【完結】ヒロイン、俺。

ユリーカ

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Ⅱ メガミ、俺。

022: 今度は宝探しです。

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 しおしおとため息をついた俺は女神様にちょっとだけ恨み言を吐いた。

「こんなヤバいやつだって知りませんでした。もうちょっと詳しく教えてくれてもよかったのに」
『過負荷は個人差もあるし一度体験しないとわからないものよ。知っていても過負荷を回避できなかっただろうし。嫌ならレベルを上げなさい。ある程度あげればその肉体も耐えられるでしょう』
「でもこの間みたいに事故で魔王様がお出ましになることもあるわけで」
『あり得るわね。嫌なら強化を急ぎなさい』

 当然嫌だって!大体その強化=レベリングの過程で魔王がお出ましになるかもしれないじゃないか!俺が怪我したら魔王の逆鱗な訳で?だいたいあの魔王も封じられたとはいえかつての俺なんだよな?あんな根暗が俺?俺何があった?俺である魔王が暴れた結果俺が死にそうな拷問に遭うって酷くね?

「まあ急ぐには急ぎますが‥‥女神様で魔王を阻止できませんか?」
『無理ね。この間は私も出てブン殴るところをグッと堪えたのよ?私も出ていたらこの体は本当に壊れていたわ。死なないけどね』
「‥‥‥そういう怖い話はやめてください」

 レベル4852の魔王にさらにレベル5128の女神様降臨とか!
 俺、生きながら壊れる?死ぬ!切実にやめて!体が大丈夫でも俺のメンタルが死んじゃうから!!

 俺の嫁、ホントケンカっ早いなぁ。手が早い強気なレディスヤンキー?女王様?でもそこがまたグッとくるというかキュンキュン?ドキドキ止まんないよ~

 もうムチとか持ってくれないかな?仮面に黒いボンテージにピンヒール履いて?女王様イイネ!女神様は黒も似合う!そんでもって俺を縛って愚かな家畜にお仕置きよ!と称して色々と———

『えーと!今後のことだけど!』

 にへらとする俺の思考を遮るように女神様が鏡越しにテーブルをバンバン叩いている。なぜにお怒り?そういや俺の思考は女神様に筒抜けだった。

『少し強くなったことで私の初期スキルが発動できるようになったわ』
「おお!女神様の初期スキル?!なんですそれ?」

 食いつきのいい俺に女神様はことさら冷ややかだ。

『それはすぐにわかるわ。そのスキルが解放されたから私のものを装備できるし』
「女神様の?装備?武器?」
『昔使っていたものがここらに残っていたはずだから。取りに行きましょう』

 女神様の専用武器!絶対欲しい!
 それ、すっげぇ武器なんじゃね?

 女神様の武器‥‥剣かな?それとも弓?杖とか?ソレイイネ!魔法少女みたいなステッキだったら俺悶え死ねるぞ!鏡越しに二人で魔法少女のポーズ作って合体技出したり?変身シーンは嬉し恥ずかしもじもじ生着替えで衣装チェンジ?うわぁエロ可愛い!絶対萌える!はなぢ吹きそうだ!金はある!こうなればオーダーメイドで完璧な魔法少女の衣装を———

『そういうのやらないからね!!』
「ぐふッ」

 女神様の強烈なエアデコピンが俺の眉間に炸裂した。




 ゲフンゲフン、というわけで。

 女神様専用武器を取りに俺たちは旅立つことになった。女神様にあんまり怒られないようにしないと俺の眉間がそろそろ危ないな。まあ俺死なないけど。

 温泉あり宿よし本屋あり。居心地が良くて思いの外長く滞在してしまった。でも英雄避けにはそろそろ潮時だろう。

 出発の日の朝、あのSランクパーティのお姉さんたちが見送りに来てくれた。もう会えないかと思っていたから俺にとってはサプライズだ。

「昨日の夜にやっと帰って来れたのに。ルキアスちゃんもういっちゃうの?一緒に遊びたかったよぉ」
「せっかくもっと仲良くなれそうだったのに」
「すみません」
「まあ仕方ないわね」
「私たちはここら辺で仕事を受けてる、また会えるだろう」
「ありがとうございます」
「遊びに来てよ!絶対だぞ?今度温泉プール行こうね!」
「ルキアスちゃんならパーティ参加いつでも大歓迎だからね。ポメちゃんも!元気でね!」

 正体は魔狼とバレてはいてもアイドル小型犬は相変わらずお姉さん方に人気だ。代わるがわるでなでなでぎゅーされている。あーポメいいなぁ。

 そこで可愛らしい盗賊のお姉さんが俺に詰め寄ってきた。目がキラキラらんらんとしているのはなぜ?

「私、ルキアスちゃんもなでなでぎゅーしたかったんだよね?なでなでぎゅーしてもいい?」
「え?」
「あ、私も!ルキアスちゃんこんな可愛いんですもの!」
「え?いやでもッ うわぁッ」

 盗賊と僧侶のお姉さんが歓声を上げて俺に抱きついてきた。キレイなお姉さん方のご立派な胸押し付けハグからのなでなでの嵐に俺ははなぢ昇天ものだ。いい匂いだし柔らかいしだし。女の子ってハグ好きだよねー
 ホッペチューやデコチューも貰ってしまった。 俺を女と思っているからお姉さんたちも遠慮がないなぁ

 俺の嫁はただ一人だがまあ?これは別腹というか?決して浮気ではなく?健全な青少年としてデレるのは仕方がないわけで?さらにお色気魔導士お姉さんやクールなリーダー剣士のお姉さんにもハグにハナチューされてしまった。
 
 おおぅ!マジ天国だ!
 え?これってばモテイチャハーレム展開?いや、見た目女同士だから女子会的な?でもめちゃシアワセだぁ
 せっかく仲良くなれたのにここでお別れとか勿体なさすぎる!もうちょっとだけここに残ろうかな?

 と、ここでぎゅぅぅッと謎の胃痛に襲われた。幸福絶頂と激痛で俺は涙目だ。

 いてててッ 前もこんなことがあったような?胃袋つねられてるみたいだ。慢性の胃痛持ちになった?胃痛薬を何処かで探さないと。

 名残惜しいがキレイなお姉さんたちに手を振って俺たちは街を出発した。


 数時間後、この胃痛の原因からカミナリが落ちるとは俺はこの時これっぽっちも予想していなかった。
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