102 / 309
第102話 女将のお題⑨
しおりを挟む
「戻せぇ~~……!! 戻せぇぇぇ~~~……!! 戻さないと呪って死んでやるからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~……」
私の足にしがみつきながら、恨み言を綴る、セーラー服を着たオバサン。
「……これは…………」
「うむ……見るに耐えんな……」
菜々ちんと百恵ちゃんの二人は、まるで汚物を見るかのような目で、そんな死ぬ子先生の痛ましい姿を見下ろしている。
今の先生はさっきまでの若々しい姿ではなく、元の29歳児に戻っていた。
「…………おい、ヒロインよ、これ……どうやったのだ?」
場末のコスプレ酒場にたまに出没する痛ましいベテランコンパニオンと化してしまった姉を指差し、百恵ちゃんが聞いてきた。
「いやぁその、普通にラミアに頼んで元に戻してもらっただけなんだけど……。
ほら、存在エネルギーを操作だっけ? それが出来るんなら、簡単に元にも戻せるって事だろうと思って……」
「……なるほど。つまり、姉貴の言っていた説明は正しかったというわけか。
しかし、だからといってそんな簡単に操作出来るものなのか?」
「ラミアに頼んだらやってくれたけど……?」
その言葉を聞いて二人とも呆れ顔になる。
「……普通はファントムと会話なんてありえないんですけどね」
「まったくだな。しかし、そうなるとヒロインは能力操作に関しては訓練の必要は無いかもしれんな……」
「え? そうなの??」
「うむ、普通は宿主が半ば無理やりファントムから能力エネルギーを引き出し、自分の身体を介して指向性のある術に精製し直して発動させるわけじゃが、これを上手くやるのがなかなか難しく、長い訓練が必要となってくるのじゃ。
しかし、お主はそれをほとんどファントムにやらせているという事ならば話は変わってくる」
「そうですねぇ。……能力を行使するのがファントム本体ならば宿主の熟練度は関係無くなりますから、複雑な能力もファントムとの話し合い一つでいくらでも使えるって事になりますね」
「うむ……まったく羨ましい限りじゃが、ファントムに好かれているなどと特殊な状態にあるヒロインだけにもたらされたアドバンテージみたいなものか……?」
じと……と、嫉妬の眼差しで私を見てくる二人。
要するに、本当は訓練が必要な能力の操作を、私の場合、ラミアが好意でやってくれていると。そしてそれはとても特殊なケースで二人は羨ましがっていると。
「そうか、だったらもう私、自由に超能力が使えるようになったってこと? 訓練もせずに?」
「うむ、どれ……ちょっと試してみようか?」
そう言って百恵ちゃんは、私の足にしがみついてメソメソしている姉の首根っこを掴んで見せてきた。
「もう一回、こやつを若返らせてみよ」
「え?♡」
死ぬ子先生の顔が期待でパッと輝く。
「あ~~……と、ラミア? 出来るかなぁ?」
『きゅ~~……』
聞いてみたが、ラミアの返事は芳しく無かった。
「何て言っているんですか?」
菜々ちんが、私の肩に乗っているラミアを覗き込みながら尋ねてくる。
ちなみにファントムはある程度の能力者でなければ認識すら出来ないらしい。
よく巷にいる霊感の強い人間なんかは、その素質があるということだ。
「それが、精気が不足しているらしくて……これ以上使うと私の体に負担が掛かるから、したくないって言ってる」
「……よく解読できるもんじゃな」
そこはそれ、奇跡の相性による以心伝心ですよ。
もしかしたら、これこそが私の超能力者としての最大の才能なのかもしれない。
「では逆はどうじゃ? 吸ってみい」
『きゅ!!』
「がってん!! だって」
と、同時にそのように調整された能力エネルギーが流れ込んでくる。
後は私が引き金を引くだけだ。
「え、えぇ~~……。ちょっと……まってぇぇぇ……!??」
青ざめ引きつった死ぬ子先生の抗議が上がるが、はて、聞こえない。
私は無慈悲に能力を行使した。
「……さて、では応用問題をやってみようかの?」
ロビーに移り、問題の巨大コンクリートを見上げながら百恵ちゃんは呟いた。
「あの……死ぬ子先生、放ったらかしで大丈夫でしょうか?」
『平気でしょ(じゃよ)』
菜々ちんの心配に、私と百恵ちゃんが同時に返事する。
いまごろ彼女は年老いた御婆のように干からびて畳の上に転がっているだろう。
だがそんな事でどうにかなる変態ではない。心配など無用中の無用である。
「そんなことよりも、応用って?」
百恵ちゃんに聞くと、彼女はラミアをジッと見て言う。
「先程の姉貴を使った人体実験で、ヒロインとラミアの関係性は理解した。……信じがたい事だが、本当におヌシは自らの意志でヒロインに仕える奇特なファントムのようじゃな?」
『きゅきゅっ!!』
「そしてファントム体であるおヌシは、能力操作などは人が手足を動かすが如く簡単に操れる。……で、良いな?」
『きゅ~~~~!!』
鼻息荒く、バンザイの仕草で答えるラミア。なんとも愛らしい。
「……ふむ、言葉はわからんが、わかった。ならば、話は簡単だ」
ふっと息を吐いて百恵ちゃんは頭を掻く。
なんだかやるせない表情をしているようだが?
「ど……どういうこと??」
何もわからない私は目をパチクリしているが、菜々ちんはしばらくの思考の後、何かを察したように何度か頷いた。
なんだ? わかってないのは私だけか??
百恵ちゃんは一体何を言おうとしているんだ??
