1 / 1
人生を変えた鉄棒
しおりを挟む
明日、全国の公園・学校の鉄棒が撤去される。
鉄棒で遊んでいて、怪我をするという一部の声が鉄棒を撤去する理由だ。
だいたいの人が鉄棒なんて撤去されようが、されまいがどっちでも良いだろう。
しかし、私は違う。
小さい頃から鉄棒が好きで、色んな技を開発していた。
私だって、ちょっとくらい怪我はする。
でも、楽しいから痛みなんて感じない。
私の行っている小学校には、鉄棒が4つあり、高学年でも使える大きいサイズと低学年が使えるサイズとある。
私の鉄棒の技は大きいサイズならではの鉄棒があり、もちろん小さいサイズならではの鉄棒ある。
小学生の私には鉄棒を撤去する案を覆すことはできないだろう。
もし、私の鉄棒の技をみてもらえるなら、鉄棒の技で鉄棒の良さを知り、きっと鉄棒撤去なんてなくなるだろう。
でも、そんな機会はあるわけがない。
私は今日も鉄棒の上にいた。
明日にはこの眺めも見れなくなる。
だから、最後にしっかりと焼き付けたかった。
夕日が沈んでいく。
もう家に帰らなくてはいけないのだ。
17時のチャイムなんて、とっくに終わっているのだから。
私は最後に自分で編み出した技、【テナガザル極み】をすることにした。
まず、小さいサイズの鉄棒の端にぶら下がり、
猿が枝を伝って移動するような感じで移動する。
足は浮かせた状態にする。
小さいサイズの鉄棒を2つ通過し、次に大きいサイズの鉄棒を伝う。
因みに鉄棒を支えるポールの部分は一度逆上がりをして、ポールを避ける。
ポールを通過してら、また猿の動きをする。
言うのは簡単だが、やってみると意外と難しい。
小さいサイズの鉄棒から大きいサイズの鉄棒に、そのあと逆戻りして大きいサイズの鉄棒から小さいサイズの鉄棒を移動することをどれだけ早くできるのタイムも測っている。
今日の出来はとてもよかった。
早いタイムでゴールしたことと、しなやかに鉄棒から鉄棒へ移動できたと思う。
そんなことをしていると、
「みつきー!」
と大きな声が私を呼ぶ。
「みつき、今何時だと思っているの?
心配で見に来ちゃったじゃない!」
と怒られてしまった。
「だって、鉄棒との最後の別れなんだもの…。」
「そうね…。あなたにとって、鉄棒は大事なものだったものね…。」
少し間を開けて
「お別れはできた?」
「…。」
私は頭を縦に振る。
何も言わずお母さんは手を差し出してくれた。
私はその手を握り、家まで帰った。
次の日、学校に登校すると業者が鉄棒を抜こうとしていた。
私はその光景を見て、涙が出てしまった。
私にとって、鉄棒がどんなに大切なのか痛感できた。
そして、私はつい行動に出てしまった。
業者と鉄棒の間に入り
「やめてーーー!!!」
と泣いて叫んだ。
業者はとても驚いていた。
「お嬢ちゃん。どいてくれるかな?」
「やだ。」
「鉄棒は撤去しなくちゃいけないんだ。」
「やだ。」
すると、遠くから担任の先生が走ってきて
「うちの生徒がすみません。」
と、私の頭を掴みながら一礼させられた。
「鉄棒がなくなるなんて、やだ。
やだやだやだ。」
私はいつも大人しい方なので、担任の先生もびっくりした顔をしていた。
「いいんです。先生。
それより、この子と少し話してもいいですか?」
「え?」
担任の先生は私の頭から手を離した。
業者は私の顔を見ながら
「お嬢ちゃんは鉄棒が好きなのかい?」
私は首を取れるのではないかと思うほど、縦に振った。
「今時珍しいね。」
細い目をして笑う。
「よし、そこまで言うのなら、いいことを教えてやろう!」
「え?」
「今日でこの鉄棒は壊さなきゃいけない。でも、それは公園や学校に限るものだ。」
そう言われたら、そうだ。
でも…
「私は学校か公園しか鉄棒は知らないの。ここがなくなったら、私鉄棒ができないの。」
業者は名刺をくれた。
「ここにお母さんとおいで。
鉄棒がいっぱいあるから。」
目からウロコの話だった。
「どこ?どこ?」
私は興奮していた。
「行ってみればわかるさ!
ただし、お母さんと一緒だからね!」
と、『お母さんと一緒』という部分を強く言った。
そして、鉄棒は無事に撤去された。
私は家に帰ると早速、お母さんと一緒に鉄棒のあるという場所へ行った。
体育館のようなところだった。
私はドキドキしながら、その建物に入った。
そこには確かに鉄棒がたくさんあり、しかもとても大きかった。
「きたね!」
と後ろから声が聞こえた。
後ろを振り返るとさっきの業者がいた。
体育館にいた全員が次々と業者に挨拶をし、そして、また鉄棒に戻る。
一人の男の人が業者に
「田辺コーチ。技の出来をみていただけませんか?」
と、話しかけた。
「おう!この子の説明を終えてから行くな!」
「よろしくお願いします。」
と言って、鉄棒にその男の人は戻った。
「さて、お嬢ちゃん。
ここは何をしているか、わかるかい?」
「鉄棒をしてる。」
「そう。その通り、ここは体操の鉄棒を鍛える場所なんだよ。」
「私は田辺学。コーチをしている。もし、お母さんとお嬢ちゃんが良ければ、ここに通ってみないかい?」
「でも、小学校4年生で大丈夫なんですか?」
「もちろん、最初はそんなに無理なことはさせません。」
「でも…。」
と、お母さんが躊躇しているのをみて私は
「私、やりたい。
お願いします。」
頭をお母さんに下げた。
お母さんも折れたのか
「いいわ。」
「ほんと?」
私はバンザイする。
「ただし、条件ね。」
私は背を伸ばし、その条件を聞く。
「まず、勉強をしっかりすることと絶対に途中で投げ出さないこと。
いいわね?」
「はい!」
私は大きな声で返事をした。
「佐鳥みつきです。
よろしくお願いします。」
と、田辺コーチに一礼した。
「さて、では始めようかね…。」
私は期待で胸がいっぱいだった。
『今日のスポーツニュースです。
東京でおこなわれた体操、全日本種目別選手権で佐鳥みつき選手が見事優勝しました。
佐鳥みつき選手は世界選手権への切符をゲットしました。
佐鳥みつき選手のインタビューです。』
『今のお気持ちはどうですか?』
「世界選手権に挑戦できることを楽しみで仕方ありません。」
『今の喜びを誰を伝えたいですか?』
「だれと言ったらコーチをずっとしてくれていた田辺コーチですね。ただ…。」
『他にも伝えたい人がいるんですか?』
「はい。人ではありませんが…。」
1拍置いて
「緑小学校の撤去された鉄棒にありがとうと伝えたいです。」
鉄棒で遊んでいて、怪我をするという一部の声が鉄棒を撤去する理由だ。
だいたいの人が鉄棒なんて撤去されようが、されまいがどっちでも良いだろう。
しかし、私は違う。
小さい頃から鉄棒が好きで、色んな技を開発していた。
私だって、ちょっとくらい怪我はする。
でも、楽しいから痛みなんて感じない。
私の行っている小学校には、鉄棒が4つあり、高学年でも使える大きいサイズと低学年が使えるサイズとある。
私の鉄棒の技は大きいサイズならではの鉄棒があり、もちろん小さいサイズならではの鉄棒ある。
小学生の私には鉄棒を撤去する案を覆すことはできないだろう。
もし、私の鉄棒の技をみてもらえるなら、鉄棒の技で鉄棒の良さを知り、きっと鉄棒撤去なんてなくなるだろう。
でも、そんな機会はあるわけがない。
私は今日も鉄棒の上にいた。
明日にはこの眺めも見れなくなる。
だから、最後にしっかりと焼き付けたかった。
夕日が沈んでいく。
もう家に帰らなくてはいけないのだ。
17時のチャイムなんて、とっくに終わっているのだから。
私は最後に自分で編み出した技、【テナガザル極み】をすることにした。
まず、小さいサイズの鉄棒の端にぶら下がり、
猿が枝を伝って移動するような感じで移動する。
足は浮かせた状態にする。
小さいサイズの鉄棒を2つ通過し、次に大きいサイズの鉄棒を伝う。
因みに鉄棒を支えるポールの部分は一度逆上がりをして、ポールを避ける。
ポールを通過してら、また猿の動きをする。
言うのは簡単だが、やってみると意外と難しい。
小さいサイズの鉄棒から大きいサイズの鉄棒に、そのあと逆戻りして大きいサイズの鉄棒から小さいサイズの鉄棒を移動することをどれだけ早くできるのタイムも測っている。
今日の出来はとてもよかった。
早いタイムでゴールしたことと、しなやかに鉄棒から鉄棒へ移動できたと思う。
そんなことをしていると、
「みつきー!」
と大きな声が私を呼ぶ。
「みつき、今何時だと思っているの?
