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番外編(恋人編)
お部屋デート
しおりを挟む押して押して押して押しまくって漸く手に入れた存在。
夢にまで見た恋人という立場に、オレは以前よりも緩んでしまう顔を抑えきれない。
なぜなら
「森ちゃん」
「ん……」
あの森ちゃんがですよ。
近寄るな触るな視界に入るなと拒絶しまくっていたあの森が。
オレの部屋でオレの足の間に挟まってオレの胸に背中預けて眠そうに目を擦ってりゃそりゃニヤケも止まらないですよ。
しかもお泊まりときたらこれもう笑いが止まらない。
むしろ鼻血を噴き出してしまいそう。
それくらい嬉しくて可愛い。
可愛くて可愛くて堪らない。
「眠いなら寝ていーよ?」
「いや、映画見たいし」
舌足らずな声がまた堪らない。
時刻は深夜。
昼間借りてきた森が見たがっていた新作のDVDは、明日には返さないといけないため、必死に起きていようとしている。
が、そんなうつらうつらとした頭で果たして内容が理解出来ているのか。
絶対できてないんだろうなあと苦笑いが零れるが、それにすら愛しさが滲み溢れ出る。
「明日見ても間に合うよ」
「明日は、でかけるっつったじゃん」
「今度でもいいよ」
「でも、行きたいとこあんだろ?」
「いつでも行けるとこだから。ね?」
だから今日は我慢せずに寝て、明日改めて観ようと言うと。
「んー……」
胸にかかる重みが、更にずしりと感じる。
こてりと首を傾けるその様子に、ひょいと顔を覗き込む。
「森ちゃん?」
「……」
「……寝ちゃった?」
質問に返事はない。
森はすーすーと規則正しい寝息を立て寝入っていた。
まだあどけないその寝顔に、本日最高潮に頬が緩む。
付き合う前なら絶対にありえなかった無防備な寝姿。
それを間近で、しかも自分の腕の中で見られる事に、この上ない幸せを噛みしめた。
end.
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