そんな私に彼女はすごく面白く無さそうな顔をして言った。
「……女将がお主にやらせようとしている事がわかったんじゃよ」
私の足にしがみつきながら、恨み言を綴る、セーラー服を着たオバサン。
「……これは…………」
「うむ……見るに耐えんな……」
菜々ちんと百恵ちゃんの二人は、まるで汚物を見るかのような目で、そんな死ぬ子先生の痛ましい姿を見下ろしている。
今の先生はさっきまでの若々しい姿ではなく、元の29歳児に戻っていた。
「…………おい、ヒロインよ、これ……どうやったのだ?」
場末のコスプレ酒場にたまに出没する痛ましいベテランコンパニオンと化してしまった姉を指差し、百恵ちゃんが聞いてきた。
「いやぁその、普通にラミアに頼んで元に戻してもらっただけなんだけど……。
ほら、存在エネルギーを操作だっけ? それが出来るんなら、簡単に元にも戻せるって事だろうと思って……」
「……なるほど。つまり、姉貴の言っていた説明は正しかったというわけか。
しかし、だからといってそんな簡単に操作出来るものなのか?」
「ラミアに頼んだらやってくれたけど……?」
その言葉を聞いて二人とも呆れ顔になる。
「……普通はファントムと会話なんてありえないんですけどね」
「まったくだな。しかし、そうなるとヒロインは能力操作に関しては訓練の必要は無いかもしれんな……」
「え? そうなの??」
「うむ、普通は宿主が半ば無理やりファントムから能力エネルギーを引き出し、自分の身体を介して指向性のある術に精製し直して発動させるわけじゃが、これを上手くやるのがなかなか難しく、長い訓練が必要となってくるのじゃ。
しかし、お主はそれをほとんどファントムにやらせているという事ならば話は変わってくる」
「そうですねぇ。……能力を行使するのがファントム本体ならば宿主の熟練度は関係無くなりますから、複雑な能力もファントムとの話し合い一つでいくらでも使えるって事になりますね」
「うむ……まったく羨ましい限りじゃが、ファントムに好かれているなどと特殊な状態にあるヒロインだけにもたらされたアドバンテージみたいなものか……?」
じと……と、嫉妬の眼差しで私を見てくる二人。
要するに、本当は訓練が必要な能力の操作を、私の場合、ラミアが好意でやってくれていると。そしてそれはとても特殊なケースで二人は羨ましがっていると。
「そうか、だったらもう私、自由に超能力が使えるようになったってこと? 訓練もせずに?」
「うむ、どれ……ちょっと試してみようか?」
そう言って百恵ちゃんは、私の足にしがみついてメソメソしている姉の首根っこを掴んで見せてきた。
「もう一回、こやつを若返らせてみよ」
「え?♡」
死ぬ子先生の顔が期待でパッと輝く。
「あ~~……と、ラミア? 出来るかなぁ?」
『きゅ~~……』
聞いてみたが、ラミアの返事は芳しく無かった。
「何て言っているんですか?」
菜々ちんが、私の肩に乗っているラミアを覗き込みながら尋ねてくる。
ちなみにファントムはある程度の能力者でなければ認識すら出来ないらしい。
よく巷にいる霊感の強い人間なんかは、その素質があるということだ。
「それが、精気が不足しているらしくて……これ以上使うと私の体に負担が掛かるから、したくないって言ってる」
「……よく解読できるもんじゃな」
そこはそれ、奇跡の相性による以心伝心ですよ。
もしかしたら、これこそが私の超能力者としての最大の才能なのかもしれない。
「では逆はどうじゃ? 吸ってみい」
『きゅ!!』
「がってん!! だって」
と、同時にそのように調整された能力エネルギーが流れ込んでくる。
後は私が引き金を引くだけだ。
「え、えぇ~~……。ちょっと……まってぇぇぇ……!??」
青ざめ引きつった死ぬ子先生の抗議が上がるが、はて、聞こえない。
私は無慈悲に能力を行使した。
「……さて、では応用問題をやってみようかの?」
ロビーに移り、問題の巨大コンクリートを見上げながら百恵ちゃんは呟いた。
「あの……死ぬ子先生、放ったらかしで大丈夫でしょうか?」
『平気でしょ(じゃよ)』
菜々ちんの心配に、私と百恵ちゃんが同時に返事する。
いまごろ彼女は年老いた御婆のように干からびて畳の上に転がっているだろう。
だがそんな事でどうにかなる変態ではない。心配など無用中の無用である。
「そんなことよりも、応用って?」
百恵ちゃんに聞くと、彼女はラミアをジッと見て言う。
「先程の姉貴を使った人体実験で、ヒロインとラミアの関係性は理解した。……信じがたい事だが、本当におヌシは自らの意志でヒロインに仕える奇特なファントムのようじゃな?」
『きゅきゅっ!!』
「そしてファントム体であるおヌシは、能力操作などは人が手足を動かすが如く簡単に操れる。……で、良いな?」
『きゅ~~~~!!』
鼻息荒く、バンザイの仕草で答えるラミア。なんとも愛らしい。
「……ふむ、言葉はわからんが、わかった。ならば、話は簡単だ」
ふっと息を吐いて百恵ちゃんは頭を掻く。
なんだかやるせない表情をしているようだが?
「ど……どういうこと??」
何もわからない私は目をパチクリしているが、菜々ちんはしばらくの思考の後、何かを察したように何度か頷いた。
なんだ? わかってないのは私だけか??
百恵ちゃんは一体何を言おうとしているんだ??
そんな私に彼女はすごく面白く無さそうな顔をして言った。
「……女将がお主にやらせようとしている事がわかったんじゃよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる