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第99話 女将のお題⑥
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「ええぇ~~……どうしたのぉ、胸なんか苦しそうに押さえてぇ~~……服毒自殺ごっこぉ~~?? 先生もぉ~~まぜて欲しいなぁ……」
苦しみ、息も絶え絶えな私を見下ろし、指を加えながらマジで羨ましそうな顔をする、先生という名のドアホ。
「いや……その、はぁはぁ……遊びでなくて……く、くるしい……」
殴ってやりたいが、とても相手をしていられる状態じゃない。
身体の中で得体の知れないマグマのような物が暴れているような感覚がする。
『ぎゅきゅきゅ~~~~……!!』
ラミアも苦しそうに目をつむり丸まっている。
なんだろう……これは?? 急に突然に、私の体はどうしたというのだろうか?
「苦しいの……?? どこが苦しいのぉ~~?? 先生にも教えて欲しいなぁぁぁぁぁぁっぁぁ……はぁはぁもぐもぐもぐもぐ!!」
私の苦しみ悶える顔を見ながら、メシを喰《は》みだす変態看護師もどき。
……こ、この後に及んでこいつはぁ~~~~!! ぶち殺してやる~~……!!
と、思うのだが、苦しさで体が言うことを聞かない。
「はぁはぁ……はぁはぁ……はぁはぁ…………」
「…………………………………………お~~い……」
何の反応も見せず、ただ倒れ伏して呼吸を乱している私を見て、死ぬ子先生はつまらなそうにため息をつく。
「しょうがないわねぇ~~……どうやらぁ、本気でピンチみたいだからぁ~~……調べてあげようかしらねぇ……」
言うと、スマホを出して私の写真を撮り始めた。
いや、そんなことよりも救急車を呼んで欲しいんですが……?
そしてしばらく画面を眺めていると、
「なぁ~~んだ……原因がぁ、わかったわよぉぉぉぉ……」
と、しかめっ面で言う死ぬ子先生。
な、なに?? 何でわかった??
能力で過去を覗いたんだろうか?
でも、こんな苦しむ原因になるようなことなんて何もしてないぞ!???
「あんたさ~~……食べすぎよこれぇ~~……」
「はぁはぁ……た、食べすぎ……? はぁはぁ……そ、そんなこと……」
あるはずがない。
だってお昼は一個800グラムの座布団ハンバーグランチを三つしか食べてないんだぞ?? あ、それから特盛ごはんも六杯食べたっけ? 後は……軽いデザートとしてベイクドチーズケーキ三つに、チョコドーナッツ五つに、シュークリーム二ダースくらいしか食べてはいない!!
だって今日は女将のお題で悩んでて、食欲が無かったのだから。
「いや……そうじゃなくてねぇ? こっちの方よ……」
じゃっかん引きながらも、一つの画像を見せてくる先生。
そこには庭の雑草の精気を吸収しまくっている、さっきの私の姿が写っていた。
「……あんたぁ……食事でお腹いっぱいのところにぃ~~……さらにぃ能力でぇ養分吸収してたでしょ~~……? だからぁ……身体がもう受け付けないってぇ……破裂しかかっているのよぉぉぉぉぉ……。はやくぅ吐き出しちゃいなさぁい~~……。
まぁ~~……死にたいってぇ、言うんならぁ……応援するけどぉ~~……?」
……なんて事だ。食べ過ぎは、ごはんじゃなくて精気の方だったか!?
っていうか精気に食べ過ぎもクソもあるのか??
知らないが、とにかく今のこの苦しみはそれが原因だというなら、早くどうにかしなきゃ、苦しくて気が変になりそうだ!!
「お……応援など……いらんわっ!! はぁはぁ……吐き出すって……いったいどうやって、やればいいのよっ!???」
「菜々やぁ~~……楠をぉ……回復させたみたいにぃ~~……」
あ……、そうか!! ああやって誰かに精気を譲渡すればいいのか!!
と、なれば相手は一人しかいない!!
がしっ!!
