高塚くんと森くん

うりぼう

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一途な高塚くん

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(き、緊張してきた……!)

迎えに来ると言っていた高塚を待っている内にどんどんと心臓の動きが激しくなってきた。

気持ちを伝えようと決意したのは良いが、どうやって切り出したら良いのかがわからない。
なんといっても初めての事なのだ。
高塚が、もうオレの事を好きじゃないかも、なんて疑問は既に解消済み。
良く考えたら自分に気持ちが向いたら飽きるだなんて。
あんなにバカ正直で単純でまっすぐな男に限って、そんな事ありえるはずがなかった。
それは石野にも太鼓判を押された。

だからこそ、こうして気持ちを伝えようと決意出来たのだが。

(あああああ、心臓破裂する……!)

とにかく落ち着かなくては。
何度も何度も大きく息を吸い込んでは吐き出し、心を落ちつけようとする。

「森ちゃーん!迎えに来たよー!」
「!!!」

落ち着けようとしたのに。
高塚の登場により、オレの努力は一瞬にして無駄に終わった。

「帰ろう!」
「っ、お、おう」

にっこりと微笑んでオレを促す高塚。
その隣に並び、ゆっくりと玄関まで向かう。
いつになくぎくしゃくしてしまう。
他愛のない会話をしながらもオレの頭の中はどうやって告白しようかというそれ一色のみ。

放課後、つまり今伝えようと決めたはずなのにまた悩んでしまう。

(やっぱりちゃんと呼び出して言った方がいいのか?でも早く伝えた方がいいような気もするんだよな……な、悩む……!)

みんなどうやって告白のタイミングを図っているのだろうか。
先人がいたら是非ともお聞きしたい。

悶々と悩んでいると。

「森ちゃん」

校門を出たところで高塚がぴたりと止まった。

どうしたんだ。
何か忘れ物だろうか。
他に用事があるのだろうか。

首を傾げると、高塚はまっすぐにオレを見つめていた。

「……高塚?」

恥ずかしいのに視線を逸らせない。

一体なんなのだろうか。
こんな風に見つめられると緊張が更に増してしまう。
もう心臓がいつ飛び出してもおかしくない。

まさか、待て、それはオレが言おうとしているのに。
そう思うけど言葉が出ない。
そんなオレに、高塚は……

「オレ、森ちゃんが好き」
「!」

ふわりとした笑みと共にそう告げた。

流れていた時が止まるような感覚。
きっと周りには色んな雑音があって、色んな人から好奇の目で見られているはずなのに何も感じない。
ただ、高塚の声だけがオレの耳に入ってくる。

「初めて告白した時よりも、ずっとずっと森の事が好きになってる」
「……っ」

最初に告白された時と同じシチュエーション。

あの時と違うのは、ただのクラスメイトという関係ではなくなっている事。
からかうようにも見えた態度が真剣な事。

そして何より、オレの気持ちが高塚に向かっているという事。
あの時とは明らかに違う感情が込み上げている。

(くそっ)
 
自分はどうやって告白しようかと散々悩んでいたのに、高塚は自然体でさらりとそれをやってのけてしまう。

同じ男として、悔しいやら情けないやら。

(ムカつく……けど、かっこいいじゃねえか)

そう思ってしまう時点で、もう既にこいつには敵わないのだろう。

「オレと、付き合って下さい」

すっと手を差し伸べられる。

「森ちゃん、返事は?」
「……っ」

返事なんて、今のこの顔を見たらもうわかっているはずじゃないのか。
自覚出来るくらいに真っ赤になっているだろう顔を見て、追い打ちをかけるように聞いてくる高塚に更に腹が立つ。

今か今かと返事を待つ高塚に、心の中で軽く舌打ち。
唇を噛み締め、差し出された手に自分のそれをしっかりと重ねて顔を寄せる。

「……」
「!」

そして耳元で小さく返事を囁くと、目の前の男は今までで一番の笑顔を浮かべた。








終わり









おまけ

「森が好きです。オレと、付き合ってください」

そう言って差し出した手を取られ、オレにとっては夢のような言葉を返される。

やっと、本当にやっとという感じだ。
天にも登りそうな幸福感に包まれ、外野の声なんて全く耳に入ってこないし姿も見えない。

ただリンゴみたいに真っ赤に頬を染めた森と、繋がれた指先の温かさが今を現実だと教えてくれている。

(これ、ちゅーしちゃっても良いかな?良いよな?ていうかそういう雰囲気だよな?!)

いい雰囲気の中、オレの視線は森の口に集中。
恥ずかしいのだろう、僅かに尖っているそこは、オレを誘っているようにしか見えない。

「森ちゃん」
「え?」

小さく囁き、そのかわいいかわいい唇にかぶりつこうとしたのだが。

「ば……っ、何考えてんだ?!」
「ぶ……っ?!」

顔面を平手でべちりと押し戻されてしまった。

「なんで?!ここはちゅーするところでしょ?!」

思わず不満を漏らすと、森は真っ赤な顔で一言。

「アホか!!」
「なんでー!?なんでなんでなんで!?」
「そ、そういうのは、二人きりの時にするもんだろ……!」
「!!!!!」

ぼそりと呟かれたそのセリフのあまりの破壊力にオレの理性が切れなかったのは奇跡に近い。

(ていうかそれって二人きりだったらしても良いって事だよね?!もうもうもう……っ)

感極まってしまったオレはもう我慢出来ない。
いや、ちゅーは我慢するけど。

「ほんっとーにかわいいんだから森ちゃんってば!大好き!」
「……ばかか、かわいくねえし」

がばりと森に抱き付き、頭を擦り寄せてそう叫んだ。
照れ臭そうにしながらも抵抗しない森。
小さく、本当に小さい声で「オレだって好きだし」と呟く可愛くて可愛くて堪らない愛しい人に、更に有頂天になったのは言うまでもない。





終わり

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感想 8

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