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2.正夢
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朝見た夢の内容はこうだ。
いつものように美容院で働いていると、友樹の元カノが訪れる。彼女は現在モデルとして活躍しており、次のイベントの髪型を自分で選んだ美容師にセットしてもらおうと考えていたのだ。こだわりが強く、マネージャー任せにはせず、自ら足を運んで探していたところ、友樹に白羽の矢が立った。
友樹は以前ヘアメイクアーティストとして活動しており、業界で名を知られた存在だ。まだ若く才能もセンスもある。悩みながらも彼は依頼を受け、イベントに向けて二人はどんどん親密な関係になっていく。それと比例するように俺とは自然と疎遠になり、最後には——無様に寝取られた自分の嘆きを呟いていた。
大まかな内容はこんな感じだ。
朝見た夢とあまりにも酷似していた。現在の状況が、そのまま夢に現れたようで、背筋がぞくりとする。
「軽く梳いてくれればいいから。それよりあなたに頼みがあってきたの」
彼女はたなびく髪をゆっくり流しながら、まっすぐに友樹を見た。
「次に大きなイベントがあるの。あなたにヘアメイクをお願いしたいのよ。才能を見込んでの話。もちろん給料は弾むわ。どうかしら?」
……完全一致だ。夢で見た展開と寸分違わぬ内容に、思わず息を呑む。
「……断る。悪いが、他の人を当たってくれ」
友樹は平静を装った表情をしているが、俺にはわかる。彼はかなり嫌がっている。それと、夢と同じ、一度断るところまで忠実に再現されているのだ。なんだこれは。
「そんなこと言わないで。はい、これがチラシよ」
そう言って彼女はイベントのチラシを差し出す。手元に置かれたチラシをちらりと見る。芸能界に疎い俺でも知っている規模の大きなイベントだった。
「……本当に大きなイベントだな。出世したな」
友樹は小さく感心する。すると彼女は嬉しそうに、誇らしげに微笑む。自然と目がいく、そんな魅力的な笑顔だった。
「ふふふ。当然よ」
彼女の自信に満ちた様子を見て、俺は内心で苦笑した。おそらく、多くの人がこの姿を見て可愛いと思うだろう。
「……わかった。引き受ける」
やはり夢と同じだ。一度は断り、チラシを受け取ったことで心が動く。この正確さに、俺は確信した。あれは……正夢だったのだ。俺は、もしかすると予知夢を見る才能があるのかもしれない。
「ありがとう。じゃあ連絡先交換しましょ」
2人は連絡先を交換する。目の前で交わされるやり取りを見て、俺は微妙な気持ちになる。嫉妬か、情けなさか、自分でもわからない。
……ダメだな。元カノに対してこんな気持ちを抱くなんて、年上として少し格好悪い。
「また連絡するわ」
そう言って彼女は去っていく。残された俺と友樹。空気に微妙な緊張が残り、胸の奥が少しざわついた。
いつものように美容院で働いていると、友樹の元カノが訪れる。彼女は現在モデルとして活躍しており、次のイベントの髪型を自分で選んだ美容師にセットしてもらおうと考えていたのだ。こだわりが強く、マネージャー任せにはせず、自ら足を運んで探していたところ、友樹に白羽の矢が立った。
友樹は以前ヘアメイクアーティストとして活動しており、業界で名を知られた存在だ。まだ若く才能もセンスもある。悩みながらも彼は依頼を受け、イベントに向けて二人はどんどん親密な関係になっていく。それと比例するように俺とは自然と疎遠になり、最後には——無様に寝取られた自分の嘆きを呟いていた。
大まかな内容はこんな感じだ。
朝見た夢とあまりにも酷似していた。現在の状況が、そのまま夢に現れたようで、背筋がぞくりとする。
「軽く梳いてくれればいいから。それよりあなたに頼みがあってきたの」
彼女はたなびく髪をゆっくり流しながら、まっすぐに友樹を見た。
「次に大きなイベントがあるの。あなたにヘアメイクをお願いしたいのよ。才能を見込んでの話。もちろん給料は弾むわ。どうかしら?」
……完全一致だ。夢で見た展開と寸分違わぬ内容に、思わず息を呑む。
「……断る。悪いが、他の人を当たってくれ」
友樹は平静を装った表情をしているが、俺にはわかる。彼はかなり嫌がっている。それと、夢と同じ、一度断るところまで忠実に再現されているのだ。なんだこれは。
「そんなこと言わないで。はい、これがチラシよ」
そう言って彼女はイベントのチラシを差し出す。手元に置かれたチラシをちらりと見る。芸能界に疎い俺でも知っている規模の大きなイベントだった。
「……本当に大きなイベントだな。出世したな」
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「ふふふ。当然よ」
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「……わかった。引き受ける」
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