と、私は死ぬ子先生の足首を掴んだ。
「え……? え~~……と?? なぁにしているのかしらぁ~~……??」
「……もちろん、普段お世話になっている先生に……精気のお礼を差し上げようと」
「ちょちょ……ちょっとぉ待ちなさいぃ~~?? 元気な状態の体にぃぃ、そんな濃いぃぃぃ……精気を打ち込んじゃったらぁ……どうなるかなんてぇぇぇ……まだ実験が……」
珍しく青ざめる死ぬ子先生。
大丈夫、優しくしますから。死ぬことは無いと思います――――多分。
そして私は命令する。
「……ラミア、やっておしまいなさいっ!!」
『きゅ~~~~っ!!!!』
鳴き声と同時に、力が伝わってくる。
相手に精気を送り込むイメージを固め、集中する。そして――――、
「喰らえぃ!! ヒーリングっ!!!!」
溜めに溜めた精気をふんだんに込め、能力を解き放った!!
「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ~~~~~~~~~……!!♡」
という先生の叫び声とともに、私の中で渦巻いていたマグマのような物がスーーっと消えていくのを感じる。
頭痛や吐き気も収まり、気分が急激に回復してくるのがわかった。
やっぱり先生の見立てた通り、精気の溜めすぎが原因だったようだ。
調子に乗るとこうなるって事だな、よし、勉強した。
「と、それはそれで……先生、無事ですか?」
自分でやっておいて何だが、少し心配になって先生に声を掛ける。
健康体の人間に、大怪我すらも回復させてしまうほどの量の精気を無理やり注入したのだ、本来ならとても危険な行動だったのかもしれない。
しかし、この変態先生ならきっと大丈夫だろうと根拠の無い確信が私にゴーサインを出したのだ。何かあったとしても、それは普段の行いが悪い先生の責任も半分はあるだろう。
だが、私の目に映った光景は、想像の斜め上を行っていた。
「うう~~ん……いきなりやるなんて酷いわね。待ってって言ったじゃないの」
そう言って起き上がる先生の顔は何だかスッキリしている。
「……なによ、人の顔ジロジロ見て……失礼ね?」
「ああ……クマだ……クマが無くなっている!!」
それだけじゃない。顔のいたる所にあった小ジワが消えて肌がプルンプルンになっていて、髪の毛のキューティクルも完璧な天使の輪を描いている。
「先生……もしかして……若返ってる??」
そう、いまの先生は私の知る三十路直前のやさぐれた女ではなく……どうみても十代の……下手をすれば、私と同じくらいの少女になっていたのだ!!
苦しみ、息も絶え絶えな私を見下ろし、指を加えながらマジで羨ましそうな顔をする、先生という名のドアホ。
「いや……その、はぁはぁ……遊びでなくて……く、くるしい……」
殴ってやりたいが、とても相手をしていられる状態じゃない。
身体の中で得体の知れないマグマのような物が暴れているような感覚がする。
『ぎゅきゅきゅ~~~~……!!』
ラミアも苦しそうに目をつむり丸まっている。
なんだろう……これは?? 急に突然に、私の体はどうしたというのだろうか?
「苦しいの……?? どこが苦しいのぉ~~?? 先生にも教えて欲しいなぁぁぁぁぁぁっぁぁ……はぁはぁもぐもぐもぐもぐ!!」
私の苦しみ悶える顔を見ながら、メシを喰《は》みだす変態看護師もどき。
……こ、この後に及んでこいつはぁ~~~~!! ぶち殺してやる~~……!!
と、思うのだが、苦しさで体が言うことを聞かない。
「はぁはぁ……はぁはぁ……はぁはぁ…………」
「…………………………………………お~~い……」
何の反応も見せず、ただ倒れ伏して呼吸を乱している私を見て、死ぬ子先生はつまらなそうにため息をつく。
「しょうがないわねぇ~~……どうやらぁ、本気でピンチみたいだからぁ~~……調べてあげようかしらねぇ……」
言うと、スマホを出して私の写真を撮り始めた。
いや、そんなことよりも救急車を呼んで欲しいんですが……?
そしてしばらく画面を眺めていると、
「なぁ~~んだ……原因がぁ、わかったわよぉぉぉぉ……」
と、しかめっ面で言う死ぬ子先生。
な、なに?? 何でわかった??
能力で過去を覗いたんだろうか?
でも、こんな苦しむ原因になるようなことなんて何もしてないぞ!???
「あんたさ~~……食べすぎよこれぇ~~……」
「はぁはぁ……た、食べすぎ……? はぁはぁ……そ、そんなこと……」
あるはずがない。
だってお昼は一個800グラムの座布団ハンバーグランチを三つしか食べてないんだぞ?? あ、それから特盛ごはんも六杯食べたっけ? 後は……軽いデザートとしてベイクドチーズケーキ三つに、チョコドーナッツ五つに、シュークリーム二ダースくらいしか食べてはいない!!
だって今日は女将のお題で悩んでて、食欲が無かったのだから。
「いや……そうじゃなくてねぇ? こっちの方よ……」
じゃっかん引きながらも、一つの画像を見せてくる先生。
そこには庭の雑草の精気を吸収しまくっている、さっきの私の姿が写っていた。
「……あんたぁ……食事でお腹いっぱいのところにぃ~~……さらにぃ能力でぇ養分吸収してたでしょ~~……? だからぁ……身体がもう受け付けないってぇ……破裂しかかっているのよぉぉぉぉぉ……。はやくぅ吐き出しちゃいなさぁい~~……。
まぁ~~……死にたいってぇ、言うんならぁ……応援するけどぉ~~……?」
……なんて事だ。食べ過ぎは、ごはんじゃなくて精気の方だったか!?
っていうか精気に食べ過ぎもクソもあるのか??
知らないが、とにかく今のこの苦しみはそれが原因だというなら、早くどうにかしなきゃ、苦しくて気が変になりそうだ!!
「お……応援など……いらんわっ!! はぁはぁ……吐き出すって……いったいどうやって、やればいいのよっ!???」
「菜々やぁ~~……楠をぉ……回復させたみたいにぃ~~……」
あ……、そうか!! ああやって誰かに精気を譲渡すればいいのか!!
と、なれば相手は一人しかいない!!
がしっ!!
と、私は死ぬ子先生の足首を掴んだ。
「え……? え~~……と?? なぁにしているのかしらぁ~~……??」
「……もちろん、普段お世話になっている先生に……精気のお礼を差し上げようと」
「ちょちょ……ちょっとぉ待ちなさいぃ~~?? 元気な状態の体にぃぃ、そんな濃いぃぃぃ……精気を打ち込んじゃったらぁ……どうなるかなんてぇぇぇ……まだ実験が……」
珍しく青ざめる死ぬ子先生。
大丈夫、優しくしますから。死ぬことは無いと思います――――多分。
そして私は命令する。
「……ラミア、やっておしまいなさいっ!!」
『きゅ~~~~っ!!!!』
鳴き声と同時に、力が伝わってくる。
相手に精気を送り込むイメージを固め、集中する。そして――――、
「喰らえぃ!! ヒーリングっ!!!!」
溜めに溜めた精気をふんだんに込め、能力を解き放った!!
「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ~~~~~~~~~……!!♡」
という先生の叫び声とともに、私の中で渦巻いていたマグマのような物がスーーっと消えていくのを感じる。
頭痛や吐き気も収まり、気分が急激に回復してくるのがわかった。
やっぱり先生の見立てた通り、精気の溜めすぎが原因だったようだ。
調子に乗るとこうなるって事だな、よし、勉強した。
「と、それはそれで……先生、無事ですか?」
自分でやっておいて何だが、少し心配になって先生に声を掛ける。
健康体の人間に、大怪我すらも回復させてしまうほどの量の精気を無理やり注入したのだ、本来ならとても危険な行動だったのかもしれない。
しかし、この変態先生ならきっと大丈夫だろうと根拠の無い確信が私にゴーサインを出したのだ。何かあったとしても、それは普段の行いが悪い先生の責任も半分はあるだろう。
だが、私の目に映った光景は、想像の斜め上を行っていた。
「うう~~ん……いきなりやるなんて酷いわね。待ってって言ったじゃないの」
そう言って起き上がる先生の顔は何だかスッキリしている。
「……なによ、人の顔ジロジロ見て……失礼ね?」
「ああ……クマだ……クマが無くなっている!!」
それだけじゃない。顔のいたる所にあった小ジワが消えて肌がプルンプルンになっていて、髪の毛のキューティクルも完璧な天使の輪を描いている。
「先生……もしかして……若返ってる??」
そう、いまの先生は私の知る三十路直前のやさぐれた女ではなく……どうみても十代の……下手をすれば、私と同じくらいの少女になっていたのだ!!
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