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異世界転生!?
異世界転生!? ー5ー イバン視点
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(*)side イバン・ニコラウス
イバン・ニコラウス、24歳。
実力主義の騎士の中で、若くしてヴィラスタリ騎士団の団長にまで登りつめた。
インヴェルノ(冬)からプリマヴェーラ(春)にちょうど移り変わるくらいのころ、この時期はモンスターが大群で移動を初め、村や街を襲う。
だから騎士団か駆り出されて、討伐に向かう。
俺たち、ヴィラスタリ騎士団も例年のように各地の討伐に向かっていた。
「全て廻り終わったな」
暖かくなってプリマヴェーラに完全移行した頃に、村への周回は終わる。
これも例年通りだ。
「やっと終わりましたね」
「あぁ、毎年のことだが、疲れるな」
「あんたらまだ若いんだから、これくらいでバテてんじゃないよ!」
「去年もこんな会話した気がするぞ…」
うちの団は年齢に関わらず皆仲がいい。
だからか団結力が高く、優秀だと言われている。自慢じゃないが。
パカッパカッ
王都に帰るまでに経由する街の宿へ、
馬で駆ける。
2時間ほど走り、あと半分といった地点に来た時、
いきなり自身の固有ステータスである千里眼が、発動した。
いつもは自身が意識して発動しないと開かないのに、おかしいなぁと思いつつ、
馬の上から辺りを見回すと、
今はもう誰も住んでいない廃村(町)に一人の少年の影が見えた。
あんなところに一人でいるのはおかしい。
不審に思い、進行方向から逸れ、廃村に向かった。
特に何も言わずに逸れたので、仲間たちは驚いていたが、あいつらならすぐ追いつくだろう。
村に入って見えたのは、二人の男に抑えられている先程の少年の姿だった。
少年は嫌がって暴れている。
大人が少年に対し二人がかりとは…しょうもない。
馬から降り、できる限り気配を消して男らに近づく。
こちらの存在に気づかないのを確認すると、素早く後頭部を殴る。
と、男達はあっけなく気絶してしまった。
「大丈夫か」
手を差し出してやる。
「ありがとう」
と言って、俺の手を掴んだ少年が下からこちらを見上げてくる。
初めて目が合う。
………。
綺麗な黒い瞳。少し幼く見える顔立ち…
白い肌に映える黒髪と薄紅の唇。
彼の可愛さに圧倒された。
「珍しい色だね」
「へ?」
「髪と眼」
「…お前も俺を売るのか?」
彼から予想外の返答が返ってきた。
………。
そうだ。
彼はこの男達に襲われていたんだ。
その『理由』を考えていなかった。
黒髪黒目など、今まで見たことが無いほど珍しい。
彼は目をつけられて奴隷として売買されようとしていたのか。
「ごめっ」
「怖かったな、すまん」
不安が少しでも薄まればと、彼の頭に手を置く。
「俺はイバン・ニコラウスだ、王都で騎士団の団長をやっている」
こっちの紹介を先にしてやる。騎士団の人物だと分かれば、少しは安心できるだろう。
「君は?」
「…照」
「テラ?変わった名前だね」
変わった名前だが、響きが可愛い彼にぴったりだと思う。
「あともうちょっとで他の団員も追いつくはずだから、それまで話を聞いてもいいかい?」
反応を確かめるようにテラの顔を覗き込む。
こちらを見る眼とまた目が合う。
儚く黒い瞳に吸い込まれそうになる。
「あぁ」
そう答えたテラに、もう俺に対する不審の感情はみえなかった。
「じゃあまず君はどこからきたのかな?」
容姿が容姿だ。こんな少年が王都にいるなら、間違いなく話題になっているだろう。
「えっと…」
テラは言うのを躊躇っているように見える。
何か言えない理由があるのか、はたまた思い出したくないことでもあるのかもしれない。
「…答えたくないことは無理に答えなくていいよ」
「あぁ、すまん」
やはり答えたくなかったのか。
その理由を詮索するのは…ダメだろうな
「俺は何故か目覚めたらこの町にいたんだ」
テラが口を開いた。
……目が覚めたらこの町にいた。
誘拐されて、この町に捨てられたということか?
だが、なんのためにこんな廃村に。
「どうやって来たかは覚えているかい?」
「いや、覚えていない」
覚えていない…。
眠らされてここに捨てられた?
「家族はいるの?」
「いたがこの世界には多分…いないな」
「!…そうか、ごめんね、嫌な質問だったね」
家族は亡くなっている…
『多分』という言葉が引っかかる。
亡くなっているという確証はないのか。
となると、無理やり引き裂かれて連れてこられた可能性が高いな。
「後は…、君の固有ステータスは何だい?」
「固有ステータス?」
彼は少し間を空けて、
「俺の固有ステータスは、感覚集中、らしい」
「今まで知らなかったのか?」
「あぁ、悪いが、固有ステータスとはなんだ?」
考えられない。
固有ステータスは個人が生まれつき持っている能力であり、自己の最たる特徴である。
それを彼はまるで知らなかったように言った。
………。
誘拐されたのかと思ったが、違うのかもしれない、と思う。
だが、これ以上の詮索は良くないし、彼にも触れたくない事情があるのだろう。
「…固有ステータスというのはね、個人がそれぞれ潜在的にもつ能力のことだよ」
「なるほど、イバンはどんな能力なんだ?」
「俺は、千里眼だ」
言うと、テラは『凄い』という目でこちらを見る。
可愛い。
「テラのはどんなことができるのかな」
「…俺は、体の一部の能力を大きくあげることができるみたいだ」
そんな会話をしていたら、残りの団員達が追いついてきた。
「団長!急に道を逸れるから焦りましたよ!」
「いつも勝手よね~」
「一声かけて下さればついて行きますのに」
「あぁ、すまなかったな」
「…あらぁ、その子はどうしたの?黒髪黒目なんで見たことないわ」
「こいつがこの町で襲われてるのが見えたから駆けつけたんだ」
まぁ襲われたのを見てから駆けつけたというよりは、一人でいたので不審がって来たら襲われていた、というのが本当なのだが。
「奴隷商人!?奴隷商なんてもうとっくに廃止になっているのに…まだいるのですね」
「あぁ、それに恐らくこいつは『誰か』に家族と引き離されてる上に、何らかのの影響で一部の記憶を失っている可能性が高い」
まだ何も判明はしていないので、ぼやかして伝える。
「…なるほど」
「可哀想に…」
「家族も生きているか分からない状態だし、一旦騎士団で保護、という形にしないか」
「そうですね!それがいいと思います」
「仕方がないわね」
下心など微塵もない、ただ単に同情しただけだ……多分。
ちなみにテラを襲った男たちの上司であるじじいは、呑気に馬車の中で待っているところを騎士団に捕まりましたとさ。
イバン・ニコラウス、24歳。
実力主義の騎士の中で、若くしてヴィラスタリ騎士団の団長にまで登りつめた。
インヴェルノ(冬)からプリマヴェーラ(春)にちょうど移り変わるくらいのころ、この時期はモンスターが大群で移動を初め、村や街を襲う。
だから騎士団か駆り出されて、討伐に向かう。
俺たち、ヴィラスタリ騎士団も例年のように各地の討伐に向かっていた。
「全て廻り終わったな」
暖かくなってプリマヴェーラに完全移行した頃に、村への周回は終わる。
これも例年通りだ。
「やっと終わりましたね」
「あぁ、毎年のことだが、疲れるな」
「あんたらまだ若いんだから、これくらいでバテてんじゃないよ!」
「去年もこんな会話した気がするぞ…」
うちの団は年齢に関わらず皆仲がいい。
だからか団結力が高く、優秀だと言われている。自慢じゃないが。
パカッパカッ
王都に帰るまでに経由する街の宿へ、
馬で駆ける。
2時間ほど走り、あと半分といった地点に来た時、
いきなり自身の固有ステータスである千里眼が、発動した。
いつもは自身が意識して発動しないと開かないのに、おかしいなぁと思いつつ、
馬の上から辺りを見回すと、
今はもう誰も住んでいない廃村(町)に一人の少年の影が見えた。
あんなところに一人でいるのはおかしい。
不審に思い、進行方向から逸れ、廃村に向かった。
特に何も言わずに逸れたので、仲間たちは驚いていたが、あいつらならすぐ追いつくだろう。
村に入って見えたのは、二人の男に抑えられている先程の少年の姿だった。
少年は嫌がって暴れている。
大人が少年に対し二人がかりとは…しょうもない。
馬から降り、できる限り気配を消して男らに近づく。
こちらの存在に気づかないのを確認すると、素早く後頭部を殴る。
と、男達はあっけなく気絶してしまった。
「大丈夫か」
手を差し出してやる。
「ありがとう」
と言って、俺の手を掴んだ少年が下からこちらを見上げてくる。
初めて目が合う。
………。
綺麗な黒い瞳。少し幼く見える顔立ち…
白い肌に映える黒髪と薄紅の唇。
彼の可愛さに圧倒された。
「珍しい色だね」
「へ?」
「髪と眼」
「…お前も俺を売るのか?」
彼から予想外の返答が返ってきた。
………。
そうだ。
彼はこの男達に襲われていたんだ。
その『理由』を考えていなかった。
黒髪黒目など、今まで見たことが無いほど珍しい。
彼は目をつけられて奴隷として売買されようとしていたのか。
「ごめっ」
「怖かったな、すまん」
不安が少しでも薄まればと、彼の頭に手を置く。
「俺はイバン・ニコラウスだ、王都で騎士団の団長をやっている」
こっちの紹介を先にしてやる。騎士団の人物だと分かれば、少しは安心できるだろう。
「君は?」
「…照」
「テラ?変わった名前だね」
変わった名前だが、響きが可愛い彼にぴったりだと思う。
「あともうちょっとで他の団員も追いつくはずだから、それまで話を聞いてもいいかい?」
反応を確かめるようにテラの顔を覗き込む。
こちらを見る眼とまた目が合う。
儚く黒い瞳に吸い込まれそうになる。
「あぁ」
そう答えたテラに、もう俺に対する不審の感情はみえなかった。
「じゃあまず君はどこからきたのかな?」
容姿が容姿だ。こんな少年が王都にいるなら、間違いなく話題になっているだろう。
「えっと…」
テラは言うのを躊躇っているように見える。
何か言えない理由があるのか、はたまた思い出したくないことでもあるのかもしれない。
「…答えたくないことは無理に答えなくていいよ」
「あぁ、すまん」
やはり答えたくなかったのか。
その理由を詮索するのは…ダメだろうな
「俺は何故か目覚めたらこの町にいたんだ」
テラが口を開いた。
……目が覚めたらこの町にいた。
誘拐されて、この町に捨てられたということか?
だが、なんのためにこんな廃村に。
「どうやって来たかは覚えているかい?」
「いや、覚えていない」
覚えていない…。
眠らされてここに捨てられた?
「家族はいるの?」
「いたがこの世界には多分…いないな」
「!…そうか、ごめんね、嫌な質問だったね」
家族は亡くなっている…
『多分』という言葉が引っかかる。
亡くなっているという確証はないのか。
となると、無理やり引き裂かれて連れてこられた可能性が高いな。
「後は…、君の固有ステータスは何だい?」
「固有ステータス?」
彼は少し間を空けて、
「俺の固有ステータスは、感覚集中、らしい」
「今まで知らなかったのか?」
「あぁ、悪いが、固有ステータスとはなんだ?」
考えられない。
固有ステータスは個人が生まれつき持っている能力であり、自己の最たる特徴である。
それを彼はまるで知らなかったように言った。
………。
誘拐されたのかと思ったが、違うのかもしれない、と思う。
だが、これ以上の詮索は良くないし、彼にも触れたくない事情があるのだろう。
「…固有ステータスというのはね、個人がそれぞれ潜在的にもつ能力のことだよ」
「なるほど、イバンはどんな能力なんだ?」
「俺は、千里眼だ」
言うと、テラは『凄い』という目でこちらを見る。
可愛い。
「テラのはどんなことができるのかな」
「…俺は、体の一部の能力を大きくあげることができるみたいだ」
そんな会話をしていたら、残りの団員達が追いついてきた。
「団長!急に道を逸れるから焦りましたよ!」
「いつも勝手よね~」
「一声かけて下さればついて行きますのに」
「あぁ、すまなかったな」
「…あらぁ、その子はどうしたの?黒髪黒目なんで見たことないわ」
「こいつがこの町で襲われてるのが見えたから駆けつけたんだ」
まぁ襲われたのを見てから駆けつけたというよりは、一人でいたので不審がって来たら襲われていた、というのが本当なのだが。
「奴隷商人!?奴隷商なんてもうとっくに廃止になっているのに…まだいるのですね」
「あぁ、それに恐らくこいつは『誰か』に家族と引き離されてる上に、何らかのの影響で一部の記憶を失っている可能性が高い」
まだ何も判明はしていないので、ぼやかして伝える。
「…なるほど」
「可哀想に…」
「家族も生きているか分からない状態だし、一旦騎士団で保護、という形にしないか」
「そうですね!それがいいと思います」
「仕方がないわね」
下心など微塵もない、ただ単に同情しただけだ……多分。
ちなみにテラを襲った男たちの上司であるじじいは、呑気に馬車の中で待っているところを騎士団に捕まりましたとさ。
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