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第169話 暴走・天道渦女③
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ドドッ――――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドンッ!!!!
大爆発が巻き起こる。
半径十数メートルくらいの全ては吹き飛ばされ、道路がめくれ上がった。
ば……ばかやろうっ!!!!
爆風に吹き飛ばされながら私は思考のなかで叫んだ。
こっちはいま渦女の能力のせいで回復が使えないんだぞ!!
こんな爆発に巻き込まれて、これで死んだらどうしてくれる!??
空中に巻き上げられながら頭の中で悲鳴を上げるが、しかしどうも様子がおかしかった。
――――あ、あれ? これは??
私の周囲だけ衝撃が届いていなかったのだ。
私は一つの透明な風船のような物の中で守られていた。
「吾輩のエアバックじゃ。気を利かせておヌシにもかけておいてやったぞ、感謝するがいい」
あ……ありがと~~~~~~~~っ!!
私と同じく空中に巻き上げられている百恵ちゃんに感謝する。
そして彼女は私の袖を掴むと落下体勢に入る。
高さにしてマンションの五階くらいの高さだが――――、
ぎゃああぁぁぁぁぁぁっぁっ!!!! ど、どうやって着地するのこれっ!??
一気に迫ってくる地面。ただでさえヤバい高さなのに、おデブ状態の私を抱えて小学生の百恵ちゃんが無事に着地出来るとは到底思えない!!
「案ずるな、吾輩のファントムは伊達で鳥の姿をしているのではないわ」
おびえて揺れ揺れの私の眼を見て、百恵ちゃんが答えてくれる。
「軽くでいいぞ、ガルーダ」
そして彼女は能力を地面に向かって放った。
――――ドムッ!!
落下する私たちと地面の間に小爆発が起こる。
その爆風と落下の力は、お互いを打ち消し合い――――、
――――どちゃっ!!
と、まあまあ緩めに私を地面に軟着陸させてくれた。
「ふん、無事かヒロイン?」
自分だけしっかり両足で着地した百恵ちゃんは、私の状態をチラリと確認する。
ぶ……無事じゃねぇよ、ちょっと痛かったよ!! いや、感覚無いからわかんなかったんだけども、これ下手すればどっか骨折ぐらいしているよ!!
どうせならお姫様抱っことかして着地してほしかったよ!!
そうでなくてもまだお腹に渦女の血の槍が刺さったままなのだ。これ以上痛めつけられたらマジで私の体は死んじゃうよ??
しかし、恐るべしガルーダ。まさか爆発の反動を移動に利用することも出来るのか。なればさっきの攻撃を躱したのもこうやって宙に逃れたのだろう。
「まだ渦女の能力は解けておらんか……しぶといのぉ」
そんな私の状態を確認して、百恵ちゃんは土煙に覆われている正面を睨みつけた。
やがて、煙が晴れてくる。
徐々に浮かび上がってくる二人のシルエット。
「……百恵……百恵……やってくれたのぉ…………」
ずる……ずる……と片足を引きずって渦女が姿を現した。
彼女の体は爆発でかなりのダメージを受けており、片足は折れて歪に曲がり、上半身は左腕が根っこごと吹き飛ばされていた。
正也さんのダメージはもっと酷く、頭が半分無くなり、腹部が背骨ごと吹き飛ばされ上半身が皮一枚でかろうじて下半身と繋がり引きずられている状態。普通の人間ならば即死の傷だが、ベヒモスに覚醒してしまっている彼はそれでもまだ立って動いていた。
それは渦女も同様で、片腕が無くてもまだ目は死んではいない。
「一応、忠告はしておくぞ? もう勝負はついておる。これ以上は無駄な足掻きじゃぞ?」
背中に霊長を背負いながら、百恵ちゃんは二人に向かって手をかざした。
そうだ、いくら渦女がまだ戦えようが一撃でここまでやられたのだ。これ以上どう足掻いても渦女たちに勝ち目は無い。
私はあらためて百恵ちゃんの戦闘力を思い知らされた。
しかし渦女はまだ血の槍を出現させる。
「……あ、あほ抜かせ……ウチは、まだ……暴れ足りて無いっちゅうねん!!」
そして放つ!!
