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1章 感情能力試験編
統國冷華との試験対決
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「はぁーーーぁ…なんで、こうなってる?」
深いため息をつき、信はそう呟きながら周囲を見渡していた。
現在、信と冷華はグラウンドに即席で設けられたフィールドの上に立ち、向かい合っていた。そのフィールドの外側には全生徒が集まっている。
「生徒会長!嫉妬野郎なんてやっちまってください!」
「きゃー!生徒会長頑張ってー!」
「生徒会長!そんなやつ放っておいて俺と模擬戦してください!」
「ッチ、なんであの野郎がっ!」
観衆による様々なヤジが飛び交っている。冷華はこの感統高校の生徒会長であり、ファンも多い。99.9%は冷華の応援をしている。
「えー、それではこれから生徒会長である統國冷華様と2年S組刻国信さんでしたっけ?模擬戦を始めまーす。」
生徒会書記局の少女がアナウンスした。
「「「「オォーッッ!!」」」」
観戦に来ていた生徒たちが唸るように声を上げた。
「くそ……導教先生!なんで生徒会長と模擬戦なんてさせたんですか!?」
フィールド外で見守っていた鉄が導教に激怒する。
「鉄ちゃん!先生の胸ぐら掴んだらダメだよ!」
花は慌てて頭に血が上った鉄の腕を払う。しかし花も鉄と同じく信を心配しており、2人は導教が何故このような場で戦わせたのかを知りたいと思っていた。
「あいつは……信はずっと己の力のせいで周囲の人間から忌み嫌われてきている。だが先生は思うんだ……信はそんなに弱い人間なのかってな」
導教は2人にゆっくりと話しかけ始める。
「信はもう2年生になり、林間学校も始まる時期が近づいているだろ?担任としてら、信はそろそろ一歩を踏み出すべきだと考えている。このままじゃ信は……一生変わることができないんじゃないか?」
導教は真剣な眼差しで信を見つめて言った。
「そ、それは……」
鉄は口からこぼした。鉄は信の感情能力を知っている……いや、実際に信の能力を浴びたことがある。おそらくだが信は生徒会長に勝てないかもしれないが、負けはしないだろうと鉄は思った。
しかし、それは今考える問題ではない。
「もしもの時は私が模擬戦に介入しますが……よろしいですね?」
花はフィールドに立つ信を見ながらそう導教に確認を取ろうとする。
「安心しろ、統國は生徒会長だ」
導教は2人に笑って伝えた。
はぁ?全く安心できないんだが……と鉄は思い、顔をしかめた。
――カーン!
甲高いゴングの音がグラウンドに鳴り響いた。体術試験の火蓋が切って落とされたのだ。
「フッ!」
冷華が力を込めて右足を一歩だけ踏み出す。その右足の直線上が一瞬で氷漬けになる。
信はその直線上で棒立ちだったため、避けることはできなかった。信は自分の足下を見る。
「何!?一瞬で足凍らせられたら何もできないじゃん!」
信は焦りながら言った。
その姿を見た生徒たちは一斉に吹き出していた。冷華はその信の言動を見て顔には出さないが少しだけ腹を立てていた。なぜなら、冷華の攻撃は信に当たっていないにもかかわらず、命中したような言動をしたからだ。
冷華の氷が信の足元を凍らせようとした瞬間、信の足先には黒と紫を混ぜたような感情オーラが走り、凍結を防いでいる。そのことに冷華は気がついている。
当たっていないにも関わらず、信は焦ったような素振りを見せており、こちらの攻撃をもろともしていない立ち振る舞いに冷華は徐々に苛立ってきてしまう。
また、自分の攻撃を感情オーラのみで防いでいる事実に焦りも出てきていた。
信は足先という一部の箇所にのみ感情オーラを集め、自分の攻撃をギリギリで防いで見せているからだ。
その時点で冷華よりも感情能力のコントロール力が高いことを意味していた。
「ほらな?信なら大丈夫だって言ったろ?」
導教はなぜか自慢げに花と鉄に言う。導教の本心としては、信がこの模擬戦においてどのような攻防を見せてくれるのかが気になって仕方がなかった。
鉄と花は心配そうな顔で信を見つめる。
