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第97話 女将のお題④
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もう一度とは……?
どういう意味だろうかと不思議に思ったとき、
――――ブォンッ!!
と、空気が震え、手に持つホウキの柄が青く輝き出した。
「な、な……なんですかそれは!? 魔法剣かなにか!??」
「馬鹿、結界だよ。このあいだ見せてやったろうが」
「結界?? 結界って……ファントム結界!?? ……ホウキに纏わせることとか……出来るんですか???」
びっくりして目を剥く私に、女将は少し得意げな顔をして言う。
「ああ、出来るとも。そしてさらにこんな使い方も出来る」
言うと、青く光ったホウキの柄で軽くコンッとコンクリートを叩いた。
すると――――、
――――バキッ!!
と音がして、その巨大なコンクリートに縦に一本、ヒビが入った。
「なぁ~~~~~~~~っ!????」
顎が外れんばかりに驚く私。
どういうこと?? なぜ結界を纏っただけのただの棒でこんな芸当が出来る??
「霊体や、その術者を初め、主に精神力場に対しての抗力があるファントム結界だけどね、私みたいな達人が今のように圧縮すれば、物質に対しての抵抗力も出てくるのさ」
そしてもう一振りするとコンクリート片はさらに砕け――――、
バキバキバキバキバキッ!!
あれだけ大きかった塊があっという間にスイカくらいの大きさに砕かれていく。
まるで力を加えずにそれをやってのける女将を見て、私は頬を引くつかせて尋ねた。
「え……と、それはつまり、コンクリートを破壊できるほどの攻撃力をホウキに与えることが出来るってことですか??」
「達人ならね」
「ずるいっ!!」
「ずるいってなんだよ馬鹿だね!?」
「だって、それって物理・精神、同時防御、同時攻撃のチート技ってことですよね!??」
「チート……?? なんだいそりゃ??」
「反則技ってことですっ!!」
「……なにが反則なものかい。これはねぇ……先人の超能力者達が研究と研鑽を重ねに重ね、その代々の使い手が命を掛けて今に繋いできた由緒正しい技さね。……そこいらのポッと出のエセ能力とは深さが違うよ」
「……エセ能力……?」
「いいかい? 所詮、個人の能力なんてね、その一代限りの個人技みたいなものなんだよ。お前さんのラミアとか、百恵のガルーダとか、似たような能力はあるにはあるが、その効力や使い方なんてものは個人ごとに違ってくる。
故に自分の能力をいくら磨いたところでそれを次に伝えることはなかなか出来やしないんだよ。しかし、そんな千差万別な超能力者にも一つだけ、みんな共通して持っている能力が存在する」
その答えとばかりに、再びホウキの柄を青く光らせる女将。
「――――それが、ファントム結界だ」
「……はぁ……」
私は、なんだか長い話になりそうだと指を揉みながら曖昧に返事する。
老人の話はタメになることが多いが、その大半はスケールがデカ過ぎて結局今すぐ役に立つアドバイスでないことが多い。
この話もそんな雰囲気がプンプンしていた。
「先人達はね、この、皆が共通して扱うことの出来る能力『結界』に注目し、それを磨き、深めて行く事で神術文化の発展としたんだよ。
それにより進化した『結界術』はその本来の役割である精神防御だけに終わらず、攻撃、そして物質にまでその力を作用させるにまで至った。
それは他ならぬ先人達の苦心惨憺《くしんさんたん》な努力によって辿り着いた技の結晶とも言うべき尊きもの。強力であって当然!! 断じて反則などと言うものではないんだよ!!」
ぜいぜいと一気にまくしたてる女将さん。
反則技などと軽く扱われたのが癪に触ったらしい。
「て、ことは……つまり私も頑張れば、今みたいに結界術で岩を割ったり出来るってことですね?」
「そういう事だよ」
そう言って女将さんはニヤリと笑い、私にホウキを渡してきた。
「いいかい? この結界術ってのは能力者にとって基本であり、奥義とも言える奥の深いものだよ。今日からじっくり研鑽して極めて行くがいいさ、そして身につけた技はきっとお前さんの助けとなり、後世に残せる財産になるよ」
「はぁ……なるほど、頑張ります……」
とりあえずホウキを受け取ってみる私。
つまり残りのコンクリートはコレで破壊しろと言うことか。
余計な道具は用意せず、身一つで片付けろと言った理由はこれだったのだ。
そうやって私を一人前の能力者に導いてくれようとしてくれているわけだ。
段々と感謝の気持ちが湧いてくる。
うう……私が浅はかでした。さっきは愚痴を言ってごめんなさい。
「はい!! わかりました女将さん。私……頑張ってみます!!