――――私たちじゃなく、反対車線を走っている大型トラックに向けて。
ドッ!! ドキャキャキャキャキャッ!!!! ガシャアンッ!!!!
血の槍に貫かれた運転手は電解質操作でハンドルを操られ、分離帯を超えて私たちの方へと突っ込んでくる。
「つまらんマネだな。弾け、ガルーダ」
百恵ちゃんは動じること無くそのトラックに向けて能力を放つ。
――――ドヌッ!!!!
地面から突き上げるように爆発が起こる。
その爆風に大型トラックは軽々と持ち上げられ、積んだ荷物を撒き散らしながら私たちの上空を通り過ぎた。
そして――――ガァァァァァァンッ!! ドゴォォォォォンッ!!!!
と轟音を立てて道路の向こう側へと落ちていき、爆発する。
だが、そんな結果などわかっていたように渦女は落ち着いている。
そして、
「……………………へっ、無慈悲やのぉ、百恵よぉ……トラックのおっちゃんこりゃ死んだでぇ~~~~……?」
へらへら笑いながら百恵ちゃんを挑発した。
「それがどうした? 邪魔な一般人などいちいち気にしてられるか?」
全く意に介さず返事をする百恵ちゃん。
「……そやな、その通りや……だったらなんでお前……所長に逆らうんや? いまお前がやったことは、所長がやってることと大差あらへんで?」
「知るか」
「あん?」
「吾輩はもともと自分が正義などとは思っておらん。吾輩はただ自分を受け入れてくれた組織を、受け入れてくれた能力者たちを護りたいだけじゃ。その為に必要な殺しはいくらでもするぞ? 生きるために戦うのは当然の事じゃろう?」
「だったら……ウチらも」
「お前らのはただの復讐じゃろう? 無闇に敵を増やすだけの無意味な行為じゃ。護るとは真逆じゃよ」
「は、はははははは……ガキが……達者な口をききよるのぉ。……わかった、もう諦めたるわ」
――――どしゃ。
そう言うと渦女は力を抜いて、その場に崩れるように倒れた。
大爆発が巻き起こる。
半径十数メートルくらいの全ては吹き飛ばされ、道路がめくれ上がった。
ば……ばかやろうっ!!!!
爆風に吹き飛ばされながら私は思考のなかで叫んだ。
こっちはいま渦女の能力のせいで回復が使えないんだぞ!!
こんな爆発に巻き込まれて、これで死んだらどうしてくれる!??
空中に巻き上げられながら頭の中で悲鳴を上げるが、しかしどうも様子がおかしかった。
――――あ、あれ? これは??
私の周囲だけ衝撃が届いていなかったのだ。
私は一つの透明な風船のような物の中で守られていた。
「吾輩のエアバックじゃ。気を利かせておヌシにもかけておいてやったぞ、感謝するがいい」
あ……ありがと~~~~~~~~っ!!
私と同じく空中に巻き上げられている百恵ちゃんに感謝する。
そして彼女は私の袖を掴むと落下体勢に入る。
高さにしてマンションの五階くらいの高さだが――――、
ぎゃああぁぁぁぁぁぁっぁっ!!!! ど、どうやって着地するのこれっ!??
一気に迫ってくる地面。ただでさえヤバい高さなのに、おデブ状態の私を抱えて小学生の百恵ちゃんが無事に着地出来るとは到底思えない!!
「案ずるな、吾輩のファントムは伊達で鳥の姿をしているのではないわ」
おびえて揺れ揺れの私の眼を見て、百恵ちゃんが答えてくれる。
「軽くでいいぞ、ガルーダ」
そして彼女は能力を地面に向かって放った。
――――ドムッ!!
落下する私たちと地面の間に小爆発が起こる。
その爆風と落下の力は、お互いを打ち消し合い――――、
――――どちゃっ!!
と、まあまあ緩めに私を地面に軟着陸させてくれた。
「ふん、無事かヒロイン?」
自分だけしっかり両足で着地した百恵ちゃんは、私の状態をチラリと確認する。
ぶ……無事じゃねぇよ、ちょっと痛かったよ!! いや、感覚無いからわかんなかったんだけども、これ下手すればどっか骨折ぐらいしているよ!!
どうせならお姫様抱っことかして着地してほしかったよ!!
そうでなくてもまだお腹に渦女の血の槍が刺さったままなのだ。これ以上痛めつけられたらマジで私の体は死んじゃうよ??
しかし、恐るべしガルーダ。まさか爆発の反動を移動に利用することも出来るのか。なればさっきの攻撃を躱したのもこうやって宙に逃れたのだろう。
「まだ渦女の能力は解けておらんか……しぶといのぉ」
そんな私の状態を確認して、百恵ちゃんは土煙に覆われている正面を睨みつけた。
やがて、煙が晴れてくる。
徐々に浮かび上がってくる二人のシルエット。
「……百恵……百恵……やってくれたのぉ…………」
ずる……ずる……と片足を引きずって渦女が姿を現した。
彼女の体は爆発でかなりのダメージを受けており、片足は折れて歪に曲がり、上半身は左腕が根っこごと吹き飛ばされていた。
正也さんのダメージはもっと酷く、頭が半分無くなり、腹部が背骨ごと吹き飛ばされ上半身が皮一枚でかろうじて下半身と繋がり引きずられている状態。普通の人間ならば即死の傷だが、ベヒモスに覚醒してしまっている彼はそれでもまだ立って動いていた。
それは渦女も同様で、片腕が無くてもまだ目は死んではいない。
「一応、忠告はしておくぞ? もう勝負はついておる。これ以上は無駄な足掻きじゃぞ?」
背中に霊長を背負いながら、百恵ちゃんは二人に向かって手をかざした。
そうだ、いくら渦女がまだ戦えようが一撃でここまでやられたのだ。これ以上どう足掻いても渦女たちに勝ち目は無い。
私はあらためて百恵ちゃんの戦闘力を思い知らされた。
しかし渦女はまだ血の槍を出現させる。
「……あ、あほ抜かせ……ウチは、まだ……暴れ足りて無いっちゅうねん!!」
そして放つ!!
――――私たちじゃなく、反対車線を走っている大型トラックに向けて。
ドッ!! ドキャキャキャキャキャッ!!!! ガシャアンッ!!!!
血の槍に貫かれた運転手は電解質操作でハンドルを操られ、分離帯を超えて私たちの方へと突っ込んでくる。
「つまらんマネだな。弾け、ガルーダ」
百恵ちゃんは動じること無くそのトラックに向けて能力を放つ。
――――ドヌッ!!!!
地面から突き上げるように爆発が起こる。
その爆風に大型トラックは軽々と持ち上げられ、積んだ荷物を撒き散らしながら私たちの上空を通り過ぎた。
そして――――ガァァァァァァンッ!! ドゴォォォォォンッ!!!!
と轟音を立てて道路の向こう側へと落ちていき、爆発する。
だが、そんな結果などわかっていたように渦女は落ち着いている。
そして、
「……………………へっ、無慈悲やのぉ、百恵よぉ……トラックのおっちゃんこりゃ死んだでぇ~~~~……?」
へらへら笑いながら百恵ちゃんを挑発した。
「それがどうした? 邪魔な一般人などいちいち気にしてられるか?」
全く意に介さず返事をする百恵ちゃん。
「……そやな、その通りや……だったらなんでお前……所長に逆らうんや? いまお前がやったことは、所長がやってることと大差あらへんで?」
「知るか」
「あん?」
「吾輩はもともと自分が正義などとは思っておらん。吾輩はただ自分を受け入れてくれた組織を、受け入れてくれた能力者たちを護りたいだけじゃ。その為に必要な殺しはいくらでもするぞ? 生きるために戦うのは当然の事じゃろう?」
「だったら……ウチらも」
「お前らのはただの復讐じゃろう? 無闇に敵を増やすだけの無意味な行為じゃ。護るとは真逆じゃよ」
「は、はははははは……ガキが……達者な口をききよるのぉ。……わかった、もう諦めたるわ」
――――どしゃ。
そう言うと渦女は力を抜いて、その場に崩れるように倒れた。
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