「……これは少し本気を出さなければならないようですね」
冷華は信に聞こえるくらいの声で言い、足先から放った氷を解いた。
深いため息をつき、信はそう呟きながら周囲を見渡していた。
現在、信と冷華はグラウンドに即席で設けられたフィールドの上に立ち、向かい合っていた。そのフィールドの外側には全生徒が集まっている。
「生徒会長!嫉妬野郎なんてやっちまってください!」
「きゃー!生徒会長頑張ってー!」
「生徒会長!そんなやつ放っておいて俺と模擬戦してください!」
「ッチ、なんであの野郎がっ!」
観衆による様々なヤジが飛び交っている。冷華はこの感統高校の生徒会長であり、ファンも多い。99.9%は冷華の応援をしている。
「えー、それではこれから生徒会長である統國冷華様と2年S組刻国信さんでしたっけ?模擬戦を始めまーす。」
生徒会書記局の少女がアナウンスした。
「「「「オォーッッ!!」」」」
観戦に来ていた生徒たちが唸るように声を上げた。
「くそ……導教先生!なんで生徒会長と模擬戦なんてさせたんですか!?」
フィールド外で見守っていた鉄が導教に激怒する。
「鉄ちゃん!先生の胸ぐら掴んだらダメだよ!」
花は慌てて頭に血が上った鉄の腕を払う。しかし花も鉄と同じく信を心配しており、2人は導教が何故このような場で戦わせたのかを知りたいと思っていた。
「あいつは……信はずっと己の力のせいで周囲の人間から忌み嫌われてきている。だが先生は思うんだ……信はそんなに弱い人間なのかってな」
導教は2人にゆっくりと話しかけ始める。
「信はもう2年生になり、林間学校も始まる時期が近づいているだろ?担任としてら、信はそろそろ一歩を踏み出すべきだと考えている。このままじゃ信は……一生変わることができないんじゃないか?」
導教は真剣な眼差しで信を見つめて言った。
「そ、それは……」
鉄は口からこぼした。鉄は信の感情能力を知っている……いや、実際に信の能力を浴びたことがある。おそらくだが信は生徒会長に勝てないかもしれないが、負けはしないだろうと鉄は思った。
しかし、それは今考える問題ではない。
「もしもの時は私が模擬戦に介入しますが……よろしいですね?」
花はフィールドに立つ信を見ながらそう導教に確認を取ろうとする。
「安心しろ、統國は生徒会長だ」
導教は2人に笑って伝えた。
はぁ?全く安心できないんだが……と鉄は思い、顔をしかめた。
――カーン!
甲高いゴングの音がグラウンドに鳴り響いた。体術試験の火蓋が切って落とされたのだ。
「フッ!」
冷華が力を込めて右足を一歩だけ踏み出す。その右足の直線上が一瞬で氷漬けになる。
信はその直線上で棒立ちだったため、避けることはできなかった。信は自分の足下を見る。
「何!?一瞬で足凍らせられたら何もできないじゃん!」
信は焦りながら言った。
その姿を見た生徒たちは一斉に吹き出していた。冷華はその信の言動を見て顔には出さないが少しだけ腹を立てていた。なぜなら、冷華の攻撃は信に当たっていないにもかかわらず、命中したような言動をしたからだ。
冷華の氷が信の足元を凍らせようとした瞬間、信の足先には黒と紫を混ぜたような感情オーラが走り、凍結を防いでいる。そのことに冷華は気がついている。
当たっていないにも関わらず、信は焦ったような素振りを見せており、こちらの攻撃をもろともしていない立ち振る舞いに冷華は徐々に苛立ってきてしまう。
また、自分の攻撃を感情オーラのみで防いでいる事実に焦りも出てきていた。
信は足先という一部の箇所にのみ感情オーラを集め、自分の攻撃をギリギリで防いで見せているからだ。
その時点で冷華よりも感情能力のコントロール力が高いことを意味していた。
「ほらな?信なら大丈夫だって言ったろ?」
導教はなぜか自慢げに花と鉄に言う。導教の本心としては、信がこの模擬戦においてどのような攻防を見せてくれるのかが気になって仕方がなかった。
鉄と花は心配そうな顔で信を見つめる。
「……これは少し本気を出さなければならないようですね」
冷華は信に聞こえるくらいの声で言い、足先から放った氷を解いた。
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