頑張って一人でこのコンクリート……割ってみせますっ!!」
私は張り切ってもう一つの大きなコンクリート前に立つ。
そして女将さんがやったように柄に力を込め――――、
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
と、勢いよく振り下ろす!
――――ぺちん。
乾いた音を立て、情けなく跳ね返されるホウキ。
くっ、やはり上手くいかない。でも、誰だって最初はこんなもの。
頑張って何度も挑戦して行けばきっとそのうちコツを掴めるようになるはず!!
「だあっ!! やぁっ!!!! とりゃぁーーーーっ!!!!」
私は何度も打ち込んだ。何度やってもホウキに結界を纏わせることは出来ないが、しかしそれも数をこなせばきっと出来るようになるはず。
何事も積み重ねることが大事なのだ。
先人達もみなそうやって極めて行ったのだから!!
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――」
しかしここで女将が一言呟く。
「まぁ私がコレを出来るようになるまで……三十年くらいかかったケドねぇ」と。
「――――――ぁぁぁぁぁぁぁぁっあーーーーっ!!!!」
やってられるかと床に叩きつられるホウキ。
だめだ、やっぱり老人の言うことは気が長すぎる!!
どういう意味だろうかと不思議に思ったとき、
――――ブォンッ!!
と、空気が震え、手に持つホウキの柄が青く輝き出した。
「な、な……なんですかそれは!? 魔法剣かなにか!??」
「馬鹿、結界だよ。このあいだ見せてやったろうが」
「結界?? 結界って……ファントム結界!?? ……ホウキに纏わせることとか……出来るんですか???」
びっくりして目を剥く私に、女将は少し得意げな顔をして言う。
「ああ、出来るとも。そしてさらにこんな使い方も出来る」
言うと、青く光ったホウキの柄で軽くコンッとコンクリートを叩いた。
すると――――、
――――バキッ!!
と音がして、その巨大なコンクリートに縦に一本、ヒビが入った。
「なぁ~~~~~~~~っ!????」
顎が外れんばかりに驚く私。
どういうこと?? なぜ結界を纏っただけのただの棒でこんな芸当が出来る??
「霊体や、その術者を初め、主に精神力場に対しての抗力があるファントム結界だけどね、私みたいな達人が今のように圧縮すれば、物質に対しての抵抗力も出てくるのさ」
そしてもう一振りするとコンクリート片はさらに砕け――――、
バキバキバキバキバキッ!!
