本来ならば潜在的に高いラックの持ち主をテイマーに選ぶのですがなぜかラック数値の低い男の子が選ばれました。青い鳥が成鳥にならなければ世界のラック数値は下がり不運になり災いが起こります。私達は災いを防ぐ為に青い鳥を成鳥にしなければなりません。けれど一度選ばれたテイマーは命尽きるまで青い鳥のテイマーであり続けます。青い鳥を成鳥に出来ないテイマーは厄災でしかありません。ですからテイマーを殺すことにしたのです」
「え、?殺す?」
「ええ。私達は貴方を殺します。貴方を殺して正しいテイマーを青い鳥に選ばせます」
殺される事になり、不運な事に処刑台の鎌が下ろされる直前に時空の歪みが発生し異世界に渡った。
縄で縛られ佇んでいた僕は異世界の全てがわからなかった。
知らない星座。
知らない植物。
知らない建物。
知らない人。
「君はドコラカ来たのですか?」
知らない人は僕の地面を指差した。
丁度時空の歪みが閉じるところだった。
知らない人は僕がいた世界を垣間見たのだろうか?
とても興味深そうに地面を探っている。
「僕は……わからない」
わからない。わからない。わからない。
わからないほうがいいんだ。
知らない、知らなかったふりをしなちゃいけない。
友達だった青い鳥の事は秘密にしなちゃいけない。
でないと僕は殺されてしまうから……。
適当にはぐらかしながら、いつか本当に忘れられますようにと暗示をかけて記憶を封印した。
「うん。僕にしか出来ないことだからいいんだよ。青い鳥が懐いてくれるのも可愛いしね」
誤解がとけて、垢凍結を解除して貰った僕はラックブルーワールドにログインした。
ログイン直後に青い鳥とトリノさんとバンさんが迎えてくれて王宮に招待された。
城前まで来たけれど胸がざわざわと不穏にざわめくのは何故だろうか?
はじめて訪れたはずなのに嫌な予感がするのだ。
まるで昔訪れた事があって辛い体験をしたかのようなデジャブ感に戸惑いながらも城の客間に案内された。
「急な事で歓迎の宴が整っておりません。準備致しますので今宵はお泊まりくださいませ」
少し休むつもりで客室の寝台に寝転がると疲れが溜まっていたのか、いつの間にか寝てしまっていた。
夢を見ていた。
幼い頃の夢。
時空の歪みに呑み込まれる前の辛い記憶。
忘れたくて奥底に封じ込めていた記憶は思い出の場所に来たことでよみがえってしまったようだ。
スラム街の貧しいその日暮らしだったがギルドの最低ランクの仕事で生計を立てていた。
ある日一匹の青い鳥を助けた。
青い鳥は恩を感じたのか懐いてくれた。
友達のいなかった僕は青い鳥と仲良くなれたのが嬉しかった。
ある日
青い鳥のテイマーが選定される儀式があるとギルドの掲示板に貼り出された。
ポスターを見てはじめて青い鳥が神鳥であることを知った僕は青い鳥とお別れすることにした。
大切で大好きな僕の友達。
だけど不運な僕とは不釣り合いな神聖な青い鳥。
一緒にいることが許されるわけがなかった。
だって青い鳥のテイマーは守護者のバンが選ばれるはずだったのだから。
なのに不運な僕が青い鳥のテイマーに選ばれてしまった。
青い鳥のテイマーに選ばれた者は幸福を青い鳥に捧げて成鳥にする使命がある。
けれど僕は不運の塊のような存在で分け与える幸福を持っていない。
ラックブルーワールドの世界において、青い鳥を成鳥に巣立られないテイマーは不要品だ。
だから……。
「本来ならば潜在的に高いラックの持ち主をテイマーに選ぶのですがなぜかラック数値の低い男の子が選ばれました。青い鳥が成鳥にならなければ世界のラック数値は下がり不運になり災いが起こります。私達は災いを防ぐ為に青い鳥を成鳥にしなければなりません。けれど一度選ばれたテイマーは命尽きるまで青い鳥のテイマーであり続けます。青い鳥を成鳥に出来ないテイマーは厄災でしかありません。ですからテイマーを殺すことにしたのです」
「え、?殺す?」
「ええ。私達は貴方を殺します。貴方を殺して正しいテイマーを青い鳥に選ばせます」
殺される事になり、不運な事に処刑台の鎌が下ろされる直前に時空の歪みが発生し異世界に渡った。
縄で縛られ佇んでいた僕は異世界の全てがわからなかった。
知らない星座。
知らない植物。
知らない建物。
知らない人。
「君はドコラカ来たのですか?」
知らない人は僕の地面を指差した。
丁度時空の歪みが閉じるところだった。
知らない人は僕がいた世界を垣間見たのだろうか?
とても興味深そうに地面を探っている。
「僕は……わからない」
わからない。わからない。わからない。
わからないほうがいいんだ。
知らない、知らなかったふりをしなちゃいけない。
友達だった青い鳥の事は秘密にしなちゃいけない。
でないと僕は殺されてしまうから……。
適当にはぐらかしながら、いつか本当に忘れられますようにと暗示をかけて記憶を封印した。
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