超能力者の私生活

盛り塩

文字の大きさ
128 / 309

第128話 隠された記憶㉕

しおりを挟む
 ギギギ……と鈍い動きで破壊された右腕を見つめる瞬。

 先生の結界弾すら跳ね返した硬い骨格に自信があったのか、彼は意味がわからないとばかりに百恵ちゃんを見返した。
 対して百恵ちゃんは冷ややかな目線のまま語る。

「……吾輩のガルーダをそこらの爆薬と同じに考えておるとしたら、それは大きな間違いじゃぞ……」
 そして手を天に掲げ、

「――――ガルーダ」
 振り下ろす。

 と、――――ズドドドドドドムッ!!!!
 今度は瞬の左足が吹き飛んだ。

「貴様の骨格がどんなに頑丈だろうと、吾輩のガルーダは――――、」

 ――――ズドドドドドドムッ!!!!
 さらに右足が爆発する。

 ガシャンッ。
 両足を破壊された瞬は壊れた人形のように崩れ落ちる。

「その組織の内部――――細胞の隙間隙間に入り込んで種を植え付ける事が出来る」

 ――――ズドドドドドドムッ!!!!
 そして左腕。

「……内側から無数の爆破を食らっては、自慢の装甲もたまらんようじゃなぁ!!」

 ――――ズドドドドドドドドドドドドドドドムッ!!!!
 そして腰骨と肋骨が爆発。

 残ったのは頭部とそこから伸びる背骨だけになった。

「…………ふん、また元の姿に戻ったのう? ……じゃが、もう油断も容赦もせん……」

 そう言って冷ややかな目の奥に炎を灯す百恵ちゃん。
 一番硬い頭蓋骨に覆われた瞬の頭部だが、彼女のガルーダにはまるで意味がない。

「――グルゥギギギィ!!!!」

 ――――シュッ!!!!

 能力で浮き上がり、逃げようとするが、しかしガルーダはテレポート属性。速さで逃げられるものでもない。
 中にある脳、眼球、肉組織――――全ての隙間にガルーダは爆弾の種を植え付ける。

「貴様への借りはこれで返すぞ、消えてなくなれぃっ!!!!」
 両手を掲げ――――、

「怒れっ!! ガルーダァァァァァァァァァッ!!!!」
 叫び、振り下ろす!!

 ――――ボッ!!!!
 一瞬だけ、瞬の頭が膨れ上がったかと思うと、

 ――――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドムッ!!!!

 小さな、しかし無数の炸裂が残った全身を襲った。
 その爆発は繋がり、大きな爆発へと変わる。

 ゴバァァァァァァァァァァァァンッ!!!!

 炎の無いその爆発は、彼の肉体が粉々に砕け散り霧散する様子を鮮明に伝えてくれる。
 そうして瞬は文字通り、塵となって空に消えて行った。



 ――――どしゃっ!!
 百恵ちゃんが力尽きて倒れた。

「百恵さん!!」
 そこへ菜々ちんが走っていき、彼女を抱きかかえる。

「…………ぐ、すまんのぉ……いまので一気に精神力を使い切ってしまった」

 さっきの技――――無数の極小爆発を作り出すのはやはり相当な負担なのだろう。
 全回復で復活したはずの百恵ちゃんが、もうすでに満身創痍である。
 連発は出来ない、彼女の奥の手だったのだろう。

「いいえ、百恵さんのおかげでみんな助かりました、ありがとう御座います!!」
 涙を浮かべて菜々ちんがお礼を言う。

「……ふん、なにを言うか、吾輩は戦闘班の隊長じゃぞ? むしろおヌシらに怪我をさせてしまった落ち度を謝りたいくらいじゃ」
 そして彼女は私に顔を向けて、

「ヒロインもすまなかった……助けられたな。この借りはいつか必ず返そうぞ……」

 彼女には珍しく素直な表情でテレたように私にそう言ってくれたが、残念な事にその顔を私はあまり覚えていなかった。
 その時にはすでに私は安堵で気を失っていたからだ。

 結局、この戦闘で無事だったのは菜々ちんと426番さんだけだった。
 それだけ瞬は――――いや、彼に掛けられた謎の能力が強力だったという事である。
 瞬を倒してしまい、能力も消えて謎だけが残ったが、きっとこの黒幕とは因縁が繋がっているだろう。

 根拠はないが直感でそう感じた。




「――――て、起きろ~~~~~~~~いっ!!!!」
 落ちた私を強制的に引き戻す百恵ちゃん。

「な……あが、あが、だめ……もう寝かせて……」
 虚ろな目と、ヨダレを垂らした口で弱々しい抗議をするが、

「まだじゃ!! まだ治してほしい人間がいるんじゃーーーーっ!!!!」
 そうして彼女は姉と323番さんを指差す。

 ――――あ、ホントだ。

 先生もマズいが、323番さんがヤバい。
 首を半分くらい切断されて、すでに流れる血も尽き意識も無くなっている。
 しかし今のうちならラミアの回復できっと助けることが出来る。
 問題は、私の精気の補充だが――――、
 ジト……と菜々ちんを見つめる私と百恵ちゃん。

「……う……」

 一瞬もの凄く嫌そうな顔をした彼女だが、仲間の人命が掛かっているのだ、拒否はしなかった。

「……では、頂きます。ぐふふふふふ……」
「あ、あの宝塚さん、せめてそのいやらしい表情はやめて貰えますぅぅぅぅ~~~~~~~~ーーーーーーーーっ!!!!??」

 掴んだ腕から精気を強制吸引する。

「おほほほほほほほ♡ やっぱりむさ苦しいオジさんより、べっぴんさんの養分は美味ですなぁ~~~~~~~~♡」

「へ……変なこと言わないでくだ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーぐふっ!!」

 そうして無傷で残ったのは426番さんだけとなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

処理中です...