心配で見に来ちゃったじゃない!」
と怒られてしまった。
「だって、鉄棒との最後の別れなんだもの…。」
「そうね…。あなたにとって、鉄棒は大事なものだったものね…。」
少し間を開けて
「お別れはできた?」
「…。」
私は頭を縦に振る。
何も言わずお母さんは手を差し出してくれた。
私はその手を握り、家まで帰った。
次の日、学校に登校すると業者が鉄棒を抜こうとしていた。
私はその光景を見て、涙が出てしまった。
私にとって、鉄棒がどんなに大切なのか痛感できた。
そして、私はつい行動に出てしまった。
業者と鉄棒の間に入り
「やめてーーー!!!」
と泣いて叫んだ。
業者はとても驚いていた。
「お嬢ちゃん。どいてくれるかな?」
「やだ。」
「鉄棒は撤去しなくちゃいけないんだ。」
「やだ。」
すると、遠くから担任の先生が走ってきて
「うちの生徒がすみません。」
と、私の頭を掴みながら一礼させられた。
「鉄棒がなくなるなんて、やだ。
やだやだやだ。」
私はいつも大人しい方なので、担任の先生もびっくりした顔をしていた。
「いいんです。先生。
それより、この子と少し話してもいいですか?」
「え?」
担任の先生は私の頭から手を離した。
業者は私の顔を見ながら
「お嬢ちゃんは鉄棒が好きなのかい?」
私は首を取れるのではないかと思うほど、縦に振った。
「今時珍しいね。」
細い目をして笑う。
「よし、そこまで言うのなら、いいことを教えてやろう!」
「え?」
「今日でこの鉄棒は壊さなきゃいけない。でも、それは公園や学校に限るものだ。」
そう言われたら、そうだ。
でも…
「私は学校か公園しか鉄棒は知らないの。ここがなくなったら、私鉄棒ができないの。」
業者は名刺をくれた。
「ここにお母さんとおいで。
鉄棒がいっぱいあるから。」
目からウロコの話だった。
「どこ?どこ?」
私は興奮していた。
「行ってみればわかるさ!
ただし、お母さんと一緒だからね!」
と、『お母さんと一緒』という部分を強く言った。
そして、鉄棒は無事に撤去された。
私は家に帰ると早速、お母さんと一緒に鉄棒のあるという場所へ行った。
体育館のようなところだった。
私はドキドキしながら、その建物に入った。
そこには確かに鉄棒がたくさんあり、しかもとても大きかった。
「きたね!」
と後ろから声が聞こえた。
後ろを振り返るとさっきの業者がいた。
体育館にいた全員が次々と業者に挨拶をし、そして、また鉄棒に戻る。
一人の男の人が業者に
「田辺コーチ。技の出来をみていただけませんか?」
と、話しかけた。
「おう!この子の説明を終えてから行くな!」
「よろしくお願いします。」
と言って、鉄棒にその男の人は戻った。
「さて、お嬢ちゃん。
ここは何をしているか、わかるかい?」
「鉄棒をしてる。」
「そう。その通り、ここは体操の鉄棒を鍛える場所なんだよ。」
「私は田辺学。コーチをしている。もし、お母さんとお嬢ちゃんが良ければ、ここに通ってみないかい?」
「でも、小学校4年生で大丈夫なんですか?」
「もちろん、最初はそんなに無理なことはさせません。」
「でも…。」
と、お母さんが躊躇しているのをみて私は
「私、やりたい。
お願いします。」
頭をお母さんに下げた。
お母さんも折れたのか
「いいわ。」
「ほんと?」
私はバンザイする。
「ただし、条件ね。」
私は背を伸ばし、その条件を聞く。
「まず、勉強をしっかりすることと絶対に途中で投げ出さないこと。
いいわね?」
「はい!」
私は大きな声で返事をした。
「佐鳥みつきです。
よろしくお願いします。」
と、田辺コーチに一礼した。
「さて、では始めようかね…。」
私は期待で胸がいっぱいだった。
『今日のスポーツニュースです。
東京でおこなわれた体操、全日本種目別選手権で佐鳥みつき選手が見事優勝しました。
佐鳥みつき選手は世界選手権への切符をゲットしました。
佐鳥みつき選手のインタビューです。』
『今のお気持ちはどうですか?』
「世界選手権に挑戦できることを楽しみで仕方ありません。」
『今の喜びを誰を伝えたいですか?』
「だれと言ったらコーチをずっとしてくれていた田辺コーチですね。ただ…。」
『他にも伝えたい人がいるんですか?』
「はい。人ではありませんが…。」
1拍置いて
「緑小学校の撤去された鉄棒にありがとうと伝えたいです。」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる