超能力者の私生活

盛り塩

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第206話 剥き出しの再会②

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「百恵ちゃん……」

 私は向かいのベッドで、姉と同じように横たわっている彼女の顔を覗き込んだ。
 百恵ちゃんの傷はさらに酷い。
 右腕が二の腕の途中から切断されて、さらに先生と同じく、胸にも一発撃たれた跡があった。

「……それぞれの傷はあたしの能力で塞いだがね。でもこんな小さな体にとって、この怪我は負担が大きすぎるんだろうね。一旦は蘇生したが……回復にもっていけるほどの体力は無いようだ……このままじゃ数時間も持たないだろうってよ。お前さんの能力でどうにか出来るかい?」

 力及ばず無念……と言いたげな料理長だが、なにを仰る。ここまでしてくれれば充分だ。あとは私とラミアでどうとでも出来る。

「大丈夫です。魂さえそこにあれば、たとえ首を切断されてもラミアなら回復させられます。……百恵ちゃんの命を繋ぎ止めていてくれて有難うございました!!」

 私は深々と頭を下げて礼を言った。

「頭を下げたいのはこっちの方だ。……つらい戦いの後で疲れ切っているだろうが、後はお前にまかせるよ。すまない。」

「はい、じゃあいくよラミアっ!!」
『きゅうっ!!』

 そして私は生気無く横たわる百恵ちゃんに向かって回復能力を使った。

 ――――ぱあぁぁぁぁっ……。

 百恵ちゃんの体が金色の光に包まれる。
 切断された腕の包帯が解け、その怪我の断面に光が集まると、無くなっていたはずの腕が再生される。
 料理長によって仮接合されていた胸の傷も完璧に修復され、光が収まる頃には彼女の顔色はすっかり良くなり、血の気が戻ってきていた。

 その圧倒的な神秘の力に、料理長は冷や汗を流しながら私をみていた。

 生命維持装置の操作をしていた医師も額に汗を浮かべ、
「全ての数値が正常に戻りました。……全回復した模様です」
 と、相変わらず信じられないものを見るような目でそう報告してくれた。
 
 一週間前に死ぬ子先生を回復させた時もそうだったが、やはり私の能力は凄まじいらしい。その場にいる全員が私に注目し、熱い視線を向けてくる。

 とくに男性医師たちの視線が突き刺さるようだが……?

「あ……あのそのほのかの……!!」

 なぜか目をぐるぐる回して宇恵ちゃんが寄ってくる。

「宇恵ちゃんもありがとう。おかげで百恵ちゃんを助けられたよ」
「いや……そんなことよりそのあの」
「ん?」

 真っ赤な顔をして顔を背ける宇恵ちゃん。
 なんじゃらほいと自分の体を見下ろすと、
 ――――げっ!!
 そこには一糸まとわぬ成長期の乙女の身体があった。

 そ、そ、そ、そういえば私……真っ裸だった!!

「さっきまではまあその……ほ、豊満すぎるお体で、その……マスコット的な感じでギリギリセーフだったんですが……そのあの……いまはちょっと……いい感じに痩せて……それは流石にえっちぃかと……あややややっ!!」
「あやややややっ!! ゴメンゴメンいやその、これは違うくて――――ちょちょちょちょっとそこ、なに見てんのよっ!!」

 連続してさらけ出してしまった乙女の神秘。
 まるで学習能力の無い自分に呆れ、そして呪う。
 慌てて死ぬ子先生のベットのシーツを引っ剥がすとそれに包まった。
 男性医師たちは『特に何も?』と言った感じで視線をそらすが、あきらかに鼻の下が伸びていた。

「お、お、お、お、お前ら医者のくせになんだぁそのスケベ顔はぁっ!! こらそこチラチラみんなぁっごるぁっ!!!!」

 遅れて部屋にやってきた女将はそんな私の醜態を、苦々しい顔でただ見ていた。




「OH~~~~~~……我々は医者でありんすからしてぇ~~……婦女子の裸を見て不埒に興奮してしまうことWOW、絶対にありえまへんと進言させて申し上げソ~~リ~~?」

 女将に引きずられてれてやってきたペラペラの黒人変態兄さんが、なぜか男性医師を代表して弁明してくるが、

「乾いてカピカピになった鼻血まみれの顔面で言われても説得力が壊滅的なんですけど……?」

 着替えをダッシュで取りに言ってくれている宇恵ちゃんを待ちつつ、シーツに包まる私は死にたくなる。

「OH~~……それはぁ……まぁそのぅ~~……チラリズムの妙と申しましょうか、免疫があっても不意を突かれれば男の理性のキャップなどジャイアントスイングの如し彼方へとdie outするのでSHOW~~~~!!♡」
「意味がわからんがよくわかったから黙れ……!!」

 つまり男はけっきょくどこまで行っても男だってことだろ!!
 あ~~~~~~もうっ!!
 私アレなのに!! まだアレなのに!! その……生娘なのに!!
 なのに裸だけは見られまくってるこの偏った経験値よ!!
 これも全てこのすぐ伸び縮みする体型が原因っ!!

『きゅぅぅぅぅぅ……』
 ラミアが責任を感じてしまったようすで、悲しそうに鳴いてうつむく。

「いやいや違う違う!! ラミアを責めたわけじゃないからね!! 不注意な私が悪いから!! ラミアは何も悪くないから!!」
『きゅるんっ!!』

 なだめると彼女は機嫌を治してすり寄って来てくれた。ゼイゼイハアハア……。

「……もうどうでもいいから、ちょっとお前もう休みな」

 料理長が呆れて私の肩に手を置いた。

「だねぇ……疲れで情緒不安定になっているようだね……」

 女将も同じ顔で眉間を揉んでいる。
 いや、一大事よ? 乙女にとってはわりとパニクってもいい案件よ?

 それに休むと言ってもまだやることが一つ残っている。

「死ぬ子先生の治療がまだあります……」

 病んだ目で私がそう呟くと、

『アレはほっといても問題ない』

 女将と料理長そして瀬戸さんの意見が一致する。
 しくしくしく……と、先生の方からすすすり泣きが聞こえてきたが、そうか……そういうことならすまない先生……今日は私もうダメだ……心身ともに傷つきすぎてしまった。

 …………色んな意味で――――ぐふっ。
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