2 / 11
第二話
しおりを挟む「……はぁ、まただ。」
バイトが終わり、実家の自分の部屋でぐったり横になっていた。
俺は駅前の飲食店でバイトしているのだが、今日、ロッカーを開けたら花束が入っていた。
しかも「頑張ってください♡」という手書きのメモ付き。いや、誰だよ俺の応援団。怖いだろ普通に。
俺は花が特別好きなわけでもない。むしろアレルギー気味でくしゃみが止まらないタイプだ。店長にも「彼女からか?」と笑われたが、違う。そもそも彼女なんてできたことがない。
「……待てよ……!」
胸の奥が急にざわついた。脳裏をよぎるのは、あの謎解きイベント。颯に無理やり連れていかれたやつだ。そこでは「探し物は目立たない場所にある」って散々やったじゃないか。
俺は飛び起きると、部屋中の捜索を始めた。
クローゼットの奥、カーテンの裏、エアコンの上、コンセント周り。ありとあらゆる場所を手で触って確かめる。あの時の脱出ゲームで得た知識を総動員だ。
「……マジかよ……」
結果は大収穫。ぬいぐるみの中から盗聴器が見つかった。さらに本棚の上、普段目線がいかない位置に、小型カメラが隠されていた。
「………これは……もう……」
声にならない。背筋が冷える。さっきまで冗談みたいに考えていたストーカーの存在が、一気に現実味を帯びた。
――笑えない。完全に一線を越えている。
俺は反射的にスマホを掴み、颯の家へと駆け出した。
「おい!助けてくれ!!」
玄関のチャイムを連打する。
「……何だよ…LINEしろつっただろ…」
颯がドアを開けた。
しかしその姿が……妙に艶っぽい。着崩したシャツに、無造作な髪。ほのかに甘い匂い。……これはもしかしなくとも、今まで女の子とイチャイチャしてたな……。
「ごめんねーゆきちゃん。バカが来たから、解散になっちゃった。また今度ね」
玄関先から、見覚えのある長い髪が揺れて出ていった。――ゆきちゃんだ。学部であやかちゃんと並んで二大マドンナと呼ばれているうちの一人。俺は心の中で血涙を流す。ゆきちゃん派だったのに……。
だが今はストーカー事件が先決だ。
「……俺、お前なんかしか頼る人いないのが悲しいよ……」
思わず恨み節が口から漏れる。
「“なんか”は余計だ。入れ。」
颯は小さくため息をつくと、俺を部屋に招き入れた。
颯の家は、いつ来ても生活感がない。高校の時から両親は長期出張で不在らしく、ほぼ一人暮らし状態だ。女の子連れ込み放題。騒音被害に悩まされるようになったのもその頃からだ。
颯はドカッと座り、俺をじっと見た。「で、何があった?」という目だ。
俺は一度深呼吸して、震える手で盗聴器とカメラを取り出した。
意外にも、あいつは目を丸くして、最後まで真剣に話を聞いてくれた。
「……へぇ、明でも探し物できたんだ。物なくしてばっかりなのに。」
颯が口を開く。相変わらずの毒舌だが、どこかいつもより力が抜けている。
「うるせーよ。」
俺も反射的に返す。――いつもならここでいつもの軽口が返ってくるのだが、颯は今日はちょっと違った。顔の表情からは、驚きと真剣さが同居している。もしかすると、俺のためにわざと減らず口を叩いて、気を紛らわせてくれているのかもしれない。
「……なあ、流石にやべーだろ。どうしたらいいんだ……」
思わず涙混じりで訴える俺に、颯は少し考え込む。指を唇に当て、眉をひそめた。
「仕方ねぇな。調べるぞ」
「え?」
「調査だよ調査。頼むぞ、"ワトソン君"?」
146
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しております
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる