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Ⅷ 俺はメガミトトモニ。
096: そういう意味
しおりを挟む「俺の呼び方は今後考えるとして、サクラは俺のそばにいてくれたらそれでいいから。だから‥サクラの返事を聞かせてほしい」
「返事?」
「返事」
「なんの?」
部屋に沈黙が降りた。同時に俺から血の気が引いた。
え?まさか?
「サクラひどい!本気で泣くぞ!」
「だから何よ?」
「プロポーズ!返事聞いてない!」
「プ?プロポーズ?!いつ?!」
「ルキアスの時に初めてサクラに会えた時に言っただろ?!他にもあれこれと!」
出会って最初に伝えた。好きです!結婚してくださいって。なんなら「ルキアス」はことあるごとにサクラにスキスキ結婚してアタックを乱れ撃ちしていた。若いって怖いな。「ルキアス」だった俺、押しまくってたよ。今ここで再演しろといわれても今の俺には無理だ。
女神様に出会ったあの時は全てを忘れてたけど「ルキアス」だった俺はちゃんとサクラに落ちたのに!確かに出会い頭にアレは空気は読んでいなかった。デコピンで有耶無耶になったけどまだ有効なはずだ!
サクラが目を見開いている。たっぷり十秒固まった。まさか本当に忘れてた?!
「え?あの時のあれは冗談」
「冗談なもんか!あれは俺の本気だ!すっごい気合い入れて言ったのに!」
「だって冗談でしょ?!アスカ、私のこと忘れてたし出会ったばかりで‥‥‥‥あ、あの後だって何度もケッコンケッコンって言ってたし。さ、散々私のこと俺の嫁って」
「俺が脳内でサクラをどう呼ぼうが関係ないだろ!そんなとこばっか俺の脳内見んなって!」
ぐぁぁッやっぱり流されてた!スキスキ乱射しすぎたせいで軽すぎてリアリティなくなってたんじゃんッ俺のバカ!そんな気はしたんだけどね!半年近く放置されてたし!
「てか!なんで肝心の!俺が本気だったとこは見てないんだよ?!俺はこーんなにサクラ一筋なのに!サクラなら一日三回余裕でイけるのもサクラが巨人族かもってサイズが心配だったのも俺の本気」
「だ!だからなんでそっち方向な話になるのよ!もぅバカバカ!」
おっと、そういえばサクラに下ネタ禁止だった。真っ赤になったサクラが俺に殴りかかってきた。グーでポコポコと。全然痛くない。手が早くって懐かしい可愛い感じ。女神様時代の強烈デコピンやエアアッパーパンチは是非永久に封印いただきたい。
「アスカ、すっごくモテてたじゃない!私なんかじゃなくても」
「なんでそこでなんかになるんだ?!俺はサクラがいいっていってんじゃんか!だいたい俺モテてないでしょ?!」
「モテてたのよ!ホントに鈍いんだから!」
「だとしたらモテてたのは俺の中にいたサクラだよ!」
「違うの!アスカなの!もう鈍感!鈍ちん!」
俺がモテモテ?それはないない全然ない。サクラはそんなこと言ってちょいちょいヤキモチやくけどそんなことないって。心配性?まあこんなサクラも可愛いと思うけど。
てか?サクラの自己評価が低すぎる。その思い込みはサクラの生い立ちのせいなんだろうけど。今後はそんなことない!サクラは美人!可愛い!賢い!愛おしい!って向こう百年毎日百回誉め殺す方向でサクラの意識矯正を断行しよう!
涙目真っ赤になったサクラが俺に指をビシッと突きつけてきた。ここで俺の知らない爆弾の投下である。
「大体!アスカだって約束したじゃない!あの約束なんだと思ってたのよ!」
「約束?って?」
「ほらぁ!アスカの方が酷いじゃない!ずっと一緒にいるって約束よ!」
した。しました。以前ここに滞在中の夜の東屋で。なんなら魔王時代にサクラの精神を肉体から分離した時にもした。
ずっと一緒?それは物理的にそばにいるってだけの意味じゃなく?え?そういう?プロポーズ?
「えええ?!あれはそういう意味?」
「そういう意味よ!もう!じゃあなんで新しく約束したあの夜に返事したのよバカバカ!魔王の貴方が最初に言ったんじゃないの!何があっても私のそばを離れないって!あれはどういう意味だったのよ?!」
「えっと?ずっと一緒にイチャイチャしようって」
「はぁ?!あの状況でそんだけ?あの状況なら将来の!ってそういう意味でしょ?あんなにカッコよかったのに!私が勝手に勘違いしただけなの?どこまで鈍いのよ!最低!あーッもう腹たつ!!」
キレた涙目サクラが枕で俺を殴りまくっている。うっわ。久々のサクラの凶暴化!
なんだかすんげぇ俺美化されてた?だから女神様時代のサクラが魔王にラブラブモードだったのか。そう言われると確かにサクラを救い出した魔王、カッコよかったな。あれホントに俺?そしてそこを活かしきれない俺ってば残念すぎる!
もうなんだろうね。俺たち、こういう時ってとことんすれ違うっていうか、タイミングが全然合わない。でも俺たちらしいかもしれない。緊張が解けて俺から笑みが溢れた。
「なんだ、じゃあ俺たち問題ないじゃん」
「あるわよ!だいだいアスカは!」
「俺はずっとサクラといたい。俺ももう少し年取ったら魔王みたくカッコよくなれる予定だからさ、もうちょっと待ってよ。そんでもって俺がしわしわじいちゃんになるまで一緒にいて欲しい」
枕で殴っていた手が止まりサクラの顔が陰る。あれをまだ気にしてるのかな?
「そんなの‥‥いつになるか」
「そう、何年かかるかわからない。だからそれまでずっと一緒だ。何千年だってサクラに付き合ってもらう。もう嫌だってサクラが言っても俺はサクラのそばを離れないから。この一緒はそういう意味だからな」
「アスカ‥‥」
俺は五千年の冷蔵睡眠で少しだけ、三年ほど歳をとった。サクラも多分、ちょっと歳をとってると思う。だから少しずつ俺たちの時間は流れているんだ。それが俺たちの寿命、ソフィアが教えてくれた。病ではなく寿命で命を亡くす瞬間もサクラと一緒にいたい。
「えと‥‥私、何もできないけど‥頑張るから。畑なら手伝えると思うよ?」
「そんなの気にしないで。サクラはずっと働くの禁止!当分俺のベッドから出さないからな」
「もう!またそんなこと言って‥」
サクラを優しく抱き寄せて顔を覗き込めば涙目サクラがこくんと頷いてくれた。めちゃくちゃ嬉しい!
俺の腕の中のサクラにそっと頭を撫でられる。念願のリアルなでなでである。リアルイチャは五千年ぶり!まさに至福!あまりの幸福に俺は感無量の涙目放心状態だ。
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