220 / 278
171.
しおりを挟む
リザリディス達は南の庭園に向かう途中だった
ドオォッと激しくうねる風と突然の風に巻き込まれ木々が揺れる音がリザリディス達の足を止めた
騒がしく飛び立った鳥達は警戒するように鳴き声を上げながら揺れる木から逃げるように飛んでいった
「え?あの辺りは…うちの庭園の中ですよね」
乳母のルイザとメイドのキャスは顔を見合わせた
何か危険な事があったなら警備が警戒を促す警笛を鳴らす等の反応があるはずだが鳥達が騒いだ以外は特に何も無かった
しかし、今のバニエアラ邸は人手不足であり本来の警備体制が敷かれている訳ではない
今、此処にはリザリディスを含め自分達しか居ない
本来ならば庭園のあちこちに配置されていた者達は今は誰もいなかった
「お嬢様を!屋敷に戻りましょう」
キャスがリザリディスを抱き上げると三人は今来た道を戻り屋敷へと急いだ
しかし、いくらも進まないうちにガサリと葉音がして小路の影から少女が飛び出してきた
驚いたリザリディス達は思わず足を止めた
「!」
バチリと目が合った
少しくたびれているが仕立ての良い服を着たその少女は街で見かけたならそこそこ裕福な家の子だろうと思う程度で特に気にも止めなかったっただろう
だが此処は街ではない
彼女達は此処に居てはいけない存在だった
「あなたはっ」
乳母の頭には最近、屋敷を騒がせた問題児の事が頭に浮かんだ
もちろん、彼女と彼…子供達がどういう出自であるかも
屋敷に匿われた事情も説明を受けて知っていた
だからこそ見逃すわけにはいかなかった
「誰の許しを得て庭園に踏み込んだの!」
彼女達は自由に振る舞う事を許されては居ない
家人のプライベートな庭園にいる筈が無かった
ルイザはリザリディスを庇うように前に出ると此方を見つめる少女を叱り付けた
少女の年齢なら見ず知らずの大人から突然に叱られればそれだけで泣き出してもおかしく無かったが
その少女は一瞬だけ大きく目を見開いただけでルイザ達を睨み付けると大きく息を吸った
「だまれっ!たかだか使用人がエメにえらそうに言ったらダメよ!お母様とお父様に言い付けるっ叱られるのはお前たちのしごとよだっ」
目を真っ赤にしながら強気に言い返してくる少女にルイザは呆れた
あまりに傲慢であり物知らずだった
その少女の見せた物言いと態度はルイザの後ろにいる紛れもない貴族の令嬢を前にやって良い物ではない
今、この少女の命を不敬だからと奪っても誰も罪には問われないだろう
しかし、この子はトマスの子だった後ろに居るリザリディスとは母親は違うが姉妹でもあった
「………」
辺りを見ても人の気配はなく彼女は独りだった
本来なら付いている筈の世話役のメイドも居ない
彼女を探す様な人の気配も無かった
聞いた話では今日、母親が迎えに来て彼女らは屋敷を去る筈だった
迎えを客間で待っている筈の少女が何故ひとりで此処にいるのか?
顔を真っ赤にして此方を睨み付けてくる少女を見やりルイザはため息が出た
よくよく見ればその面差しはトマスを思い出させた
「キャス、その子を客間に連れていって…」
ルイザは色々とこの状況に思うことはあったが後回しにした
一番大切なのはリザリディスお嬢様の安全を確保することだ
だからと言ってこの少女を此処に一人で置いていく訳にもまさかリザリディスと一緒に連れていく訳にもいかなかった
キャスは黙ってルイザと少女のやり取りを見守っていたが抱いていたリザリディスを下ろすと此方を睨んでくる少女に近寄った
「…え~っとお嬢ちゃん一緒に行きましょうか?」
手を繋ごうとしたが近づいてきたキャスを警戒したのか少女は一歩後ろに下がった
ドオォッと激しくうねる風と突然の風に巻き込まれ木々が揺れる音がリザリディス達の足を止めた
騒がしく飛び立った鳥達は警戒するように鳴き声を上げながら揺れる木から逃げるように飛んでいった
「え?あの辺りは…うちの庭園の中ですよね」
乳母のルイザとメイドのキャスは顔を見合わせた
何か危険な事があったなら警備が警戒を促す警笛を鳴らす等の反応があるはずだが鳥達が騒いだ以外は特に何も無かった
しかし、今のバニエアラ邸は人手不足であり本来の警備体制が敷かれている訳ではない
今、此処にはリザリディスを含め自分達しか居ない
本来ならば庭園のあちこちに配置されていた者達は今は誰もいなかった
「お嬢様を!屋敷に戻りましょう」
キャスがリザリディスを抱き上げると三人は今来た道を戻り屋敷へと急いだ
しかし、いくらも進まないうちにガサリと葉音がして小路の影から少女が飛び出してきた
驚いたリザリディス達は思わず足を止めた
「!」
バチリと目が合った
少しくたびれているが仕立ての良い服を着たその少女は街で見かけたならそこそこ裕福な家の子だろうと思う程度で特に気にも止めなかったっただろう
だが此処は街ではない
彼女達は此処に居てはいけない存在だった
「あなたはっ」
乳母の頭には最近、屋敷を騒がせた問題児の事が頭に浮かんだ
もちろん、彼女と彼…子供達がどういう出自であるかも
屋敷に匿われた事情も説明を受けて知っていた
だからこそ見逃すわけにはいかなかった
「誰の許しを得て庭園に踏み込んだの!」
彼女達は自由に振る舞う事を許されては居ない
家人のプライベートな庭園にいる筈が無かった
ルイザはリザリディスを庇うように前に出ると此方を見つめる少女を叱り付けた
少女の年齢なら見ず知らずの大人から突然に叱られればそれだけで泣き出してもおかしく無かったが
その少女は一瞬だけ大きく目を見開いただけでルイザ達を睨み付けると大きく息を吸った
「だまれっ!たかだか使用人がエメにえらそうに言ったらダメよ!お母様とお父様に言い付けるっ叱られるのはお前たちのしごとよだっ」
目を真っ赤にしながら強気に言い返してくる少女にルイザは呆れた
あまりに傲慢であり物知らずだった
その少女の見せた物言いと態度はルイザの後ろにいる紛れもない貴族の令嬢を前にやって良い物ではない
今、この少女の命を不敬だからと奪っても誰も罪には問われないだろう
しかし、この子はトマスの子だった後ろに居るリザリディスとは母親は違うが姉妹でもあった
「………」
辺りを見ても人の気配はなく彼女は独りだった
本来なら付いている筈の世話役のメイドも居ない
彼女を探す様な人の気配も無かった
聞いた話では今日、母親が迎えに来て彼女らは屋敷を去る筈だった
迎えを客間で待っている筈の少女が何故ひとりで此処にいるのか?
顔を真っ赤にして此方を睨み付けてくる少女を見やりルイザはため息が出た
よくよく見ればその面差しはトマスを思い出させた
「キャス、その子を客間に連れていって…」
ルイザは色々とこの状況に思うことはあったが後回しにした
一番大切なのはリザリディスお嬢様の安全を確保することだ
だからと言ってこの少女を此処に一人で置いていく訳にもまさかリザリディスと一緒に連れていく訳にもいかなかった
キャスは黙ってルイザと少女のやり取りを見守っていたが抱いていたリザリディスを下ろすと此方を睨んでくる少女に近寄った
「…え~っとお嬢ちゃん一緒に行きましょうか?」
手を繋ごうとしたが近づいてきたキャスを警戒したのか少女は一歩後ろに下がった
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる