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1章 感情能力試験編
登校日の朝
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ーースマートグラスの目覚まし機能が信の狭い部屋に鳴り響いていた。スヌーズ機能が10回目になった8時15分、ようやく信は目を覚ました。
「うわぁーー、またやっちまったなぁ」
信は寝ぼけながらスマートグラスをかける。朝のホームルームは8時半からだ。信の家からは急いでも15~20分はかかる。
「とりあえず、朝飯でも食うか」
遅れてしまうことはすでに確定してるのでむしろ堂々と朝を過ごすことにする。シリアルをカップに入れ、牛乳を注ぐ。テレビをつけ、いつも見ている占いを見る。
ーーしかし、ほぼ全てのチャンネルで同じニュースが入っていた。
「……臨時ニュースです。今朝、男性と思われる死体が発見され……地域住民は……」
「っ!!」
テレビを消さずに信は外へ走り出す。
臨時ニュースで報道されていた店は非常に見覚えのある……普段から利用しているコンビニのことだったからだ。
――信はその場所に着くと同時に膝を折った。
昨日も行った……西国が働いていたコンビニは焼け野原になっていた。
消化活動が終わった後らしく、あたりはベチョベチョに濡れ、所々水溜りができていた。
「はぁ、はぁ……くそっ、どうなってるんだよ!!」
信の拳に力が入る。現実が受け止められないでいた信にうっすら聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ふーん、貴方も来ていたのね」
思念で話しかけてきたのは昨日のフードを被った女子だった。
「お前か……お前がやった、のか?」
信は振り向きながら話しかけた。頭に血が昇り、顔が少し赤くなる。
「あっ……」
その少女の姿を見てすぐに冷静になる。
フード女子は花を抱いていたからだ。「そんなわけないじゃない。そもそも私はあの人に太刀打ちできないだろうし……。それに私はただ昨日の恩を返しにきただけよ」
思念で脳にそう伝えてきたフード女子は燃えた店の前に花とミネラルウォーターを置き、手を添える。
「昨日は美味しいスイーツとお菓子をサービスしてくれて、ありがとうございました。」
つぶやくような声が思念で聞こえてきた。
どうやら西国さんはおまけで期間限定のお菓子とスィーツを袋に入れていたらしい。
隠して入れた西国の姿が目に浮かび、信は目頭が熱くなる。
「実はね、昨日は私の誕生日だったのよ。おそらく偶然だと思うけど……それでもね、久々に誰かに祝ってもらえて少し嬉しかったわ」
その聞こえてきた思念はどこか悲しそうに聞こえた。
ーー感情能力を持った青少年達は今だから秘密裏に保護され、教育機関が設けられている。だが、一昔前はその能力のせいでバケモノ扱いされることは少なくなかった。
おそらく、この子も幼少期に想像する事ができないような悲惨な過去があるのだろう、と信は思った。
ーーふと信は冷静になり、コンビニがあった場所を見渡した。
店は真っ黒に燃えており、その残骸を取り囲むように警察官が4名ほど立っていた。それを見て信はあることに気がつく。
「これは……おかしいな」
「え?」
放火や機械トラブルによる発火である場合、西国の感情能力で直ぐに消化できるはずだ。コンビニは鉄の部分でさえ、溶けたようになっている。
つまり、これは感情能力者の襲撃を受けたと、考える方が妥当である。
また、西国のような強者を殺せるほどの感情能力者ということになる。
しかし、そこにいた警察官はどう見ても普通の警察官だった。感情能力者による抗争や事件は、そのほとんどが国守家の管轄となっている。
加えて、能力者による事件は臨時ニュースのように報道されることはまずない。この事件については鉄にでも聞いてみるか……あまり知ってそうには思えないが。
「ねぇ、ねぇってば!」
急に脳内に大音量の思念が聞こえてきた。
「さっきから話しかけてんのに、何無視してんのよ!」
どうやらこの女子の思念は何かに集中していたり、考え事をしていたりする時は聞こえにくいようだ。
「貴方、今9時過ぎてるけど……学校行かなくていいわけ?」
「あっ……」
信はスマートグラスを確認する。時刻は9時10分を過ぎ、とっくに試験が始まってしまっていたことに気がついた。
信は手を添えた後、学校まで走ることになるのだった。
「うわぁーー、またやっちまったなぁ」
信は寝ぼけながらスマートグラスをかける。朝のホームルームは8時半からだ。信の家からは急いでも15~20分はかかる。
「とりあえず、朝飯でも食うか」
遅れてしまうことはすでに確定してるのでむしろ堂々と朝を過ごすことにする。シリアルをカップに入れ、牛乳を注ぐ。テレビをつけ、いつも見ている占いを見る。
ーーしかし、ほぼ全てのチャンネルで同じニュースが入っていた。
「……臨時ニュースです。今朝、男性と思われる死体が発見され……地域住民は……」
「っ!!」
テレビを消さずに信は外へ走り出す。
臨時ニュースで報道されていた店は非常に見覚えのある……普段から利用しているコンビニのことだったからだ。
――信はその場所に着くと同時に膝を折った。
昨日も行った……西国が働いていたコンビニは焼け野原になっていた。
消化活動が終わった後らしく、あたりはベチョベチョに濡れ、所々水溜りができていた。
「はぁ、はぁ……くそっ、どうなってるんだよ!!」
信の拳に力が入る。現実が受け止められないでいた信にうっすら聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ふーん、貴方も来ていたのね」
思念で話しかけてきたのは昨日のフードを被った女子だった。
「お前か……お前がやった、のか?」
信は振り向きながら話しかけた。頭に血が昇り、顔が少し赤くなる。
「あっ……」
その少女の姿を見てすぐに冷静になる。
フード女子は花を抱いていたからだ。「そんなわけないじゃない。そもそも私はあの人に太刀打ちできないだろうし……。それに私はただ昨日の恩を返しにきただけよ」
思念で脳にそう伝えてきたフード女子は燃えた店の前に花とミネラルウォーターを置き、手を添える。
「昨日は美味しいスイーツとお菓子をサービスしてくれて、ありがとうございました。」
つぶやくような声が思念で聞こえてきた。
どうやら西国さんはおまけで期間限定のお菓子とスィーツを袋に入れていたらしい。
隠して入れた西国の姿が目に浮かび、信は目頭が熱くなる。
「実はね、昨日は私の誕生日だったのよ。おそらく偶然だと思うけど……それでもね、久々に誰かに祝ってもらえて少し嬉しかったわ」
その聞こえてきた思念はどこか悲しそうに聞こえた。
ーー感情能力を持った青少年達は今だから秘密裏に保護され、教育機関が設けられている。だが、一昔前はその能力のせいでバケモノ扱いされることは少なくなかった。
おそらく、この子も幼少期に想像する事ができないような悲惨な過去があるのだろう、と信は思った。
ーーふと信は冷静になり、コンビニがあった場所を見渡した。
店は真っ黒に燃えており、その残骸を取り囲むように警察官が4名ほど立っていた。それを見て信はあることに気がつく。
「これは……おかしいな」
「え?」
放火や機械トラブルによる発火である場合、西国の感情能力で直ぐに消化できるはずだ。コンビニは鉄の部分でさえ、溶けたようになっている。
つまり、これは感情能力者の襲撃を受けたと、考える方が妥当である。
また、西国のような強者を殺せるほどの感情能力者ということになる。
しかし、そこにいた警察官はどう見ても普通の警察官だった。感情能力者による抗争や事件は、そのほとんどが国守家の管轄となっている。
加えて、能力者による事件は臨時ニュースのように報道されることはまずない。この事件については鉄にでも聞いてみるか……あまり知ってそうには思えないが。
「ねぇ、ねぇってば!」
急に脳内に大音量の思念が聞こえてきた。
「さっきから話しかけてんのに、何無視してんのよ!」
どうやらこの女子の思念は何かに集中していたり、考え事をしていたりする時は聞こえにくいようだ。
「貴方、今9時過ぎてるけど……学校行かなくていいわけ?」
「あっ……」
信はスマートグラスを確認する。時刻は9時10分を過ぎ、とっくに試験が始まってしまっていたことに気がついた。
信は手を添えた後、学校まで走ることになるのだった。
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