【完結】わたしの大事な従姉妹を泣かしたのですから、覚悟してくださいませ

彩華(あやはな)

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9.ミシェル視点

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 この日は授業に出ることもなくシュリナ様の助言に従って帰った。

 やはり、『テンフェアール』の匂いはきついらしく屋敷に帰るなり、口元に布を巻いたメイドたちに浴室に連れ込まれ五度も上から下まで念入りに洗い込まれてしまった。

 その間わたしは考えていた。

 雑魚である貴公子たちはともかく、カルロとファルスのことを。

 『テンフェアール』と言う香水は『試しの香水』『幻惑の香水』と言われている。
 独特の甘い匂いが特徴であり、その香りを嗅げば相手が自分の理想とする人に視えると言う品物である。

 今回、彼らに近づくわたしをセイラに見せる為に、違和感を感じさせないようにこの香水を使ったというのに、果たして使用した意味はあったのだろうか?

 レイチェル彼女に首っ丈とはいえ、元婚約者のふりしたわたしにさえ気遣いも見せず怒声を浴びせるなんて、どれだけ阿保なのだろう。
 あぁ、彼らはわたしの顔どころか目も見ていなかった。

 あれは、わたしどころかセイラをも見ていないだろう。

 果たしてレイチェル彼女はそんなに魅力がある女性なのか?

 そんなに誰もが魅力に思うの発言に矛盾があるのに彼ら信じているのも不思議に思う。

 いつ彼らは聞いたのだ?
 話の内容も違うし・・・。
 一体は何人存在するというのだろう?

 それに、いく人もの人が一人の女性を想っていれば、争いに発展しても仕方ないと思うのにそれさえないようだ。

 はどこかの女帝のつもりなのだろうか。
 男性をはべらかせてどうすもりだ。一つの国でも作る気か?
 一瞬で潰れるだろうが・・・。

 
「お嬢様、難しいお顔をされていますね」 

 口元を覆い、たらいに泡を山ほど作っていたアリスが聞いてきた。

 アリスは幼い頃からずっとわたしの側になっていてくれている。留学中もだ。
 一足先に帰ってきたわたしから二日送れて帰って来ていた。

 わたしの考えていることを気にしてくれる。

「そうね。どうすればやっかい事をコテンパンにしてやろうか考えてるから」
「ひと蹴りして潰してみます?」
「それはまだよ。先に精神的に潰してやらないと気が治らないわ。それより、そんなに誰もが好きになるような女なのかしら?
 わたしならシュリナ様やセイラが理想としてもいい女性だと思うのよね」
「そうですわね。お嬢様は、行動で損していますわ」
「・・・・・・」

 シェリナ様やセイラのような行動は無理だ。

 わたしはもっと外を見てみたいんですもの。もっと自分の足で動いていたい。

「おとなしいお嬢様は想像できませんけどね」

 アリスの言葉に誰もが頷いていたが、私は苦笑いするしかなかった。
 

 
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