あれだけ大きかった塊があっという間にスイカくらいの大きさに砕かれていく。
まるで力を加えずにそれをやってのける女将を見て、私は頬を引くつかせて尋ねた。
「え……と、それはつまり、コンクリートを破壊できるほどの攻撃力をホウキに与えることが出来るってことですか??」
「達人ならね」
「ずるいっ!!」
「ずるいってなんだよ馬鹿だね!?」
「だって、それって物理・精神、同時防御、同時攻撃のチート技ってことですよね!??」
「チート……?? なんだいそりゃ??」
「反則技ってことですっ!!」
「……なにが反則なものかい。これはねぇ……先人の超能力者達が研究と研鑽を重ねに重ね、その代々の使い手が命を掛けて今に繋いできた由緒正しい技さね。……そこいらのポッと出のエセ能力とは深さが違うよ」
「……エセ能力……?」
「いいかい? 所詮、個人の能力なんてね、その一代限りの個人技みたいなものなんだよ。お前さんのラミアとか、百恵のガルーダとか、似たような能力はあるにはあるが、その効力や使い方なんてものは個人ごとに違ってくる。
故に自分の能力をいくら磨いたところでそれを次に伝えることはなかなか出来やしないんだよ。しかし、そんな千差万別な超能力者にも一つだけ、みんな共通して持っている能力が存在する」
その答えとばかりに、再びホウキの柄を青く光らせる女将。
「――――それが、ファントム結界だ」
「……はぁ……」
私は、なんだか長い話になりそうだと指を揉みながら曖昧に返事する。
老人の話はタメになることが多いが、その大半はスケールがデカ過ぎて結局今すぐ役に立つアドバイスでないことが多い。
この話もそんな雰囲気がプンプンしていた。
「先人達はね、この、皆が共通して扱うことの出来る能力『結界』に注目し、それを磨き、深めて行く事で神術文化の発展としたんだよ。
それにより進化した『結界術』はその本来の役割である精神防御だけに終わらず、攻撃、そして物質にまでその力を作用させるにまで至った。
それは他ならぬ先人達の苦心惨憺《くしんさんたん》な努力によって辿り着いた技の結晶とも言うべき尊きもの。強力であって当然!! 断じて反則などと言うものではないんだよ!!」
ぜいぜいと一気にまくしたてる女将さん。
反則技などと軽く扱われたのが癪に触ったらしい。
「て、ことは……つまり私も頑張れば、今みたいに結界術で岩を割ったり出来るってことですね?」
「そういう事だよ」
そう言って女将さんはニヤリと笑い、私にホウキを渡してきた。
「いいかい? この結界術ってのは能力者にとって基本であり、奥義とも言える奥の深いものだよ。今日からじっくり研鑽して極めて行くがいいさ、そして身につけた技はきっとお前さんの助けとなり、後世に残せる財産になるよ」
「はぁ……なるほど、頑張ります……」
とりあえずホウキを受け取ってみる私。
つまり残りのコンクリートはコレで破壊しろと言うことか。
余計な道具は用意せず、身一つで片付けろと言った理由はこれだったのだ。
そうやって私を一人前の能力者に導いてくれようとしてくれているわけだ。
段々と感謝の気持ちが湧いてくる。
うう……私が浅はかでした。さっきは愚痴を言ってごめんなさい。
「はい!! わかりました女将さん。私……頑張ってみます!!
頑張って一人でこのコンクリート……割ってみせますっ!!」
私は張り切ってもう一つの大きなコンクリート前に立つ。
そして女将さんがやったように柄に力を込め――――、
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
と、勢いよく振り下ろす!
――――ぺちん。
乾いた音を立て、情けなく跳ね返されるホウキ。
くっ、やはり上手くいかない。でも、誰だって最初はこんなもの。
頑張って何度も挑戦して行けばきっとそのうちコツを掴めるようになるはず!!
「だあっ!! やぁっ!!!! とりゃぁーーーーっ!!!!」
私は何度も打ち込んだ。何度やってもホウキに結界を纏わせることは出来ないが、しかしそれも数をこなせばきっと出来るようになるはず。
何事も積み重ねることが大事なのだ。
先人達もみなそうやって極めて行ったのだから!!
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――」
しかしここで女将が一言呟く。
「まぁ私がコレを出来るようになるまで……三十年くらいかかったケドねぇ」と。
「――――――ぁぁぁぁぁぁぁぁっあーーーーっ!!!!」
やってられるかと床に叩きつられるホウキ。
だめだ、やっぱり老人の言うことは気が長すぎる!!
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