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私の好きな人の好きな人〜最後に笑うのは私だけ〜

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スケジュール帳にいっぱい書いたハートマーク。

ハートマークは大好きな俊くんに会える日。

ハートマークでは足りないくらい、俊くんが大好きだ。

今日は赤いハートマークの日。

でも、私は知っている。

そんな彼は違う人が好きみたい…。



赤いハートマークのついている日、俊くんは書店に出かけた。

小説を読むのが好きで、1日1冊を目標に読んでいるみたい。

今日は大好きな著者【東野圭吾】の新作が書店に並ぶという情報を得て、書店にやっきてた俊くん。

お目当ての本はすぐ見つかったみたいで、すぐにカウンターにむかった。

「いらっしゃいませ。」
笑顔で店員は接客をする。

「ブックカバーはお付けしますか?」
という店員に対して俊くんは

「お願いします。」
と言った。

笑顔の素敵な女性店員さん。

そう。
俊くんの好きな人はこの書店のこの女性店員さん。


笑顔で見送られた俊くんは嬉しそうに、家に帰ってきた。

早速書店で買った本を読み始めようとした。

そこに、LINEが届く。

「今日、書店にいたね。
たまたま見つけちゃった。
今日はなんの本を買ったの?」

「東野圭吾の最新作だよ。」

「東野圭吾の新作か。
面白い?」

「今から読むとこ。」

「あ。
邪魔しちゃったね。
また感想教えてね。」

LINEは終わり、俊くんは本を読み始める。

その時、スマホがピカっと光った。

それはスマホに通知のきたサインだった。

通知には
【東野圭吾の最新作】
と書かれていた。

通知をタッチすると、あるブログに飛んだ。


【東野圭吾の最新作】

「今日は東野圭吾の最新作が発売される日でした。

お店は大繁盛。

私ももちろん買いました。

このあと、読む予定です。

読み終えたら、感想書きますね。

ブログにお付き合いいただき
ありがとうございました!」


という短い内容のブログだった。

俊くんは急いでブログの画面からLINEの画面に切り替えた。


「菜穂。
仕事終わったの?」

「俊くん。
終わったよー。」

「終わったらLINEくらいしろよ。
彼氏より先にブログかよ!」


「ごめーん。
ブログ更新しなきゃっていう頭でいっぱいで…」

「今度ぎゅーのお仕置な!」

「やったー!」



なんていう恋人ごっこのLINEだ。

私の対応の違う俊くんがここにはいる。

菜穂さんにべったりな俊くん。

きっと私が彼女でも、優しいだろうな。



次の日
東野圭吾の新作を読み終えた俊くん。

この日は仕事の日で、俊くんは眠い目を擦りながら、でかけた。

仕事はアパレル。
スーツを売るお店だ。

「俊くん。おはよう。」

私は出勤したての俊くんに挨拶した。

「おはようございます。瑞浪さん。」

「昨日の東野圭吾の新作どうだった?」

「いやー。最高でしたよ。最近の中で1番好きです。」


遠くから上司の声が聞こえた。

「2人とも。
もうすぐ開店だぞ。」

「「はーい。」」

私たちは急いで店に入った。



今日は新成人のスーツがよく売れた日だった。

スケジュール帳をみる

明日はハートマークがついている。
このハートマークは緑だ。



さて、皆さんお気づきでしょうか?

私たちは3角関係なのです。

え。私の片思いだろ?って?

違うわ。
もう少しで私の俊くんになるの。
菜穂とはすぐに別れるわ。

今に見ていなさい。

私のものになるんだから。



その日俊くんは衝撃的なLINEを目にする。

「別れてください」

それは菜穂からの俊くんへのLINEだった。

驚く俊くん。
驚いた顔もかっこいいのね。

「どうして?」

「好きな人できたの。」

「嫌だよ。俺と一緒にいてくれよ。」

「もうLINEしてこないで。
じゃあね。」

「菜穂」

「菜穂」

「菜穂」


急に俊くんに悲劇が起こったわ。

このあと、私が行って慰めてあげるの!

え?
菜穂が急にどうしたって?

菜穂にはさっき俊くんと同じLINEをしてあげたの。

菜穂もショックみたい。

部屋から出てこないわ。



菜穂は小さい頃から誰にでも好かれる子だったわ。

それが悔しかった。

俊くんだけは渡さない。

俊くんを慰めてあげたあと、私は平然として菜穂を慰めるの。

「お姉ちゃん。
彼氏が別れたいって。」

ほらきた。
悲しいことがあると、姉である私にすぐ相談にくる菜穂。


「男なんていっぱいいるのよ。
菜穂は可愛いわ。
次を見つけましょうね。」

泣きじゃくる菜穂の頭を撫でる。


今日スケジュール帳に黄色のハートマークをつけたわ。
付き合い記念日よ。


赤いハートマークは私も俊くんも休みの日。
緑のハートマークは仕事の日。

赤いハートマークの日は私もも書店に行くの。
というより
俊くんとデートよ。
だって、同じ場所に行くんだもの。

書店の時は
遠くから見て
カフェやレストランは
近くの席を確保するわ。

私、一生懸命頑張ったの。

ストーカー?
ふざけないで。
愛があってこその行動よ。


さあ、出かけるわ。
まだ菜穂は部屋で泣いているみたい。

俊くんには私がついているから、安心して。

では、いってきます。
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