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異世界生活:グリーデン編
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ゴブリンロードの死をもって、冒険者ギルドから出ていたクエストは完了。
不屈の剣のブレイドを助けることはできなかったが、残りの3名とグラン達は生き残った。
さらにイースト村やグリーデンにゴブリンが流れ込むことを防いだ。
成果としては大金星といえるだろう。
「ユグドラシルさん。これ何とかできますか?」
そう言う蓮の視線の先にはリルが雷魔法で生み出した巨大な穴がある。
「仕方ありませんね」
そう言うと、ユグドラシルは地魔法と水魔法と植物魔法を駆使して、大地の穴を埋め、植物を生やした。
元の地形はわからないが、特に違和感のない状態にはなっているため、良しとさせてもらおう。
その光景に、周囲のものは驚愕し言葉を失った。
その中で最も強い異界の血を引くグランですら開いた口が塞がっていない。
魔法の規模が、人間の常識を遥かに超えているからだ。
大破壊をしたリルも凄いが、それをすぐに修復できるユグドラシルもまた蓮の遥か格上なのだと感じた。
「さぁ。帰りましょうか」
倫理的にブレイドの死体をアイテムボックスに入れる気にはなれないため、ユグドラシルに棺を用意してもらった。
ユグドラシルの結界魔法の上に乗ったままグリーデンへと凱旋。
グリーデンの北側の門前に降り立った。
「ギルマス!よかった!!!」
「おう!ビル!」
北の門番にして、斧を持つ筋肉隆々の金剛力士像のような男はビルという名前らしい。
地響きや爆風はこちらまで届いていたらしく、何かの大災害が発生して巻き込まれているのではないかと心配をしていたそうだ。
「そうか。ブレイドはダメだったか」
生き残った者たちと棺を見て、ビルはすぐに気がついた。
「ああ。でも、こいつは運が良いよ」
そう言葉にするのは不屈の剣のレベッカ。
冒険者は死と隣り合わせ。
ほとんど場合、死体は魔物に食われる。
それに引き換え、ブレイドは仲間の元に戻り、精霊の用意した棺に入れられているのだ。
「ブレイドは良いリーダーだった。早く弔ってやりたい」
この世界に来てから人族の良い話しは聞いていなかったが、死者に対する礼節や仲間に対する思いやりはあるようだ。
街のハズレに墓場があるらしく、不屈の剣の者たちは先にブレイドの埋葬へ。
蓮たちは冒険者ギルドへと向かった。
「マスター!レン様!」
中に入るとすぐにミミィが声を発し、周囲の者も驚き振り返った。
殺奪のゴブリンキングが出現したという情報は広がり、もし蓮やグランが戻らなければ、総動員で助けに行かなければならないのではないかという噂が流れていたのだ。
「帰って来たってことは倒したってことか?」
「や、やっぱり精霊様がやったのかな?」
「いや、蓮も凄腕らしいぞ」
色々なところから聞こえる話し声。
注目を浴びるのが苦手な蓮は、どう振る舞えば良いのか迷っていた。
「心配をかけて済まない!殺奪はここにいるレンが倒した!もう大丈夫だ!」
状況を治めるために、グランがが高らか宣言。
ギルド内は歓声に包まれた。
「レン様。ありがとうございます。本当に……」
受付をしていたミミィとソフィは、感謝を伝え、深く頭を下げた。
蓮は頭を上げるように伝え、桜と向日葵の所在を確認。
奥の部屋へと移動した。
「何者か居ますね」
奥に進む通路でユグドラシルが言葉にした。
蓮も気配探知で気がついていたため、頷き答えた。
奥の部屋で誰かが倒れている。
大きさで桜や向日葵では無い。
側にドラコやメイの気配はある。
一体誰だ。
「失礼します!レン様たちが戻られました!」
ミミィがドアを開け、中に入ると、桜と向日葵が駆け寄り蓮に抱きつく。
相当心配したのだろう。
泣く2人を宥める。
2人の気を紛らわせるのが大変だっただろうとドラコに感謝を伝えると、ドラコは優しい表情で『何もしてないわよ』と答えた。
蓮たちと同様に、メイはフェンとローとの再会を喜ぶ。
その光景を見て、本当に助けることができてよかったと蓮は思った。
「よくぞご無事で」
「ああ。心配をかけたな……。それで、そこに倒れているのはシュバルツか?」
聞いたことのない名。
グランの知り合いなのだろう。
大男が床で大の字に倒れている。
頭部にはかなり大きなコブができている。
何故こうなったかはわからないが、誰がやったのかは、何かのスキルを使わなくてもわかる。
蓮はドラコを見た。
「わ、私は悪くないわよ!」
私は悪くないと言うことは、殴ったのは自分であると認めると言うこと。
理由を聞くと『こ、こいつが生意気だったから……』と答えにくそうに、教師に怒られるヤンキーのような理由を口した。
「ドラコが理由なく暴力を振るわないのはわかってるよ」
蓮がそう言うと、ドラコが頬を赤る。
しかしそれには気づかず蓮は桜に視線を向けた。
「この人がね……」
桜によれば、シュバルツと呼ばれた倒れている大男は、蓮がゴブリン討伐に向かうのと入れ違いで王都レグナムから来たそうだ。
視察隊の編成には時間がかかるため、伝説のマンティコアを倒した蓮を一眼見たいと、先行して1人でやって来た。
「俺は強い奴が好きでな。伝説のマンティコアを倒した野郎と、戦ってみてぇんだ」
と蓮と戦う気満々だったそうだ。
それに対してドラコが『無駄だからやめておけ』と制止。
鑑定するまでもなく、シュバルツと蓮との実力差が開き過ぎていたからだ。
「わかってねぇなぁ。これだから女って奴は。勝負ってのはな?やってみなきゃ分かんねぇんだよ!」
ドラコが制止した理由は、シュバルツを想ってのことではない。
こんなバカでも殺してしまったら蓮は気にするだろうと、蓮を気遣っての事だ。
「人間って雑魚ほど話しが通じないのね」
ドラコが興味を失った表情と口調で伝えると、シュバルツも後に引けなくなり言い合いはエスカレート。
大柄の角の生えた男が口調を荒立てていることに向日葵が怯え、涙ぐんだため、ドラゴが殴って黙らせたそうだ。
「なるほどね。ドラコ。ナイス」
向日葵を怯えさせるものに善人はいない。
蓮は自身のことを気遣ったことと、向日葵のために拳を振るったことに、親指を立てて賞賛した。
「こいつは四魔帝と呼ばれる王都最上位魔法師の闇雷帝シュバルツ・ケラウノスだ」
グランによれば、闇魔法と雷魔法が得意で国のトップまでたどり着いた鬼人族の男性だそうだ。
鬼人族は強靭な肉体と、闇または雷の属性に対して高い適性を持っていることが多い。
特に肉体の強さは数ある種族の投げで上位だそうだ。
通常は闇または、雷のどちらか一方だが、シュバルツは闇と雷の両方ともに高い適性を持っている。
近づけば肉弾戦。
離れれば魔法戦と使い分けができるらしい。
見た目にそぐわぬ器用さを持っているようだ。
「まぁ相手がドラコ殿ではこうなるのも仕方がない」
大きく運ぶのも大変なため、そのまま放置して目を覚ますのを待つ。
時刻はもう少しで4度目の鐘が鳴なる頃だ。
蓮は調合師3人の到着を待つ間に、解体場に向かった。
不屈の剣のブレイドを助けることはできなかったが、残りの3名とグラン達は生き残った。
さらにイースト村やグリーデンにゴブリンが流れ込むことを防いだ。
成果としては大金星といえるだろう。
「ユグドラシルさん。これ何とかできますか?」
そう言う蓮の視線の先にはリルが雷魔法で生み出した巨大な穴がある。
「仕方ありませんね」
そう言うと、ユグドラシルは地魔法と水魔法と植物魔法を駆使して、大地の穴を埋め、植物を生やした。
元の地形はわからないが、特に違和感のない状態にはなっているため、良しとさせてもらおう。
その光景に、周囲のものは驚愕し言葉を失った。
その中で最も強い異界の血を引くグランですら開いた口が塞がっていない。
魔法の規模が、人間の常識を遥かに超えているからだ。
大破壊をしたリルも凄いが、それをすぐに修復できるユグドラシルもまた蓮の遥か格上なのだと感じた。
「さぁ。帰りましょうか」
倫理的にブレイドの死体をアイテムボックスに入れる気にはなれないため、ユグドラシルに棺を用意してもらった。
ユグドラシルの結界魔法の上に乗ったままグリーデンへと凱旋。
グリーデンの北側の門前に降り立った。
「ギルマス!よかった!!!」
「おう!ビル!」
北の門番にして、斧を持つ筋肉隆々の金剛力士像のような男はビルという名前らしい。
地響きや爆風はこちらまで届いていたらしく、何かの大災害が発生して巻き込まれているのではないかと心配をしていたそうだ。
「そうか。ブレイドはダメだったか」
生き残った者たちと棺を見て、ビルはすぐに気がついた。
「ああ。でも、こいつは運が良いよ」
そう言葉にするのは不屈の剣のレベッカ。
冒険者は死と隣り合わせ。
ほとんど場合、死体は魔物に食われる。
それに引き換え、ブレイドは仲間の元に戻り、精霊の用意した棺に入れられているのだ。
「ブレイドは良いリーダーだった。早く弔ってやりたい」
この世界に来てから人族の良い話しは聞いていなかったが、死者に対する礼節や仲間に対する思いやりはあるようだ。
街のハズレに墓場があるらしく、不屈の剣の者たちは先にブレイドの埋葬へ。
蓮たちは冒険者ギルドへと向かった。
「マスター!レン様!」
中に入るとすぐにミミィが声を発し、周囲の者も驚き振り返った。
殺奪のゴブリンキングが出現したという情報は広がり、もし蓮やグランが戻らなければ、総動員で助けに行かなければならないのではないかという噂が流れていたのだ。
「帰って来たってことは倒したってことか?」
「や、やっぱり精霊様がやったのかな?」
「いや、蓮も凄腕らしいぞ」
色々なところから聞こえる話し声。
注目を浴びるのが苦手な蓮は、どう振る舞えば良いのか迷っていた。
「心配をかけて済まない!殺奪はここにいるレンが倒した!もう大丈夫だ!」
状況を治めるために、グランがが高らか宣言。
ギルド内は歓声に包まれた。
「レン様。ありがとうございます。本当に……」
受付をしていたミミィとソフィは、感謝を伝え、深く頭を下げた。
蓮は頭を上げるように伝え、桜と向日葵の所在を確認。
奥の部屋へと移動した。
「何者か居ますね」
奥に進む通路でユグドラシルが言葉にした。
蓮も気配探知で気がついていたため、頷き答えた。
奥の部屋で誰かが倒れている。
大きさで桜や向日葵では無い。
側にドラコやメイの気配はある。
一体誰だ。
「失礼します!レン様たちが戻られました!」
ミミィがドアを開け、中に入ると、桜と向日葵が駆け寄り蓮に抱きつく。
相当心配したのだろう。
泣く2人を宥める。
2人の気を紛らわせるのが大変だっただろうとドラコに感謝を伝えると、ドラコは優しい表情で『何もしてないわよ』と答えた。
蓮たちと同様に、メイはフェンとローとの再会を喜ぶ。
その光景を見て、本当に助けることができてよかったと蓮は思った。
「よくぞご無事で」
「ああ。心配をかけたな……。それで、そこに倒れているのはシュバルツか?」
聞いたことのない名。
グランの知り合いなのだろう。
大男が床で大の字に倒れている。
頭部にはかなり大きなコブができている。
何故こうなったかはわからないが、誰がやったのかは、何かのスキルを使わなくてもわかる。
蓮はドラコを見た。
「わ、私は悪くないわよ!」
私は悪くないと言うことは、殴ったのは自分であると認めると言うこと。
理由を聞くと『こ、こいつが生意気だったから……』と答えにくそうに、教師に怒られるヤンキーのような理由を口した。
「ドラコが理由なく暴力を振るわないのはわかってるよ」
蓮がそう言うと、ドラコが頬を赤る。
しかしそれには気づかず蓮は桜に視線を向けた。
「この人がね……」
桜によれば、シュバルツと呼ばれた倒れている大男は、蓮がゴブリン討伐に向かうのと入れ違いで王都レグナムから来たそうだ。
視察隊の編成には時間がかかるため、伝説のマンティコアを倒した蓮を一眼見たいと、先行して1人でやって来た。
「俺は強い奴が好きでな。伝説のマンティコアを倒した野郎と、戦ってみてぇんだ」
と蓮と戦う気満々だったそうだ。
それに対してドラコが『無駄だからやめておけ』と制止。
鑑定するまでもなく、シュバルツと蓮との実力差が開き過ぎていたからだ。
「わかってねぇなぁ。これだから女って奴は。勝負ってのはな?やってみなきゃ分かんねぇんだよ!」
ドラコが制止した理由は、シュバルツを想ってのことではない。
こんなバカでも殺してしまったら蓮は気にするだろうと、蓮を気遣っての事だ。
「人間って雑魚ほど話しが通じないのね」
ドラコが興味を失った表情と口調で伝えると、シュバルツも後に引けなくなり言い合いはエスカレート。
大柄の角の生えた男が口調を荒立てていることに向日葵が怯え、涙ぐんだため、ドラゴが殴って黙らせたそうだ。
「なるほどね。ドラコ。ナイス」
向日葵を怯えさせるものに善人はいない。
蓮は自身のことを気遣ったことと、向日葵のために拳を振るったことに、親指を立てて賞賛した。
「こいつは四魔帝と呼ばれる王都最上位魔法師の闇雷帝シュバルツ・ケラウノスだ」
グランによれば、闇魔法と雷魔法が得意で国のトップまでたどり着いた鬼人族の男性だそうだ。
鬼人族は強靭な肉体と、闇または雷の属性に対して高い適性を持っていることが多い。
特に肉体の強さは数ある種族の投げで上位だそうだ。
通常は闇または、雷のどちらか一方だが、シュバルツは闇と雷の両方ともに高い適性を持っている。
近づけば肉弾戦。
離れれば魔法戦と使い分けができるらしい。
見た目にそぐわぬ器用さを持っているようだ。
「まぁ相手がドラコ殿ではこうなるのも仕方がない」
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